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2018/06/24

【仏像】仏像の宝庫 慈恩寺再訪(山形県寒河江市)

 2年前に訪れた慈恩寺ですが、また観仏初心者の頃だったこともあり、印象がすっかり薄れてしまっていたので、こんかい再び訪ねてみました。

【寺院名】慈恩宗本山 瑞宝山 慈恩寺
【公式サイト】http://www.honzan-jionji.jp
【住所】山形県寒河江市大字慈恩寺地籍31
【拝観日】2018年6月13日
【拝観】毎日可能。拝観料500円。丁寧に解説をして下さいます。
【仏像】
●正門所蔵
金剛力士像
●本堂所蔵
弥勒菩薩坐像(前立ち) 像高44.1cm 鎌倉中期 県指定 写真
多聞天像 平安時代
持国天像 鎌倉時代
木造虚空藏菩薩坐像 像高32.0cm 割り矧ぎ造 玉眼 鎌倉後期 県指定 写真
婆羅門僧正像
木造阿弥陀坐像 室町時代
木造阿弥陀如来立像(歯吹きの弥陀) 割矧造 像高98.9cm 鎌倉時代 県指定 写真
木造聖観音立像 カツラ一木造  彫眼 像高108.3cm 鎌倉時代 県指定 写真
木造聖徳太子立像 像高95.0cm 鎌倉末期 2018年3月国重要文化財指定写真
●薬師堂所蔵
木造薬師如来及両脇侍像 鎌倉末期 国重文 写真
 薬師如来像 ヒノキ 寄木造 像高69.4cm
 日光菩薩像・月光菩薩像 割矧造 像高ともに109.1cm
木造十二神将立像 鎌倉時代 辰・午・未・申は後補 国重文


Img_9437Img_9438

 まずは山門(慈恩寺の公式サイトでは「正門」となってます)の金剛力士像から。これは素朴な像ですね。この寺が有する文化財の仏像とはちょっと路線が違ってます。

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 本堂です。元和4年(1618年)の築造で、重要文化財に指定されております。茅葺き屋根と、立ち並ぶ円柱が美しいです。

 ご本尊の弥勒菩薩さまは非公開で、拝観できるのはお前立ちのみ。丸々とした大きめのお顔、引き締まった表情、胸や腹の肉付きがよく、衣紋の彫りも深く鮮やか。まるで相撲取りみたいな気迫のこもった像です。後世のものと思われる金属製の透かし彫りの宝冠をかぶっております。

 向かって右には多聞天。平安時代の作だそうで、ちょっとお顔が珍しいです。右手から腰、足にかけてのポーズがなかなか見事で、迫力があります。

 向かって左には持国天。こちらは鎌倉時代だそうですが、ポーズに動きがなく不自然。厚みがなく前のめりで、ちょっと劣る感じ。

 増長天や広目天はありませんが、欠けているわけではなく、東北では二体のみの例が多いそうです。
 実際、中尊寺金色堂では向かって右に持国天、左に増長天、福島県の白水阿弥陀堂では向かって右に持国天(寺伝広目天)、左に多聞天でした。

 宮殿を左に回り込んだところには、木造虚空蔵菩薩坐像。像高約30cmの小さな仏様ですが、なかなかの美仏。やや丸顔ながら、若々しく、真剣な表情。プロポーションもよく、衣紋も深く力強く彫られています。透かし彫りの円筒状の宝冠を被っておられます。

 その左には婆羅門僧正像。かなり傷んでおりますが、婆羅門僧正は、インドに生まれ唐を経て日本に迎えられた僧侶で、東大寺盧舎那仏像の開眼供養のときの導師をつとめたそうです。この婆羅門僧正が、天武天皇の勅によって慈恩寺を開いたという伝説があるそうです。

 宮殿の右側には、びんずる様と、弘法大師像がありました。

 宮殿の向かって左の部屋には、四体の仏像が安置されております。

 向かって一番左が室町時代の阿弥陀如来坐像。ちょっと人をくったような表情をしております。

 その右が木造阿弥陀如来立像。通称「歯吹きの弥陀」と呼ばれるのは、口の中に金属製の歯が埋め込まれているからだそうです。螺髪もひとつひとつ刻んで漆で貼り付けられているそうです。どういう思想でこのような像を作ったのか、ぽん太には皆目見当がつきません。全体としてはどっしりと落ち着いた感じの美しい像で、細かい截金細工がほどこされております。なかなかの名品です。
 解説によると、地元の誰だかが奈良まででかけて快慶一派に仏像の制作を依頼し、出来上がった仏像をかついで戻ってきたという言い伝えがあるそうです。

 その右は木造聖観音立像。鎌倉時代の作でありながら一木造で、目も彫眼。これは、古い時代の檀像(香木を使った仏像)を模した復古像なんだそうです。わずかに左足を曲げて腰をひねったポーズも、どこか雅やか。お顔は赤ん坊のようです。髪の毛の髻(もとどり)がないのも珍しいですね。しぶくていい仏像です。

 一番右は、今年の3月に国重要文化財に指定されることが決まった聖徳太子像。髪を中央で分け、袈裟をかけ、右手に柄香炉を持ったお姿で、聖徳太子が16歳のときに父である用明天皇の病気平癒を祈ったという伝説を基にした、いわゆる「孝養像」です。思いつめたような表情、シンプルながら美しい袈裟の襞、截金などによる細かい紋様など、素晴らしい像です。体内には血液を使って書いたお経(血書経)などが収められていたそうです。

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 薬師堂に移動すると、正面に薬師三尊像が祀られており、その背後には十二神将が控えております。

 薬師如来は像高70cmとそれほど大きいものではありませんが、とてもきらびやかで神々しい仏様です。内部に花洛院保の銘が見つかり、院派の大仏師院保の作であることがわかりました。鎌倉時代というと、運慶に代表される慶派の力強く躍動的な仏像を思い浮かべますが、院派はこのようにきらびやかで、かつちょっと硬い感じだそうです。
 両脇侍の日光・月光菩薩は、ちょっと見慣れない面長のお顔。なんか昔、漫画家イラストで見たことあるような……。両像とも左足を曲げていて、対称的になっていないのも面白いです。中尊とは作風が違うと考えれているそうです。

 十二神将は、表情もポーズも非常に生き生きとしており、彩色もかなり残っていて、いつまで見てても見飽きません。辰・午・未・申の4体は後補だそうです。
 
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 前回に来た時、なんだかわからなかった祠のなかの池、今回解説してくださった方に聞いて見たところ、生活水として利用した湧き水なんだそうです。慈恩寺がある場所は、地質の関係か湧き水が少なく、境内の何ヶ所かの湧き水を大切に使っていたそうです。

 面白い言い伝えがあるそうで、慈恩寺の地区に嫁いで来た娘が、湧き水でお米を研いでいたところ、一人のお坊さんが通りかかり、水を所望しました。その娘は水が貴重と言われていたので、米の研ぎ汁を僧侶に与えたそうです。お坊さんは「美味しい」といって研ぎ汁を飲みましたが、それ以来湧き水は、米の研ぎ汁のように白く濁ってしまったそうです。

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 確かに白く濁ってます。


 非公開の仏像も多い慈恩寺ですが、本堂落慶400年を記念して、今年(2018年)の9月10日から10月14日まで「慈恩寺の宗教と仏像展」と称する特別公開があるようです(本堂落慶400年記念 「慈恩寺の宗教と仏像展」のご案内)。ちらしでは、釈迦如来坐像、木造騎獅文殊菩薩及脇侍像、木造騎象普賢菩薩及十羅刹女像が公開されるようですが、他のも見れるといいな……。

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