« 【演劇】またしても戦争説教モノ『Q』NODA・MAP | トップページ | 【仏像】秘仏の薬師如来倚像は暖かみのある金銅仏・正暦寺(奈良県) »

2019/12/15

【オペラ】「スペードの女王」ゲルギエフ/マリインスキー・オペラ

 以前の来日公演(2008年)の「イーゴリ公」では、涙を流して感動したゲルギエフ/マリインスキー ・オペラ、今回も楽しみです。

 だけど、日曜日だというのに客席には空席が目立ちました。2/3ぐらいしか入ってなかったのでは。な、なぜ? 演目がマイナーだったからか。「オネーギン」だったら満員だったのかもね。

 「スペードの女王」は、2009年のボリショイ・オペラで観たことがありますが、あまり覚えてません。前回の記事を見てみると、なんとゲルマンは、こんかいと同じウラディーミル・ガルージンだったではないか!

 読み返してみると、10年前のぽん太は、「スペードの女王」があまり気に入らなかったようです。確かにエカテリーナ2世万歳や、モーツァルトっぽい劇中劇など、ちょっと盛り込みすぎのような気もしますが、今のぽん太には、観客に対する普通のサービス精神に思えます。
 それよりも晩年のチャイコフスキーが、「狂気」を真正面から取り上げていることに感動しました。チャイコフスキーは、彼自身はモスクワ川に入水自殺を試みて精神科医の診察を受けたりと、実生活はいろいろありましたが、音楽は常に流麗で、親しみやすかったですから。
 で、ラストでゲルマンは悔い改め、一同が彼の傷ついた魂に祈りを捧げるという展開にはびっくり仰天。あゝ、チャイコフスキーは、狂っていくゲルマンに同情していたんだ。なんかここは、聴衆を喜ばすための結末ではなく、チャイコフスキー自身の気持ちが込められたいたような気がしました。

 それからこのオペラは、音楽が素晴らしい。晩年のチャイコフスキーが、持てるものすべてを注ぎ込んで作曲したように思えます。

 ゲルギエフ指揮のオケは、メリハリがあってエネルギッシュ。狂気の物語を盛り上げました。

 ガルージンのゲルマンは、鬼気迫る演技に引き込まれました。もちろん歌も素晴らしかったです。リーザを歌ったイリーナ・チュリロワも、美声で声量もあり、「ああ、悲しみで疲れ切ってしまった」には聴き惚れました。伯爵夫人のアンナ・キクナーゼは、さすがにちょっと若すぎたか。

 アレクセイ・ステパニュクの新演出は、衣装は当時のままだが、可動式の円柱と梁による洗練されたセット。しかしサンクトペテルスブルクという場所柄か、新奇性や読み替えはなくオーソドックスな演出だと思いました。
 彫刻は、オペラグラスで見て「人形」と確信していたのに、動き出したのには驚きました。
 ただ、狂言回しみたいな子供の意味がよくわかりませんでした。

 ろころで、会場で配られたガルージンの紹介のチラシには笑いました。冒頭を引用すると、
「ウラジミール・ガルジンは、専門的に関連していて優れた歌手または演奏家であると言われるアーティストのタイプではありません。これらのカテゴリは自明のことです。」
 なんか、どこかの国から送ってくるフィッシング・メールみたいです。ジャパン・アーツさん、ちゃんとロシア語の翻訳家に依頼しましょう(^_^)。



 返す返すも、こんな素晴らしい公演に空席が目立ったのが残念でした。




マリインスキー ・オペラ
歌劇「スペードの女王」(新演出)

2019年12月1日(日) 3:00p.m.~6:40p.m.
東京文化会館

特設サイト

指揮:ワレリー・ゲルギエフ(マリインスキー歌劇場芸術総監督)
管弦楽・合唱:マリインスキー歌劇場管弦楽団・合唱団音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

台本:モデスト・イリイチ・チャイコフスキー(アレクサンドル・プーシキンの同名の小説に基づく)
音楽監督:ワレリー・ゲルギエフ
演出:アレクセイ・ステパニュク
舞台美術:アレクサンドル・オルローフ
衣装:イリーナ・チェレドニコヴァ
照明:アレクサンドル・シヴァエフ
合唱指導:アンドレイ・ペトレンコ
音楽スタッフ:イリーナ・ソボレヴァ
振付:イリヤ・ウスチャンチェフ

ゲルマン:ウラディーミル・ガルージン
トムスキー伯爵:ウラディスラフ・スリムスキー
エレツキー公爵:ロマン・ブルデンコ
チェカリンスキー:アレクサンドル・トロフィモフ
スーリン:ユーリ・ウラソフ
チャプリツキー:アンドレイ・ゾーリン
ナルーモフ:ドミトリー・グリゴリエフ
伯爵夫人:アンナ・キクナーゼ
リーザ:イリーナ・チュリロワ
ポリーナ:ユリア・マトーチュキナ
マーシャ:キラ・ロギノヴァ
家庭教師:エカテリーナ・クラピヴィナ
式典長:アンドレイ・ゾーリン
プリレーパ:アンナ・デニソヴァ
児童合唱:杉並児童合唱団

|

« 【演劇】またしても戦争説教モノ『Q』NODA・MAP | トップページ | 【仏像】秘仏の薬師如来倚像は暖かみのある金銅仏・正暦寺(奈良県) »

芸能・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【演劇】またしても戦争説教モノ『Q』NODA・MAP | トップページ | 【仏像】秘仏の薬師如来倚像は暖かみのある金銅仏・正暦寺(奈良県) »