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2019/12/13

【クラシック】音楽を超えたなにか・ゲルギエフの「悲愴」マリインスキー 歌劇場管弦楽団

 今回のゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団のコンサートは、オール・チャイコフスキー・プログラム。
 20代の若きチャイコフスキーの手になる初々しい「冬の日の幻想」。「白鳥の湖」「オネーギン」「ピアノ協奏曲第1番」「ヴァイオリン協奏曲」などを次々と生み出した30代に作曲された、手慣れた感じの「ロココ風の主題による変奏曲」。そして「スペードの女王」や「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」などを残した最晩年の「悲愴」。1回のコンサートで、チャイコフスキーの生涯を振り返ることができました。
 ボリュームたっぷりのプログラムで、これでC席9000円でいいの?という感じでした。

 何と言ってもお目当ては、ゲルギエフの「悲愴」。評判を聞いて楽しみにしていたのですが、期待を上回る名演でした。最後の音が消えて、ゲルギエフがゆっくりと腕を下ろして行き、観客の拍手が始まるまで、1分近くかかったんじゃないかな。終わった習慣にブラボーを叫ぶアホがいなくてよかったです。

 サントリーホールのP席で、ゲルギエフの指揮姿を真正面から見れたのですが、変な指揮ですね〜。竹串みたいな短い指揮棒をもって、両手をピラピラと小刻みに震わせ、決して脇を広げず窮屈な動き。しかも「ウッ、ウッ」としょっちゅう唸り声を上げ、たまに顔と頭を掻きむしります。
 なんか神経質というか、スマートじゃなくって、「自分に没入している芸術家」という感じ。トランス系かな?
 見ていてだんだんわかってきたけど、両手がブルブルって震えた時が「拍」なんですね。そろって「ターン」と音を出すのではなく、「ブワ〜〜ン」と弾いて欲しいのかもしれません。
 かと思うと、普通に旋律を奏でていているところで、思いっきり腕を振り下ろしたりします。
 それから、楽章の合間の休みがない。指揮棒を下ろさずにいたり、そのまますぐに続けたりします。ふだんからオペラやバレエを振っているので、休みがなくても大丈夫なのかしら?
 また、オケのメンバーが出揃ってから、指揮者が出てくるまでに間があります。なにしてるんでしょ。

 ダイナミクスが半端なく、エネルギッシュで、速度変化も多い演奏。「ゲルギエフの華麗な指揮棒さばきによる」とは思えないから、練習によって楽団員にしみついているものでしょうか。

 第一楽章の第二主題の前の静寂のタメが異様に長く、そこに静かにゆっくりと第二主題が聞こえてくるところはとても美しかったです。
 また、再現部で第二主題が出てくる直前の、慟哭を繰り返しながら鎮まっていくみたいなところ。以前に聴いた飯守泰次郎指揮の東京シティフィルで、大音量で和音を奏で、そこにゆっくりとトロンボーンの無機的なファンファーレが入り、まるでワグナーというか、さらには現代音楽のようで、ぽん太は衝撃を受けたことがあります。ゲルギエフはどう演奏するか楽しみにしていたのですが、やはりゆっくり目のテンポではありましたが、トローボーンが独特のビブラートをかけて柔らかく、感情のこもった情緒的な音楽でした。

 そして一度だけ第四楽章で鳴らされるドラ。普通は間をおかずにトロンボーンの合奏に入っていきますがが、ドラの音が小さくなって消えていくまで待っていました。お客さんも、皆、ドラの音に聞き入ります。なんかこれは、音楽の演奏会とは別の体験でした。




チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー歌劇場管弦楽団演奏会

2019年12月5日(木) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

ジャパンアーツの公演案内

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
チェロ:アレクサンドル・ブズロフ
マリインスキー歌劇場管弦楽団

チャイコフスキー:
  交響曲第1番 ト短調 Op.13 「冬の日の幻想」
  ロココの主題による変奏曲 イ長調 Op.33
  交響曲第6番 ロ短調 Op.74 「悲愴」

アンコール(チェロ)
  J.S.バッハ:無伴奏組曲 第3番より “サラバンド”


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