カテゴリー「思想・宗教」の139件の記事

2017/06/29

【仏像】もうすぐ国宝に指定される白鳳仏/深大寺(東京都調布市)

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 梅雨の晴れ間に深大寺まで、新たに国宝に指定される白鳳仏を拝観しに行ってきました。


【寺院名】天台宗別格本山 浮岳山 深大寺
【公式サイト】・http://www.jindaiji.or.jp
【住所】東京都調布市深大寺元町五丁目15番地1
【拝観】毎日可。平成30年3月31日までは拝観料は志納。
【仏像】
・銅造釈迦如来倚像(白鳳仏) 像高83.9cm 白鳳期 国宝(2017年度指定見込み)  写真

・薬師如来、弥勒菩薩、十一面観音、満功上人像、大楽大師像(開山堂)


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 本堂です。こちらに安定されている宝冠阿弥陀如来は公開しておりませんでした。

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 こちらの釈迦堂に白鳳仏さまが安置されております。ガラスが貼ってあって、2mくらいの距離からの拝観です。案内のテープがエンドレスで流れております。お賽銭箱に拝観料を志納すると、パンフレットをいただけます。これまで許可されていた写真撮影は、今年の5月から禁止となっております。

 白鳳時代の銅像と聞いて30〜40センチの小さなものとか思っておりましたが、腰掛けた姿勢で像高83.9cmと、けっこう大きなものでした。
 腰掛けた姿勢(倚坐(いざ))で、背筋はすっと伸ばし、脚は膝を少し開いてゆったりした感じです。左足より右足の膝を少し外側に開いてます。印相は施無畏与願印(せむい よがんいん)ですが、右手の中指、薬指は先が欠損しているようです。ややお腹が出てますが、全体としては均整が取れていて、お顔は鼻から眉への曲線がくっきりと延びてお、切れ長の目。平安以降の荘厳で厳粛な表情ではなく、まことにおっとりした表情です。螺髪は表現されておりません。
 衣紋の流れが装飾的で、両脛の左右から交互にのびるシワや、両足の中央に描かれたサインカーブのような曲線、腰掛けから垂れ下がった衣の一番下の、波のような襞などがとても美しいです。
 のびやかで装飾的で、威圧感のない、とても素晴らしい仏さまでした。

 両脇には、奈良の新薬師寺の香薬師像と、兵庫県の鶴林寺の聖観音立像のレプリカが置かれております。どちらもオリジナルは重要文化財の白鳳仏ですが、ぽん太は残念ながらまだ拝観したことがありません。
 鶴林寺の聖観音さまは、ウェストをキュッと絞って、ちょっと腰をひねった流麗なポーズ。香薬師さまは、直立した姿勢や、両手の形、衣紋の流れなど、深大寺の白鳳仏さまと似ており、同じ工房で作られた可能性も指摘されているそうです。
 

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 元三大師堂です。こちらの本尊は慈恵大師坐像(じえだいしざぞう)だそうですが、厨子の扉は固く閉ざされておりました。天井の龍の絵は、河鍋暁斎によるものだそうです。

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 開山堂は昭和58年に新築されたもの。

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 堂内には薬師如来と弥勒菩薩、十一面観音、深大寺を開いた満功上人、天台宗に改宗した大楽大師の5像が祀られており、扉の格子の間から見ることができます。新しく見えますが、いつ頃のものでしょうか。弥勒菩薩の光背に火炎があるのが珍しいです。

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 このトーチカっぽい洞窟が延命観音窟です。

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 岩に線彫りされた延命観音さまです。案内板によると、昭和41年に秋田県象潟港の工事のおりに、海底から引き上げられたものだそうです。

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2017/06/28

【仏像】長谷寺式十一面観音の本家/長谷寺(奈良県桜井市)

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 今年(2017年)の5月下旬、ぽん太とにゃん子は奈良の長谷寺へ。ここには高さ10mのでっかい十一面観音さまがおられます。国宝・重文に指定されている木像のなかでは日本最大です。あまりのインパクトからか、これを模して日本各地に同じような像が作られ、「長谷寺式」と称されております。
 たまたま特別拝観が行われており、普段は本堂の外から上半身を拝むことしかできないところを、本堂内に入って観音様の足に直接触れることができました。

【寺院名】真言宗豊山派総本山 豊山神楽院 長谷寺
【公式サイト】・http://www.hasedera.or.jp
【住所】奈奈良県桜井市初瀬731-1
【拝観】入山料500円。
 2017年6月30日まで特別拝観が行われており、国宝本堂の中に入り観音様の御足に触れることができます(特別拝観料1300円(入山料を含む)。
【仏像】
・本尊木造十一面観世音菩薩立像 木造 像高1,018.0cm 室町時代 重要文化財 写真1写真2

・雨宝童子立像 木造 像高116.0cm 室町時代 重要文化財
・難陀龍王立像 木造 像高167.7cm 鎌倉時代 重要文化財
・地蔵菩薩立像 木造彩色 平安時代 重要文化財
・不動明王坐像 平安時代 重要文化財
  これら4像のお写真は長谷寺公式サイトのこちらのページにあります。

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 仁王門です。

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 恒例の仁王様チェックから。均整が取れた像ですね。でも、巨大な観音様をお守りするには、ちょっと力不足かも。

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 仁王門から本堂まで、長い階段を登ります。

 途中に「宗宝蔵」という宝物館があり、お宝がこの時期は無料で公開されておりました。

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 本堂も国宝です。現存のものは慶安3年(1650年)に落慶。
 こんかいの特別拝観では、本堂の側面から内部に入っていくことができます。
 暗い廊下を歩いていくと、右側に部屋があり、でっかい足が見えます。中に入ると観音様が見上げるばかりに立っていて、四方の壁は絵で飾られております。重要文化財の仏様のおみ足を直接なでてお参りをし、そのあと仏様の周りをぐるっと一周します。
 仏様のお姿は、足元直下から見上げる形なので、あんまりよくわかりません。右手に数珠と錫杖を持ち、左手位に水瓶を持ち、蓮華台ではな四角い磐石の上に立つという、長谷寺式の特徴は確認できました。

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 上はWikipediaからパブリックドメインの写真です。
 十一面観音さまは、普通は内陣から窓越しに上半身だけを拝観します。周囲には脇侍が配されてますが、かなり遠く、双眼鏡でやっと見えるくらいの感じ。
 左右の脇侍は難陀龍王と雨宝童子。どちらもぽん太は初めてです。
 難陀龍王は頭上に龍をいただき、中国風の服装。Wikipediaによると、八大龍王のひとりであり、また千手観音の眷属の二十八部衆のひとりでもあるとのこと。雨乞いなどで拝まれるそうです。
 雨宝童子は、コトバンクによると、両部神道で、天照大神が日向に降臨された時のお姿とされ、また神仏習合の考え方から大日如来が姿を変えたものでもあるそうです。
 この2像を両脇侍とすることにどのような宗教的背景があるのか、ぽん太にはまったくわかりません。

 この他、ともに国重文の地蔵菩薩と不動明王がいらっしゃいました。不動明王は木目がとても美しかったです。

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 本堂前の舞台からの眺めは、いかにも奈良らしい雅やかな景色です。

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2017/06/26

【仏像】秘仏世継観音が28年ぶりのご開帳/永源寺(滋賀県東近江郡)

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 永源寺の秘仏の御本尊が28年ぶりにご開帳されているので、拝観してまいりました。とは言っても去年(2016年)の11月の話だよ。写真が紅葉だからわかりますか……。

【寺院名】臨済宗永源寺派大本山 瑞石山 永源寺
 ・公式サイト:http://eigenji-t.jp
【住所】滋賀県東近江市永源寺高野町41
【拝観】秘仏の本尊世継観音が、平成28年11月8日から11月27日まで、28年ぶりにご開帳されました。次回は未定です。拝観料は500円。
【仏像】
・本尊秘仏観世音菩薩(世継観音)

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 紅葉で有名な永源寺。ちょうど最盛期とあって、観光客やカメラマンで賑わっておりました。
 世継観音さまは、茅葺の本堂のなかに祀られております。

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 ご本尊のお写真は、ネットを探してもみつからなかったので、ご開帳案内の看板の写真をアップしておきます。

 像高は60cmくらいでしょうか。座って定印を結んでおります。全体として綺麗なお姿。子供のようなお顔で、口をきゅっと結んでおり、口周りの表情筋が緊張しております。

 近江守護職の佐々木満隆が子供に恵まれず、この観音さまに祈願したところ子を授かったことから、世継観音として信仰を集めることになったそうです。

 永源寺には国重要文化財の「塑造寂室和尚坐像」があるはずですが、こちらは公開されておりませんでした。

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2017/06/25

【仏像】秘仏の如意輪観音はとってもチャーミング/小谷寺(滋賀県長浜市)

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 昨年(2016年)の11月中旬、滋賀県長浜市の小谷寺(おだにじ)の秘仏・如意輪観音が公開されているということなので、お参りに行ってきました。

【寺院名】真言宗豊山派 如意輪山 小谷寺(おだにじ)
 ・公式サイトはなさそうなので、長浜・米原・奥びわ湖観光サイトにリンクしておきます。
【住所】滋賀県長浜市湖北町伊部高密照円78-0257
【拝観】11月12日の開山忌の頃の数日間公開され、間近で拝観できます。拝観料は忘れました(´-`)。
【仏像】
・金銅如意輪観音半跏思惟像 市指定 写真1写真2
・愛染明王
・馬鳴観音
・如来

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 古くは白山を改ざんした泰澄(たいちょう)上人が小谷山に建てた山岳修験道場で、のちに浅井氏の祈願寺となり、秀吉や家康にも保護された小谷寺も、いまは小さな本堂がひとつあるだけ。
 本尊の如意輪観音は長く秘仏とされ、厨子を開けると大洪水が起きると言い伝えられてきたそうですが、2010年から開山忌にあわせて年1回公開するようになったそうです。

 地元の信者さんが総出でお手伝いしているという感じで、アットホームな雰囲気。いくつかある仏像を、懐中電灯で照らしながら一つひとつ丁寧に説明して下さいます。お茶を入れてくれたり、帰りには、本堂の前のダンボールに入れてあったでっかい柚子(獅子柚子かしら?)をくれました。
 
 如意輪観音さまは金銅仏で、小さいけど造形が細かくとってもチャーミング。如意輪といっても、お姿は二臂の半跏思惟像です。体をちょっと右(向かって左)に傾け、手足の流れも柔らかです。指が長いです。お顔もバタ臭くなくて少女のようで、冠には月があしらわれています。
 像の由来はよくわからず、飛鳥時代の渡来仏とも言われていますが、時期を推定するには銅を削って年代測定する必要があるそうで、今のところは行なっていないそうです。こちらの長浜市所在指定文化財一覧(pdf)では、鎌倉後期になってますね。

 そのほかに、お市の方(信長の妹で、浅井長政の正室となり、茶々・初・江の3人の娘を産んだ人)の持仏だったという愛染明王や、廃仏毀釈で地面に埋まっていたという如来像などがありました。
 なかでも馬鳴菩薩(めみょうぼさつ)というのはぽん太は初めて聞いたものですが、馬に乗って糸巻きを持ってました。
 Wikipediaによると、馬鳴(めみょう)は古代インドの仏教僧侶。またこちらの遠藤純祐「馬鳴曼荼羅成立の背景について」(pdf)を斜め読みすると、中国の民間信仰の中で、白馬に乗った姿や、養蚕との関連が培われてきたようです。確かに日本でも諏訪や群馬などで信仰されていることがに多いようですね。

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2017/06/04

【仏像】快慶の傑作!国宝渡海文殊/安倍文殊院(奈良県桜井市)

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 5月下旬の奈良・京都の旅。ぽん太とにゃん子が次の訪れたのは安倍文殊院。ここには国宝の快慶作・渡海文殊があります。
 同時期に奈良国立博物館で快慶展が行われており、ひよっとしたらそっちにお出ましになっているのではと電話で確認したところ、自宅におられるとのこと。
 渡海文殊さまは、2014年に国立博物館で行われた「日本国宝展」で、善財童子と須菩提だけ観たことがあるのですが、全体を拝観するのは今回が初めて。とっても楽しみです。

【寺院名】華厳宗 安倍山 文殊院(安倍文殊院)
 ・公式サイト
【住所】奈良県桜井市阿部645
【拝観】拝観料700円(お抹茶・菓子付き)。
【仏像】
・木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像(渡海文殊) 鎌倉時代 国宝
  文殊菩薩、善財童子、優填王、須菩提(仏陀波利三蔵) 鎌倉時代 快慶作
  維摩居士(最勝老人) 江戸時代 慶長12年(1607年)補作
・釈迦三尊像 室町時代
【写真】安倍文殊院の公式サイトで、それぞれの仏像のきれいな写真を見ることができます。

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 拝観料を払って中に入ると、まず小部屋に通され、抹茶のサービスがあります。お手前をいただきながら、はやる心を鎮めます。

 本堂に入ると、いらっしゃいました!ちょっと遠い?でも、思わず「をゝ〜〜っ」と声が出てしまいます。神々しいです。迫力があります。
 手前に椅子が並んでて、お坊さんが拝むところ(名称不明)があって、その奥に階段があり、さらにその奥に渡海文殊が祀られているという仕組みで、かなり遠いのですが、椅子に座って見上げると、中央の獅子に乗った文殊菩薩は光背まで入れた総高が7メートル。4人の眷属も間隔をあけて広々と配置されており、この群像は圧倒的な迫力があります。

 お坊さんと一緒にお経をあげたあと、簡単な解説をしてくださいます。その後は自由に階段を登って、像のかなり近くまで行って拝観することができます。

 文殊菩薩さまは、左足を下におろした半跏踏み下げ座で、獅子の上に乗ってます。若々しく精悍で、力がみなぎり、文殊菩薩らしく利発な表情。
 ぐぐってみると、経典に「童子相」とあることによる、とあちこちに書かれてますが、コピペつながりのようで、どの経典か書いてあるサイトは見つかりませんでした。
 右手に持った剣と左手に持った蓮が、逆ハの字に開いているあたりがシャープでかっこいいです。
 乗っている獅子は、安土桃山時代の補作だそうです。ちょっと斜め下を向いていて、「ぶわ〜〜っ」とか鳴きそうでいい感じですが、全体のバランスを考えるとちょっとデカすぎる気もします。派手さや躍動感よりも、繊細でまとまった表現を好んだ快慶には、ちょっとそぐわない気もします。でも、現在のお姿に力強さがあることは間違いありません。
 拝むようなしぐさと、あどけない表情が魅力の善財童子(ぜんざいどうじ)と、がりがりのお爺さん須菩提は、上述の通り以前に拝観いたしました。
 ちなみに通常、渡海文殊の脇侍は、善財童子、優填王、仏陀波利三蔵、最勝老人の4人ですが、安倍文殊院では仏陀波利三蔵が須菩提、最勝老人が維摩居士と呼ばれています。
 優填王は堂々たる体格で、獅子のロープを掴んでおります。候補の維摩居士は、仙人風のご老人。
 5人揃ってそのままアニメの主人公になりそうなほどキャラが立ってます。

 奥の部屋には、釈迦三尊像が祀られて降りました。室町時代の作で、明治の神仏分離のおりに、多武峯妙楽寺(現在の談山神社)から移されたものだそうです。
 転法輪印(説法印)を結んでおられますが、光背に飛天が待っていたりして、脇侍も文殊・普賢っぽくないし、ひょっとしたら阿弥陀三尊さまではないかいなどと、ちょっと謎が残る仏様でした。

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2017/06/03

【仏像】優しさと厳しさを備えた国宝十一面観音/聖林寺(奈良県桜井市)

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 5月下旬、ぽん太とにゃん子は奈良県は桜井市の聖林寺を再訪いたしました。ここには日本に7体しかない国宝の十一面観音さまの、一体ががいらっしゃいます。実は以前に一度訪れたことがあるのですが、その頃は仏像に特に興味がなかったので、何の記憶も残ってないのが狸脳の悲しいところ……。(上の写真は聖林寺 - Wikipediaからのパブリックドメインのものです)。


【寺院名】真言宗室生寺派 霊園山(りょうおんざん) 聖林寺
【住所】奈良県桜井市下692
【拝観】拝観料400円。年中無休。
【仏像】
・木心乾漆十一面観音立像 木心乾漆 像高209.1cm 国宝
  写真:聖林寺(公式ホームページ)
・子安延命地蔵菩薩 石像彩色 江戸時代
  写真:聖林寺(公式ホームページ)
・掌悪童子
・掌善童子
・如来荒神像

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 奈良の南部の桜井市の小高い丘の上にある聖林寺。お寺からは奈良盆地を遠望することができます。

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 本堂のどでかい地蔵菩薩にとりあえず参拝し、まずは国宝の十一面観音さまの拝観へ。ちょっと階段を登ったところにあるお堂に安置されております。

 鉄製の扉をあけて中に入ると、ガラスケースの中に見上げる感じで十一面観音さまがいらっしゃるのですが、眩いばかりの神々しさです。さすが国宝!オーラが違います。
 腰をひねったりなどと媚をうらず、ゆったりと直立。お腹をわずかに前に突き出し、肩を少しそびやかしておられます。はれぼったい感じの目で、上唇をちょっと上に上げ、う〜ん?という感じの表情です。胸のあたりはふっくらしてますが、ウェストはキュッと締まってます。指先はとっても優美。衣紋も美しく、裾のあたりは翻波式になっております。優美でありながらも厳粛さを感じさせる、素晴らしい仏様です。
 この仏様は、元々は三輪明神の神宮寺だった大御輪寺の本尊でしたが、幕末・明治の廃仏毀釈の流れのなか、大八車に乗せてこのお寺に避難したんだそうです。そのため、仏様に関する書類は全部失われてしまい、これまでどのように祀られてきたかも、もうわからないそうです。
 そう聞いてもう一度仏様のお顔をながめると、慈愛だけでなく、悲しみや厳しさが感じられます。

 この仏さまは秘仏でしたが、明治20年(1887年)にその禁を解いたフェノロサは、その美しさを絶賛したそうです。そして明治30年に、旧国宝に指定されました。また和辻哲郎も『古寺巡礼』(大正8年・1919年)のなかで多くのページをさいてこの像をほめ讃えております。
 昭和25年(1950年)に文化財保護法が施行されましたが、地方では、制作年代や来歴が不明な多くの旧国宝の仏さまが、重要文化財に格下げになりました。やはり制作年代も来歴もわからない聖林寺の十一面観音が、新制度でも国宝のままだったのは、そのたぐいまれな美しさ故なのか、それとも当時の文部省がフェノロサや和辻哲郎のご威光を忖度した結果なのか、ぽん太にはわかりませんhappy01

 さて、本堂に戻って、ご本尊の子安延命地蔵を参拝。これはどでかくて江戸っぽいです。坐像ですが、左手に宝珠、右手に錫杖を持ったいつものお姿。両側には二体の童子がおります。矜羯羅童子と制多迦童子かと思ったら、掌悪童子と掌善童子とのこと。これはぽん太は初耳です。
 あとでぐぐってみると、地蔵菩薩が、掌悪童子と掌善童子を伴ったものを「地蔵三尊」というそうで、日本で作られた偽経の『延命地蔵菩薩経』に書かれているそうです。

 如来荒神像も、ぽん太は初めて。六臂ですが、白いお顔で、表情は怒ってません。
 荒神 - Wikipediaを見てみると、荒神は日本の民間信仰として台所で祀られる神様だそうで、その来歴ははっきりしないそうです。
 中国で作られた偽経の『无障礙経』(むしょうげきょう)のなかで、三宝荒神が説かれており、それは如来荒神(にょらいこうじん)、麁乱荒神(そらんこうじん)、忿怒荒神(ふんぬこうじん)の三神を指すそうです。

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2017/06/01

【仏像】よみうりランドにある重要文化財の妙見菩薩と聖観音(東京都稲城市)

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 新聞販売店の景品でよみうりランドの入場券が当たったので、仏像を見に行ってきました。以前に妙見菩薩は見に行ったことがあるのですが、もう一つの聖観世音菩薩像は見逃してました。

【寺院?名】よみうりランド 聖地公園
 ・公式サイト
【住所】東京都稲城市 矢野口4015-1
【拝観】入園料1800円。毎日可。
【仏像】
・木造妙見菩薩立像 鎌倉後期(正安3年、1301年) 重要文化財
  写真:古寺巡礼紅の翼
・木造聖観音立像 桧 一木造 平安前期 重要文化財
・十一面観音立像(?)


 新たにできたモノ作りを体験できるアトラクションエリア「グッジョバ」が早くも人気のよみうりランド。しかし別の一角にある仏教エリア「聖地公園」を知る人は多くありません。正門を入ったら左手に進み、慶友病院の横を通り過ぎて奥へ奥へと進むと、丘の上に白いパゴダが見えて来ます。ここが聖地公園です。
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 まずは妙見堂に、妙見様に再会しに行きました。最初に来た時はおでかけでしたが……。

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 今回はいらっしゃいました。でも、柵があってよく見えないのは相変わらず。よみうりランド様、改善をお願いいたします。 もっとはっきりとお姿を見たい方は、上にリンクしたサイトに大きな写真があるので、ご覧ください。
 菩薩でありながら甲冑を身につけ、なにやら腹に一物ありそうな上目遣いの目。ピースサインのような剣印。美豆良(みずら)と呼ばれる古風な髪型。なんとも不思議な菩薩さまです。
 この仏様は、本田不二雄が『ミステリーな仏像』の表紙として取り上げており、ヘッドホンしながらピースする仏像として紹介しています。

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 お次は初めてお会いする聖観世音菩薩さまです。妙見堂から少し下ったところにあるお堂の中に、いらっしゃいます。

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 お堂の中の様子です。中央に聖観音菩薩さま、向かって左には十一面観音(?)、右には金属製の皿のようなものが置かれております。

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 聖観音さまです。これはなかなか素晴らしい本格的な仏様ですね〜。顔から胸、腰とふくよかなお姿で、ちょっと腰をひねって、右ひざを少し曲げたあたり、ゆったりとした感じがあります。
 お顔は冒頭の写真のように、穏やかな笑みを浮かべてらっしゃいます。髷を三段に結っているのがちょっと珍しいです。髪飾りが両肩に垂れております。もともと素木像だったのか、彩色が剥げたのか、ぽん太にはわかりませんが、お顔の木目もとっても美しいです。
 案内板によると、元々は京都府の長岡京市の楊谷寺にありましたが、東京渋谷の観音禅寺に移り、そこからよみうりランドに来たんたそうです。

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 衣紋の流れは写実的で流麗、深い襞と浅い襞が交互に刻まれる翻波式です。両手の親指と中指で、阿弥陀如来のように輪を作っているのも珍しいです。

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 向かって左は十一面観音ですが、解説もなく身元不明。ホームページで多宝塔の中に安置されていると書かれているものかもしれません。それによると、鎌倉時代作の桧材の一木造で、高野山本願寺の本尊でもあったもので、苅萱観音と呼ばれているとのこと。
 隣の竹(?)もよくわかりません。

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 ご覧の通り、多宝塔の内部には、聖髪と仏舎利はありますが、十一面観音はありませんので。


 入場券には、乗り物一回券がついてました。何に乗りたいかにゃん子に聞いたら、ジェットコースターのバンデットとのこと。ぽん太は、研修医の頃に病院のレクで乗って以来、30年数年ぶりです。メガネは落ちそうになるし、足を踏ん張ったせいで膝が痛くなるし、さんざんでした。気分が悪くならなくてよかったですけど。体がもつかどうかという、若い頃と違ったスリルを楽しむことができるジェットコースターでした。

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2017/05/29

【仏像】アンバランスな釈迦如来と美仏の薬師如来/若狭国分寺(福井県小浜市)

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 2016年11月中旬、小浜市の仏像の旅。この若狭国分寺で「若狭國小浜国宝めぐり」の印譜(スランプラリー)全8ヶ所、コンプリートです。記念品として、仏像の写真のしおり(だったと思いますが、見つからない)をいただきました。


【寺院名】曹洞宗 護国山 若狭国分寺
【住所】福井県小浜市国分寺53-1
【拝観】拝観料400円。毎日拝観可だったと思います。
【仏像】
・木造薬師如来坐像 寄木造 像高79.7cm 13世紀 重要文化財
  写真・若狭小浜観光協会
     ・若狭小浜のデジタル文化財
・木造釈迦如来坐像 寄木造 像高318cm 体部14世紀、頭部17世紀 市指定
  写真・若狭小浜のデジタル文化財
・木造釈迦如来坐像 桧 像高85.7cm 鎌倉前期 市指定
  写真・若狭小浜のデジタル文化財
・木造阿弥陀如来坐像 桧 像高86cm 鎌倉前期 市指定
  写真・若狭小浜のデジタル文化財


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 この若狭国分寺は、奈良時代に聖武天皇が国ごとに設置した国分寺のひとつ。かつては壮大な伽藍を誇ったそうです。

 写真は本堂(釈迦堂)です。内部には丈六の釈迦如来坐像が祀られ、国分寺の大仏と言われております。像高3メートル以上で、とにかくでかいです。そうして、顔がさらに長くてでかい。
 印相は施無畏与願印。胸の肉付きがでっぷりしていてお相撲さんみたいです。衣紋の彫りなどはシャープで美しいです。顔はでかくて荘厳。アンバランスですが、迫力があります。
 光背の光線(?)もなんだかぶっといです。七つの化仏があります。七仏薬師か?いや、お釈迦様だよね。ぽん太にはよくわかりません。

 聖武天皇は、各地の国分寺に丈六釈迦像を祀るよう命じました。でもこの仏像は鎌倉時代に造られたものだそうで、さらに修復が重ねられ、頭部は江戸時代と言われております。

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 こちらは薬師堂で、なかには国重文の薬師如来さまがいらっしゃいます。こちらは大仏さまと違って美仏! すっきりしていて、衣紋の流れなどもシャープ。それでいて、胸から腹の肉付きなどは写実的に表現されております。とってもモダンな仏様です。

 両脇に釈迦如来と阿弥陀如来がありますが、網の中にあり、お姿はよく見えませんでした。リンク先の写真でご覧ください。

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2017/05/28

【仏像】ちょっと昔風の阿弥陀如来/萬徳寺(福井県小浜市)

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 2016年11月中旬、小浜仏像の旅。続いて萬徳寺です。


【寺院名】高野山真言宗 延宝山 萬徳寺
【住所】福井県小浜市金屋74-23
【拝観】拝観料400円。毎日可。
【仏像】
・木造阿弥陀如来坐像 桧 寄木造 像高141.5cm 平安後期 重要文化財
  写真・若狭おばま観光協会
     ・若狭小浜のデジタル文化財


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 まずは書院があります。茅葺の屋根が好ましいです。

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 書院の前には美しい庭園があります。萬徳寺は庭園でも有名で、国の名勝に指定されております。延宝5年(1677年)に小浜藩主酒井氏の命によって造られたそうです。
 大山モミジが天然記念物だそうですが、どれだかぽん太にはわかりません。右の塊の左の方だと思うのですが……。

Img_3587 庭園の奥から石段を登ったところに、本堂があります。本堂にはお目当の重文の阿弥陀如来さまがおられます。


 youtubeに動画がアップされておりました。
 ご本尊の阿弥陀如来さまは素地仏で、穏やかな表情。丸顔で唇が小さく、ちょっと人間っぽい親しみがある表情に思えます。胸の肉などはデフォルメされていて、様式的な感じ。平安後期の作とのことですが、衣紋が翻波式になっていたり、衣の裾が台座に垂れているなど、古風な味わいがあります。
 
 両脇に、大日如来(向かって右)と、阿弥陀如来(左)が安置されておりました。お姿は……ちょっと忘れてしまいました。

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2017/05/27

【仏像】素朴なご本尊と美物の前立ち、二つの薬師如来/若狭神宮寺(福井県小浜市)

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 2016年11月中旬の小浜仏像の旅。続いて若狭神宮寺です。
 こちらには室町時代に作られた重要文化財の木造男神・女神坐像がありますが、残念ながら秘仏で参拝はできませんでした。


【寺院名】天台宗 霊応山 若狭神宮寺
  公式サイトはなさそうなので、若狭おばま観光協会のサイトにリンクしておきます。
【住所】福福井県小浜市神宮寺30-4
【拝観】拝観料400円。事前連絡が望ましいです。
【仏像】
・木造男神・女神坐像(秘仏につき拝観できず) 鎌倉初期 重要文化財
・薬師如来 藤原末期
  写真:ノンさんのテラビスト...ストイックに仏像...
・薬師如来
  写真:若狭おばま観光協会ト
・日光菩薩、月光菩薩 藤原末期
・十二神将 鎌倉初期
・十一面千手観音 伝奈良期
・不動明王 平安末期
・多聞天王 平安末期
  内陣全体のお写真はこちら:letuce's room


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 こちらが重要文化財の本堂です。室町時代の天文22年(1553年)に再建されたものだそうです。
 神宮寺は神仏習合が残っている寺院で、参拝の時には柏手を打つそうです。また東大寺二月堂への「お水送り」の儀式が行われる寺だそうです。

 門徒(氏子?)の人が、丁寧な説明をしてくれました。内陣まで入って拝観させていただけるのですが、門徒さんは「内陣に入るのは恐れ多くてちょっと緊張する」とおっしゃってました。

 本堂の正面に祀られた薬師如来さまは、長く秘仏だったそうです。けっこう大きいです。丸顔で二重アゴ、下顎は小さいというか丸く膨れてます。ちょっと素朴で、温かみのある仏様です。

 向かって一番右にも薬師如来さまがいらっしゃいますが、こちらはなかなかの美物です。ご本尊の前立ちをされていたのでしょうか。

 さて、薬師如来の両脇侍の日光・月光菩薩、けっこうおっきい十二神将が、ご本尊のまわりにぎっしり並んでおり、ちょっと窮屈。日光・月光菩薩は黒いです。十二神将は躍動感あるお姿ですが、顔はデフォルメ系。

 向かって左には、十一面千手観音と多聞天、不動明王。

 ご本尊の向かって右には掛け軸が三幅かかっておりますが、神様の名前が書かれており、これもまた神仏習合の現れのようです。

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