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2019/08/18

【オペラ】まるでギガ国!新演出の「トゥーランドット」新国立劇場

 ※日本での全公演が終わってますので、ネタバレありの感想です。

 こんかいの新国立の「トゥーランドット」は新制作。
 大野和士が芸術監督になってから、伝統的な演出のオペラより、斬新な舞台が増えてきており、今回も期待できます。
 予習のため事前に、今回の演出を担当するアレックス・オリエのインタビューを読んで見たところ、斬新な演出で、結末も変えるようなことも書いてあって、さらに期待が高まります。

 幕があくと、女性が娘と「せっせっせ」みたいなことをして遊んでおり、そこに男がやってきて女性を連れ去ろうとし、娘が逃げ出すという寸劇が行われます。
 これは、第2幕第2景でトゥーランドットが、なぜ求婚者に謎を出して次々と殺していくのか説明する部分に対応しております。そこでトゥーランドットは次のように言います。幾千年も前にルー・リン姫がこの国を治めていたが、タタールの王に敗れ、姫は引き摺り出されていった。その時の叫び声と彼女の死が私の心に宿っていて、いま復讐をしているのだと。
 幾千年も前というのは昔すぎて時代が合わない気もしますが、そんな話です。ということは、連れ去られた女性がルー・リン姫なのか?
 こちらのオペラ『トゥーランドット』リハーサル映像という動画を見ると、オリエは、「台本に書いてありますが、トゥーランドットの祖母が異国の男性に乱暴、暴力を受けた」と言ってます。すると逃げ去った子供がトゥーランドットなのか。
 字幕の翻訳が間違ってるのか?ぽん太はスペイン語はわかりませんが、よく聞いて見ると、確かにabuela(祖母)と言っているようですね。
 まさかオリエの勘違い。それともオリエの読み替えでしょうか。ホントは祖母が暴力を受けたのだけれど、そのことを国民におおっぴらに言うことは恥辱なので、遠い昔の話にしていたとか……。
 まあ、いいや。

 さて、いよいよ現在の物語が始まりますが、セットがすごい。舞台の奥と、両側面が、ジグザクの階段でちょっと強迫的に埋め尽くされた壁になっていて、ちょっと近未来的な地下工場のような雰囲気。そして地面にはボロボロの衣装をまとった民衆がうごめいております。こ、これはまるで「ギガ国」ではないか!
 映画「ブレードランナー」や、「メトロポリス」も思い出します。「ブレードランナー」に関しては、演出のオリエ自身が言及しているみたいですね。
 プッチーニは、リューの自刃までの楽譜を書き上げたところで、「トゥーランドット」を完成することなく、1924年にこの世を去りました。ちなみに死因は喉頭癌です。そして残されたスケッチをもとに、未完部分をフランコ・アルファーノが補作し、1926年に初演されました。ちなみに初演の指揮はアルトゥーロ・トスカニーニ、場所はミラノ・スカラ座です。初演のまさに初日、トスカニーニは、プッチーニの作曲部分が終わったところで指揮を止め、「マエストロはここで筆を絶ちました」と言って幕を閉めたという逸話がありますが、これにはプッチーニに対する敬意だけではなく、アルファーノに対する対抗意識も含まれていたそうです。
 で、「トゥーランドット」はプッチーニ最晩年の作品ということで、音楽的にはヴァーグナーやドビュッシーや、さらにはシェーンベルクなどの影響も受けておりました。そういう意味で、音色や和音進行がとても現代的なのですが、こういう演出で聴くとそれがさらに際立って、近未来的な風景にまったく違和感がありませんでした。

 さてエンディング。これは絶対ラストに読み替えがあるぞと踏んでいたのですが、いつものストーリーのまま普通に進行。トゥーランドットが「彼の名は、愛」と歌って、あれれ、このまま終わるのかと思ったら、いきなりナイフを取り出し、リューと同じように自ら首を掻き斬って自害いたしました。

 そ、そう来たか……。

 普通はリューの死に、愛の尊さを学ぶんですが、あんたはそこを学んだんかい。リューの屍を見つめて何やら考え込んでいたけど、そんなこと考えていたの? なんか空気読めないやつ。

 ということで、トラウマとか、ラストの読み替えとかが、ズバッと成功しているようには思えなかったのですが、このあたりをどう解釈するかは、聴衆に任されている部分もあるのでしょう。でも、伝統的な演出にもちと飽きていたので、意欲的で面白い演出だと感じました。

 歌手ですが、当日初めて知ったのですが、こんかいの公演はダブルキャストでした。新国立オペラでは初めての企画ですかね。ぽん太の行った日のメンバーは下に書いてあったから、二軍か?
 でも、タイトルロールのジェニファー・ウィルソンや、カラフのデヴィッド・ポメロイは、声量もあって悪くなかったです。ちょっとウィルソンの体型が気になったけど。
 新国立では「カルメン」のミカエラ役でお馴染みの砂川涼子がリューを歌い、これも透明で清楚で素晴らしかったです。妻屋秀和のティムールは、自害したリューに語りかける場面が涙を誘いました。

 オケが今回は、大野和士が音楽監督をしているバルセロナ交響楽団。見ればちょうど来日公演をしていたのね。なるほど。新国立オペラで外国のオケが入ったのは、ぽん太が知る限り初めてでした。
 オケの出来栄えはぽん太にはわからないのですが、ラテン的な勢いのあるエネルギッシュな演奏だった気がします。

 合唱は、今回は新国立に、藤原歌劇団とびわ湖ホール声楽アンサンブルが混ざっていましたが、よくまとまっていた気がします。




オペラ夏の祭典 2019-20 Japan↔Tokyo↔World
「トゥーランドット」

ジャコモ・プッチーニ ※フランコ・アルファーノ補筆

2019年7月21日
新国立劇場オペラパレス
公式サイト

指 揮: 大野和士          
演 出: アレックス・オリエ
美 術: アルフォンス・フローレス 
衣 裳: リュック・カステーイス
照 明: ウルス・シェーネバウム
演出補 : スサナ・ゴメス
舞台監督 : 菅原多敢弘

トゥーランドット: ジェニファー・ウィルソン
カラフ : デヴィッド・ポメロイ
リュー : 砂川涼子
ティムール: 妻屋秀和
アルトゥム皇帝: 持木 弘
ピン: 森口賢二   
ポン: 糸賀修平  
パン: 秋谷直之
官吏: 成田 眞

合唱指揮 :三澤洋史
合 唱 : 新国立劇場合唱団/藤原歌劇団合唱部/びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱 : TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽 : バルセロナ交響楽団

芸術監督 : 大野和士
制作 : 新国立劇場/東京文化会館撮

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2019/08/17

【バレエ】「ル・グラン・ガラ2019」Bプロ

 昨夜に引き続き、本日はBプロを鑑賞。
 「世界初演」の長い新作を入れた、意欲的なプログラム。有名演目の見どころを並べたそこらのガラとは、ガラが違います。

 その「マリア・カラス~踊る歌声~」は、マンチーニの振り付け。マリア・カラス自身が歌うアリアにのせて踊ります。
 無学なぽん太は、元のオペラがどんな筋で、アリアがどんな状況で歌われるどんな歌詞なのか、あんまりわからなかったせいか、今ひとつ感動しきれませんでした。マンチーニの振り付けも、いつもながら、斬新な動きなどはなく、エレガントで美しい。しかしそれは俗っぽさと裏腹であり、4組のペアがそれぞれ色分けされた衣装を着ていたり、最後にダンサー全員がマリア・カラスのポートレイトに向かってお辞儀をしたりするのは、ちょっと興ざめにも思えました。
 で、でも、悪くはなかったですよ。
 こちらの記事(『マリア・カラス〜踊る歌声』(Bプロ)の全貌が明らかに!)によると、マンチーニは、今回出演したダンサーの個性に合わせて曲を選び、振り付けをしたそうです。演劇でいう「当て書き」みたいなもんですな。なるほど、このダンサーにこの振り付けを持って来たか〜あたりまで読み取って楽しめればいいんでしょうけど、哀しいかなぽん太にはそこまでの鑑賞眼はありません。

 世界新作の前に、「ジュエルズ」から“エメラルド”と“ダイヤモンド”。衣装も踊りも見事でした。





「ル・グラン・ガラ」2019

2019年7月25日
文京シビックホール
公式サイト

Bプロ

「ジュエルズ」より“エメラルド”
2 パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ガブリエル・フォーレ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン
音楽:P.I.チャイコフスキー
アマンディーヌ・アルビッソン、ユーゴ・マルシャン

マリア・カラス~踊る歌声~(世界初演)
振付:ジョルジオ・マンチーニ

 ヴェルディ『椿姫』
 第1幕 前奏曲
 出演:全員

 (Abandonne 捨てられた)
 ベッリーニ『夢遊病の女』
 第2幕第2場 “ああ、信じられない”
 出演:マチュー・ガニオ&アマンディーヌ・アルビッソン

 (Jeuness et fraîcheur 若さと新鮮さ)
 ベッリーニ『清教徒』     
 第1幕第3場  “私は美しい乙女“
 出演:レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ

 (Solitude 孤独)
 グルック『オルフェオとエウリディーチェ』  
 第3幕第1場  “われエウリディーチェを失なえり” 
 出演:オニール八菜&オードリック・ベザール

 (Force 強さ)
 ビゼー『カルメン』         
 第2幕 "ジプシーの踊り“ 
 出演:ドロテ・ジルベール&アマンディーヌ・アルビッソン&
 レオノール・ボラック&オニール八菜

 (Une lettre de Maria Callasマリア・カラスの手紙) 
 ヴェルディ『椿姫』  
 第3幕 前奏曲 

 カタラーニ『ラ・ワリー』
 第1幕 “さようなら故郷の家よ”
 出演:マチュー・ガニオ&ジェルマン・ルーヴェ&ユーゴ・マルシャン&オードリック・ベザール

 ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』
 第4幕第1場 “恋はバラ色の翼に乗って”
 出演:ドロテ・ジルベール&ユーゴ・マルシャン

 フィナーレ
 ベッリーニ『ノルマ』
 第1幕第1場  “清らかな女神よ”
 出演:全員

 ヴェルディ『椿姫』
 第3幕 “さようなら、過ぎ去った日々よ”
 出演:全員

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2019/08/16

【バレエ】たった8人だけど見ごたえ十分「ル・グラン・ガラ」Aプロ

 7月下旬、パリ・オペラ座のダンサーたちが踊る『ル・グラン・ガラ』を観に行って来ました。
 テクニックに走らず、エレガントで、表現力があって、さすがパリオペ。素晴らしかったなぁ。おまけに席が、なぜか前から二列目(ちょっと端っこだったけど)が取れたので、動きや表情を細かく見ることができたのも嬉しかったです。
 たった8人だけの公演でしたが、とても見ごたえがあり、充実した舞台でした。

 一つひとつの感想は……。だいぶ時間がたったので忘れちゃったよ。覚えてることだけメモ程度に……。

 ハナからオニール八菜が登場し、「眠れる森」。ちょっと動きが硬く、バタバタしてたかな〜。緊張してたのかもしれません。

 続いて、ジルベールとガニオによる、「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”。いきなりキタ〜〜〜という感じ。今回来日したダンサーたちは皆素晴らしかったですが、ジルベールとガニオはさらワンランクが上という印象があります。表現力というか、ドラマ感が半端ない。映画の一コマを見ているような気持ちになる。絶品ですな。

 アルビッソン、ベザールの「失われた時を求めて」より“囚われの女” 。ぽん太は踊りの背景の物語を知らないので、ちょっと感情移入しづらいです。小説の「失われた」は何度かトライしたのですが、すべて挫折。今読んでる「源氏物語」が終わったら、再トライしてみようかしら。岩波文庫の吉田一義訳が読みやすいとの噂。

 ポラック、ルーヴェの「白鳥の湖」グラン・アダージョ。しっとりとして、エレガントで素晴らしかったです。ルーヴェのジャンプも高くて大きかったです。

 オニール八菜が再び登場して「ヘルマン、シュメルマン」。今度は見違えるように動きがよかったです。マルシャンがしっかりとリード。

 ガニオとベザールの「プルーストー失われた時を求めて」より“モレルとサン=ルー” 。怪しい雰囲気が良かったです。

 日本初演の「クロージャー」。振り付けのジュリアーノ・ヌネスは、ブラジル出28歳の新鋭振付家とのことですが、ぽん太はあまり面白いと思いませんでした。

 アルビッソンとベザールの、『ル・パルク』 より“解放のパ・ ド・ ドゥ” 。あの、ぐるぐる回すやつですな。ベザールって、なんか孤独な若者みたいな、独特の存在感がありますね。

 ラストは、「チャイパド」から演目を変更した「エスメラルダ」。ジルベール姐さんが得意のバランスを目一杯披露しました。



『ル・グラン・ガラ2019』

文京シビックホール
2019年7月24日
公式サイト

Aプロ

「眠れる森の美女」より
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:P.I.チャイコフスキー
オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ

「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ

「失われた時を求めて」より“囚われの女”
振付:ローラン・プティ
音楽:カミーユ・サン=サーンス
アマンディーヌ・アルビッソン、オードリック・ベザール

「白鳥の湖」第2幕より
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:P.I.チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ  

「ヘルマン・シュメルマン」 
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽 トム・ウィレムス
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン

「プルーストー失われた時を求めて」より“モレルとサン=ルー”
振付:ローラン・プティ
音楽:ガブリエル・フォーレ
マチュー・ガニオ、オードリック・ベザール

「ライモンダ」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ドロテ・ジルベール

『クロージャー』(日本初演)
振付:ジュリアーノ・ヌネス 
音楽:フランツ・シューベルト 
レオノール・ボラック、 マチュー・ガニオ

『ル・パルク』 より“解放のパ・ ド・ ドゥ”
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:W.A.モーツァルト
アマンディーヌ・アルビッソン、オードリック・ベザール

「エスメラルダ」パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 
音楽:チェザーレ・プーニ 
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン

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2019/06/28

【演奏】30年ぶりの山下洋輔の肘打ち「ラプソディ・イン・ブルー」調布国際音楽祭オープニングコンサート

 なにやら調布で国際音楽祭があって、山下洋輔が「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏し、しかも入場料が500円と聞いて、こりゃぁ行くっきゃねェな、てなもんで行ってきました。

 山下洋輔の「ラプソディ・イン・ブルー」といえば、前回聞いたのは確か30年くらい前だったような気がします。当時クラシック一辺倒だったぽん太がこの曲をわざわざ聴きに行くことは考えづらいから、新日本フィルの定期会員だった時に聴いたのでしょうか。ううう、よく覚えてません。

 当時の山下洋輔といえば飛ぶ鳥落とす勢い。アドリブがえらく長くて、激しくて、得意の肘打ちも飛び出しての大熱演だった記憶があります。
 はたして30年ぶりの今回はどうなるのか?

 舞台に現れた山下洋輔は、足元も少しおぼつかない感じ。演奏もかなりゆっくりしたテンポで、指も十分回ってない感じでした。さすがに歳とったな〜。でも、あれから30年だから仕方ないか。

 しかし、後半になってきてだんだんエンジンがかかってきたようで、激しいアドリブは、ちゃんと弾いてるんだかめちゃくちゃなんだかわかんない。氏の現在の体力を考えると、力の限りの大熱演だということが伝わってきます。懐かしの肘打ちも登場しました!!

 今回の伴奏はオーケストラではなく、地元の中高生からなるブラスバンド。彼ら/彼女らは山下の演奏をどう思ったのでしょうか。「こりゃあすごい」「めちゃくちゃ弾いてるだけじゃん」。いずれにせよ、強烈な記憶として残ったことでしょう。


 もう一曲は、公募の合唱団(こちらは、おじさん・おばさん主体)を加えての、ベートーベンの第九の第4楽章の後半。これもなかなか良かったです。


 調布がこのような音楽祭を開いているとはしりませんでした。今年で7回目だそうです。深大寺の本堂で開かれるコンサートも魅力的でしたが、切符が取れませんでした。

 

 

調布国際音楽祭2019

オープニング・コンサート

調布国際音楽祭公式サイト

2019年6月23日
調布グリーンホール 大ホール

曲目
  ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
  George Gershwin(arr. Donald Hunsberger):Rhapsody in Blue
  ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」より 第4楽章(吹奏楽版)抜粋
  Ludwig van Beethoven(arr. Hisaatsu Kondo):4th movement from Symphony No. 9 in D minor,Op.125 (Wind Orchestra Version), excerpts

出演
  指揮:鈴木優人 Masato Suzuki, Conductor
  ピアノ:山下洋輔 Yosuke Yamashita, Piano
  ソプラノ:澤江衣里 Eri Sawae, Soprano
  アルト:布施奈緒子 Naoko Fuse, Alto
  テノール:谷口洋介 Yosuke Taniguchi, Tenor
  バス:渡辺祐介 Yusuke Watanabe, Bass
  調布国際音楽祭特別編成吹奏楽団 CIMF Special Wind Orchestra
    芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー Geigeki Wind Orchestra Academy
    調布市立第三中学校 Chofu III Junior High School
    調布市立調布中学校 Chofu Junior High School
    東京都立調布北高等学校 Tokyo Metropolitan Chofu-kita High School
    明治大学付属明治高等学校・中学校 Meiji University Meiji High School, Meiji Junior High School
  調布国際音楽祭特別編成合唱団 CIMF Special Choir

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2019/06/27

【バレエ】オシポワ/ムンタギロフの「ドン・キホーテ」英国ロイヤル2019

 オシポワちゃんがドンキを踊るというので観てきました。

 オシポワのドンキというと、今をさること11年前、ボリショイ・バレエの来日公演でワシーリエフを相手に踊った衝撃的なステージが記憶に残ってます。空いてる日程で選んだ公演で、「オーシポワ?(当時はオーシポワと表記してましたね)知らねえなあ。まあ、いいか」みたいな感じでみ始めたら、二人のあまりの身体能力に腰を抜かしそうになった記憶があります。ワシーリエフの片手片足リフトも凄かったです。

 で、久々のオシポワちゃん。まだまだ健在でした。凄かったです。

 出だしでののけぞりジャ〜〜ンプこそ、振り付けの関係かありませんでしたが、大きくてキビキビした動き、バランスと安定性は以前のまま。そして表現力は格段にレベルアップしております。
 並んだ闘牛士たちが布をフリフリする前を回転して進んでいくところのスピードはものすごく、客席からどよめきがおきました。最後のグランフェッテも、前半は高速のドゥブルで全てを通し、後半はシングルでさらに速度をあげ、軸のぶれもまったくありませんでした。なんだかバレエというよりは、体操競技やフィギュアスケートを見ている気分でした。

 お相手のキトリはムンタギロフ。ガラでは何度かお目にかかりましたが、全幕を見るのは初めてでした。長身でスタイルが良く、足が細長くてジャンプ力があるので、浮遊感がハンパないです。これなら長身のオシポワちゃんに十分対抗できますね。3幕のヴァリアシオンの、開脚回転ジャンプは、とても大きく見えました。
 ただ、片手リフトは意外とあっさりやってました。ちときつかったのか?


 振り付けは、キューバ出身のカルロス・アコスタ。元々の英国ロイヤルの振り付けを見たことがないので、どこまでが彼の工夫なのかよくわかりませんが、よく見る振り付けとはだいぶ違ってました。
 メルセデスのナイフの踊りはなく、並んだマグカップの間を一回だけ踊りました。ジプシーの場面も群舞主体になっており、この方がいいような気がしました。ギターの演奏のシーンも初めて見た気がします。
 ドリアードの世界も、背景に大きなガーベラのような花が咲き乱れていて、ということはドリアードたちが小さいのか?ひょっとしてイギリスの妖精と重なってるのかな、などと思いました(妖精には詳しくないので全然違うかも)。
 機械仕掛けのロシナンテは、ちょっと浮いている感じがしました。

 一番に感じたのは、タイトルロールのドン・キホーテに重きを置いていたこと。普通この演目は、「ドン・キホーテ」という題名ではあるものの実際はキトリとバジルの物語で、ドン・キホーテは付け足しという感じですが、アコスタの演出では、ドン・キホーテは主役とまではいかないものの、彼の狂気と愛と悲しみが丁寧に表現されておりました。
 冒頭でドン・キホーテは、白いケープをまとった女性(ドゥルシネア姫でしょうか)の幻影に魅了されます。一方で黒い布を頭からすっぽりかぶった何かに脅かされます(こちらは恐怖の表現か?)。第一幕の広場では、突然舞台がブルーに暗転すると、ドゥルシネア姫の幻影が現れ、ドン・キホーテがキトリをドゥルネシア姫と混同していることが示されます。それ以外にも、ドン・キホーテはなんども宙を見つめながら、何かに気を取られているような仕草をします。風車に襲いかかるところでも、皆がギターを弾きながら踊っているなかで、次第に精神が混乱していく様子が表現されています。
 ドン・キホーテが高齢なので、なんだかぽん太は認知症のおじいさんを前にしているような感じにして、気の毒に思われました。

 エスパーダのズッケッティは、ちと背が低くて、闘牛士らしい花が感じられませんでした。

 最後に端役(ガマーシュと結婚する人)なのに花束もらっていたのは、ヌニュスでしたでしょうか?

 久々に素晴らしいバレエ公演を観れたな、という感じで、大満足でした。

 

 

英国ロイヤル・バレエ団 2019年来日公演
「ドン・キホーテ』

NBSの公式サイト

改訂振付:カルロス・アコスタ/マリウス・プティパの原版に基づく
音楽:ルトヴィク・ミンクス
編曲:マーティン・イエーツ
美術:ティム・ハットリー
照明デザイン:ヒュー・ヴァンストーン

ドン・キホーテ:ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ(従者):フィリップ・モズリー
ロレンツォ(宿屋の主人):クリストファー・サンダース
キトリ(ロレンツォの娘)/ドゥルシネア姫:ナターリヤ・オシポワ
バジル(床屋の青年):ワディム・ムンタギロフ
ガマーシュ(裕福な貴族):トーマス・ホワイトヘッド
エスパーダ(闘牛士):ヴァレンティノ・ズッケッティ
メルセデス(街の踊り子):ベアトリス・スティックス=ブルネル
キトリの友人たち:メーガン・グレース・ヒンキス、アンナ・ローズ・オサリヴァン
ジプシー(ソリスト):ロマニー・パイダク、ルカス・ビヨンボウ・ブランズロッド
ドリアードの女王:クレア・カルヴァート
アムール(キューピッド):イザベラ・ガスパリーニ
ドゥルシネア姫(第1幕):ヘレン・クロフォード
ファンダンゴ(ソリスト):ジーナ・ストーム=ジェンセン、リース・クラーク
街人たち、闘牛士たち、ジプシーたち、森の精たち:英国ロイヤル・バレエ団 ほか

指揮:マーティン・イエーツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ギター演奏(舞台):デイヴィッド・バッキンガム、トーマス・エリス、フォーブス・ヘンダーソン、ナイジェル・ウッドハウス

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2019/06/14

【歌舞伎】つっころばしのじゃらじゃらから一気に悲劇へ・仁左衛門の「封印切」2019年歌舞伎座昼の部

 本日は昼の部の鑑賞。お目当はもちろん仁左衛門の「封印切」。こちらが公式サイトです。
 先日の夜の部の三谷歌舞伎では若い女性がいっぱいでしたが、本日の昼の部は、いつもの客層に戻ってました。

 仁左衛門の「封印切」は、ぽん太は初めてだと思います。少なくともこのブログを検索しても出てきません。これまで見たのはほとんど藤十郎でした。
 仁左衛門の忠兵衛は、出だしは完全につっころばし風。梅川とのやりとりもなよなよデレデレして、滑稽というか、喜劇風でさえあります。そこまでやるかという感じで、見ていて微笑んでしまいます。藤十郎の場合は、この辺りは節度をもって演じて、大阪はんなり風の情感を醸し出してました。
 こんな調子では、八右衛門とのやりとりや、最後の死への旅立ちはどうなるんだろうと心配になりましたが、そこは仁左衛門、芸と格好良さで、一気に悲劇へと突き進んで行きました。
 愛之助の八右衛門は、ぺらぺらとリズミカルに滑稽に話すのではなく、やや抑えた芝居的でシリアスな演技。藤十郎の忠兵衛は、テンポ良いやり取りの中でカーッと頭に血が上って封印を切ってしまう感じでしたが、仁左衛門の場合は、八右衛門の悪口に対する怒りや、自分が馬鹿にされるのを見ている梅川の苦しみに対する思い、治右衛門やおえんの手前でのメンツなどの様々な心理が読み取れました。
 茶屋で梅川と二人きりになった忠兵衛が外の様子を伺う時、仁左衛門の表情は、冒頭のつっころばしの忠兵衛とは同一人物とは思えない厳しい表情でした。
 久々に素晴らしい舞台を堪能できました。

 「寿式三番叟」では、幸四郎と松也が元気いっぱいに三番叟を踏みました。

 「女車引」は、魁春、雀右衛門、児太郎の華やかな踊り。「車」は出てこないんですね。

 吉右衛門の「梶原平三誉石切」は、明るくおおらかで暖かみがありました。



六月大歌舞伎

歌舞伎座
2019年6月13日

昼の部

一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
  松本幸四郎・尾上松也 三番叟相勤め申し候
    三番叟  幸四郎
    三番叟  松也
    千歳  松江
    翁  東蔵

二、女車引(おんなくるまびき)
    千代  魁春
    八重  児太郎
    春  雀右衛門

三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
  鶴ヶ岡八幡社頭の場
    梶原平三景時  吉右衛門
    大庭三郎  又五郎
    俣野五郎  歌昇
    梢  米吉
    大名山口十郎  桂三
    同 川島八平  松江
    同 岡崎将監  種之助
    同 森村兵衛  鷹之資
    囚人剣菱呑助  吉之丞
    奴萬平  錦之助
    青貝師六郎太夫  歌六

四、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
  封印切
    亀屋忠兵衛  仁左衛門
    傾城梅川  孝太郎
    丹波屋八右衛門  愛之助
    阿波の大尽  由次郎
    槌屋治右衛門  彌十郎
    井筒屋おえん  秀太郎

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2019/06/13

【歌舞伎】犬ぞりが見どころ!三谷幸喜の「風雲児たち」は2019年6月歌舞伎座夜の部

 歌舞伎座六月大歌舞伎は、久々に昼の部と夜の部の両方を鑑賞することにしました。昼の部は仁左衛門の「封印切」がお目当。そして夜の部は、三谷幸喜の新作の通しです。
 まずは夜の部から。こちらが公式サイトです。


 原作はみなもと太郎の漫画とのこと。みなもと太郎というと、ぽん太は『ホモホモ7』しか知りませんが、こんな漫画も描いていたのか……。なになに、現在も連載中? なんと、まだ生きてたのか! 現在72歳やて。ぜ、ぜひともお元気で……。


 三谷歌舞伎ということで、いつもと客層が全然違って、若い女性が多かったです。

 肝心のお芝居は、前半はちょっとダレてて、「ええっ?三谷幸喜ってこんなもの?」という感じでしたが、犬ぞりが出てきたあたりから面白くなってきました。一斉に背景の幕の下からハスキーちゃんたちが出てきて可愛かったです。やんちゃな子犬たちなのか、盛んにじゃれあっていて、一部ではどんどん乗っかって団子みたいになってましたな。ホントに三階さんたち、何でもできますね〜。

 ラックスマン親子を二役で演じる八嶋智人が出てくると、とたんにテンポが良くなりました。さすがです。
 やっぱり、歌舞伎と演劇ではセリフ術が違うんですね。前半がダレてるように感じたのも、そのせいかも。
 対して歌舞伎陣が本領を発揮したのは、大黒屋光太郎と、脚が壊疽を起こした庄蔵、ロシアに留まることを決めた愛之助のやりとり。歌舞伎というのは、矛盾に引き裂かれた人間たちの叫びで、観客を泣かせる芸なんだなと、再認識いたしました。

 猿之助の庄蔵は、得意の大絶叫。エカテリーナはゴージャスなおばさんみたいで良かったです。松也が黒縁メガネのスーツ姿で巧みな口上。磯吉って、いったい誰が演じてるんだろうと思って見ていたら、幸四郎の息子の染五郎でした。いつの間にか大きくなってたのね。でもなかなかカッコいいです。
 男女蔵の小市、折れたマストで頭を打って認知能力を失った男性を好演。高麗蔵のアグリッピーナ、おもちゃ箱からマトリョーシカが飛び出てきたみたいで可笑しかった。こんな一面もあったのねん。白鸚のポチョムキン、歌舞伎よりぜんぜんいいです。

 第三幕だけ大向こうさんがひとり入ってました。よくこんな芝居でタイミングよく声をかけられるなと思いましたが、意外と歌舞伎の間で演じられているのかもしれません。
 歌舞伎の構成要素として大向こうが大切と言われても、これまで実際のところ、ぽん太にはよくわからなかったのですが、現代劇に大向こうが入ることで、その重要性がよくわかりました。大黒屋光太夫が、「さては新蔵は、庄蔵とともにロシアに残るために、洗礼を受けたんだな」と気がつくための間(ま)に、「高麗屋!」と大向こうが入ったのですが、実に見事なタイミングでした。


六月大歌舞伎

2019年6月12日
歌舞伎座

夜の部

  みなもと太郎 原作
  三谷幸喜 作・演出
  三谷かぶき
月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)
風雲児たち
  大黒屋光太夫  幸四郎 
  庄蔵/エカテリーナ  猿之助
  新蔵  愛之助
  口上  松也
  キリル・ラックスマン/アダム・ラックスマン  八嶋智人
  マリアンナ  新悟
  藤助  廣太郎
  与惣松  種之助
  磯吉  染五郎
  勘太郎  弘太郎
  藤蔵  鶴松
  幾八  松之助
  アレクサンドル・ベズボロトコ  寿猿
  清七/ヴィクトーリャ  宗之助
  次郎兵衛  錦吾
  小市  男女蔵
  アグリッピーナ  高麗蔵
  ソフィア・イワーノヴナ  竹三郎
  九右衛門  彌十郎
  三五郎/ポチョムキン  白鸚

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2019/06/02

【オペラ】フアン・フランシスコ・ガテルのオッターヴィオに感動!「ドン・ジョヴァンニ」新国立劇場

 新国立劇場の「ドン・ジョヴァンニ」はすでに何回か見た演出。またか、という気持ちで観に行ったのですが、聴いてびっくり。歌手のレベルが高かったのでしょうか、いままでにない満足感を得ることができました。

 まずは序曲。ん? 迫力がないな〜。低音も響かないし。4階席だからいけないのかしらん、と思って覗き込んで見たら、コントラバス3台の小編成でした。ぽん太はよく知らんけど、モーツァルトの頃の楽器編成なんでしょうか。でもそれだったら、中劇場くらいのハコで見たいよな〜。

 特筆すべきはドン・オッターヴィオ役のフアン・フランシスコ・ガテル。「彼女の心の安らぎこそ」は素晴らしく、特に小さな声の部分が美しかったです。これまでぽん太は、オッターヴィオは端役に過ぎず、彼女を寝取られながら「父親がわりに」とか「愛」とか「真心」とかほざいている木偶の坊かと思っていたのですが、こんかいのアリアには誠実さと真実の愛を感じました。観客の拍手も多かったですね。
 彼の歌を聴いて、ぽん太はこれまでドン・ジョヴァンニの見方を間違えていたんじゃないかと思いました。近代の演劇のように、全体のストーリ展開や登場人物の心理を考えすぎたために、オッターヴィオが間抜けに見えていたんだと思いました。そうじゃなくて単純に、いろんなキャラの登場人物が出てきて、それぞれ素晴らしいアリアを歌う、と思う方が、しっくりくるみたいです。

 ドンナ・アンナについても、ぽん太は敬虔で清らかな女性という印象をもっていたのですが、マリゴーナ・ケルケジは、ちょっとアダっぽい感じ。新国立の「実は女たちはドン・ジョヴァンニを愛していた」という結末には、合っているように思いました。

 ドン・ジョバンニのニコラ・ウリヴィエーリは、単なるどすけべではなくて、ちょっと暗い影を持っており、このオペラの悲劇的な色調に合っていました。女遊びを楽しんでいるというより、何かに突き動かされているという感じがしました。レポレッロのジョヴァンニ・フルラネットはお上手。ドンナ・エルヴィーラは日本人の脇園彩。初めて聞かせていただきましたが、外人勢にまったく聴き劣りせず。今後が楽しみです。妻屋秀和がはまり役の騎士長。

 

「ドン・ジョヴァンニ」/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Don Giovanni / Wolfgang Amadeus MOZART

新国立劇場オペラパレス
2019年5月22日

新国立劇場公式サイト


指揮:カーステン・ヤヌシュケ
演出:グリシャ・アサガロフ
美術・衣裳:ルイジ・ペーレゴ
照明:マーティン・ゲプハルト
再演演出:三浦安浩
舞台監督:斉藤美穂

ドン・ジョヴァンニ:ニコラ・ウリヴィエーリ
騎士長:妻屋秀和
レポレッロ:ジョヴァンニ・フルラネット
ドンナ・アンナ:マリゴーナ・ケルケジ
ドン・オッターヴィオ:フアン・フランシスコ・ガテル
ドンナ・エルヴィーラ:脇園 彩
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:九嶋香奈枝

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

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2019/06/01

【文楽】大河ドラマを1日で見た感じ 「妹背山女庭訓」2019年5月国立劇場

 5月の国立劇場文楽公演は、「妹背山婦女庭訓」の通し。これまで部分ぶぶんは見たことありますが、妹山背山の話しと、お三輪ちゃんの話がどう関係しているのかがさっぱりわからないぽん太とにゃん子、通しで見れるのはうれしいです。
 こちらが特設サイト、そしてこちらが国立劇場のサイトです。 

 通しで見ると、本筋に枝葉の話が絡みながら、クライマックスへと進んでいく流れがよくわかりますね。江戸時代の人は、このような複雑な構造を持つドラマをよく作ったものです。歌舞伎でも、歌舞伎座などは名場面集になってしまっていて、それはそれで面白いけど、たまには通しをやってほしいもの。最近通しが減った気がします。ぜひ国立劇場の方で頑張って欲しいです。

 第一部は若手中心。でも、これまで知らなかったストーリーが演じられます。蘇我蝦夷子が藤原鎌足を追い落とそうとする発端。雛鳥と久我之助の出会いは、腰元が気を利かせて仲を取り持つのが面白く、吹き矢の筒をつかって内緒話で思いを伝え合うというアイディアが秀逸です。後半には登場しない采女の局も絡んできます。
 前半は、蘇我蝦夷子が謀反を企てる悪者なのですが、息子の入鹿は父の悪行を嫌って出家をしています。さらに謀反の証拠の連判状を帝に差し出し、蝦夷子を切腹に追い込みます。あれれ、入鹿って善人に描かれてるのかな〜などと思ったらさにあらず。器量の小さい父のやり方は生ぬるいと考え、父を殺して自分が帝の地位につこうという企みだったのです。う〜ん、やっぱり入鹿は悪いやつですね〜〜。
 二段目は、天智帝を匿う猟師芝六の悲劇。これは泣けます。

 咲太夫が芝六忠義を語りました。よいのですが、ちょっとキレがないです。太宰館の段の靖太夫は、顔を真っ赤にして熱演。倒れるんじゃないかと心配でした。人形遣いも若手中心でしたが、最後は玉男、勘十郎、和生が登場。さすがに舞台が引き締まりました。


 第二部は、歌舞伎では見たことがある「妹背山の段」から。歌舞伎では左右に二つの花道がある「両花道」の演出ですが、文楽では左右に床があって、掛け合いになるんですね。蓑助の遣う雛鳥ちゃんがとっても可愛らしかったです。歌舞伎では高齢男性が演じるのを脳内変換しながら見るのですが、やはり人形の方が脳内変換しやすいです。それから歌舞伎では、大判事清澄が書を読んでる横で、白装束の久我之助が腹を切り、清澄が「早まったな〜」とびっくり仰天します。隣で腹を切ってるんだから気づけよ〜とツッコミたくなりましたが、文楽ではそういう変な感じはありませんでした。この段、泣けました。千歳太夫、声はでかいが、柔らかさがなくてカクカクしすぎて変な感じ。妹山の呂勢太夫と織太夫は、まだまだ楷書。

 四段目は、いつもの通りひたすらお三輪ちゃんが可哀想。現代だったら完全にセクハラのパワハラですな。そのお三輪ちゃんは勘十郎が使いましたが、元気というかシャキシャキしてるというか。橘姫が求馬を訪ねてきたのを見て、腹を立てたお三輪ちゃんが求馬に対し、「何なのよこの女。求馬さんには私という許嫁がいるんだから、ちゃんと言いなさいよ」という感じで迫るあたりは、ちょっと大げさに滑稽に演じてました。

 入鹿を討つ場面と、五段目は省略。こんかいの上演だけで、10時半に始まって終演が21時ですから、省略は仕方ないでしょう。
 

 

通し狂言「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」
国立劇場
2019年5月文楽公演

【第一部】
2019年5月23日観劇

大序  大内の段
          硯太夫
          亘太夫
          小住太夫
          咲寿太夫
          清允
          燕二郎
          錦吾
          清公
   小松原の段
     久我之助 芳穂太夫
      雛鳥  咲寿太夫
      小菊  南都太夫
      桔梗  文字栄太夫
      玄蕃  津國太夫
      采女  小住太夫
          團吾
     蝦夷館の段
       口  亘太夫
          清公
       奥  三輪太夫
          清友

二段目 猿沢池の段
          希太夫
          友之助
    鹿殺しの段
          硯太夫
          錦吾
    掛乞の段
          睦太夫
          寛太郎
    万歳の段
          織太夫
          清志郎
      ツレ  燕二郎
    芝六忠義の段
       切  咲太夫
          燕三

三段目 太宰館の段
          靖太夫
          錦糸

 人形役割
    蘇我蝦夷子 玉佳
    中納言行主 清五郎
    大判事清澄(大内)玉勢
    宮越玄蕃  勘市
    皇室定高(大内)玉誉
    采女    紋臣
    藤原鎌足(大内)玉翔
    荒巻弥藤次 文哉
    久我之助  玉助
    雛鳥    簑紫郎
    腰元小菊  紋吉
    腰元桔梗  玉誉
    めどの方  文昇
    大判事清澄(蝦夷子館より)玉男
    蘇我入鹿  文司
    天智帝   勘彌
    藤原淡海  清十郎
    禁廷の使  玉彦
    猟師芝六  玉也
    倅三作   勘次郎
    女房お雉  簑二郎
    大納言兼秋 玉輝
    来屋新右衛門 玉勢
    倅杉松   和馬
    鹿役人   玉路
    興福寺衆徒 亀次
    藤原鎌足(芝六忠義)勘十郎
    後室定高(太宰館)和生
    注進    玉翔
    青侍    大ぜい
    家来    大ぜい
    近習    大ぜい
    腰元    大ぜい
    官女    大ぜい
    村の歩き  大ぜい
    捕手    大ぜい


【第二部】
2019年5月12日観劇

三段目 妹山背山の段
  背山 大判事  千歳太夫
    久我之助  竹本文字久太夫改め藤太夫
       前  藤蔵
       後  富助    
  妹山  定高  呂勢太夫
      雛鳥  織太夫
       前  清介
       後  清治
       琴  清公

四段目 杉酒屋の段
          津駒太夫
          宗助
    道行恋苧環(こいのおだまき)
     お三輪  芳穂太夫
      求馬  靖太夫
      橘姫  希太夫
          咲寿太夫
          碩太夫
          勝平
          清丈
          寛太郎
          錦吾
          燕二郎
    鱶七上使の段
          藤太夫
          清来馗
    姫戻りの段
          小住太夫
          友之助
  同  金殿の段
          希太夫
          團七

 人形役割
    雛鳥(前) 簔紫郎
    腰元小菊  紋吉
    腰元桔梗  玉誉
    久我之助  玉助
    大判事清澄 玉男
    後室定高  和男
    雛鳥(後) 簑助
    丁稚子太郎 紋秀
    橘姫    一輔
    求馬実は藤原淡海 清十郎
    お三輪   勘十郎
    お三輪母  簑一郎
    宮越玄蕃  勘市
    荒巻弥藤次 文哉
    蘇我入鹿  文司
    両氏鮒七実は金輪五郎 玉志
    豆腐の御用 勘壽
    金殿の官女 勘介
    金殿の官女 玉路
    金殿の官女 簑之
    金殿の官女 玉延
    官女    大ぜい
    花四天   大ぜい

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2019/05/30

【舞踊】これがAKBの発祥であった? 東をどり2019年

 ぽん太都にゃん子は、新橋演舞場に「東をどり」を観に行ってきました。もちろん初めてです。普段は見れない世界の一部を垣間見ることができました。こちらが公式サイトです。

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 京都では、毎年4月に芸妓・舞妓さんたちが踊りを披露する都をどりが有名ですが、それに倣って新橋芸者が芸を披露するのが東をどり。大正14年の新橋演舞場のこけら落としとして行われたのが始まりだそうです。

 開場前、新橋演舞場に集まってきている客層が全然違います。ぽん太とにゃん子が見たことがない人たち。着物のご婦人方、高齢のご夫婦もいれば、業界風というか、遊び人風というか、銀座の夜でブイブイ言わせてる感じの人たちが、ママと連れ立って来てるみたいなのも。う〜ん、同じ東京に暮らしながら、こういう人たちとは接点なく暮らしてるんだな〜。面白いな〜。

 入場したら、インターネットで得た情報にしたがって、まずはお茶席へ。芸者さんがお茶を立てているのを眺めながら、榮太楼のお菓子と抹茶をいただきました。う〜、なんか落ち着かない。

20190526_154748

 ついで二階ロビーで升酒と酒肴をいただきました。

 ちなみにドン・ペリニヨン・ブースには、お金持ちの遊び人さんたちが群がってました。

 そうこうしているうちに舞台が始まります。
 さすがに歌舞伎と違って、本物の女だけあって、可愛いです。フェロモンが感じられます。唄や楽器も女性。マイクを使っているのは、普段はお座敷で披露しているわけですから仕方ないですね。

 幕間を挟んで後半は、賑やかなお囃子に始まり、白波五人男を模した新橋五人女ではベテラン(高齢)の芸者さんが奮闘。座敷唄メドレーでは、お座敷で芸者遊びをしないと決してお目にかかれない唄と踊りを見ることができました。

 芸者さんたちが大勢で踊って楽しいですね〜。こりゃ、昔のAKBだな! AKBが実は日本の伝統の上にあることがよくわかりました。

 最後は全員総出で口上とフィナーレですが、その後に新橋の料亭の女将さんたちが衣装に鬘で現れ、挨拶とちょっとした出し物がありました。これがけっこうグダグダになっていて面白かったです。対照的に、芸妓さんたちの踊りがいかにうまくて、いかにピシッとそろっているかが、よくわかりました。

 う〜〜ん。ぽん太も一生に一回くらい、芸者遊びをしてみたいもんです。

 

第95回 東をどり

新橋演舞場
2019年5月26日

〈第1幕〉

上 長唄 吾妻八景 長唄連中
 男 小福 春千代
 女 きみ鶴 君二郎 小花 ぼたん たまき

下 清元 卯の花 清元連中
 男 喜美弥
 女 今千代 くに龍

〈第2幕〉

新ばしはるあき 囃子・長唄・清元連中

一、銀座囃子
   七重、秀千代、千代加、のりえ、きみ鶴、君二郎、清乃
   ちよ美、小福、ぼたん、小花、たまき、春千代
二、新橋五人女
   静香、小喜美、民、加津代、あや
三、座敷唄メドレー
 さのさ〜ぎっちょんちょん〜東雲〜ステテコ〜並木駒形〜深川くずし〜きりぎりす
   喜美勇、三重子、七重、君千代、秀千代、千代加、のりえ、きみ鶴
   君二郎、清乃、ちよ美、小福、ぼたん、小花、たまき、春千代、小夏 
四、廻り灯篭
   三重子、秀千代、君二郎
五、祭りの賑い
   男 小いく
   女 喜美勇
六、口上、フィナーレ
   全員

地方
 長唄
  唄 照代 小玉
  三味線 晶子
 清元
  浄瑠璃 多賀子 清葉
  三味線 美葉 ゆめ 小雪
 蔭囃子 百々香 ゆい

お茶席
 点前 小優
 半使 喜美緒

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