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2019/06/27

【バレエ】オシポワ/ムンタギロフの「ドン・キホーテ」英国ロイヤル2019

 オシポワちゃんがドンキを踊るというので観てきました。

 オシポワのドンキというと、今をさること11年前、ボリショイ・バレエの来日公演でワシーリエフを相手に踊った衝撃的なステージが記憶に残ってます。空いてる日程で選んだ公演で、「オーシポワ?(当時はオーシポワと表記してましたね)知らねえなあ。まあ、いいか」みたいな感じでみ始めたら、二人のあまりの身体能力に腰を抜かしそうになった記憶があります。ワシーリエフの片手片足リフトも凄かったです。

 で、久々のオシポワちゃん。まだまだ健在でした。凄かったです。

 出だしでののけぞりジャ〜〜ンプこそ、振り付けの関係かありませんでしたが、大きくてキビキビした動き、バランスと安定性は以前のまま。そして表現力は格段にレベルアップしております。
 並んだ闘牛士たちが布をフリフリする前を回転して進んでいくところのスピードはものすごく、客席からどよめきがおきました。最後のグランフェッテも、前半は高速のドゥブルで全てを通し、後半はシングルでさらに速度をあげ、軸のぶれもまったくありませんでした。なんだかバレエというよりは、体操競技やフィギュアスケートを見ている気分でした。

 お相手のキトリはムンタギロフ。ガラでは何度かお目にかかりましたが、全幕を見るのは初めてでした。長身でスタイルが良く、足が細長くてジャンプ力があるので、浮遊感がハンパないです。これなら長身のオシポワちゃんに十分対抗できますね。3幕のヴァリアシオンの、開脚回転ジャンプは、とても大きく見えました。
 ただ、片手リフトは意外とあっさりやってました。ちときつかったのか?


 振り付けは、キューバ出身のカルロス・アコスタ。元々の英国ロイヤルの振り付けを見たことがないので、どこまでが彼の工夫なのかよくわかりませんが、よく見る振り付けとはだいぶ違ってました。
 メルセデスのナイフの踊りはなく、並んだマグカップの間を一回だけ踊りました。ジプシーの場面も群舞主体になっており、この方がいいような気がしました。ギターの演奏のシーンも初めて見た気がします。
 ドリアードの世界も、背景に大きなガーベラのような花が咲き乱れていて、ということはドリアードたちが小さいのか?ひょっとしてイギリスの妖精と重なってるのかな、などと思いました(妖精には詳しくないので全然違うかも)。
 機械仕掛けのロシナンテは、ちょっと浮いている感じがしました。

 一番に感じたのは、タイトルロールのドン・キホーテに重きを置いていたこと。普通この演目は、「ドン・キホーテ」という題名ではあるものの実際はキトリとバジルの物語で、ドン・キホーテは付け足しという感じですが、アコスタの演出では、ドン・キホーテは主役とまではいかないものの、彼の狂気と愛と悲しみが丁寧に表現されておりました。
 冒頭でドン・キホーテは、白いケープをまとった女性(ドゥルシネア姫でしょうか)の幻影に魅了されます。一方で黒い布を頭からすっぽりかぶった何かに脅かされます(こちらは恐怖の表現か?)。第一幕の広場では、突然舞台がブルーに暗転すると、ドゥルシネア姫の幻影が現れ、ドン・キホーテがキトリをドゥルネシア姫と混同していることが示されます。それ以外にも、ドン・キホーテはなんども宙を見つめながら、何かに気を取られているような仕草をします。風車に襲いかかるところでも、皆がギターを弾きながら踊っているなかで、次第に精神が混乱していく様子が表現されています。
 ドン・キホーテが高齢なので、なんだかぽん太は認知症のおじいさんを前にしているような感じにして、気の毒に思われました。

 エスパーダのズッケッティは、ちと背が低くて、闘牛士らしい花が感じられませんでした。

 最後に端役(ガマーシュと結婚する人)なのに花束もらっていたのは、ヌニュスでしたでしょうか?

 久々に素晴らしいバレエ公演を観れたな、という感じで、大満足でした。

 

 

英国ロイヤル・バレエ団 2019年来日公演
「ドン・キホーテ』

NBSの公式サイト

改訂振付:カルロス・アコスタ/マリウス・プティパの原版に基づく
音楽:ルトヴィク・ミンクス
編曲:マーティン・イエーツ
美術:ティム・ハットリー
照明デザイン:ヒュー・ヴァンストーン

ドン・キホーテ:ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ(従者):フィリップ・モズリー
ロレンツォ(宿屋の主人):クリストファー・サンダース
キトリ(ロレンツォの娘)/ドゥルシネア姫:ナターリヤ・オシポワ
バジル(床屋の青年):ワディム・ムンタギロフ
ガマーシュ(裕福な貴族):トーマス・ホワイトヘッド
エスパーダ(闘牛士):ヴァレンティノ・ズッケッティ
メルセデス(街の踊り子):ベアトリス・スティックス=ブルネル
キトリの友人たち:メーガン・グレース・ヒンキス、アンナ・ローズ・オサリヴァン
ジプシー(ソリスト):ロマニー・パイダク、ルカス・ビヨンボウ・ブランズロッド
ドリアードの女王:クレア・カルヴァート
アムール(キューピッド):イザベラ・ガスパリーニ
ドゥルシネア姫(第1幕):ヘレン・クロフォード
ファンダンゴ(ソリスト):ジーナ・ストーム=ジェンセン、リース・クラーク
街人たち、闘牛士たち、ジプシーたち、森の精たち:英国ロイヤル・バレエ団 ほか

指揮:マーティン・イエーツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ギター演奏(舞台):デイヴィッド・バッキンガム、トーマス・エリス、フォーブス・ヘンダーソン、ナイジェル・ウッドハウス

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