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2019/08/18

【オペラ】まるでギガ国!新演出の「トゥーランドット」新国立劇場

 ※日本での全公演が終わってますので、ネタバレありの感想です。

 こんかいの新国立の「トゥーランドット」は新制作。
 大野和士が芸術監督になってから、伝統的な演出のオペラより、斬新な舞台が増えてきており、今回も期待できます。
 予習のため事前に、今回の演出を担当するアレックス・オリエのインタビューを読んで見たところ、斬新な演出で、結末も変えるようなことも書いてあって、さらに期待が高まります。

 幕があくと、女性が娘と「せっせっせ」みたいなことをして遊んでおり、そこに男がやってきて女性を連れ去ろうとし、娘が逃げ出すという寸劇が行われます。
 これは、第2幕第2景でトゥーランドットが、なぜ求婚者に謎を出して次々と殺していくのか説明する部分に対応しております。そこでトゥーランドットは次のように言います。幾千年も前にルー・リン姫がこの国を治めていたが、タタールの王に敗れ、姫は引き摺り出されていった。その時の叫び声と彼女の死が私の心に宿っていて、いま復讐をしているのだと。
 幾千年も前というのは昔すぎて時代が合わない気もしますが、そんな話です。ということは、連れ去られた女性がルー・リン姫なのか?
 こちらのオペラ『トゥーランドット』リハーサル映像という動画を見ると、オリエは、「台本に書いてありますが、トゥーランドットの祖母が異国の男性に乱暴、暴力を受けた」と言ってます。すると逃げ去った子供がトゥーランドットなのか。
 字幕の翻訳が間違ってるのか?ぽん太はスペイン語はわかりませんが、よく聞いて見ると、確かにabuela(祖母)と言っているようですね。
 まさかオリエの勘違い。それともオリエの読み替えでしょうか。ホントは祖母が暴力を受けたのだけれど、そのことを国民におおっぴらに言うことは恥辱なので、遠い昔の話にしていたとか……。
 まあ、いいや。

 さて、いよいよ現在の物語が始まりますが、セットがすごい。舞台の奥と、両側面が、ジグザクの階段でちょっと強迫的に埋め尽くされた壁になっていて、ちょっと近未来的な地下工場のような雰囲気。そして地面にはボロボロの衣装をまとった民衆がうごめいております。こ、これはまるで「ギガ国」ではないか!
 映画「ブレードランナー」や、「メトロポリス」も思い出します。「ブレードランナー」に関しては、演出のオリエ自身が言及しているみたいですね。
 プッチーニは、リューの自刃までの楽譜を書き上げたところで、「トゥーランドット」を完成することなく、1924年にこの世を去りました。ちなみに死因は喉頭癌です。そして残されたスケッチをもとに、未完部分をフランコ・アルファーノが補作し、1926年に初演されました。ちなみに初演の指揮はアルトゥーロ・トスカニーニ、場所はミラノ・スカラ座です。初演のまさに初日、トスカニーニは、プッチーニの作曲部分が終わったところで指揮を止め、「マエストロはここで筆を絶ちました」と言って幕を閉めたという逸話がありますが、これにはプッチーニに対する敬意だけではなく、アルファーノに対する対抗意識も含まれていたそうです。
 で、「トゥーランドット」はプッチーニ最晩年の作品ということで、音楽的にはヴァーグナーやドビュッシーや、さらにはシェーンベルクなどの影響も受けておりました。そういう意味で、音色や和音進行がとても現代的なのですが、こういう演出で聴くとそれがさらに際立って、近未来的な風景にまったく違和感がありませんでした。

 さてエンディング。これは絶対ラストに読み替えがあるぞと踏んでいたのですが、いつものストーリーのまま普通に進行。トゥーランドットが「彼の名は、愛」と歌って、あれれ、このまま終わるのかと思ったら、いきなりナイフを取り出し、リューと同じように自ら首を掻き斬って自害いたしました。

 そ、そう来たか……。

 普通はリューの死に、愛の尊さを学ぶんですが、あんたはそこを学んだんかい。リューの屍を見つめて何やら考え込んでいたけど、そんなこと考えていたの? なんか空気読めないやつ。

 ということで、トラウマとか、ラストの読み替えとかが、ズバッと成功しているようには思えなかったのですが、このあたりをどう解釈するかは、聴衆に任されている部分もあるのでしょう。でも、伝統的な演出にもちと飽きていたので、意欲的で面白い演出だと感じました。

 歌手ですが、当日初めて知ったのですが、こんかいの公演はダブルキャストでした。新国立オペラでは初めての企画ですかね。ぽん太の行った日のメンバーは下に書いてあったから、二軍か?
 でも、タイトルロールのジェニファー・ウィルソンや、カラフのデヴィッド・ポメロイは、声量もあって悪くなかったです。ちょっとウィルソンの体型が気になったけど。
 新国立では「カルメン」のミカエラ役でお馴染みの砂川涼子がリューを歌い、これも透明で清楚で素晴らしかったです。妻屋秀和のティムールは、自害したリューに語りかける場面が涙を誘いました。

 オケが今回は、大野和士が音楽監督をしているバルセロナ交響楽団。見ればちょうど来日公演をしていたのね。なるほど。新国立オペラで外国のオケが入ったのは、ぽん太が知る限り初めてでした。
 オケの出来栄えはぽん太にはわからないのですが、ラテン的な勢いのあるエネルギッシュな演奏だった気がします。

 合唱は、今回は新国立に、藤原歌劇団とびわ湖ホール声楽アンサンブルが混ざっていましたが、よくまとまっていた気がします。




オペラ夏の祭典 2019-20 Japan↔Tokyo↔World
「トゥーランドット」

ジャコモ・プッチーニ ※フランコ・アルファーノ補筆

2019年7月21日
新国立劇場オペラパレス
公式サイト

指 揮: 大野和士          
演 出: アレックス・オリエ
美 術: アルフォンス・フローレス 
衣 裳: リュック・カステーイス
照 明: ウルス・シェーネバウム
演出補 : スサナ・ゴメス
舞台監督 : 菅原多敢弘

トゥーランドット: ジェニファー・ウィルソン
カラフ : デヴィッド・ポメロイ
リュー : 砂川涼子
ティムール: 妻屋秀和
アルトゥム皇帝: 持木 弘
ピン: 森口賢二   
ポン: 糸賀修平  
パン: 秋谷直之
官吏: 成田 眞

合唱指揮 :三澤洋史
合 唱 : 新国立劇場合唱団/藤原歌劇団合唱部/びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱 : TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽 : バルセロナ交響楽団

芸術監督 : 大野和士
制作 : 新国立劇場/東京文化会館撮

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