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2019/02/08

【歌舞伎】吉右衛門、魁春の「熊谷陣屋」に思わずうなる。2019年2月歌舞伎座夜の部

 吉右衛門と魁春の「熊谷陣屋」が素晴らしかったです。

 「ワンピース」もいいけど、やっぱりこういう舞台が本格的な歌舞伎で、芸の極みですね〜。吉右衛門の熊谷直実に匹敵する演技をできる役者は他にいないし、今後もしばらく現れないんじゃないでしょうか。
 吉右衛門の直実は何度も見ているけど、それでもやはり感心するやら感動するやらで、引き込まれて涙は出てくるし、歌舞伎を見ている悦びが沸き起こって来ます。

 魁春も、幕開けの、息子を思う気持ちと、陣中に来たことで直実に叱られないかという不安、直実を迎えるために階段の横に身を縮こまらせている様子など、一つひとつが素晴らしい。そこに直実が戻って来て、花道七三で数珠を握りしめて決まると、自然に客席から拍手が沸き起こります。妻を見つけて両手で袴をバーンと叩くところでは、息子を身代わりにしているのに妻が来てしまい、これから起こることへのやるせなさや、何で来てしまったのかという妻への憤りともいえない思いが詰まっています。
 その後もずっとこんな感じで、一つひとつの所作やセリフが身にしみますした。

 藤の方の雀右衛門が見劣りしない演技。義経の菊之助も立派でした。弥陀六は歌六が手慣れた名演。義経のお供に菊市郎、菊史郎。


 
 「當年祝春駒」は、曽我の対面で、十郎・五郎が春駒売りという設定の華やかな舞台。松緑の息子の左近が、五郎をキビキビとした動きで演じおりました。

 「名月八幡祭」は、初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言と銘打って、松緑が縮屋新助を演じましたが、あんまり感心しませんでした。
 なんか松緑って、セリフが棒読みでうまくない。美代吉にだまされたとわかって泣き叫ぶところも、なんか昨年末の「あんまと泥棒」の中車の演技がうつっちゃったみたいで、泣かそうとしているのか笑わそうとしているのか、ぽん太よくわかんない。
 ラストの花道で担ぎ上げられての大笑いも、なんか深みがない。笑いの中に、ざまあみろやってやったという気持ちや、それでも美代吉を思う気持ち、だまされた自分をあざ笑う気持ち……などが感じられないといけないんじゃないでしょうか。
 仁左衛門の三次、玉三郎の美代吉という名コンビは流石にうまい。仁左衛門、こういうダメンズ役は(役も!)最高ですね〜。起こりまくってるところから一転「な〜んだ、そうだったのか〜悪かったな〜」とデレデレするあたり、男のぽん太から見ても可愛らしく、もうDVでもなんでもしてっ!て感じですね。
 玉三郎も、ちょっと滑舌がもっさりするところは相変わらずで、二日目ということでセリフも出にくそうなところもあちましたが、卓越した芸でカバーして、気っ風のいい深川芸者を見事に演じてました。
 梅玉の藤岡慶十郎は、梅玉の人柄そのものの鷹揚で優しいお殿様。


二月大歌舞伎

歌舞伎座
平成31年2月3日

公演情報|歌舞伎美人

夜の部

  一谷嫩軍記
一、熊谷陣屋(くまがいじんや)

    熊谷直実 吉右衛門
    藤の方 雀右衛門
    源義経 菊之助
    亀井六郎 歌昇
    片岡八郎 種之助
    伊勢三郎 菊市郎
    駿河次郎 菊史郎
    梶原平次景高 吉之丞
    堤軍次 又五郎
    白毫弥陀六 歌六
    相模 魁春

二、當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)

    工藤祐経 梅玉
    曽我五郎 左近
    大磯の虎 米吉
    化粧坂少将 梅丸
    曽我十郎 錦之助
    小林朝比奈 又五郎

  初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言
  池田大伍 作
  池田弥三郎 演出
三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)

    縮屋新助 松緑
    芸者美代吉 玉三郎
    魚惣 歌六
    船頭長吉 松江
    魚惣女房お竹 梅花
    美代吉母およし 歌女之丞
    藤岡慶十郎 梅玉
    船頭三次 仁左衛門

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