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2018年10月の3件の記事

2018/10/25

【仏像】珍しいポーズを拝めます。特別展「仏像の姿」三井記念美術館

 この秋は、国立博物館の大報恩寺展、サントリー美術館の醍醐寺展など、仏像の展覧会が目白押し。手始めに三井記念美術館の「仏像の姿」展に行ってきました。

 「仏師がアーティストになる瞬間」と銘打って、「顔」「装飾」「動きとポーズ」を切り口に、仏師の創造力や表現の多様性を示す展覧会です。コレ!という目玉の仏さまはおらず、宗教性より美術性を重視しておりましたが、これまで見たことのないポーズの仏さまを見ることができました。国立博物館や芸大、個人蔵の仏さまが多かったです。また芸大による模刻が展示されていたのも珍しかったです。

 会場に入ると最初に迎えてくれる「迦陵頻伽立像(かりょうびんがりゅうぞう)」1-1は、上半身は人間、下半身は鳥という異形。迦陵頻伽は極楽に住む想像上の生物だそうですが、ぽん太は初めて見ました。
 「南方天眷属」1-3は、がっしりした体格や顔など、黒人にしか見えませんが、想像力のなせる技なのでしょうか。
 1-4の銅造の「菩薩立像」は、飛鳥時代らしいお姿で、装飾がとても美しいです。
 1-6「観音・勢至菩薩」は、精緻な截金の装飾がほどこされており、また脚の部分の衣紋も複雑に表現されています。ちょっと瓜実顔で、可愛らしいお顔です。
 1-8「十一面観音立像」は、少し前に踏み出した右足の、カカトが上がっているのが珍しいです。
 パンフレットに使われている2-1「不動明王立像」は、歌舞伎の見栄のような迫力あるポーズが独特。

 4-1「阿弥陀如来立像」は、銅板透彫の細かく繊細で、華麗な光背が目を引きます。またお腹の部分の衣服のU
字型の衣紋と、両足の部分の滝のようなストレートな衣紋の対比が見事です。
 4-2の「弥勒菩薩立像」も、宝冠・光背の見事な装飾と、脚の部分の複雑な衣紋が美しいです、
 4-6の阿弥陀三尊は、両脇侍が片足を後ろに跳ね上げております。かなり珍しいポーズだそうです。勢至菩薩といえば、山形の慈恩寺の五郎丸ポーズが有名ですが、これは次にボールを蹴る瞬間か?
 4-9の毘沙門天像は、玉眼の目が血走っていて怖い。

 お次はちょっと変わった不動明王さまたち。4-15は半跏踏下座のポーズが珍しい。4-16は、髪の毛が海原はるか・かなた師匠状態に風でなびいております。4-17は前髪つき。

 4-19の如来立像は、素朴なふくよかなお顔で、体つきもぼってりしており、天才バカボンみたいです。右手で衣の裾を握りしめているのも、なんか子供っぽい。

 5-3の十一面観音さまはお顔がボッテリ。フェルナンド・ボテロのモナリザを思い出しました。
 5-6の伽藍神は、衣をなびかせて走ってます。右手と右足を同時に前に出すナンバ走り。お顔といいポーズといい、黒鉄ヒロシの漫画に出てきそうです。
 


特別展「仏像の姿(かたち)」 〜微笑む・飾る・踊る〜

三井記念美術館
2018年9月15日〜11月25日

三井記念美術館公式サイト
出品目録(pdf , 829.7K)

主な出品作
◎重要文化財 ○県指定 ●市指定

1-1 迦陵頻伽立像 1 室町時代・15 世 個人蔵
1-2 如来立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 個人蔵
1-3 ◎ 四天王眷属立像(東方天眷属・南方天眷属) 康円 2軀 鎌倉時代・文永4年(1267) 東京国立博物館
1-4 ◎ 菩薩立像 1軀 飛鳥時代・ 7 世紀 東京藝術大学
1-5 ◎ 薬師如来立像 1軀 奈良時代・ 8 世紀 滋賀・聖衆来迎寺
1-6 観音・勢至菩薩立像 2軀 鎌倉時代・13 世紀 神奈川・称名寺 (神奈川県立金沢文庫保管)
1-7 ◎ 菩薩坐像 2軀 平安時代・ 9 世紀
岐阜・臨川寺 
1-8 ◎ 十一面観音立像 1軀 平安時代・ 9 世紀 三重・瀬古区
1-9 菩薩坐像 2軀 平安時代・12 世紀 個人蔵

2-1 不動明王立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 個人蔵

4-1 ◎ 毘沙門天立像 1軀 平安時代・応保 2 年(1162)頃 東京国立博物館
4-2 ◎ 地蔵菩薩立像 快成 1軀 鎌倉時代・建長 8 年(1256) 奈良・春覚寺
4-3 阿弥陀如来立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 東京国立博物館
4-4 ◎ 阿弥陀如来立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 滋賀・観音寺
4-5 弥勒菩薩立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 個人蔵
4-6 ◎ 阿弥陀如来及び両脇侍像 3軀 平安時代・ 9 世紀 大阪・四天王寺
4-7 毘沙門天立像 肥後定慶 1軀 鎌倉時代・貞応 3 年(1224) 東京藝術大学
4-8 毘沙門天立像 1軀 平安時代・12 世紀 滋賀・西遊寺
4-9 毘沙門天立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 個人蔵
4-10 天部立像 1軀 平安時代・9 〜10世紀 個人蔵
4-11 広目天立像 1軀 平安時代・10 世紀 滋賀・長命寺
4-12 ● 天部立像 1軀 平安時代・10 世紀 滋賀・春日神社
4-13 ● 二天立像(持国天・多聞天) 2軀 平安時代・12 世紀 滋賀・光照寺
4-14 ◎ 毘沙門天立像 1軀 平安時代・寛弘 8 年(1011)頃 京都・誓願寺
4-15 不動明王半跏像 1軀 平安時代・12 世紀 個人蔵
4-16 ○ 不動明王立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 埼玉・地蔵院
4-17 不動明王及び二童子像 3軀
4-18 不動明王立像 1軀 平安時代・11 世紀 京都国立博物館
4-19 ◎ 如来立像 1軀 平安時代・10 世紀 滋賀・若王寺
4-20 ◎ 大日如来坐像 1軀 平安時代・12 世紀 東京国立博物館
4-21 ◎ 釈迦如来立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 滋賀・荘厳寺
4-22 十一面観音立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 大阪・四天王寺
4-23 菩薩半跏像 1軀 平安時代・9 〜10世紀 東京国立博物館
5-1 ◎ 観音菩薩立像 1軀 平安時代・10 〜 11 世紀 大阪・本山寺
5-2 観音菩薩立像 1軀 平安時代・ 9 世紀 個人蔵
5-3 ◎ 十一面観音立像 1軀 平安時代・ 9 世紀 大阪・長圓寺
5-4 五大明王像 5軀 平安時代・10 〜 11 世紀 奈良国立博物館
5-5 十二神将立像(子神〜巳神) 6軀 鎌倉時代・13 世紀 奈良国立博物館
5-6 伽藍神立像 1軀 鎌倉時代・13 世紀 奈良国立博物館
5-7 雷神立像 1軀 南北朝時代・14 世紀 公益財団法人小田原文化財団
5-8 ◎ 聖観音坐像 1軀 平安時代・11 世紀 滋賀・荘厳寺
5-9 頭上面(三十三間堂伝来) 15 面 平安〜江戸時代 個人蔵

7-14 地蔵菩薩立像(夜泣き地蔵) 1軀 平安時代 奈良・新薬師寺
7-15 不動明王及び二童子像 3軀 鎌倉時代 個人蔵

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2018/10/19

【オペラ】ケントリッジの演出は面白かったです「魔笛」新国立オペラ

 新国立劇場の「魔笛」は、これまでとはプロダクションが変わり、2005年にモネ劇場で初演されたウィリアム・ケントリッジ演出の舞台です。
 動く素描といった感じのアニメが多用されてました。なんでもこの人、手書きのアニメーションで有名な現代美術家とのこと。紙に木炭で描いたドローイングを、消しては書き直しながらコマ撮りしていくものだそうで、素朴さと暖かみがあります。元々は有名な現代美術家だそうで、Youtubeでもいろいろな動画を見ることができます。Youtubeでも動画が見れます。南アフリカ出身の白人ということで、作品にメッセージ性も感じられます。
 なんか魔笛の筋ってわかりにくいところがあり、最後の火と水の試練も歩くだけであっという間に終わるな〜と思ってたのですが、そうしたあたりはアニメのおかげでわかりやすかったです。
 でも、アニメに目が行きすぎて、歌やオケに集中しずらかった気もします。
 いまのところオペラの演出では、プロジェクションは控え目に使われておりますが、そのうちオールCGみたいなのが出てくるんでしょうか。

 フリーメイソン的なものははっきりと描かれていたのも特徴で、三角に目玉のシンボルや、独特の握手などが出てきました。一方でフリーメイソンが、啓蒙主義や科学的思考と関連していることも示されておりました。

 衣装は全員18世紀風。パパゲーノも、見慣れた鳥のお化けじゃなくて、普通の服装。なんだかダヴィスリム演ずるタミーノよりも、アンドレ・シュエンのパパゲーノの方が男前に見えてしまいました。
 二人とも、歌も演技も悪くはなかったですが、聞き惚れるほどの歌声ではありませんでした。

 ザラストロのヴェミッチは、若くて長身で、「賢者」というよりは「若き教祖様」という雰囲気。演出のケントリッジの考えでは、真理を知り人々を導くことができると自負するザラストロには、独りよがりで危険な側面があり、サイの狩猟シーンやギロチンは、それを象徴してるんだそうな。だとすればちょっと危なそうなヴェミッチのザラストロは、演出者の意図に合っているのかもしれません。

 夜の女王は安井陽子。破綻なく歌っていたけど、歌うのが精一杯という感じで、プラスアルファの表現力や演技力に欠けるのは仕方ないか。
 なんかオケも迫力がなかった気がします。4階席で遠かったせいですかね。

「魔笛」
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:エマヌエル・シカネーダー

新国立劇場オペラパレス
2018年10月14日

公演情報(新国立劇場公式サイト)

指揮:ローラント・ベーア
演出:ウィリアム・ケントリッジ
演出補:リュック・ド・ヴィット
美術:ウィリアム・ケントリッジ、ザビーネ・トイニッセン
衣裳:グレタ・ゴアリス
照 明:ジェニファー・ティプトン 
プロジェクション:キャサリン・メイバーグ
映像オペレーター:キム・ガニング 
照明監修:スコット・ボルマン
舞台監督:髙橋尚史

ザラストロ:サヴァ・ヴェミッチ
タミーノ:スティーヴ・ダヴィスリム
弁者・僧侶I・武士II:成田 眞
僧侶II・武士I:秋谷直之
夜の女王:安井陽子
パミーナ:林 正子 
侍女I:増田のり子
侍女II:小泉詠子
侍女III:山下牧子
童子I:前川依子
童子II:野田 千恵子
童子III:花房英里子
パパゲーナ:九嶋香奈枝
パパゲーノ:アンドレ・シュエン
モノスタトス:升島唯博 

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

芸術監督:大野和士

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2018/10/18

【歌舞伎】玉三郎の母満江にドラマを感じました 2018年10月歌舞伎座夜の部

 10月の歌舞伎座は、18世勘三郎追善。夜の部を観劇しました。
 もう七回忌になるのか……。あの時は、残された勘九郎と七之助はどうなるのかと心配しましたが、いまや二人とも立派な役者へと成長。さらに今回の公演では、吉野山では玉三郎が勘九郎の相手を務め、また助六では、仁左衛門が17世勘三郎に教わったという助六を演じ、玉三郎は揚巻を七之助に任せて母満江役を務めるなど、勘九郎・七之助に芸を伝えていこうという意図が感じられました。二人もそれに応えて、素晴らしい演技を見せてくれました。

 「宮島のだんまり」は動く錦絵といったところか。どういう話のどういう場面なのかまったくわかりませんが、安芸の宮島を舞台に、源平ゆかりの人物のだんまりでした。扇雀の六方が観れたのが良かったです。たぶん初めてかしら。

 「吉野山」は、玉三郎の静御前、勘九郎の佐藤忠信。勘九郎は、さらにちょっと痩せたかしら、白塗りの侍姿がなかなかいい男振りでした。そして踊りは……不覚にもぽん太は日頃の疲れで寝てしまったのが残念です。

 そして今回のお目当の仁左衛門の「助六」。海老蔵の華やかさやバカっぽさはなく、柔らかく丁寧に演じてました。台詞回しや演技のうまさは流石。でも、「鼻の穴に屋形船けこむぞ」の部分は、海老蔵の方が面白いというか、憎たらしいです。ちょっと仁左衛門は照れてた感じでした。
 助六といったら河東節かと思っていたら、今回は長唄でした。あとで「仁左衛門が語る『助六曲輪初花桜』」(歌舞伎美人)を読んでみたら、題名も市川家の「助六由縁江戸桜」(すけろくゆかりのえどざくら)とは変えて『助六曲輪初花桜』(すけろくくるわのはつざくら)とし、様々な人の良いところを取り込んで作り上げたものとのこと。
 七之助の揚巻は、目がさめるような美しさ。玉三郎から教わったと思われる台詞回しも、華やかさやきっぷのよさがあって良かったですが、まだまだ台詞回しに聞き惚れるまではいってませんでした。
 勘九郎の白酒売新兵衛は、笑いと取ろうとしすぎずに、節度をもって演じてました。
 玉三郎が母満江というご馳走です。最後、思いつめた表情で花道を立ち去る玉三郎。それを勘九郎が真剣な憂慮の表情で見送り、助六を振り向いて「心配するな、ここは俺に任せろ」というような仕草をし、足早に母を追って行きます。わずか十数秒の演技ですが、素晴らしいドラマが感じられました。なんども助六は見てるはずですが、これは初めてでした。
 福山かつぎは千之助。通人は彌十郎。そういえば、以前に團十郎が助六、菊五郎が白酒売のときの、勘三郎の通人が、楽屋落満載でおかしかったな〜。思い出しました。


芸術祭十月大歌舞伎
十八世 中村勘三郎七回忌追善

2018年10月17日 歌舞伎座

公演情報(歌舞伎美人)

夜の部

  平成30年度(第73回)文化庁芸術祭参加公演
一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)

傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎 扇雀
大江広元 錦之助
典侍の局 高麗蔵
相模五郎 歌昇
本田景久 巳之助
白拍子祇王 種之助
奴団平 隼人
息女照姫 鶴松
浅野弾正 吉之丞
御守殿おたき 歌女之丞
悪七兵衛景清 片岡亀蔵
河津三郎 萬次郎
平相国清盛 彌十郎


  義経千本桜
二、吉野山(よしのやま)

佐藤忠信実は源九郎狐 勘九郎
早見藤太 巳之助
静御前 玉三郎


三、助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)
  三浦屋格子先の場

花川戸助六 仁左衛門
三浦屋揚巻 七之助
白酒売新兵衛 勘九郎
通人里暁 彌十郎
若衆艶之丞 片岡亀蔵
朝顔仙平 巳之助
三浦屋白玉 児太郎
福山かつぎ 千之助
男伊達 竹松
男伊達 廣太郎
男伊達 玉太郎
男伊達 吉之丞
文使い番新白菊 歌女之丞
傾城八重衣 宗之助
遣手お辰 竹三郎
くわんぺら門兵衛 又五郎
髭の意休 歌六
松葉屋女房 秀太郎
母満江 玉三郎

後見 松之助

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