カテゴリー「芸能・芸術」の734件の記事

2019/02/08

【歌舞伎】吉右衛門、魁春の「熊谷陣屋」に思わずうなる。2019年2月歌舞伎座夜の部

 吉右衛門と魁春の「熊谷陣屋」が素晴らしかったです。

 「ワンピース」もいいけど、やっぱりこういう舞台が本格的な歌舞伎で、芸の極みですね〜。吉右衛門の熊谷直実に匹敵する演技をできる役者は他にいないし、今後もしばらく現れないんじゃないでしょうか。
 吉右衛門の直実は何度も見ているけど、それでもやはり感心するやら感動するやらで、引き込まれて涙は出てくるし、歌舞伎を見ている悦びが沸き起こって来ます。

 魁春も、幕開けの、息子を思う気持ちと、陣中に来たことで直実に叱られないかという不安、直実を迎えるために階段の横に身を縮こまらせている様子など、一つひとつが素晴らしい。そこに直実が戻って来て、花道七三で数珠を握りしめて決まると、自然に客席から拍手が沸き起こります。妻を見つけて両手で袴をバーンと叩くところでは、息子を身代わりにしているのに妻が来てしまい、これから起こることへのやるせなさや、何で来てしまったのかという妻への憤りともいえない思いが詰まっています。
 その後もずっとこんな感じで、一つひとつの所作やセリフが身にしみますした。

 藤の方の雀右衛門が見劣りしない演技。義経の菊之助も立派でした。弥陀六は歌六が手慣れた名演。義経のお供に菊市郎、菊史郎。


 
 「當年祝春駒」は、曽我の対面で、十郎・五郎が春駒売りという設定の華やかな舞台。松緑の息子の左近が、五郎をキビキビとした動きで演じおりました。

 「名月八幡祭」は、初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言と銘打って、松緑が縮屋新助を演じましたが、あんまり感心しませんでした。
 なんか松緑って、セリフが棒読みでうまくない。美代吉にだまされたとわかって泣き叫ぶところも、なんか昨年末の「あんまと泥棒」の中車の演技がうつっちゃったみたいで、泣かそうとしているのか笑わそうとしているのか、ぽん太よくわかんない。
 ラストの花道で担ぎ上げられての大笑いも、なんか深みがない。笑いの中に、ざまあみろやってやったという気持ちや、それでも美代吉を思う気持ち、だまされた自分をあざ笑う気持ち……などが感じられないといけないんじゃないでしょうか。
 仁左衛門の三次、玉三郎の美代吉という名コンビは流石にうまい。仁左衛門、こういうダメンズ役は(役も!)最高ですね〜。起こりまくってるところから一転「な〜んだ、そうだったのか〜悪かったな〜」とデレデレするあたり、男のぽん太から見ても可愛らしく、もうDVでもなんでもしてっ!て感じですね。
 玉三郎も、ちょっと滑舌がもっさりするところは相変わらずで、二日目ということでセリフも出にくそうなところもあちましたが、卓越した芸でカバーして、気っ風のいい深川芸者を見事に演じてました。
 梅玉の藤岡慶十郎は、梅玉の人柄そのものの鷹揚で優しいお殿様。


二月大歌舞伎

歌舞伎座
平成31年2月3日

公演情報|歌舞伎美人

夜の部

  一谷嫩軍記
一、熊谷陣屋(くまがいじんや)

    熊谷直実 吉右衛門
    藤の方 雀右衛門
    源義経 菊之助
    亀井六郎 歌昇
    片岡八郎 種之助
    伊勢三郎 菊市郎
    駿河次郎 菊史郎
    梶原平次景高 吉之丞
    堤軍次 又五郎
    白毫弥陀六 歌六
    相模 魁春

二、當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)

    工藤祐経 梅玉
    曽我五郎 左近
    大磯の虎 米吉
    化粧坂少将 梅丸
    曽我十郎 錦之助
    小林朝比奈 又五郎

  初世尾上辰之助三十三回忌追善狂言
  池田大伍 作
  池田弥三郎 演出
三、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)

    縮屋新助 松緑
    芸者美代吉 玉三郎
    魚惣 歌六
    船頭長吉 松江
    魚惣女房お竹 梅花
    美代吉母およし 歌女之丞
    藤岡慶十郎 梅玉
    船頭三次 仁左衛門

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2019/02/07

【文楽】近松の作劇術に感動!「大経師昔暦」2019年2月国立劇場第2部

 「大経師昔暦」(だいきょうじむかしごよみ)は初めて観る演目で、もちろん歌舞伎でも観たことがありません。

 脚本は近松門左衛門。いや〜さすが近松!面白かったです。
 ストーリーは不義密通物の悲劇、といったらありきたりなんですけど、その不義密通が暗闇での人違いでやむなく起こったというところがアイディアですね。
 冒頭近く、女房おさんと女中の玉が雄猫たちの鳴き声に身を焦がす三毛猫をあやす場面で、おさんが「男を持つなら一人にするものだ。間男すれば磔になる。粟田口(の刑場)に行きたいのか」と三毛を諭します。ここで近松が、「後の我が身を魂が、さきに知らせて」と、これからの悲劇的な展開を予告しているあたりがウマイです。

 もっともこの話、1683年(天和3年)に処刑された密通事件が題材で、1686年(貞享3年)に発刊された井原西鶴の「好色五人女」にも取り上げられ、誰もが知っている話だったようです。この人形浄瑠璃は、1715年(正徳5年)、三十三回忌を当て込んで上演されましたが、不義密通は意図したものではなかったというところが、冒頭にも述べたように近松の新機軸でした。

 玉と入れ替わって寝ているおさんのところに、茂兵衛が夜這ってきて、屏風の陰の布団に入っていくあたりまできっちり演じられるのにもちとびっくり。江戸時代の日本人の性に対する大らかさが伺えます。

 その後、玉の叔父・赤松梅龍のお玉に対する愛、そしておさんの両親のおさんへの愛のしどころが泣かせます。
 別れの時、物干しの柱にすがるおさんと茂兵衛が夕日に照らさ、磔になったかのような影が映ります。そして戸から顔を出したお玉の影は、まるで獄門首。あっと驚くような演出です。

 奥丹波に隠れ住んでいたおさんが、旅の万歳師に見破られ、急展開していきます。「万歳師の知り合いはいない」というおさんに対し、「そりゃそうでしょうけど、こちらは良く覚えてます。奥様は、高いところで立派な布団を敷いて、腰元を大勢引き連れてご覧になってましたなあ」というあたりも、サスペンスドラマそのまま。

 赤松梅龍が、おさん・茂兵衛の罪を晴らそうと、討ち取った玉の首を持ってかけつけますが、代官から大事な証人の首を斬るとはなんと早まったことを、と咎められ、事態はどん底に。え?代官って悪者じゃないんだ、公正な裁きが行われてたの?と、ぽん太は少しびっくり。
 やりきれない雰囲気の中、二人は引き立てられていって幕となります。

 ただ原作では、刑場に黒谷の和尚が駆けつけ、二人を救い出すというハッピーエンドが付いているそうです。


 呂太夫の語る、おさん両親と、おさんとのやりとりが、心にしみ渡りました。
 こんかいは最前列の席だったので、人形の細かい動きや、人形遣いさんの表情が見れて、とても面白かったです(そのかわり字幕はぜんぜん見えず、あわててパンフレットを買い、床本集を見ながら観劇しました)。


 ちとわからなかったのは、お玉の伯父・赤松梅龍が、お玉を「本縄」に縛ったことで助右衛門を咎め、棒で打ち据えるシーン。確かにお玉ちゃんは、歌舞伎でよくあるようにくるっと一周しばるのではなく、縄が体の前で交差するような形でがっちり縛られてました。捕縄術 - Wikpediaを見ると、「本縄は主に犯罪者の護送・謁見の際に用いられ、身分や職業、性別、用途によってそれぞれ異なる縛り方が用意されている」と書いてありますが、本縄をかける権利や、状況なども、いろいろと決まりごとがあったのかもしれません。

平成31年2月文楽公演
東京・国立劇場

2019年2月6日観劇

2月文楽公演|国立劇場
特設サイト

第二部

「大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ)」
  近松門左衛門 作

大経師内の段
  中  希太夫
     清丈
  奥  文字久太夫
     藤蔵
岡崎村梅龍内の段
  中  睦太夫
     友之助
  奥  呂太夫
     團七
奥丹波隠れ家の段
  茂兵衛、梅龍  三輪太夫
  おさん、助右衛門  南都太夫
  萬歳、役人  咲寿太夫
     清友

  女房おさん  和生
  下女玉  簑紫郎
  手代助右衛門  勘市
  大経師以春  玉勢
  おさん母  簑一郎
  手代茂兵衛  玉志
  下男七介  勘次郎
  下男伝吉  玉彦
  赤松梅龍  玉也
  岐阜屋道順  勘壽
  萬歳  玉誉
  役人  亀次

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2019/02/02

【展覧会】「ワイングラス」と「取り持ち女」を初めて見ました「フェルメール展」東京の森美術館

 フェルメールの現存35作品のうち、9点が来日するというフェルメール展。残念ながら展示替えがあり、「赤い帽子の娘」は見れませんでした。もっともこの作品は、フェルメールの大家・小林頼子女史によれば偽物とのこと。そんなら、まあいいか。
 しかし、近年の日本でのフェルメール人気はものすごく、今回は初めて時間指定のチケットが導入されました。おかげで会場は超混雑まではいかず、大混雑ですみました。
 ただ、無料で借りられる音声ガイドは、たいして内容がありませんでした。

 で、こんかい観れた8作品のうち、ぽん太が初めてだったのは、「ワイングラス」と「取り持ち女」の2点です。

 「取り持ち女」は1656年という制作年がわかっており、フェルメールが24歳の時に描いた初期の作品。これまで宗教画や物語画を描いていたフェルメールが、風俗画を描き始めた頃のものだそうです。画面右下4分の1を占める布の色彩はどぎつく、人物の表情も下卑ていて、おっぱい鷲掴み。観客の「こんなの、僕たちが好きなフェルメールじゃない!」という声が聞こえてくる感じで、この絵だけあんまり混んでませんでした。

 「ワイングラス」は、1661年から1662年頃の作品というので、29から30歳頃。初期から中期への過渡期の作品になるのだそうです。構図はおなじみのフェルメール・スタイルで、向かって左に窓があって光が差し込み、テーブルがあり、人がいて、奥の壁には絵画、床にはフェルメール・タイルhappy01
 でも、リュートや、ステンドグラスの手綱を持った女性など、ちょっと小道具が多くて雑多な気がします。また色彩も、後年の淡さがなく鮮やかで、ちょっとどぎつい印象があります。男性が女性にワインを勧めるという題材も、「僕たちが好きなフェルメールとちょっとだけ違う」というところか。後年は隠す工夫をした、歪みが目立つ右奥のタイルも、まだあらわですね。

 そのほか良かったのは、「牛乳を注ぐ女」と「真珠の首飾りの女」です。
 「牛乳を注ぐ女」は、パンやミルクの容器の上の点々が光り輝いてますよね。絵の具じゃなくって、石英の破片とかが散りばめられているんじゃないかと思うほどです。また「真珠の首飾りの女」は、女性にふりそそぐ淡い光、所々に置かれたホワイト、夢見るような女性の表情が素敵でした。
 

 大阪展では「恋文」が出品されるようですが、これもぽん太は観たことがありません。大阪まで観に行こうかな?

フェルメール展

上野の森美術館
2018年10月5日〜2019年2月3日
(2019年1月17日鑑賞)

公式サイト

【フェルメールの出品作品】
(2019.1.17現在)

・牛乳を注ぐ女
The Milkmaid
1658-1660年頃 | 油彩・カンヴァス | 高45.5×幅41cm
アムステルダム国立美術館

・マルタとマリアの家のキリスト
Christ in the House of Martha and Mary
1654-1655年頃 | 油彩・カンヴァス | 高158.5×幅141.5cm
スコットランド・ナショナル・ギャラリー

・手紙を書く婦人と召使い
Woman Writing a Letter, with Her Maid
1670-1671年頃 | 油彩・カンヴァス | 高71.1×幅60.5cm
アイルランド・ナショナル・ギャラリー

・ワイングラス(日本初公開、ぽん太初見)
The Wine Glass
1661‐1662年頃 | 油彩・カンヴァス | 高67.7×幅79.6cm
ベルリン国立美術館

・手紙を書く女
A Lady Writing
1665年頃 | 油彩・カンヴァス | 高45×幅39.9 cm
ワシントン・ナショナル・ギャラリー

・リュートを調弦する女
Woman with a Lute
1662-1663年頃 | 油彩・カンヴァス | 高51.4×幅45.7 cm
メトロポリタン美術館

・真珠の首飾りの女
Woman with a Pearl Necklace
1662-1665年頃 | 油彩・カンヴァス | 高56.1×幅47.4 cm
ベルリン国立美術館

・取り持ち女(ぽん太初見)
The Procuress
1656年 | 油彩・カンヴァス | 高143×幅130cm
ドレスデン国立古典絵画館

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2019/02/01

【オペラ】聖女のごときリエネ・キンチャのエリーザベト「タンホイザー」新国立劇場

 2007年演出の再演となる新国立劇場の「タンホイザー」。このオペラ、ぽん太も3回目の鑑賞となり、だいぶ聴きどころがわかってきて、楽しめるようになってきました。

 けっこう感動して、ラストは涙が溢れてきました。何が良かったかって、やっぱり、「どうしょうもない男が、女の愛で救われる」という、よくあるけど普遍的なストーリーかな? 
 タンホイザーは、ヴェーヌスの愛欲に溺れたかと思うと、それも飽きて現実に戻りたいと言い出し、歌合戦ではエリーザベトにさかんに投げキッスをし、同僚を傲慢にあざけり笑ったりし、皆に非難されるとュンとなり、エリーザベトに救われてローマへの苦行の旅を決意するものの、法王の許しを得られずに、またヴェーヌスの元に戻ろうとしたりします。かなりひどいヤツです。「タンホイザー」はまさに「悪人正機」の物語ですね。
 とはいえ、最後に杖に新緑が芽吹いて、タンホイザーが救われると、なんだか涙が流れてくる。チコちゃんによると、年とって、ぽん太の脳のブレーキが緩んだからだそうです。

 ヴァグナーはこういう人物が好きだったんでしょうか。「指環」のジークフリートも、悪人とはいえ自分を育ててくれたミーメに、ひどい仕打ちをしたりします。


 タンホイザー役は、新国立で何回か歌っているトルステン・ケール。いつもの4階席だったせいか、最初、倍音ばっかり響いてきてちょっと閉口しましたが、だんだんと地声が聞こえるようになりました。「ローマ語り」はなかなか良かったです。
 エリーザベトのリエネ・キンチャは、第2幕冒頭の「殿堂のアリア」では、恋に胸を焦がす女性の喜びを生き生きと歌い上げましたが、ちょっと声が定まりませんでした。しかし第2幕最後の毅然とした歌声は心に響き、第3幕の「エリーザベトの祈り」は心に沁みました。彼女の風貌と、真っ白な衣装があいまって、まさに絵画に描かれた聖女のようでした。
 ヴェーヌスのアレクサンドラ・ペーターザマーは、グレートマザー風。迫力がありました。
 ヴォルフラムのローマン・トレーケルは、誠実さが滲み出ており、「夕星の歌」は表情豊かな歌声で美しかったです。

 アッシャー・フィッシュ指揮の東京交響楽団の演奏は、4階席だったせいか、初日だったせいなのか、序曲で音が定まらず、迫力もなくて心配しましたが、だんだんと暖まってきたようでした。ホルンがちょっと不安定だったのが残念。
 新国立劇場合唱団はあいかわらず素晴らしく、第1幕のセイレーンの呼び声も幻想的でしたし、「大行進曲」も迫力がありました。
 新国立劇場バレエ団のみなさんもお疲れ様でした!でも、振り付けと、全身タイツみたいな衣装とメイクはいまいちだったかな。あんまりエロティックな感じがしませんでした。


 ぜんぜん話は飛びますが、ぽん太は今年の年末年始はイタリアに行っていたのですが、ローマのバチカン宮殿前のお土産やさんで、同じグループの人が「音楽の神様のメダルを買いたい」とガイドさんに相談したところ、「神様はひとりだけで、音楽の神様というのはいません」と言われてました。ローマ時代の神々の像が至る所にあるローマで、「神様はひとりだけ」というガイドさんの言葉は、キリスト教的にはその通りなんですけど、ちょっとびっくりしました。
 でもドイツとかではどうなんですかね。ヴェーヌスだって愛の女神だし、「指環」にもいろいろ神々が出てきますよね。ドイツではキリスト教的な一神論と、古くからの神々が、共存してるんでしょうか。無知なぽん太にはちとわかりません。

オペラ「タンホイザー」/リヒャルト・ワーグナー
Tannhäuser / Richard WAGNER

新国立劇場オペラパレス
2019年1月27日

公演情報|新国立劇場

指揮 アッシャー・フィッシュ
演出 ハンス=ペーター・レーマン
美術・衣裳 オラフ・ツォンベック
照明 立田雄士
振付 メメット・バルカン

領主ヘルマン 妻屋秀和
タンホイザー トルステン・ケール
ヴォルフラム ローマン・トレーケル
ヴァルター 鈴木 准
ビーテロルフ 萩原 潤
ハインリヒ 与儀 巧
ラインマル 大塚博章
エリーザベト リエネ・キンチャ
ヴェーヌス アレクサンドラ・ペーターザマー
牧童 吉原圭子

合唱 新国立劇場合唱団
バレエ 新国立劇場バレエ団
管弦楽 東京交響楽団

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2019/01/31

【首藤康之】ダンスとセリフが交代する斬新な舞台「出口なし」KAAT神奈川芸術劇場

 首藤康之のおっかけで横浜へ。演目は「出口なし」。こんかいは首藤のダンスもけっこう見れて、なかなか楽しめました。

 「出口なし」は、哲学者サルトルの手になる戯曲で、1944年に初演されました。彼の実存主義の哲学が盛り込まれていて、「地獄とは他人のことだ」というセリフは有名です。

 この戯曲をもとに、モーリス・ベジャールは「3人のソナタ」というバレエを振りつけました。こちらの初演は1957年。ぽん太は以前に、ジル・ロマン率いるモーリス・ベジャール・バレエ団の来日公演で観たことがありますが、だいぶ以前のことなので、あまり覚えておりません。ネット上の動画も見つかりません。

 こんかいKAATでの「出口なし」の上演を提案したのは首藤だったそうで、昔見たベジャールの「3人のソナタ」が印象に残っていて、いつか自分でも演じてみたいと思っていたそうです。

 出演はバレエ出身の首藤と中村恩恵に、演劇の秋山菜津子。首藤は最近よくセリフのある役をよくやってるけど、中村はまさかセリフは言わんだろう。逆に演劇の秋山は踊れないだろうし、いったいどんな舞台になるのかな。「出口なし」をインスピレーションの源として、言葉とダンスが混ざった抽象的な舞台になるのかな、などと考えながら幕が開くのを待ちました。

 実際は、全体として戯曲に従って劇が進行するものの、セリフと舞踏が交互に繰り返されるという展開でした。その分、セリフは全体に省略し、少し改変しているようでした。
 中村恩恵もがセリフを発したのには、ぽん太もびっくりしました。初めて声を聞きました。ちょっと滑舌が悪いところもありましたが、カマトトのお嬢様っぽい口調で頑張ってました。
 対して舞台出身の秋山奈津子も、他の二人の踊りに見事に絡んでおりました。以前にジャズダンスをやっていたそうです。もちろんセリフのうまさはダントツ。初めて観た役者さんかと思ったら、野田秀樹の「桜の森の満開の下」に出てたんですね。
 三人ともそれぞれ観ていてヒヤヒヤする部分があって、スリリングでした。

 踊りとセリフの交代という構成はなかなか面白く、成功していると思いました。物語の展開も緊張感があってダレることがなく、終盤に向かってヒートアップしていく感じも良かったです。

 最後はどのように終わるのかと思いながら観ていたのですが、「さあ、また始めよう」(だっけ?)のセリフのあとにダンスシーンがあって幕となったのですが、これは余計な気がしました。「さあ、また始めよう」のセリフが十分衝撃的なので、最後にダンスをもってくるなら、よっぽどインパクトがないとダメなように思いました。

 KAATの芸術監督で、今回の舞台を演出した白石晃が案内人役で登場し、舞台を引き締めてました。

 音楽は誰の曲だったんでしょう。ピアノ曲でしたが、なかなか雰囲気に合ってました。

 しかし一方で、このサルトルの演劇を見ていて、「時代は変わったな〜」と感じました。確かに現代社会は、情報通信の発展によって、常に他人の視線にさらされており、それを意識せずに暮らすことはできません。だけど我々は、サルトルの時代のような濃密な人間関係を結ぶことはないし、他人の視線によって「実存」を脅かされるような不安を感じることもありません。むしろ他人の視線は、人間関係を希薄化し、均質化しているように感じます。


 帰りに野毛でハシゴ。行った店は大黒屋(昔ながらの居酒屋で、イカコロルイベを初めていただきました)、叶屋(樹木希林さんの実家の老舗居酒屋だそうですが、近代的な大きな店に改築されてしまっています。地酒が揃ってます)、弥平(魚が自慢。地酒もそろってます)。


「出口なし」

KAAT神奈川芸術劇場
2019年01月30日(水)

公演情報|神奈川芸術劇場
  雑誌のインタビューへのリンクもあって面白いです。

【原作】ジャン=ポール・サルトル
【上演台本・演出】白井晃
【出演】
  男/ガルサン  首藤康之
  女1/イネス  秋山菜津子
  女2/エステル  中村恩恵
  案内人  白石晃

美術:杉山至
照明:大石真一郎
音響:徳久礼子 
衣裳:前田文子
ヘアメイク:小林雄美 
舞台監督:大垣敏朗
演出助手:西祐子 
技術監督:堀内真人

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2019/01/18

【歌舞伎】海老蔵の俊寛の慟哭 2019年1月新橋演舞場夜の部

 勸玄くんと麗禾ちゃん目当てに、新橋演舞場夜の部に行って来ました。

 まずは「鳴神」。この演目、ぽん太はこれまで海老蔵とかで見ていて、ちょっとエッチでなんかバカっぽい変な芝居だと思っていたのですが、こんかい艶やかでしっかりし演技の右團次と、古風な雰囲気のある児太郎で見て、初めて古風でおっとりした歌舞伎演目であることがわかりました。エッチなところも、性に対するおおらかさの現れだったんですね。右團次の「毛抜」も見てみたくなりました。

 さて、お待ちかねの「牡丹花十一代」。町衆や芸者衆が集う中、ほろ酔い気分の鳶頭の海老蔵が登場。お決まりの「待ってました」の掛け声に対し、「待ってましたとはありがてえ。でも、お客さんたちが待っているのは、おれじゃあねえだろ〜」と返し、場内大笑い。手古舞姿と鳶頭姿の麗禾ちゃん・勸玄くんが登場すると、割れんばかりの拍手。かわゆいです。終始照れてるみたいな笑顔を浮かべてました。セリフも踊りもしっかりとできました。このおもちゃ、うちにも欲しいです。

 続いて海老蔵の「俊寛」。これはちょっとびっくりというか、とっても感動したのですが、不思議な感動でした。
 海老蔵の俊寛、衰弱しているわりには眼光鋭く、よろよろしているのに、時々力強く見えてしまいます。前半のやりとりはさしたることもなく経過。迎えの船が来て、瀬尾兼康が俊寛に、妻の東屋が殺されたことを告げるシーン。海老蔵がどんな表情を見せるかと双眼鏡で見ていたのですが、ここもさしたる芝居はありませんでした。千鳥のくどきがあって、俊寛が、自分が島に残って代わりに千鳥を船に乗せようと、船から飛び出してくるところからがすごがったです。海老蔵、泣きじゃくってました。悟りの境地に妻を失った哀し身を滲み出させる、というような演技ではなく、感情丸出しの演技でした。妻のいない都に戻ったとしても、何の喜びもない。自分は島に残るから、千鳥が船に乗ってくれ。それはまさに慟哭といえるような、心の底から湧き上がってくる叫び声でした。
 もちろんぽん太はそれに、妻の麻央さんを失った海老蔵の心情を重ねました。実際の海老蔵は、取り乱した様子は見せませんでしたが、本当は泣き叫びたかったんだろうな。いや、人がいないところで泣き叫んでいたのかもしれない。
 瞬間を残して船が出ていく場面。ここでは、滑り去る船の艫綱をつかもうとする場合と、しない場合があって、ぽん太はこれまで、つかもうとするのは未練がましくてちょっとやだな〜などと思っていたのですが、今回は、綱をつかんで、それがピンと張るまで握りしめる演技がしっくり来ました。出航する船をとどめようとしたのではなく、この世から去っていく妻の魂を離すまいとしたのだと感じました。そのあとの、船を追い、大声を出しながら手を振り、そしてよろけるように岩山に登って船を見つめるあたりも、妻を失った孤独と不安を感じました。
 最後の見所はラストの表情。勘三郎などはちょっと笑みを浮かべるなど、あざとい演技をしましたが、海老蔵はどういう表情をするのか。
 海老蔵の瞬間は、次第に表情を失って、動かなくなりました。吉右衛門の場合は「石のように無に」なりますが、眼光鋭い海老蔵の場合、最後は石の彫像のようでした。
 ぽん太も泣きじゃくり。これが海老蔵の演技の力なのか、ぽん太が現実と重ね合わせたからなのか、素人のぽん太には判断がつきません。でも、歌舞伎の感動というのは、舞台に限定された演技からのみ生まれるのではなく、役者の一人の人間としての人生も重なってくることがよくわかりました。

 最後は「春興鏡獅子」で、海老蔵が一転して女方の舞踊と獅子を演じました。でも、女形はあんまり色気を感じませんでした。獅子となってからは、すごい迫力。
 胡蝶の精が誰かと思ったら、大向こうさんが「福太郎、福之助」と、紹介のような声をかけてくれました。海老蔵の部屋子なんですね。可愛らしく、踊りも頑張ってました。

初春歌舞伎公演

新橋演舞場
平成31年1月9日

公演案内|歌舞伎美人

夜の部

一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)

    鳴神上人 右團次
    雲の絶間姫 児太郎

  十一世市川團十郎生誕百十年
二、牡丹花十一代(なとりぐさはなのじゅういちだい)

    鳶頭 海老蔵
    手古舞 堀越麗禾
    鳶頭 堀越勸玄
    鳶頭 右團次
    差配人 男女蔵
    芸者 児太郎
    鳶の者 男寅
    芸者 廣松
    鳶の者 九團次
    差配人 市蔵
    茶屋女房 齊入
    世話役 家橘
    芸者 孝太郎

  近松門左衛門 作
  平家女護島
三、俊寛(しゅんかん)

    俊寛僧都 海老蔵
    海女千鳥 児太郎
    丹波少将成経 九團次
    平判官康頼 男女蔵
    瀬尾太郎兼康 市蔵
    丹左衛門尉基康 右團次

  福地桜痴 作
四、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

    小姓弥生後に獅子の精 海老蔵
    老女飛鳥井 齊入
    家老渋井五左衛門 家橘

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2019/01/17

【歌舞伎】若い芽が伸びとる伸びとる、常磐津も大活躍。2019年1月新春浅草歌舞伎

  恒例の新春浅草歌舞伎を見て来ました。正月の暴飲暴食がたたって急性胃炎となり、体調は△。1部・2部のダブルヘッダーは疲れました。でも、いつものように、若手の大活躍を、ベテランがしっかりと支えて、とても楽しい舞台でした。

 お楽しみの「お年玉挨拶」は、本日は巳之助。浅草名物のこの挨拶は、雑談(?)が長くて、ふだんの舞台では見れない俳優さんたちの素顔が伺われて人気があるのですが、今回は時間が押しているとのことで雑談なし。ちょっと残念でした。言われてみれば、第一部と第二部の間も30分しかありません。

 最初の演目は「戻駕色相肩」。二人の駕籠かきが、お客の禿を誘って踊り出しますが、最後は駕籠かきが実ハ石川五右衛門と真柴久吉だっという「楼門五三桐」の世界となって終わります。
 梅丸くんの禿(かむろ)がかわいかったです。
 音楽は常磐津。こんかい常磐津さんは、これ以外にも「芋掘長者」、「乗合船惠方萬歳」と、3演目で大活躍でした。

 続いて松也の「義賢最期」。前半の芝居はそれなりでしたが、立ち回りになってからは、さすがに若いだけあって身体能力がすばらしく、迫力がありました。

 「芋掘長者」は、初めて見た演目。お姫様の婿選で、踊りの名人が集まりますが、踊りが苦手な近くに住む芋掘りが、他人の真似をしながら踊ったり、滑稽な芋掘りの仕草で踊るという楽しい演目。
 何と言っても巳之助の踊りのうまさが目立ちました。ところどころに入っていた現代風のセリフも面白かったです。

 30分の短い休憩を挟んで後半戦です。浅草寺にお参りする間もありませんでした。ぜいぜい。

 お年玉挨拶は種之助。第2部は時間があったみたいなのに、あまり雑談がありませんでした。苦手なのかも。

 お正月の公演に付き物の「寿曽我対面」は、松也の五郎、歌昇の十郎。松也の五郎は、自分のセリフのところでは力が入っているのですが、それが終わると気が抜けてスタスタと戻っていくのが気になりました。常にエネルギーがみなぎっていて欲しいところ。けっこう貫禄ある歌昇の十郎はどうかと思いましたが、柔らかい和事の味がよく出ておりました。

 岡本綺堂作の「番町皿屋敷」は、脚本が変。怪談の「播州皿屋敷」を元に、「幡随院長兵衛」の世界と、落語の「厩火事」(うまやかじ)を混ぜたようなお話。
 お殿様の気持ちを試そうとして家宝の皿を割る腰元お菊も変なら、疑われたことに腹を立てて残りの皿も割りまくり、お菊を斬るお殿様も変。お客さんも、これまでの明るい雰囲気から一転、すっかり気分が重くなり、静まり返ってしまいました。
 もうちょっと猟奇的な心理を深掘りしたら面白かったかも。お菊の疑念がだんだん強まって、家宝を割るに至るところとか、これまで「ヨシヨシ」と言ってたお殿様が、お菊の一言でキレ出すところとか……。
 とはいえ隼人くん、うまくなりましたね〜。種之助の女形もびっくりしましたが、違和感なく見れました。

 最後の「乗合船惠方萬歳」は、江戸の町人たちを七福神に見立てた、美しくおめでたい踊り。見た目も華やかでした。それぞれ踊りも良かったですが、七福神+万歳の8人を歌い分ける常磐津もお見事でした。


新春浅草歌舞伎

浅草公会堂
2019年1月16日

新春浅草歌舞伎特設サイト
公演情報|歌舞伎美人

第1部

  お年玉〈年始ご挨拶〉
    巳之助

一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)

    浪花の次郎作実は石川五右衛門 中村歌昇
    禿たより 中村梅丸
    吾妻の与四郎実は真柴久吉 中村種之助

  源平布引滝
二、義賢最期(よしかたさいご)

    木曽先生義賢 尾上松也
    小万 坂東新悟
    下部折平実は多田蔵人行綱 中村隼人
    御台葵御前 中村鶴松
    待宵姫 中村梅丸
    進野次郎宗政 中村橋之助
    矢走兵内 中村種之助
    百姓九郎助 大谷桂三

  岡村柿紅 作
三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)

  芋掘藤五郎 坂東巳之助
  友達治六郎 中村橋之助
  息女緑御前 坂東新悟
  腰元松葉 中村鶴松
  松ヶ枝家後室 中村歌女之丞
  菟原左内 中村歌昇
  魁兵馬 尾上松也


第2部

  お年玉〈年始ご挨拶〉
    種の助

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

    曽我五郎時致 尾上松也
    曽我十郎祐成 中村歌昇
    小林朝比奈 坂東巳之助
    大磯の虎 坂東新悟
    鬼王新左衛門 中村隼人
    化粧坂少将 中村梅丸
    工藤左衛門祐経 中村錦之助

  岡本綺堂 作
二、番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)

    青山播磨 中村隼人
    腰元お菊 中村種之助
    放駒四郎兵衛 中村橋之助
    腰元お仙 中村鶴松
    用人柴田十太夫 大谷桂三
    後室真弓 中村錦之助

三、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)

    萬歳 坂東巳之助
    才造 中村種之助
    白酒売 坂東新悟
    大工 中村隼人
    女船頭 中村橋之助
    芸者 中村鶴松
    子守 中村梅丸
    若旦那 中村歌昇
    通人 尾上松也

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2018/12/28

【クラシック】もしもベートーヴェンが南米生まれだったら。クリスティアン・バスケス指揮・東京フィルの「第九」

 ぽん太は、ラトル、ベルリンフィルの究極の「第九」を聞いて以来、日本のオケでこれを超える演奏はないだろ〜な〜と思い、年末の第九は「風物詩だから行くか」程度のノリだったのですが、今回の第九は面白かったです。いい悪いとか、完成度は別にして、これまで聞いたことがないような第九でした。

 指揮のクリスティアン・バスケスは、ベネズエラ出身の指揮者。ベネズエラと聞いてもぽん太の印象は、南米の産油国、反米の急先鋒の大統領がいて、ハイパーインフレで経済がメタメタ。野球選手(横浜ベイスターズのラミレス)やボクシング選手(「あしたのジョー」のカーロス・リベラhappy01)を輩出。そんな感じ。
 でも、以前にウィーンフィルと来日した指揮者グスターボ・ドゥダメルもベネズエラ出身だったような。なんでそんな国(失礼いたしました)から世界的指揮者が続出するんでしょうか。一部の富裕層がいるのか。Wikipediaをみると、ベネズエラは昔は産油や鉱物資源で南米で最も豊かな国だったと書いてあるけど、それでか?なんでもベネズエラにはエル・システマと呼ばれる音楽教育プログラムがあり、貧困層も含め、音楽教育に力を注いでいるんだそうです(エル・システマ - Wikipedia)。へ〜知らなかった。バスケスもエル・システマの出身とのこと。

 で、第一楽章は早めのテンポでスタート。早めの「第九」は近頃よく耳にしますが、えてしてスピーディーでスマートな演奏になるもの。しかしバスケスの演奏は違いました。ビートが強調され、スタッカート気味の音加わって、歯切れよくリズミカルでノリノリの演奏。オケもノリノリで、クラリネットの外人さんは、ジャズかと思うほど体を揺らして吹いてました。金管もバリバリ。バスケスの腕の動かし方は、強拍で手を広げて両腕を上に上げるのですが、すると手のひらからビームがでるかのように、ブワーっと大砲のような音が鳴り響きます。
 第二楽章のスケルツォでは、弦楽合奏が一拍目のビートを非常に強調する下りがあって、ぽん太は「やるな〜」という感じで笑いながら聞いてました。
 第三楽章も速いテンポで、いつもの桃源郷のような雰囲気はありませんでした。速さゆえ、メロディーラインの普段は気がつかない部分がよく聞き取れました。
 さて、終楽章で驚いたのは、女性のコーラスに、子供が……しかもボーイソプラノまで、混ざっていること(第二楽章のあと合唱が入場して来た時点でわかっていたのですが)。そのせいで、合唱が独特の、これまで聞いたことがない音色でした。人類みな兄弟には子供達も入ってるよというか、なんかクリスマスっぽいというか、とっても驚きました。
 独唱陣もなかなかよかったです。

 ドイツっぽい暗闇や影や深遠な部分がなく、南国の太陽に照らされた、燃え上がるような演奏でした。なんかこなれてないというか、荒削りな感じもしましたが、とっても面白い「第九」でした。


 「第九」の前には、ベネズエラの作曲家フアン・バウティスタ・プラサの「フーガ・クリオージャ」。5分程度の短い曲で、ラテン系の明るいメロディの「フーガ」という珍しい曲でした。


東京フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン『第九』特別演奏会

2018年12月24日
Bunkamura オーチャードホール

東京フィルハーモニー交響楽団のコンサート情報
オーチャードホールのラインナップ


指揮:クリスティアン・バスケス

ソプラノ:吉田珠代
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:上江隼人
合唱: 東京フィル 特別合唱団
   (新国立劇場合唱団/東京オペラシンガーズ/東京混声合唱団/
    二期会合唱団/藤原歌劇団合唱部)
児童合唱:杉並児童合唱団

フアン・バウティスタ・プラサ/フーガ・クリオージャ
ベートーヴェン/交響曲第9番『合唱付』

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2018/12/27

【歌舞伎】児太郎の「阿古屋」、中車の「あんまと泥棒」 2018年12月歌舞伎座夜の部

 今年の歌舞伎の見納め。

 「阿古屋」は、玉三郎は以前に見たので、今回は児太郎くんにしてみました。この演目は、まず三つの楽器がしっかり演奏できるかどうか、そして演奏しながらも景清を思う気持ちを忘れないことが大切なんだそうですが、タヌキのぽん太にはどちらもよくわからず。それでも、それぞれの楽器を見事に演奏し、難役をこなしました。児太郎くん独特の古風な雰囲気も良かったです。
 配役に名前が出ている玉三郎、どこに出ているのかわからず、消去法で探したら、赤っ面で人形振りの岩永左衛門でした。双眼鏡で顔を見ても、ホントに玉三郎かどうかまったく分かりません。足もぶらぶら浮いてます。珍しいものを見せていただきました。ごちそうさまです。

 次の「あんまと泥棒」では中車が怪演。やりたい放題でした。
 酔っ払いといえば、以前の「らくだ」の紙屑屋久六はあんまり面白くなかったような気がしますが、今回は間合いといい、表情といい、はじけてました。松緑が中車の自由演技をうまく受けてました。会場大爆笑。ぽん太も笑わせていただきました。

 最後は新作歌舞伎舞踊の「傾城雪吉原」。冒頭の暗闇にキラキラと雪が舞い散る舞台美術からして美しく、これは玉三郎が、やりたいようにやったという感じでした。岩永とのギャップがすごい。

 どれも見ごたえのある舞台で、今年を締めくくることができました。

歌舞伎座百三十年
十二月大歌舞伎

平成30年12月19日 歌舞伎座

歌舞伎美人の公演案内

夜の部  Bプロ

一、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)
  阿古屋 

    遊君阿古屋 児太郎
    秩父庄司重忠  彦三郎
    榛沢六郎  坂東亀蔵
    岩永左衛門  玉三郎


  村上元三 作・演出
  石川耕士 演出
二、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)

    泥棒権太郎  松緑
    あんま秀の市  中車


  新作歌舞伎舞踊
三、傾城雪吉原(けいせいゆきのよしわら)

    傾城  玉三郎

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2018/12/26

【クラシック】華麗で色彩豊かなマーラー「巨人」 ダニエル・ハーディング指揮、パリ管弦楽団

 コントラバス8台の大編成が目一杯鳴らしてましたが、パリ管弦楽団の音色はどこまでも華麗で色彩豊か。ドイツ系のオケの重厚さとはまったく異なり、弦楽器はフォルテッシモでも軽く艶やかで、木管も一つひとつの音色の違いが際立ち、金管も耳をつんざくような音をたてません。

 指揮のハーディングが、大寒波の札幌で滑って足首を骨折したとのニュースが飛び込んで来ました。札幌公演は椅子に座って無事に指揮したとのことでしたが、どうなるかちょっと不安。演奏前にKAJIMOTOの職員がマイクを持って出て来たのでヒヤヒヤしましたが、椅子に座って指揮をしますという告知でした。ハーディングは車椅子で登場。椅子に座って、ギプスを巻いた右足を台に乗せ、元気一杯に演奏してました。

 ハーディングが作る音楽は、キレがあって若々しくスマート。繊細なニュアンスが感じられ、決して旋律をねっとりと歌わせたりはいたしません。第一楽章は、鳥の鳴き声がそこここに聞こえて聞こえるなか、さまざまなニュアンスの音楽が次から次へと現れて、なんだか妖精の森の中を歩いているかのようでした。第四楽章ではは一転して激しく強烈なクライマックスを盛り上げました。

 アンコールは、ハーディングの母国の作曲家エルガーのエニグマ変奏曲を、情感たっぷりに演奏しました。


 会場はだだっ広い東京芸術劇場のコンサートホール。以前に3階席で聴いたらあまりに遠すぎたので、今回は2階席にしてみましたが、それでも音がしっかり聞こえて来ませんでした。マーラーはまだよかったですが、ベルクでは、肝心のヴァイオリンソロがオケの音と渾然一体となって、よく聞き取れません。聞いたことのない曲だったのでYoutubeで予習して本番に望んだのですが、あまり楽しめませんでした。ヴァイオリンのイザベル・ファウストがかなりの熱演だっただけに、ちょっと残念。情緒に流され過ぎず、ちょっと乾いた感じの音色で、知的な演奏だった気がします。

 マーラーの奥さんアルマは、建築家グロピウスとの間に娘マノンをもうけましたが、18歳の若さで急死。可愛がっていたベルクが彼女に捧げて作曲したのが、このヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」だそうです。ということで今日のプログラムはマーラーつながりだったんですね。

 アンコールのバッハも深みのある演奏で素晴らしかったです。
 


東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ
パリ管弦楽団

2018年12月16日
東京芸術劇場 コンサートホール

東京芸術劇場の公演案内
KAJIMOTOの公演案内

指揮:ダニエル・ハーディング
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
管弦楽:パリ管弦楽団

ベルク/ヴァイオリン協奏曲 「ある天使の思い出に」
マーラー/交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

アンコール
バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番から「ラルゴ」
エルガー/エニグマ変奏曲から「ニムロッド」

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