カテゴリー「芸能・芸術」の720件の記事

2018/12/14

【文楽】2018年12月国立劇場「鎌倉三代記」「伊達娘恋緋鹿子」

 12月の文楽、最初は「鎌倉三代記」から七段目の絹川村の場面。ぽん太は3年前に観たことがあります。
 米洗いの段は、何にもできない時姫がたどたどしく家事をするのを見るに観かねた近所のオバサンが、片肌脱いで片乳丸出しににしながら、威勢良く手伝ってあげるという滑稽な場面。
 三浦之助母別れの段になってからぐっとシリアスになってきますが、話が重すぎてちょっと感情移入しにくい。三浦の助が時姫に対し、自分の妻となったからには、敵である時姫の父の北条時政を刺し殺すように命じるんですもん。あんなウブな時姫ちゃんに、そんなひどいことをさせるなんて……。三浦の助がやなやつに思えてきます。
 そのあとの高綱物語は、すんごい迫力だけど、ちょっと長くてダレてきます。しかも高綱は高綱で、戦友である三浦之助の首を撃って北条時政に差し出し、信頼を得た上で復讐のチャンスを狙うなどと言い出します。
 戦国って残酷!「鎌倉三代記」の考え方には、ぽん太はちょっとついていけません。
 しかし、時姫ちゃんは可愛かったし、姿を現してからの佐々木高綱は大きくてかっこよかったです。
 文字久太夫が三浦之助と母の別れを切々と語り、織太夫は大迫力の熱演でした。
 人形遣いでは母の和生が流石の風格。玉志の高綱も大きかったです。


 続いて「伊達娘恋緋鹿子」。いわゆる「八百屋お七」ですね。文楽で観るのは初めてです。火の見櫓の段は、歌舞伎でやるときも「人形振り」で演じられるので、本家の文楽で観るのを楽しみにしておりました。
 ん〜、だけど実際に観ると、歌舞伎の方がいいかな?
 迫力ある4本の太棹にのせた4人の太夫さんの唄をバックに人形を遣うのですが、首をぶんぶん振るばっかりで、火の見櫓に登って半鐘を叩こうと思うけど、禁を破ることへのためらいがあったり、かじかんだ手が凍てついた梯子をつかみそこねて滑り落ちて、ああもどかしい、みたいな気持ちが表現されませんでした。むしろ梯子を登るところの仕掛けに目が行ってしまったりしました。

12月文楽公演公演

2018年12月12日
国立劇場小劇場

公演案内 - 日本芸術文化振興会ト


「鎌倉三代記(かまくらさんだいき)」

局使者の段
  希太夫
  清介
米洗いの段
  靖太夫
  錦糸
三浦之助母別れの段
  文字久太夫
  藤蔵
高綱物語の段
  織太夫
  清馗

三浦之助母・和生
女房おらち・簑一郎
女房おくる・紋臣
讃岐の局・紋秀
阿波の局・紋吉
北条時姫・勘彌
安達藤三郎実は佐々木高綱・玉志
三浦之助・玉助
富田六郎・文哉


「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」

八百屋内の段
  津駒太夫
  宗助
火の見櫓の段
  芳穂太夫
  南都太夫
  亘太夫
  碩太夫
  勝平
  清公
  錦吾
  燕二郎

小姓吉三郎・玉勢
下女お杉・簑紫郎
娘お七・一輔
親久兵衛・勘市
久兵衛女房・亀次
丁稚弥作・玉翔
武兵衛・勘介
太左衛門・玉路

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2018/12/13

【コンサート】 こりゃ気持ちいいわい。「古澤巌×ベルリン・フィルハーモニー ヴィルトゥオージのクリスマス2018」

 クリスマスも近いということで、タヌキのぽん太にしてはちょっとオシャレなコンサートに行ってきました。

 古澤巌さんのヴァイオリンは初めて聴きました。葉加瀬太郎ほど暑苦しくなく、高嶋ちさ子ほど性格がきつそうでもなく、ホンワカして優しそうな、いいオジさん風の人ですが、奏でる音はなかなかのものでした。
 ベルリン・フィルハーモニー ヴィルトゥオージは、ベルリンフィルのメンバーによる室内アンサンブルだそうで、今回は弦楽五重奏で登場。こちらもさすがに素晴らしかったですが、特に感心したのは第1ヴァイオリンのラウレンティウス・ディンカさん。感情を顔に出さず淡々と弾いてるのですが、弓の動かし方などがとても正確で、最小限の動きで多彩な音を引き出します。激しいアタックからすすり泣くようなメロディーまで変幻自在。基本的な音色も暖かいです。とても魅了されました。
 
 Call Me Francis SuiteとSymphony No.2 III,Adagioはベルリン・フィルハーモニー ヴィルトゥオージのみの演奏で、他は古澤巌さんが独奏ヴァイオリンとして加わりました。

 曲はRobert Di Marino(ロベルト・ディ・マリーノ)という人の曲・編曲がほとんどのようでした。イタリア人の作曲家だそうで、会場にお見えになっていて、古澤さんがマイクで紹介してました。タンゴ風の曲や、ちょっとマイケル・ナイマンっぽいミニマル風のもあったりして、なかなか良かったです。メロディーラインやコード進行は聞きやすいですが、音楽としてはけっこう高度で、テクニックも必要な感じで、イージーリスニングのように退屈することはまったくありませんでした。

 客層も、普段ぽん太が行くコンサートや舞台とは全く違い、ちょっと優しそうな奥様方という感じでした。こういう世界もあるんだな〜と思いました。


古澤 巌 × ベルリン・フィルハーモニー ヴィルトゥオージのクリスマス

2018年12月9日
東京オペラシティー コンサートホール

公式サイト

[出演]
古澤 巌(Vn)
ベルリンフィルハーモニー ヴィルトゥオージ
  ラウレンティウス・ディンカ Laurentius Dinca(Violin)
  ステファン・シュルツ Stephan Schulze(Violin)
  イグナツィ・ミエチニコフスキ Ignacy Miecznikowski(Viola)
  クリストフ・イゲルブリンク Christoph Igelbrink(Cello)
  スタニスラフ・パヤック Stanislaw Pajak(Contrabass)

[曲目]
Call Me Francis Suite 映画『ローマ法王になる日まで』より Arturo Cardelus
Capriccio Espagnol スペイン奇想曲より Rimsky-Korsakov
Siciliana(シチリアーナ) Robert Di Marino
Fire and Flowers(ファイア・アンド・フラワーズ) Robert Di Marino
limpida 〜for ARSOA〜 Robert Di Marino
マリーノのコンツェルト 第4番 I、II Robert Di Marino

Symphony No.2 III,Adagio(交響曲第2番第3楽章) Rachmaninov
Baccanale オペラ「サムソンとデリラ」(Samson et Dalila)より Saint-Saens
Dance Macabre(交響詩「死の舞踏」作品40) Saint-Saens
マリーノのコンツェルト 第2番 I、II、III Robert Di Marino

アンコール
 Mr.Lonely Bobby Vinton
 The Christmas Song Mel Tormé

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2018/12/12

【バレエ】おっとり優雅でハッピーエンド「白鳥の湖」マリインスキー・バレエ

 マリインスキー の白鳥、今回はテリョーシキナです。
 ぽん太が前回テリョーシキナの白鳥全幕を観たのは2009年。あの頃はまだ若手売り出し中みたいな感じで、白鳥よりも、ピチピチした黒鳥の方があってました。
 しかしあれから9年、久々に観たテリョーシキナはすっかり風格がでていて、白鳥のウルウル感も良ければ、黒鳥の妖艶な表情も素晴らしく、崇高な雰囲気さえ漂ってました。
 あいかわらず体の隅々まで神経が行き届いた動きで、柔軟性も抜群。しかし何よりも今回印象に残ったのは、さまざまに変化する表情で、踊りにも心の動きが感じられました。
 32回転もトリプルを入れた高速回転で、後半は前に移動しながら。お見事でした。

 ジークフリートのシクリャローフは、要所ようしょのジャンプも高く、体の線も美しく、立派な王子様。
 道化は当日変更でラマンベク・ベイシェナリエフが踊りました。なんか小柄で子供みたいな感じ。ジャンプや回転は良かったけど、ちょっとした仕草や動きが、まだ美しくないです。一度コケそうになったけどセーフ。今後に期待。
 パ・ド・トロワでは、マリア・ホーレワの柔らか〜い踊りが素晴らしかったです。あれ、この人って、ドンキで森の精を踊ってた人か。
 民族舞踊ではスペインが迫力あったかな?

 マリインスキー の白鳥は、おっとりしていて、道化もいるし、最後もハッピーエンドだし、ぽん太は好きです。長身細身でスタイルのいいコールドを見ているだけで気持ちよくなります。
 
 ガヴリエル・ハイネの指揮はエネルギッシュで、ところどころ超高速でした。からだ全体を使った熱の入った指揮で、細かくテンポを変えたりして、「踊りの伴奏」を超えた名演だった気がします。オケも本気になってた感じで、カーテンコールで楽団員から拍手を受けてました。席が1回の横通路のすぐ後ろだったんですが、この場所ってオケの音がとってもよく聞こえますね。


マリインスキー・バレエ 
≪白鳥の湖≫

東京文化会館
2018年12月6日

公式サイト

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ,レフ・イワノフ(1895年)
改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ(1950年)
台本:ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
舞台装置デザイン:イーゴリ・イワノフ
衣裳デザイン:ガリーナ・ソロヴィヨーワ
指揮:ガヴリエル・ハイネ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

オデット/オディール:ヴィクトリア・テリョーシキナ
ジークフリート王子:ウラジーミル・シクリャローフ
王妃 (王子の母):イリーナ・プロコフィエワ
王子の家庭教師:ワシーリー・シチェルバコフ
道化:ラマンベク・ベイシェナリエフ
悪魔ロットバルト:ローマン・ベリャコフ

王子の友人たち:マリア・ホーレワ
        シャマーラ・グセイノワ
        フィリップ・スチョーピン
小さい白鳥:タマーラ・ギマディエワ
      アナスタシア・アサベン
      スヴェトラーナ・イワーノワ
      スヴェトラーナ・ルースキフ
大きい白鳥:マリア・イリューシュキナ
      ユリアナ・チェレシケヴィチ
      ズラータ・ヤリニチ
      エカテリーナ・イワンニコワ
2羽の白鳥:ヤナ・セーリナ
      アナスタシア・ニキーチナ
スペインの踊り:アナスタシア・ヤロメンコ
        アレクサンドラ・ポポワ
        アレクサンドル・ベロボロドフ
        アンドレイ・ソロヴィヨフ
ナポリの踊り:タマーラ・ギマディエワ
       ヴャチェスラフ・グネーシク
ハンガリーの踊り:アリーナ・クラソフスカヤ
         ロマン・マリシェフ
マズルカ:クセーニャ・ドゥブローヴィナ
     オリガ・ベリク
     ユリア・コブツァール
     マリア・シュヴャコワ
     アルチョム・ケラーマン
     ドミトリー・プィハチョフ
     エフゲニー・ジェリャービン
     マキシム・ペトロフ

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2018/12/05

【バレエ】シャキロワのグラン・フェッテは驚異的!「ドン・キホーテ」マリインスキー・バレエ

 キトリちゃん役のレナータ・シャキロワを観るのは、たぶんぽん太は初めてでした。
 背はそんなに高くなくて、クリクリっとした体型で、ちょっとマリインスキーでは異質なプロポーション。でも、元気一杯のキトリちゃんでいいな〜などと思って見ていたら、回転系がすごかった。
 まず、並んだ闘牛士が布をフリフリする前をピルエットしながら進んでいくところで、その高速回転にびっくり。
 極め付けは第3幕のグラン・フェッテ。オケが早いスピードで演奏を始めたので、「こりゃ全部シングルのパターンかな〜」と思っていたら、ドゥーブルをばんばん入れてきました。しかも扇を開いて腰のあたりに置いて回ったり、頭上に掲げたりで、まさにザギトワ状態。あげくのはてにトリプルまで入れてました。観客も大興奮。いや〜すごかった。
 足を後ろに上げるポーズがとても美しく、印象に残りました

 バジルのアスケロフは足が長いすね〜。安定した素晴らしい踊りでシャキロワを支えてました。最初の片手リフトが短かったので「あれ、こんなもん?」と思ってたら、2回目で長々と支えておりました。シャキロワちゃんもタンバリンをフリフリしてアピールしてました。

 エスパーダのローマン・ベリャコフはちょっと色男風。闘牛士の布を力一杯振ってました。メルセデスのアリーナ・クラソフスカヤも雰囲気がありました。街の踊り子がコンダウーロワという大御馳走。キューピッドのタマーラ・ギマディエワはちょっと硬く感じましたが、森の精の女王のマリア・ホーレワは柔らかく優雅で、まさに妖精。
 石井久美子さんもロシア人に見劣りしない素晴らしい踊りでした。

 マリインスキーのドンキ全幕は初めてでしたが、マリインスキーらしく、テクニックに走りすぎずに楽しく優雅な演出。第1幕の冒頭の踊りでも、バジルがギターを弾きながらあちこちの女の子に声をかけるので、キトリちゃんは扇でキスをブロック!ついにはギターを取り上げてしまいます。代わりに扇を受け取ったバジルは、最初は「なんだいこんなもの」という仕草を見せますが、しまいには扇で隠しながらキトリちゃんに念願のキス!こういったストーリーが踊りに自然に組み込まれていて、見ていて楽しいです。
 衣装も雑多で洗練されすぎずに美しかったです。なんか知らない曲がいっぱいあった気もするが、よくわかりません。サンチョ・パンサが宙を舞うところで、布を使わずに直接胴上げしてました。ジプシーの人形劇もありませんでした。ナイフの踊りで、ナイフを地面に突き刺すのではなく、刃を上に向けて立てるのも珍しかったです。確かにこっちの方が危険かも。

 オケも手馴れた曲とみえて、ドンチャンと鳴らしてました。


マリインスキー・バレエ来日公演2018

≪ドン・キホーテ≫

2018年11月29日
東京文化会館

特設サイト

音楽:ルートヴィヒ・ミンクス
台本:マリウス・プティパ
振付:マリウス・プティパ(1869年)
改訂振り付け:アレクサンドル・ゴールスキー(1900年)
原作:ミゲル・デ・セルバンテス
舞台装置デザイン:アレクサンドル・ゴロヴィーン、コンスタンチン・コローヴィン
舞台装置復元:ミハイル・シシリアンニコフ
衣裳デザイン:コンスタンチン・コローヴィン
指揮:アレクセイ・レプニコフ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

キトリ:レナータ・シャキロワ
バジル:ティームール・アスケロフ
ドン・キホーテ:ソスラン・クラエフ
サンチョ・パンサ:アレクサンドル・フョードロフ
ロレンソ:ドミートリー・プィハチョーフ
ガマーシュ:ワシーリー・シチェルバコフ
エスパーダ:ローマン・ベリャコフ
街の踊り子:エカテリーナ・コンダウーロワ
メルセデス:アリーナ・クラソフスカヤ
花売り娘:石井久美子、シャマーラ・グセイノワ
森の精の女王:マリア・ホーレワ
キューピッド:タマーラ・ギマディエワ
居酒屋の主人:マキシム・ペトロフ
ジプシーの踊り:オリガ・ベリク、オレグ・デムチェンコ
老ジプシー:マキシム・ペトロフ
ファンダンゴ:アレクサンドラ・ポポワ、アレクサンドル・ロマンチコフ、クセーニャ・ドゥブロヴィナ
東洋の踊り:クセーニャ・ドゥブロヴィナ
ヴァリエーション:ヤナ・セーリナ

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2018/11/29

【クラシック】ブルックナー:交響曲第5番 ウェルザー=メスト指揮 ウィーンフィル来日公演2018

 今年もウィーンフィルの来日公演を聴いてきました。日程の関係で、ブルックナーの5番のみという渋い演目。ぽん太はほとんど聴いたことがありません。数日前から予習はしておいたものの、あまりに長大すぎて、全貌はつかみきれませんでした。

 ということで、演奏の良し悪しを語ることはできませんが、およそ1時間半、集中力が途切れることなく聴くことができました。
 ウィーンフィルの音色は、フォルティッシモでも柔らかさを失わず、金管の大音響も耳に突き刺さることがありません。また多彩な音色が、細部をくっきりと浮き上がらせました。
 ラストでは弦楽器が思いっきり楽器を鳴らしてました。トップレベルのオケがこんだけ気合いをいれてるんですから、他にかなうものはありません。

 ウェルザー=メストの指揮は、細部の表現と全体の構築性のバランスが良く、スマートでダイナミックな演奏だったように思えます。
 最後の音が鳴り響いてから、指揮者がタクトを下ろして拍手が始まるまでの静寂も素晴らしかった。さすがにサントリーホールはお客さんのマナーがいいですね。

 とっても満足できる一夜でした。次回の来日公演もまた行きたいです。


フランツ・ウェルザー=メスト指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
FRANZ WELSER-MÖST Conducts WIENER PHILHARMONIKER

2018年11月23日(金・祝)16:00開演(15:20開場)

サントリーホール公式サイト

指揮:フランツ・ウェルザー=メスト Franz Welser-Möst, Conductor
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker, Orchestra

ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105(ノヴァーク版)
Anton Bruckner: Symphony No. 5 in B-flat Major, WAB 105 (Nowak Edition)

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2018/11/28

【オペラ】色気より強さ、コスタ=ジャクソンのカルメン 「カルメン」新国立劇場オペラ

 カルメンにジンジャー・コスタ=ジャクソン、エスカミーリョにティモシー・レナーと、美男美女をそろえた新国立の「カルメン」。
 ただ二人とも、スリムな体型のせいかあまり声量がなく、4階の天井桟敷ではちときつかったです。コスタ=ジャクソンの「ハバネラ」は、声質が一本調子で抑揚に乏しく、また時折挟む地声が耳障りで、あまり満足ができませんでした。しかし次第に喉が暖まってきたのか、演技力のせいなのか、だんだんよくなってきて、ラストシーンはかなり感動しました。
 「闘牛士の歌」の最後のところ。メルセデスが「愛」(l'amour!)と歌うとエスカミーリョが「愛」と返し、次にフラスキータが「愛」と歌うとまたエスカミーリョが「愛」と返します。そして次にカルメンが「愛」と歌うのですが、コスタ=ジャクソンは前の二人とはまったく違う色っぽい歌い方をし、同時に腿をあらわに足を組み替えます。ここでエスカミーリョがカルメンの存在に気づき、魅了されるというくだりは、なかなかのものでした。

 コスタ=ジャクソンはインタビュー(→こちら)のなかで、カルメンは死を前にしても自由を守ることを選ぶ強さを持っていると語っております。確かに彼女のカルメンは、妖艶で浮気っぽい女ではなく、芯の強さと意気が感じられました。
 なんか「カルメン」は、ドン・ホセの方が主みたいな気がすることが多いですが、今回の舞台では、強さゆえに死なざるを得ないカルメンの「悲劇」が前面に出て、胸に迫る思いでした。
 カスタネットも上手でしたhappy01

 ちと地味であまり目立たなかったけど、ドン・ホセのオレグ・ドルゴフの声が良かったです。
 新国立のミカエラにレギュラー出演の砂川涼子、清楚な歌声と、美しいフランス語の発音を聴かせてくれました。
 ジャン=リュック・タンゴー指揮、東京フィルの演奏は、最初の序曲で弦のメロディーラインが全然聞こえず心配しましたが、その後修正されたようで、悪くなかったです。


オペラ「カルメン」/ジョルジュ・ビゼー
Carmen / Georges BIZET

新国立劇場オペラパレス
2018年11月25日

新国立劇場の公演案内ページ

指揮 ジャン=リュック・タンゴー
演出 鵜山 仁
美術 島 次郎
衣裳 緒方規矩子
照明 沢田祐二
振付 石井 潤
再演演出 澤田康子
舞台監督 斉藤美穂

カルメン ジンジャー・コスタ=ジャクソン
ドン・ホセ オレグ・ドルゴフ
エスカミーリョ ティモシー・レナー
ミカエラ 砂川涼子
スニガ 伊藤貴之
モラレス 吉川健一
ダンカイロ 成田 眞
レメンダ―ド 今尾 滋
フラスキータ 日比野 幸
メルセデス 中島郁子

合唱指揮 三澤洋史
合唱 新国立劇場合唱団
ダンサー 新国立劇場バレエ団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

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2018/11/24

【歌舞伎】長三郎くんのフリーダムな演技が可愛い 2018年11月平成中村座昼の部

 平成中村座の昼の部を観に行ってきました。勘九郎の息子の長三郎くんが大活躍でした。

 「実盛物語」の太郎吉役で長三郎くんが登場。花道から出てきたときから満面の笑顔。照れてるのかしら。セリフや演技もしっかり。他の役者さんの演技の間、じっとしているのもできてました。見得も可愛らしかったです。最後に馬の前に乗せてもらった時は、本当にうれしそうな顔をしてました。
 太郎吉がお産を覗こうとして実盛にたしなめられる場面。以前に見た仁左衛門は、おじいちゃんが可愛い孫を相手にしている感じでしたが、今回の勘九郎は利かん坊の息子を叱ってる感じで、頭をペンと叩いてました。叩かれた長三郎くんが嬉しそうにしてて微笑ましかったです。
 中に勘三郎が絶対入っているとぽん太が信じている長三郎くん、将来が楽しみです。
 勘九郎の実盛も、美しくまっすぐで大きくて、長三郎くんに負けず良かったです。

 続いて「近江のお兼」では、七之助が華麗に晒を振って舞いました。

 最後の「狐狸狐狸ばなし」では、扇雀が大奮闘。大笑いしました。関西弁のリズムや間がよくて、芝居を面白くしてました。毒鍋で死ぬ場面では見事なムーンウォークまで繰り出しました。立派なコメディアンですhappy01
 おきわの七之助、重善の芝翫、牛娘の亀蔵など、皆しっかりした芝居。
 又市役の役者さん、ぽん太は見覚えがなくって、女の子みたいな可愛い顔でした。なんと扇雀の息子の虎之介とのこと。父親に負けずに弾けてました。「変な声出ちゃった」がおかしかったです。こんどちゃんとした役でも見てみたいです。
 で、大笑いだったんだけど、ちょっと差別的な表現があるのが気になりました。北條秀司が「狐狸狐狸ばなし」を書いたのは昭和36年(1961)とのこと。まあ、テレビじゃないんだし、歌舞伎といえば昔から「悪所」なんだから固いこと言わずに、という意見もあるかもしれませんが、タヌキの精神科医のぽん太としては、ちょっと表現を変えてもいいかと思いました。
 
 中村座、昔の芝居小屋の雰囲気でホントに楽しい。出演者もみなサービス満点だし。勘三郎の意思を継いで、ぜひ今後も続けて欲しいです。


平成中村座 十一月大歌舞伎
  十八世 中村勘三郎七回忌追善

平成中村座
平成30年11月21日

公式サイト(歌舞伎美人)

昼の部

  源平布引滝
一、実盛物語(さねもりものがたり)

斎藤実盛 中村 勘九郎
小万 中村 児太郎
伜太郎吉 中村 長三郎
九郎助 中村 勘之丞
女房小よし 中村 梅花
御台葵御前 坂東 新悟
瀬尾十郎 片岡 亀蔵


二、近江のお兼(おうみのおかね)

近江のお兼 中村 七之助

  北條秀司 作・演出
  奈河彰輔 演出
  江戸みやげ
三、狐狸狐狸ばなし(こりこりばなし)

伊之助 中村 扇雀
おきわ 中村 七之助
雇人又市 中村 虎之介
近所の女おいね 中村 梅花
博奕打ち福造 中村 福之助
おそめ 片岡 亀蔵
重善 中村 芝翫

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2018/11/09

【コンサート】辻井伸行×アシュケナージ、アイスランド交響楽団

 話題の辻井伸行くんの演奏を、初めて聴きに行きました。

 曲目はショパンのピアノ協奏曲第2番。冒頭のオーケストラの演奏のあいだ、気持ちが高まっているのか、辻井くんはブルンブルンと首と状態を振っていました。しかも音楽のテンポと一致していないのが凄いところ。凡人ではテンポが合ってしまいます。
 いよいよピアノの登場。どういう音を出すのか耳をそばだてます。聴こえてきたのはとても暖かく、一つひとつの音を大切にした演奏でした。細かい装飾や早いパッセージを弾き流しすことなく、すべての音が大切にされているように感じました。ひとつには辻井くんの目が見えないことと関係しているのかもしれませんが、なによりも彼の人柄を反映しているように思われました。とても素晴らしかったです。
 舞台に出入りする時、指揮棒を口にくわえたアシュケナージが前になって、電車ごっこみたいな感じで行き来するのも微笑ましかったです。
 アンコールはショパンの「レント・コン・グラン・エスプレッシォーネ」。ショパンの死後に発表されたこの曲は、ショパンの姉がピアノ協奏曲第2番を練習するために書かれたと言われており、この協奏曲のモチーフが使われているので、なかなかうまい選曲でした。

 シベリウスの「カレリア舞曲」はぽん太は初めて聴きました。シベリウスらしい叙情的な作品。

 最後はシベリウスの「交響曲第2番」で、大音量で熱のこもった壮大な演奏でした。でも、ちょっと鳴らし過ぎのような気もしました。

 アンコールは知らない曲でしたが、あとで調べたところ、シベリウスの「悲しきワルツ」とのこと。

 アイスランド交響楽団ももちろん初めて聴きましたが、叙情的な弦楽器と、透明感のある音が魅力的でした。

 アシュケナージがアイスランド国籍ということを初めて知りました。


アシュケナージ指揮
アイスランド交響楽団

ピアノ:辻井伸行

2018年11月8日
東京オペラシティ コンサートホール

特設サイト

シベリウス: カレリア組曲
ショパン: ピアノ協奏曲第2番[ピアノ:辻井伸行]
シベリウス: 交響曲第2番

アンコール
 ショパン:レント・コン・グラン・エスプレッシォーネ
 シベリウス:悲しきワルツ

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2018/10/19

【オペラ】ケントリッジの演出は面白かったです「魔笛」新国立オペラ

 新国立劇場の「魔笛」は、これまでとはプロダクションが変わり、2005年にモネ劇場で初演されたウィリアム・ケントリッジ演出の舞台です。
 動く素描といった感じのアニメが多用されてました。なんでもこの人、手書きのアニメーションで有名な現代美術家とのこと。紙に木炭で描いたドローイングを、消しては書き直しながらコマ撮りしていくものだそうで、素朴さと暖かみがあります。元々は有名な現代美術家だそうで、Youtubeでもいろいろな動画を見ることができます。Youtubeでも動画が見れます。南アフリカ出身の白人ということで、作品にメッセージ性も感じられます。
 なんか魔笛の筋ってわかりにくいところがあり、最後の火と水の試練も歩くだけであっという間に終わるな〜と思ってたのですが、そうしたあたりはアニメのおかげでわかりやすかったです。
 でも、アニメに目が行きすぎて、歌やオケに集中しずらかった気もします。
 いまのところオペラの演出では、プロジェクションは控え目に使われておりますが、そのうちオールCGみたいなのが出てくるんでしょうか。

 フリーメイソン的なものははっきりと描かれていたのも特徴で、三角に目玉のシンボルや、独特の握手などが出てきました。一方でフリーメイソンが、啓蒙主義や科学的思考と関連していることも示されておりました。

 衣装は全員18世紀風。パパゲーノも、見慣れた鳥のお化けじゃなくて、普通の服装。なんだかダヴィスリム演ずるタミーノよりも、アンドレ・シュエンのパパゲーノの方が男前に見えてしまいました。
 二人とも、歌も演技も悪くはなかったですが、聞き惚れるほどの歌声ではありませんでした。

 ザラストロのヴェミッチは、若くて長身で、「賢者」というよりは「若き教祖様」という雰囲気。演出のケントリッジの考えでは、真理を知り人々を導くことができると自負するザラストロには、独りよがりで危険な側面があり、サイの狩猟シーンやギロチンは、それを象徴してるんだそうな。だとすればちょっと危なそうなヴェミッチのザラストロは、演出者の意図に合っているのかもしれません。

 夜の女王は安井陽子。破綻なく歌っていたけど、歌うのが精一杯という感じで、プラスアルファの表現力や演技力に欠けるのは仕方ないか。
 なんかオケも迫力がなかった気がします。4階席で遠かったせいですかね。

「魔笛」
作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
台本:エマヌエル・シカネーダー

新国立劇場オペラパレス
2018年10月14日

公演情報(新国立劇場公式サイト)

指揮:ローラント・ベーア
演出:ウィリアム・ケントリッジ
演出補:リュック・ド・ヴィット
美術:ウィリアム・ケントリッジ、ザビーネ・トイニッセン
衣裳:グレタ・ゴアリス
照 明:ジェニファー・ティプトン 
プロジェクション:キャサリン・メイバーグ
映像オペレーター:キム・ガニング 
照明監修:スコット・ボルマン
舞台監督:髙橋尚史

ザラストロ:サヴァ・ヴェミッチ
タミーノ:スティーヴ・ダヴィスリム
弁者・僧侶I・武士II:成田 眞
僧侶II・武士I:秋谷直之
夜の女王:安井陽子
パミーナ:林 正子 
侍女I:増田のり子
侍女II:小泉詠子
侍女III:山下牧子
童子I:前川依子
童子II:野田 千恵子
童子III:花房英里子
パパゲーナ:九嶋香奈枝
パパゲーノ:アンドレ・シュエン
モノスタトス:升島唯博 

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

芸術監督:大野和士

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2018/10/18

【歌舞伎】玉三郎の母満江にドラマを感じました 2018年10月歌舞伎座夜の部

 10月の歌舞伎座は、18世勘三郎追善。夜の部を観劇しました。
 もう七回忌になるのか……。あの時は、残された勘九郎と七之助はどうなるのかと心配しましたが、いまや二人とも立派な役者へと成長。さらに今回の公演では、吉野山では玉三郎が勘九郎の相手を務め、また助六では、仁左衛門が17世勘三郎に教わったという助六を演じ、玉三郎は揚巻を七之助に任せて母満江役を務めるなど、勘九郎・七之助に芸を伝えていこうという意図が感じられました。二人もそれに応えて、素晴らしい演技を見せてくれました。

 「宮島のだんまり」は動く錦絵といったところか。どういう話のどういう場面なのかまったくわかりませんが、安芸の宮島を舞台に、源平ゆかりの人物のだんまりでした。扇雀の六方が観れたのが良かったです。たぶん初めてかしら。

 「吉野山」は、玉三郎の静御前、勘九郎の佐藤忠信。勘九郎は、さらにちょっと痩せたかしら、白塗りの侍姿がなかなかいい男振りでした。そして踊りは……不覚にもぽん太は日頃の疲れで寝てしまったのが残念です。

 そして今回のお目当の仁左衛門の「助六」。海老蔵の華やかさやバカっぽさはなく、柔らかく丁寧に演じてました。台詞回しや演技のうまさは流石。でも、「鼻の穴に屋形船けこむぞ」の部分は、海老蔵の方が面白いというか、憎たらしいです。ちょっと仁左衛門は照れてた感じでした。
 助六といったら河東節かと思っていたら、今回は長唄でした。あとで「仁左衛門が語る『助六曲輪初花桜』」(歌舞伎美人)を読んでみたら、題名も市川家の「助六由縁江戸桜」(すけろくゆかりのえどざくら)とは変えて『助六曲輪初花桜』(すけろくくるわのはつざくら)とし、様々な人の良いところを取り込んで作り上げたものとのこと。
 七之助の揚巻は、目がさめるような美しさ。玉三郎から教わったと思われる台詞回しも、華やかさやきっぷのよさがあって良かったですが、まだまだ台詞回しに聞き惚れるまではいってませんでした。
 勘九郎の白酒売新兵衛は、笑いと取ろうとしすぎずに、節度をもって演じてました。
 玉三郎が母満江というご馳走です。最後、思いつめた表情で花道を立ち去る玉三郎。それを勘九郎が真剣な憂慮の表情で見送り、助六を振り向いて「心配するな、ここは俺に任せろ」というような仕草をし、足早に母を追って行きます。わずか十数秒の演技ですが、素晴らしいドラマが感じられました。なんども助六は見てるはずですが、これは初めてでした。
 福山かつぎは千之助。通人は彌十郎。そういえば、以前に團十郎が助六、菊五郎が白酒売のときの、勘三郎の通人が、楽屋落満載でおかしかったな〜。思い出しました。


芸術祭十月大歌舞伎
十八世 中村勘三郎七回忌追善

2018年10月17日 歌舞伎座

公演情報(歌舞伎美人)

夜の部

  平成30年度(第73回)文化庁芸術祭参加公演
一、宮島のだんまり(みやじまのだんまり)

傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎 扇雀
大江広元 錦之助
典侍の局 高麗蔵
相模五郎 歌昇
本田景久 巳之助
白拍子祇王 種之助
奴団平 隼人
息女照姫 鶴松
浅野弾正 吉之丞
御守殿おたき 歌女之丞
悪七兵衛景清 片岡亀蔵
河津三郎 萬次郎
平相国清盛 彌十郎


  義経千本桜
二、吉野山(よしのやま)

佐藤忠信実は源九郎狐 勘九郎
早見藤太 巳之助
静御前 玉三郎


三、助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)
  三浦屋格子先の場

花川戸助六 仁左衛門
三浦屋揚巻 七之助
白酒売新兵衛 勘九郎
通人里暁 彌十郎
若衆艶之丞 片岡亀蔵
朝顔仙平 巳之助
三浦屋白玉 児太郎
福山かつぎ 千之助
男伊達 竹松
男伊達 廣太郎
男伊達 玉太郎
男伊達 吉之丞
文使い番新白菊 歌女之丞
傾城八重衣 宗之助
遣手お辰 竹三郎
くわんぺら門兵衛 又五郎
髭の意休 歌六
松葉屋女房 秀太郎
母満江 玉三郎

後見 松之助

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