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2018/11/25

【仏像】わかりやすい解説がお見事 「神仏のかたち」大津市歴史博物館

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エントランスにある地蔵菩薩坐像(平安〜鎌倉、園城寺)

 仏像めぐりで大津を訪れたところ、大津市歴史博物館で仏像の展覧会をやっていると知って、訪れました。
 展示された仏像も良かったのですが、書かれている解説がとっても面白かったです。「信仰」という点ではちょっと不謹慎顔しれないけど、一つひとつの仏さまごとにキャッチコピーがあって、特徴がわかりやすく書かれていました。衣服に詳しいのも特徴で、ここは下着、ここは衣の折り返した部分などと、細かく記載されておりました。おかげで仏像を見ると、だいたいいつの時代かわかるようになりました。学芸員さん、ありがとうございました。

 園城寺(三井寺)の釈迦三尊像(4、出品リストの番号)は江戸時代のもので、三尊とも座っており、華やかな宝冠をかぶっているのが特徴。園城寺の三重塔の初層に安置されているものだそうです。

 安楽寺の薬師如来坐像(5)は平安時代の作で、重要文化財。頭部の肉髻が高めで、丸いお顔、目鼻口が中央に寄ってます。ちょっと古風ながら、平安時代後期の作。1年に1日しか公開していないそうです。

 これまた重文の法楽寺の薬師さま(6)は、いかにも定朝様の仏さま。膝の張りがワイドです。12年に1度だけご開帳になる秘仏で、拝観できるのは貴重です。

 重文の西教寺の薬師さま(7)は、鎌倉時代の作らしく張りがあります。左手の薬壷を正面で持ち、右手を拝むように添えているのが珍しいです。

 このペースでいちいち書いてるときりがないので、ここからスピードアップ。
 阿弥陀三尊像(10) の脇侍の観音菩薩立像は、鎌倉時代の仏師・行快の作。行快といえば、現在東京国立博物館で開かれている大報恩寺展の、秘仏ご本尊の釈迦如来を作った方ですね。快慶のお弟子さんです。この像の墨書銘から、この像が作られたのは1216〜1227年頃であると推定されます。まだ快慶の存命中であり、快慶の死後に個性をいかんなく発揮した大報恩寺の釈迦如来と異なり、快慶の作風に習っています。若干つり目でハリのあるお顔、美しいプロポーション、肉体を意識しながらも装飾的で整ったお姿です。

 鎌倉時代(13世紀)の阿弥陀如来立像(11)は、左手を上げ右手を下げるという、通常とは逆の印を結んでいるのが特徴。日本では珍しいですが、宗や高麗の仏画ではよく見られたそうです。

 石山寺の重文・大日如来坐像(13)は、快慶初期の作。昨年の奈良国の「快慶展」でもお目にかかりました。

 弥勒如来坐像(14)は鉄造で、平安時代にまで遡ります。鉄造としては最古の部類。ちなみに先日観た東京府中の善明寺の鉄造阿弥陀如来坐像は、鎌倉時代(1253)のものでした。

 三面大黒天の2点(38-1,2)は、大黒天・弁財天・毘沙門天が合体したずんぐりした木造。同様の意匠で、江戸時代にはやったと考えられているそうです。

 園城寺から、2躯の訶梨帝母倚像(かりていもいぞう)が出品されておりました。鎌倉時代の重文の像(40)が何と言っても素晴らしい。ポーズや衣服のひだなど、動きを感じさせます。胸に抱かれた子に対する母親の慈愛が感じられますが、その母親も童女のような笑顔です。もうひとつの室町時代の像は(39)、彫りといいお顔といいちょっとグロテスク。でも足元の子供達までセットになって残っているのは珍しいんだそうです。

 また、地主神社の重文のものをはじめ(43)、いくつかの木造神像が展示されておりました。同時期の仏像と比べると、神像の造形は拙い感じがしますが、けっして作者が下手だったわけではなく、はっきりとは見えない神という存在を表現したものだそうです。

 
 


神仏のかたち ―湖都大津の仏像と神像―

 大津市歴史博物館
 平成30年(2018) 10月13日(土)~11月25日(日)

大津市歴史博物館の公式サイト
出品リスト(pdf, 161.1K)

仏像の出品リスト
  ⦿国宝 ◎重要文化財 □都道府県指定 △市指定 ○重要美術品

1 聖衆来迎寺 銅造釈迦誕生仏 1躯 白鳳時代(7 世紀)
参考 新知恩院 △ 木造釈迦涅槃像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
4 園城寺 木造釈迦如来及び両脇侍像 3躯 元和9年(1623)
5 安楽寺 ◎ 木造薬師如来坐像 1躯 平安時代(11 世紀)
6 法楽寺 ◎ 木造薬師如来坐像 1躯 平安時代(12 世紀)
7 西教寺 ◎ 木造薬師如来坐像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
8 西教寺 木造薬師如来立像 1躯 平安時代(11 世紀)
10 西教寺 □ 木造阿弥陀如来及び両脇侍像 3躯 鎌倉時代(13 世紀)
11 西教寺 △ 木造阿弥陀如来立像(逆手) 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
13 石山寺 ◎ 木造大日如来坐像 1躯鎌倉時代(13 世紀)
14 弥勒堂維持委員会 △ 鉄造弥勒如来坐像 1躯平安時代(12 世紀)
15 満月寺 ◎ 木造聖観音坐像 1躯 平安時代(10 世紀)
16 寂光寺 □ 木造聖観音坐像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
17 岩間山正法寺 △ 木造十一面観音立像 1躯 平安時代(11 世紀)
18 近松寺 △ 銅造千手観音立像 1躯 平安時代(12 世紀)
19 妙傳寺 銅造弥勒菩薩半跏像 1躯 朝鮮三国時代(7 世紀)
21 園城寺 木造普賢菩薩坐像 1躯 通期 南北朝時代(14 世紀)
23 西教寺 木造日光・月光菩薩立像 2躯 鎌倉時代(13 世紀)
24 岩間山正法寺 ◎ 木造地蔵菩薩立像 1躯 平安時代(11 世紀)
25 園城寺 木造地蔵菩薩立像 1躯 安時代(12 世紀)
26 園城寺 木造不動明王立像 1躯 平安時代(11 世紀)
27 比叡山延暦寺 ◎ 木造四明王像のうち降三世明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王 3躯 鎌倉時代(13 世紀)
29 聖衆来迎寺 木造愛染明王坐像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
30 安楽寺 木造四天王立像 4躯 平安時代(10 世紀)
31 比叡山延暦寺 ◎ 木造四天王立像 4躯 平安時代(12 世紀)
32 石山寺 ◎ 木造二天立像 2躯 平安時代(12 世紀)
34 石山寺 木造吉祥天立像 1躯 平安時代(11 世紀)
35 聖衆来迎寺 木造吉祥天立像 1躯 平安時代(11 世紀)
36 園城寺 木造大黒天立像 1躯 南北朝時代(14 世紀)
37 聖衆来迎寺 □ 木造大黒天立像 1躯 暦応2年(1339)
38-1 立木山安養寺 木造三面大黒天立像 1躯 江戸時代(17 世紀)
38-2 園城寺 木造三面大黒天立像 1躯 江戸時代(17 世紀)
39 園城寺 木造訶梨帝母像 1躯 室町時代(15 世紀)
40 園城寺 ◎ 木造訶梨帝母倚像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
41 園城寺 木造愛子像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
42 建部大社 木造男神・女神坐像 2躯 平安時代(12 世紀)
43 地主神社 ◎
木造神像 のうち、 8躯 平安時代(10 世紀)
  木造男神坐像・木造女神坐像 6躯 平安時代(10 世紀)
  木造男神坐像・木造僧形神坐像 2躯 平安時代(10 世紀)
参考 天皇神社 木造男神坐像 2躯 平安時代(10 世紀)
45 石山寺 銅造蔵王権現残欠 一括 平安時代(12 世紀)
46 石山寺 ◎ 木造維摩居士坐像 1躯 平安時代(9 世紀)
47 比叡山延暦寺 ◎ 木造維摩居士坐像 1躯 平安時代(9 世紀)
48 西教寺 木造慈覚大師坐像(伝暹賀) 1躯 平安時代(10 世紀)
49 園城寺 ◎ 木造智証大師坐像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)
特別 円福院 ◎ 木造釈迦如来坐像 1躯 鎌倉時代(13 世紀)

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