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2019年12月の10件の記事

2019/12/31

【仏像】優美な白鳳時代の銅像・薬師寺(奈良市)

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 薬師寺は既に複数回行ってるはずだけど、なぜかぽん太のブログに書いてにゃい!
 ということで、こんかい書いてみました。


寺院名】法相宗大本山 薬師寺
【公式サイト】https://www.nara-yakushiji.com
【住所】奈良県奈良市西ノ京町457
【拝観日】2019年11月6日
【拝観】毎日拝観可。拝観料800円〜1600円(拝観の範囲によります)。
【仏像】⦿国宝 ◎重要文化財
⦿薬師三尊像 銅造 像高 薬師254.7cm、日光317.3cm、月光315.3cm 飛鳥時代後期〜奈良時代 お姿
⦿聖観世音菩薩立像 銅造 像高188.9cm 飛鳥時代後期 お姿
◎四天王像 お姿
◎弥勒三尊像 お姿

 平成21年から続けられていた東塔の大修理も終了が近づき、足場を横にずらして解体しておりました。古代と現代が入り混じったシュールな光景です。

Triad_of_yakushi_nyorai この記事の仏像の写真は、Wikipedia-薬師寺からのパブリック・ドメインのものです。

 さて、なんといっても、金堂に安置された国宝の薬師三尊像が素晴らしいです。白鳳時代(645〜710年)の銅像です。ちょっと前の飛鳥時代の法隆寺釈迦三尊像のような異形の仏さまや、宇宙人みたいな朝鮮渡来の白鳳仏とは異なり、プロポーションがとれていて、とても優美なお姿です。中尊の薬師さまもスッと背筋を伸ばした姿がさわやかで、日光・月光菩薩は、くびれた腰をひねった姿が優美で、その後の菩薩像の基本とも言えるポーズです。ガンダーラ美術の影響を受けているのでしょうか、ぽん太にはよくわかりません。
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 大講堂には、同じく白鳳時代の銅像の、重文・弥勒三尊像があります。やっぱし、国宝の薬師三尊に比べると、優美さに欠けます。
 弥勒三尊とは、中尊が弥勒如来、脇侍が向かって右が法苑菩薩、左が大妙相菩薩だそうです。興福寺の北円堂にもありますが、脇侍の雰囲気がだいぶ違いますね。
 弥勒菩薩ではなく、弥勒如来とするのは法相宗の考え方なんだそうですが、ぽん太にはよくわかりません。

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 東院堂の国宝・聖観世音菩薩像も、白鳳時代の銅像ですが、実に優美で崇高なお姿です。腰をひねらず直立不動ですが、ウエストを絞り込まずに自然でゆったりしたお姿。また、衣の流れがとても流麗です。お顔など女性っぽさはないのですが、エロスを感じます。
 東院堂にはまた、鎌倉時代の四天王も祀られておりますが、躍動感があり、非常に生き生きとした名品です。

 ぽん太は薬師寺というと、遥かむかし修学旅行の時の、お坊さんの面白おかしい解説が記憶に残っているのですが、こんかい東院堂でそれを聞くことができました。学生さんたちとのやりとりが面白かった〜。おかげで仏さまに集中できませんでした。

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2019/12/30

【仏像】白鳳から藤原時代の仏様がいっぱい・當麻寺(奈良県葛城市)

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 當麻寺を訪れてぽん太は気づきました。ここ、前に来たことがある。
 調べてみたら、2010年でした。その時の記事を読み返してみると、仏像にまったく触れてニャイ。仏像に興味がなかった頃なのね。にゃん子なんぞは今回の訪問で、受付のお坊さんに、「ここって仏像があるんですか?」などと聞く始末。
 本堂、金堂、講堂の三つの建物に、国宝を含む仏さまたちが、いっぱいおられます。


【寺院名】真言宗・浄土宗 二上山 當麻寺(たいまでら)
【公式サイト】・http://www.taimadera.org/index.html
【住所】奈良県葛城市當麻1263
【拝観日】2019年11月28日
【拝観】毎日拝観可。拝観料500円。
【仏像】⦿国宝 ◎重要文化財 ●県指定
本堂(曼荼羅堂)
 ◎十一面観音立像 弘仁時代 お姿
 ●来迎阿弥陀如来 お姿
  役行者三尊坐像 お姿
  中将姫坐像 お姿
金堂
 ⦿弥勒佛 塑像 白鳳時代 お姿
 ◎多聞天 木造 鎌倉時代 お姿
 ◎持国天 乾漆 白鳳時代 お姿
 ◎広目天 乾漆 白鳳時代 お姿
 ◎増長天 乾漆 白鳳時代 お姿
講堂
 ◎本尊阿弥陀如来 藤原時代 お姿
 ◎妙幢菩薩 弘仁時代 お姿
 ◎阿弥陀如来 藤原時代 お姿
 ◎地蔵菩薩 藤原時代  お姿
 ◎千手観音 鎌倉時代 お姿
  多聞天 藤原時代
  不動明王 藤原時代
  不動明王 木造 藤原時代
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 たくさんありすぎて、あんまりよく覚えてませんが……。
 なんといっても国宝と重文でかためた金堂の仏さまたちが見事。特に国宝の弥勒仏は白鳳時代の塑像で、どっしりとして古風な魅力をたたえるお姿。日本最古の塑像と言われております。
 その四方を固める四天王(重文)もすごい迫力です。同じ白鳳時代ですが、こちらは乾漆像で、異国風なお姿です。右奥の多聞天だけ鎌倉時代の木造ですが、この空間の中ではちょっと力不足に見えてしまいます。

 本堂(曼荼羅堂)は、国宝の巨大な曼荼羅、厨子と須弥壇が見どころですが、仏像としては重文の十一面観音さまがおられます。定朝様以前の弘仁時代の仏さまで、小鼻が張っていて、まぶたが腫れぼったいです。
 曼荼羅の横に立つ来迎阿弥陀如来は、恵心僧都の作と伝えられています。
 役行者三尊は、役行者が、前鬼・後鬼という二匹の鬼を従えた像で、ぽん太は初めて見ました。三尊というくらいですから、いい鬼なんでしょうか。Wikipedia-前鬼・後鬼によると、二匹は夫婦で、役行者の弟子だそうです。
 中将姫像は、自身が掘ったと伝えられています。仏の助けを得て、国宝の曼荼羅を一夜にして織ったと言われています。

 講堂の内部は、藤原時代の仏さまの世界。たくさんの仏様が祀られています。ぽん太は妙幢菩薩というお名前を初めて聞きましたが、ぐぐってみると地蔵菩薩の別名だそうです。この仏さまだけ弘仁時代ですね。
 

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2019/12/29

【クラシック】グイグイ押してくシモーネ・ヤングの「第九」NHK交響楽団

 今年の第九はどれにしようかな〜。やっぱり日本のオケではN響が一番なんだろうけど、ばかでかいNHKホールは嫌だしな〜。などど考えていたら、サントリーホールのN響の第九があるじゃないですか。しかも指揮者は美人のお姉さん。これにしてみよ〜っと。

 とはいえ、ラトル/ベルリンフィルの第九を聴いてしまったぽん太。そんじょそこらの演奏ではもう満足できないと思っていのですが、なかなかどうして素晴らしい演奏で、ちょっと感動しました。

 まずは、パイプオルガンの小品を何曲か。ちょっと変わった趣向だけど、クリスマスっぽくでこれはこれでいいな。目をつぶって、オルガンの響きを堪能しました。


 休憩をはさんでいよいよ第九。シモーネ・ヤングはなかなかの長身。足は細くて長いけど、胴体はぶっとくでボリュームがあるという、外人女性体型。美人指揮者というよりは、迫力あるオバサン風。最初から最後まで両腕をブンブンと振り回し続け、とってもパワフル。
 細かいニュアンスを引き出したり、各パートのバランスを整えたりという指揮ぶりではなく、オケ全体でぐいぐい押してく感じ。もちろんダナミクスや速度の変化は工夫が感じられます。
 第三楽章では、第一主題はゆっくりめのテンポで、弦楽合奏がキラキラ光る天国的に美しい演奏。一転して第二主題はちょっと速めのテンポで、ワルツのようにも聞こえる生き生きとした音楽を奏で、見事な対比をみせてくれました。
 しかしいわゆる精神性には欠けるようで、金管のファンファーレのくだりを夢から目覚めさせる神の警告のように重々しく演奏する指揮者もいますが、シモーネ・ヤングは単なる「音楽」としてあっさり流してました。このまえ聴いたゲルギエフの悲愴とは対照的ですネ。
 圧巻は、独唱と合唱による歓喜の歌の最後の合唱によるGott。ベートーヴェンの指示がデクレッシェンドだという説もあるなか、Gottの後半を思いっきりクレッシェンドしてみせました。これにはぽん太もシビれたぜ。
 ヤングの合唱の指揮ぶりがとても見事だった気がします。歌劇場で鍛えてきたせいでしょうか。

 対する東京オペラシンガーズも声量豊かで、少人数なのに声ががんがん響いてくるし、細かいニュアンスの表現などとても素晴らしかったです。

 席がオケの横だったので、独唱の歌声はあまりよくわかりませんでした。

 楽譜は、プログラムに書いてあったように、新ベーレンライター版。第二楽章の反復は一部省略でした。

 N響は、さすがにうまかったです。聴き応えがありました。日本のオケの第九で感動したのは久しぶり
。ありがとうございました。




N響第九 Special Concert

2019年12月26日(木) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

サントリーホールの公演案内

出演
   指揮:シモーネ・ヤング
   ソプラノ:マリア・ベングトソン
   メゾソプラノ:清水華澄
   テノール:ニコライ・シュコフ
   バス・バリトン:ルカ・ピサローニ
   東京オペラシンガーズ
   NHK交響楽団
   オルガン:勝山雅世
曲目
   ヘンデル:『音楽時計のための小品集』より 
    -「天使の飛行のためのヴォランタリー」 ハ長調 HWV600
    - ジーグ ハ長調 HWV589
   アルビノーニ:アダージョ (原曲:オーボエ協奏曲 ニ短調 Op.9-2-第2楽章)
   J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541
   ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱つき」

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2019/12/26

【温泉】歴史ある宿がワイナリーもオープン。中棚荘(長野県小諸市)(★★★★)

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 12月末、長野県は小諸にある中棚荘に泊まってきました。公式サイトはこちらです。
 島崎藤村ゆかりの宿。「千曲川旅情の歌」に出てくる、濁り酒にごれる飲んだ宿ですね。この時期、名物のりんご風呂も人気。
 雑木林に囲まれ、レトロな雰囲気がただよう木造の建物。温泉は自家源泉の掛け流し。無色透明の湯は、ほのかに硫黄の香りがし、アルカリ性でお肌がすべすべになります。浴室は木がふんだんに使われ、一続きになった脱衣所には畳が敷かれております。この時期はお湯にリンゴが浮かべられ、甘い香りが漂います。お食事も、郷土料理をもりこんだ会席料理。朝食の麦とろも美味しいです。
 古い伝統を守るだけでなく、新しい試みも。昨年(2018年)、ジオヒルズ・ワイナリーを新たに開設したそうです。ベトナム料理をいただけるカフェも併設。ワインも、ちょっと高めですが、美味しかったです。
 古きを守り、新しい試みも行っている歴史ある宿。ぽん太の評価は4点です。


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 小諸市は懐古園のほど近く。千曲川に臨む雑木林のなかに、旅籠の風情を残す木造の建物が見えてきます。

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 軒に吊るされた干し柿が、旅情を誘います。

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 レトロな雰囲気の館内。

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 客室は、歴史ある大正館と、アメニティの整った平成館がありますが、古い建物が好きなぽん太とにゃん子は、大正館を選択。小さな四畳間が付いた変形の客室。レトロ感満載。この真上の部屋が、島崎藤村が愛用したという藤村の間です。

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 こちらが浴室です。手前が畳敷きの脱衣所。奥が浴室で、一続きになっております。太い丸太の梁が張り巡らされ、木の香りが漂います。
 この時期は、冒頭の写真のように、お湯にリンゴが浮かべられています。他に誰も入浴していなかったので、リンゴを一ヶ所に集めたりして遊びました。
 お湯は無色透明。ほのかに硫黄の匂いが漂います。アルカリ性の美人の湯で、お肌がすべすべになります。

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 こちらが露天風呂です。左奥の赤い橋は、千曲川にかかる橋。手前には田園風景が広がりますが、団地などが目に入るのがちと残念。
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 温泉分析書です。泉温は38.2度とややぬるめ。湯量は252リットル/分と豊富で、館内の蛇口からも温泉水が出ます。pH8.6とアルカリ性で、お肌がすべすべになる美人の湯です。泉質はアルカリ性単純温泉。

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 泉温がやや低いため、循環ろ過をして加温しておりますが、加水無しの源泉掛け流し。源泉の湯量は豊富で、新鮮なお湯が保たれていると思われます。塩素系の消毒は行われているようですが、塩素臭は感じません。

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 夕食はレストランでいただきます。
 写真は大王岩魚の朴葉焼き。大王イワナは、長野県のブランド魚のひとつ(信州大王イワナ 開発ストーリー)。イワナとは思えない大きな切り身で、クセがなくて食べやすいです。
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 夕食のメニューです。食前酒は、「千曲川旅情の歌」に出てくるにごり酒。お造りには、長野県のもうひとつのブランド魚、信州サーモン。茶碗蒸しは蕎麦味です。出来立てで、一つひとつ出てきます。

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 和食ですが、せっかくなので、中棚荘のワイナリーで作ったワインをいただきました。あまりフルーティーさはなくて、辛口だけどドライという感じではなく、しっかりした重みのある味でした。和食に会うかも。
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 寝ようと思ったら、布団の中に何かが? 湯たんぽでした。懐かしいですね。おかげで朝まで暖かく眠れました。

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 朝食です。小鉢が多くてうれしいです。ご飯は、小諸の名物の麦とろです。

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 これまた中棚荘名物のヤギ君がお見送り。この時期はもうお乳が出ないそうで、ヤギのお乳は飲めませんでした。

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 中棚荘が新たにオープンしたワイナリーを尋ねました。公式サイトはこちらです。
 息子さんたちが後を継いで、新しい試みを始めているようですね。おしゃれな外観の建物の一階でワインを作っており、二階はベトナム料理もいただけるカフェになっております。
 なぜベトナム料理なのか!などは、公式サイトをご覧ください。360度景色が見渡せ、とても広々しております。
 昨日中棚荘で飲んだものはしっかり重めでしたが、ここでしか買えないレンメン・シャルドネは、フルーティーな香りがあって美味しかったです。

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2019/12/17

【仏像】国重文の三観音特別公開 當間寺西南院(奈良県葛城市)

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 奈良県は當麻寺の塔頭・西南院で、国重文の三観音が特別公開されていると聞き、行って来ました。



【寺院名】當麻寺(たいまでら)塔頭 真言宗 西南院(さいないん)
【公式サイト】・http://taimadera-sainain.or.jp/sainain.html
【住所】奈良県葛城市當麻1263
【拝観日】2019年11月27日
【拝観】三観音が公開される特別拝観は400円。通常は300円
【仏像】◎重要文化財
◎御本尊十一面観音菩薩(木造十一面観音立像) 弘仁時代 お姿1 お姿2
◎聖観音菩薩(木造聖観音立像) 弘仁時代 お姿
◎千手観音菩薩(木造千手観音立像) 藤原時代 お姿
阿弥陀如来、大黒天、地蔵菩薩、飛行役行者、馬頭観音、中将姫、文殊菩薩、弘法大師、不動明王、十二天、愛染明王、聖天(歓喜天)



 西南院は、當麻寺の本堂(曼荼羅堂)に向かって左後ろにあります。本堂は、重文の仏さまたちを収蔵するため、新しく造られた感じの建物です。

 中央に十一面観音、向かって右に聖観音、左に千手観音が祀られております。また、裏手に回ると、たくさんの様々な仏様が安置されております。

 中央の十一面観音さまが洗練されたお姿です。平安前期の作で、腰をひねったりせずに、両足を揃えてゆったりと立っています。スマートでプロポーションがいいです。こんなに足が長い仏さまは初めてかも。少しふっくらしたお顔は、平安後期の眠たそうなお顔でも、鎌倉時代の写実的なお顔でもなく、神秘的で複雑な表情を浮かべています。
 ただ、下げた右手で錫杖を持っているところがちょっと不自然で、強引に長谷寺式のお姿にした印象があるのがちょっと残念です。

 聖観音さまは、十一面観音とは作風が違っていて、ちょっとずんどうで、全体に肉感的。腰を少しひねってますが、両足はそろっています。素朴で心が和むお姿です。
 千手面観音さまは、本当に千本の手を備えた、いわゆる「真数千手」。多くの手とバランスをとるためか、体感はどっしりとしております。でも、実際に千の手を持ちながら、すっきりして優雅であるあたりは、さすが平安後期の仏像です。

 三観音の背後には、多くの仏像が安置されておりましたが、細かいところはもう忘れてしまいました。

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2019/12/16

【仏像】秘仏の薬師如来倚像は暖かみのある金銅仏・正暦寺(奈良県)

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 紅葉で有名な正暦寺の、秋の特別公開に行って来ました。秘仏の御本尊・薬師如来像がご開帳されるとのことです。あいにくの小雨模様でしたが、ちょうど紅葉の盛りで、実に見事な色合いでした。



【寺院名】菩提山真言宗) 大本山 正暦寺(しょうりゃくじ)
【公式サイト】・http://shoryakuji.jp
【住所】奈良県奈良市菩提山町157
【拝観日】2019年11月28日
【拝観】毎日拝観可。拝観料500円。
【仏像】◎重要文化財 ●県指定
◎薬師如来倚像  金銅 像高28.0cm 飛鳥〜白鳳時代 お姿
●日光月光菩薩像 平安時代 お姿
●孔雀明王 鎌倉時代 お姿
 愛染明王 室町時代
 不動明王 平成18年 上本慶舟作



 まずは国重文に指定されている、白鳳時代の金銅仏・薬師如来倚像 。正暦寺の本堂に安置される御本尊ですが、特別公開の時しかご開帳されていない秘仏です。
 普段はどう配置されているのかわかりませんが、正面手前の小さな厨子の中に収められ、厨子の戸が開けられています。その背後に、大きめの薬師如来坐像が置かれておりますが、これが普段のお前立ちというか、お後ろ立ちなのでしょうか。左右には、平安時代の日光・月光菩薩がありますが、かなり大きくて、バランスは取れておりません。後年に組み合わされたものです。

 写真で見ると、浴衣姿で下駄を履いて縁台で涼んでいるおっさんのように見えますが(罰当たりな表現で申し訳ありません、鶴亀、鶴亀)、実物を見るととてもお優しく見えます。膝をゆったりと開いたポーズは、東京の調布市の深大寺の白鳳仏(国宝)と似てますね。ちょっと素朴で、小さいせいか可愛らしさもあります。同時代の朝鮮渡来の、デフォルメされ超然とした感じの金銅仏とは異なり、和風の慈愛あふれる仏様です。

 薬師如来の脇侍として置かれている日光・月光菩薩立像は、ご本尊に比べてとても大きく、バランスが取れておりません。それもそのはず、神仏分離令によって桜井市の大御輪寺(だいごりんじ)から移されたいわゆる客仏です。有名な聖林寺の十一面観音さま(国宝)も、この時に大御輪寺から移されたものだそうです。
 どちらも両腕がなくなっているなど損傷が激しかったためか、国重文には指定されず、奈良県指定文化財です。現在は修復を終えて、痛々しさなく拝観することができます。お顔もお体もふっくらとして肉付きが良く、腰を軽くひねり、のびのびした仏さまです。

 紅葉の借景が見事な庭園のある客殿(国重文)に移動すると、孔雀明王が祀られております。お名前の通り、孔雀の上に乗った仏さまですが、とても整った装飾的なお姿で、鎌倉時代といっても室町に近いのかな、という気がします。
 「明王」でありながら、慈悲深い菩薩のお姿。wikipediaによると、元々はインドの女神・マハーマーユーリーとのこと。高野山の金剛峯寺にある快慶作の孔雀明王(国重文)が有名だそうで、これは快慶展や高野山展で拝ませていただいたことがあります。

 また、孔雀明王の隣には、室町時代の愛染明王が安置されており、護摩堂には、平成時代の不動明王坐像が、矜羯羅・制咜迦童子を従えておられます。

 それから正暦寺では古くからお酒が造られ、高い酒造技術を持っていたそうで、日本清酒発祥の地と言われているそうです。
 
 

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2019/12/15

【オペラ】「スペードの女王」ゲルギエフ/マリインスキー・オペラ

 以前の来日公演(2008年)の「イーゴリ公」では、涙を流して感動したゲルギエフ/マリインスキー ・オペラ、今回も楽しみです。

 だけど、日曜日だというのに客席には空席が目立ちました。2/3ぐらいしか入ってなかったのでは。な、なぜ? 演目がマイナーだったからか。「オネーギン」だったら満員だったのかもね。

 「スペードの女王」は、2009年のボリショイ・オペラで観たことがありますが、あまり覚えてません。前回の記事を見てみると、なんとゲルマンは、こんかいと同じウラディーミル・ガルージンだったではないか!

 読み返してみると、10年前のぽん太は、「スペードの女王」があまり気に入らなかったようです。確かにエカテリーナ2世万歳や、モーツァルトっぽい劇中劇など、ちょっと盛り込みすぎのような気もしますが、今のぽん太には、観客に対する普通のサービス精神に思えます。
 それよりも晩年のチャイコフスキーが、「狂気」を真正面から取り上げていることに感動しました。チャイコフスキーは、彼自身はモスクワ川に入水自殺を試みて精神科医の診察を受けたりと、実生活はいろいろありましたが、音楽は常に流麗で、親しみやすかったですから。
 で、ラストでゲルマンは悔い改め、一同が彼の傷ついた魂に祈りを捧げるという展開にはびっくり仰天。あゝ、チャイコフスキーは、狂っていくゲルマンに同情していたんだ。なんかここは、聴衆を喜ばすための結末ではなく、チャイコフスキー自身の気持ちが込められたいたような気がしました。

 それからこのオペラは、音楽が素晴らしい。晩年のチャイコフスキーが、持てるものすべてを注ぎ込んで作曲したように思えます。

 ゲルギエフ指揮のオケは、メリハリがあってエネルギッシュ。狂気の物語を盛り上げました。

 ガルージンのゲルマンは、鬼気迫る演技に引き込まれました。もちろん歌も素晴らしかったです。リーザを歌ったイリーナ・チュリロワも、美声で声量もあり、「ああ、悲しみで疲れ切ってしまった」には聴き惚れました。伯爵夫人のアンナ・キクナーゼは、さすがにちょっと若すぎたか。

 アレクセイ・ステパニュクの新演出は、衣装は当時のままだが、可動式の円柱と梁による洗練されたセット。しかしサンクトペテルスブルクという場所柄か、新奇性や読み替えはなくオーソドックスな演出だと思いました。
 彫刻は、オペラグラスで見て「人形」と確信していたのに、動き出したのには驚きました。
 ただ、狂言回しみたいな子供の意味がよくわかりませんでした。

 ろころで、会場で配られたガルージンの紹介のチラシには笑いました。冒頭を引用すると、
「ウラジミール・ガルジンは、専門的に関連していて優れた歌手または演奏家であると言われるアーティストのタイプではありません。これらのカテゴリは自明のことです。」
 なんか、どこかの国から送ってくるフィッシング・メールみたいです。ジャパン・アーツさん、ちゃんとロシア語の翻訳家に依頼しましょう(^_^)。



 返す返すも、こんな素晴らしい公演に空席が目立ったのが残念でした。




マリインスキー ・オペラ
歌劇「スペードの女王」(新演出)

2019年12月1日(日) 3:00p.m.~6:40p.m.
東京文化会館

特設サイト

指揮:ワレリー・ゲルギエフ(マリインスキー歌劇場芸術総監督)
管弦楽・合唱:マリインスキー歌劇場管弦楽団・合唱団音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

台本:モデスト・イリイチ・チャイコフスキー(アレクサンドル・プーシキンの同名の小説に基づく)
音楽監督:ワレリー・ゲルギエフ
演出:アレクセイ・ステパニュク
舞台美術:アレクサンドル・オルローフ
衣装:イリーナ・チェレドニコヴァ
照明:アレクサンドル・シヴァエフ
合唱指導:アンドレイ・ペトレンコ
音楽スタッフ:イリーナ・ソボレヴァ
振付:イリヤ・ウスチャンチェフ

ゲルマン:ウラディーミル・ガルージン
トムスキー伯爵:ウラディスラフ・スリムスキー
エレツキー公爵:ロマン・ブルデンコ
チェカリンスキー:アレクサンドル・トロフィモフ
スーリン:ユーリ・ウラソフ
チャプリツキー:アンドレイ・ゾーリン
ナルーモフ:ドミトリー・グリゴリエフ
伯爵夫人:アンナ・キクナーゼ
リーザ:イリーナ・チュリロワ
ポリーナ:ユリア・マトーチュキナ
マーシャ:キラ・ロギノヴァ
家庭教師:エカテリーナ・クラピヴィナ
式典長:アンドレイ・ゾーリン
プリレーパ:アンナ・デニソヴァ
児童合唱:杉並児童合唱団

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2019/12/14

【演劇】またしても戦争説教モノ『Q』NODA・MAP

 またしても戦争説教モノ。野田秀樹、どうしちゃったんだろうね。

 休憩をはさんで、一部・二部に分かれた構成。

 一部は、言葉遊びやスピーディな場面転換がふんだんに散りばめられ、ロミオとジュリエットという物語の初々しさもあいまって、昔の野田秀樹を思わせる構成。大きな紗を利用した場面転換や舞台美術も美しい。

 ってところで、休憩を挟んだ第二部で、これをどう展開するのかが楽しみとなります。三谷幸喜みたいに、ロミジュリを裏からもう一度見たら……とかになるのかしらん?

 と、ところが話は突然シベリア抑留に!またしても戦争説教モノだ〜〜。
 しかも、単調で過酷な生活をおくる抑留者の上で、支配者の頼朝が豪華なディナーを味わうという、極めて極めて極めて陳腐な手法。
 前半のような言葉遊びも、舞台美術のアイディアもなし。舞台上でいろいろやってるけど、何ら演劇的な「出来事」は無く、ぽん太は抗議の居眠りだ〜〜。
 最後は「無名戦士などと言わないて下さい、私も一人の人間です」みたいで終わるのだが、へいぼん、へいぼん。

 ぽん太は怒り心頭でしたが、いきなりスタンディング・オベーションしてる客がいっぱいいて、びっくりしました。


 冒頭の、いくつもの扉の前にベッドが並ぶセット、見た瞬間に、2009年に新国立劇場でやった、キース・ウォーナー 演出の「ワルキューレ」を思い出しました。あんまりぴったりの写真は見つからないけど、こちらのページの写真<7><8>かな〜? 舞台が救命救急になっていて、ワルキューレたちが白衣姿でベッドを動かしたりし、死んだ戦士たちを運び入れてました。
 パクリかな〜と思ってたら、途中で野戦病院の看護師が「私たちはワルキューレ」って言ってましたね。

 また、歌舞伎の「俊寛」も入ってましたね。

 役者陣は、みなうまかったです。広瀬すず、じじいのぽん太はお名前だけはお伺いしておりましたが、初めて見てとっても美人さんでした。

 音楽はクイーンの「オペラ座の夜」というアルバムから取られているとのこと。じじいのぽん太はロックは範囲外で、「ボヘミアン・ラプソディー」も見ませんでしたし、もちろん英語も聞き取れず。クイーンをも少し知ってたら、「この曲がここで来たか〜」みたいな面白さもあったのかも。ロックって、がんがんうるさいのかと思ってたら、とっても繊細なんですね。聴いて見たくなりました。

 野田秀樹が台詞のタイミングを間違えたのか、橋本さとしに「俺がまだしゃべってるんだ〜」と怒られていたのがおかしかったです。


 野田秀樹、もう見にいくのやめようかな?でも、いっちゃうんだろうな〜。
 ここまで来たら、とことん戦争で押し通して欲しいです!





NODA・MAP第23回公演
『Q』:A Night At The Kabuki inspired by A Night At The Opera

2019年12月4日14:00
東京芸術劇場 プレイハウス


作・演出:野田秀樹
音楽:QUEEN
出演
 松たか子  それからの愁里愛(じゅりえ)
 上川隆也  それからの瑯壬生(ろうみお)
 広瀬すず  源の愁里愛/愁里愛の面影
 志尊淳   平の瑯壬生/瑯壬生の面影
 橋本さとし 源義仲/法皇/源頼朝/平の虚仮威(こけおどし)
 小松和重  平の水銀(みずがね)/平の白金(しろがね)
 伊勢佳世  六波羅禿の巴(ろくはらかむろのともえ)/巴御前/尼トモエゴゼ
 羽野晶紀  源の生母(せいぼ)/平の溺愛母(ろみまま)
 野田秀樹  源の乳母
 竹中直人  平清盛/平の凡太郎

 秋山遊楽 石川詩織 浦彩恵子 織田圭祐 上村聡 川原田樹
 木山廉彬 河内大和 末冨真由 鈴木悠華 谷村実紀 松本誠
 的場祐太 モーガン茉愛羅 柳生拓哉 八幡みゆき 吉田朋弘 六川裕史

美術:堀尾幸男 
照明:服部基 
衣裳:ひびのこづえ 
美粧:柘植伊佐夫 
サウンドデザイン:原摩利彦 
音響:藤本純子 
振付:井手茂太 
映像:奥秀太郎 
舞台監督:瀬﨑将孝

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2019/12/13

【クラシック】音楽を超えたなにか・ゲルギエフの「悲愴」マリインスキー 歌劇場管弦楽団

 今回のゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団のコンサートは、オール・チャイコフスキー・プログラム。
 20代の若きチャイコフスキーの手になる初々しい「冬の日の幻想」。「白鳥の湖」「オネーギン」「ピアノ協奏曲第1番」「ヴァイオリン協奏曲」などを次々と生み出した30代に作曲された、手慣れた感じの「ロココ風の主題による変奏曲」。そして「スペードの女王」や「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」などを残した最晩年の「悲愴」。1回のコンサートで、チャイコフスキーの生涯を振り返ることができました。
 ボリュームたっぷりのプログラムで、これでC席9000円でいいの?という感じでした。

 何と言ってもお目当ては、ゲルギエフの「悲愴」。評判を聞いて楽しみにしていたのですが、期待を上回る名演でした。最後の音が消えて、ゲルギエフがゆっくりと腕を下ろして行き、観客の拍手が始まるまで、1分近くかかったんじゃないかな。終わった習慣にブラボーを叫ぶアホがいなくてよかったです。

 サントリーホールのP席で、ゲルギエフの指揮姿を真正面から見れたのですが、変な指揮ですね〜。竹串みたいな短い指揮棒をもって、両手をピラピラと小刻みに震わせ、決して脇を広げず窮屈な動き。しかも「ウッ、ウッ」としょっちゅう唸り声を上げ、たまに顔と頭を掻きむしります。
 なんか神経質というか、スマートじゃなくって、「自分に没入している芸術家」という感じ。トランス系かな?
 見ていてだんだんわかってきたけど、両手がブルブルって震えた時が「拍」なんですね。そろって「ターン」と音を出すのではなく、「ブワ〜〜ン」と弾いて欲しいのかもしれません。
 かと思うと、普通に旋律を奏でていているところで、思いっきり腕を振り下ろしたりします。
 それから、楽章の合間の休みがない。指揮棒を下ろさずにいたり、そのまますぐに続けたりします。ふだんからオペラやバレエを振っているので、休みがなくても大丈夫なのかしら?
 また、オケのメンバーが出揃ってから、指揮者が出てくるまでに間があります。なにしてるんでしょ。

 ダイナミクスが半端なく、エネルギッシュで、速度変化も多い演奏。「ゲルギエフの華麗な指揮棒さばきによる」とは思えないから、練習によって楽団員にしみついているものでしょうか。

 第一楽章の第二主題の前の静寂のタメが異様に長く、そこに静かにゆっくりと第二主題が聞こえてくるところはとても美しかったです。
 また、再現部で第二主題が出てくる直前の、慟哭を繰り返しながら鎮まっていくみたいなところ。以前に聴いた飯守泰次郎指揮の東京シティフィルで、大音量で和音を奏で、そこにゆっくりとトロンボーンの無機的なファンファーレが入り、まるでワグナーというか、さらには現代音楽のようで、ぽん太は衝撃を受けたことがあります。ゲルギエフはどう演奏するか楽しみにしていたのですが、やはりゆっくり目のテンポではありましたが、トローボーンが独特のビブラートをかけて柔らかく、感情のこもった情緒的な音楽でした。

 そして一度だけ第四楽章で鳴らされるドラ。普通は間をおかずにトロンボーンの合奏に入っていきますがが、ドラの音が小さくなって消えていくまで待っていました。お客さんも、皆、ドラの音に聞き入ります。なんかこれは、音楽の演奏会とは別の体験でした。




チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー歌劇場管弦楽団演奏会

2019年12月5日(木) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

ジャパンアーツの公演案内

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
チェロ:アレクサンドル・ブズロフ
マリインスキー歌劇場管弦楽団

チャイコフスキー:
  交響曲第1番 ト短調 Op.13 「冬の日の幻想」
  ロココの主題による変奏曲 イ長調 Op.33
  交響曲第6番 ロ短調 Op.74 「悲愴」

アンコール(チェロ)
  J.S.バッハ:無伴奏組曲 第3番より “サラバンド”


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2019/12/12

【文楽】熊谷陣屋は歌舞伎の方が面白いかな「一谷嫩軍記」2019年12月国立劇場小劇場

 12月の国立劇場文楽は、一谷嫩軍記の通しで、陣門から熊谷陣屋まで。
 文楽では、以前に陣門から組討までは観たことがあるので(2016年9月)、熊谷桜・熊谷陣屋が初めてです。

 し、しかし、熊谷陣屋に関しては、やはり文楽より歌舞伎の方が面白いかな〜。歌舞伎の工夫の、最後の花道での熊谷直実のシーンが素晴らしすぎます。
 直実が「実は傷を負ったと抱えて運び出したのが敦盛様で、そのあと須磨浦で斬ったのが小次郎だ」と、すり替えの解説をするのも、こんかい文楽で初めて聞きました。

 文楽トップレベルの人たちが出ていなかったのも、ちょっと物足りなく感じた原因かもしれません。

 太夫さんでは、織太夫の熊谷陣屋の前が、陣屋で起きる緊迫したドラマを力強く語っておりました。
 人形では、勘彌の相模が風格ある抑制した演技の中に深い心情を漂わせ、また息絶えんとする玉織姫を、簑紫郎自身がゆらりゆらりと体を揺らして好演しておりました。目の見えなくなった玉織姫が、小次郎の首を敦盛と信じて抱きながらのくどきは、涙を誘いました。



一谷嫩軍記

2019年12月
国立劇場 小劇場


陣門の段
  小次郎  咲寿太夫
  平山   小住太夫
  熊谷   亘太夫
  軍兵   碩太夫
       宗助
須磨浦の段
       希太夫
       勝平
組討の段
       睦太夫
       清友
熊谷桜の段
       芳穂太夫
       藤蔵
熊谷陣屋の段
  前    織太夫
       燕三
  後    靖太夫
       錦糸

熊谷小次郎直家(無官太夫敦盛) 一輔
平山武者所   玉翔
熊谷次郎直実  玉助
玉織姫     簑紫郎
遠見の敦盛   簑之
遠見の熊谷   和馬
妻相模     勘彌
堤軍次     玉誉
藤の局     簑二郎
梶原平次景高  紋吉
石屋弥陀六実は弥平兵衛宗清 文司
源義経     玉佳
軍兵      大ぜい
百姓      大ぜい
奴       大ぜい

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