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2019/02/01

【オペラ】聖女のごときリエネ・キンチャのエリーザベト「タンホイザー」新国立劇場

 2007年演出の再演となる新国立劇場の「タンホイザー」。このオペラ、ぽん太も3回目の鑑賞となり、だいぶ聴きどころがわかってきて、楽しめるようになってきました。

 けっこう感動して、ラストは涙が溢れてきました。何が良かったかって、やっぱり、「どうしょうもない男が、女の愛で救われる」という、よくあるけど普遍的なストーリーかな? 
 タンホイザーは、ヴェーヌスの愛欲に溺れたかと思うと、それも飽きて現実に戻りたいと言い出し、歌合戦ではエリーザベトにさかんに投げキッスをし、同僚を傲慢にあざけり笑ったりし、皆に非難されるとュンとなり、エリーザベトに救われてローマへの苦行の旅を決意するものの、法王の許しを得られずに、またヴェーヌスの元に戻ろうとしたりします。かなりひどいヤツです。「タンホイザー」はまさに「悪人正機」の物語ですね。
 とはいえ、最後に杖に新緑が芽吹いて、タンホイザーが救われると、なんだか涙が流れてくる。チコちゃんによると、年とって、ぽん太の脳のブレーキが緩んだからだそうです。

 ヴァグナーはこういう人物が好きだったんでしょうか。「指環」のジークフリートも、悪人とはいえ自分を育ててくれたミーメに、ひどい仕打ちをしたりします。


 タンホイザー役は、新国立で何回か歌っているトルステン・ケール。いつもの4階席だったせいか、最初、倍音ばっかり響いてきてちょっと閉口しましたが、だんだんと地声が聞こえるようになりました。「ローマ語り」はなかなか良かったです。
 エリーザベトのリエネ・キンチャは、第2幕冒頭の「殿堂のアリア」では、恋に胸を焦がす女性の喜びを生き生きと歌い上げましたが、ちょっと声が定まりませんでした。しかし第2幕最後の毅然とした歌声は心に響き、第3幕の「エリーザベトの祈り」は心に沁みました。彼女の風貌と、真っ白な衣装があいまって、まさに絵画に描かれた聖女のようでした。
 ヴェーヌスのアレクサンドラ・ペーターザマーは、グレートマザー風。迫力がありました。
 ヴォルフラムのローマン・トレーケルは、誠実さが滲み出ており、「夕星の歌」は表情豊かな歌声で美しかったです。

 アッシャー・フィッシュ指揮の東京交響楽団の演奏は、4階席だったせいか、初日だったせいなのか、序曲で音が定まらず、迫力もなくて心配しましたが、だんだんと暖まってきたようでした。ホルンがちょっと不安定だったのが残念。
 新国立劇場合唱団はあいかわらず素晴らしく、第1幕のセイレーンの呼び声も幻想的でしたし、「大行進曲」も迫力がありました。
 新国立劇場バレエ団のみなさんもお疲れ様でした!でも、振り付けと、全身タイツみたいな衣装とメイクはいまいちだったかな。あんまりエロティックな感じがしませんでした。


 ぜんぜん話は飛びますが、ぽん太は今年の年末年始はイタリアに行っていたのですが、ローマのバチカン宮殿前のお土産やさんで、同じグループの人が「音楽の神様のメダルを買いたい」とガイドさんに相談したところ、「神様はひとりだけで、音楽の神様というのはいません」と言われてました。ローマ時代の神々の像が至る所にあるローマで、「神様はひとりだけ」というガイドさんの言葉は、キリスト教的にはその通りなんですけど、ちょっとびっくりしました。
 でもドイツとかではどうなんですかね。ヴェーヌスだって愛の女神だし、「指環」にもいろいろ神々が出てきますよね。ドイツではキリスト教的な一神論と、古くからの神々が、共存してるんでしょうか。無知なぽん太にはちとわかりません。

オペラ「タンホイザー」/リヒャルト・ワーグナー
Tannhäuser / Richard WAGNER

新国立劇場オペラパレス
2019年1月27日

公演情報|新国立劇場

指揮 アッシャー・フィッシュ
演出 ハンス=ペーター・レーマン
美術・衣裳 オラフ・ツォンベック
照明 立田雄士
振付 メメット・バルカン

領主ヘルマン 妻屋秀和
タンホイザー トルステン・ケール
ヴォルフラム ローマン・トレーケル
ヴァルター 鈴木 准
ビーテロルフ 萩原 潤
ハインリヒ 与儀 巧
ラインマル 大塚博章
エリーザベト リエネ・キンチャ
ヴェーヌス アレクサンドラ・ペーターザマー
牧童 吉原圭子

合唱 新国立劇場合唱団
バレエ 新国立劇場バレエ団
管弦楽 東京交響楽団

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