カテゴリー「芸能・芸術」の761件の記事

2019/12/29

【クラシック】グイグイ押してくシモーネ・ヤングの「第九」NHK交響楽団

 今年の第九はどれにしようかな〜。やっぱり日本のオケではN響が一番なんだろうけど、ばかでかいNHKホールは嫌だしな〜。などど考えていたら、サントリーホールのN響の第九があるじゃないですか。しかも指揮者は美人のお姉さん。これにしてみよ〜っと。

 とはいえ、ラトル/ベルリンフィルの第九を聴いてしまったぽん太。そんじょそこらの演奏ではもう満足できないと思っていのですが、なかなかどうして素晴らしい演奏で、ちょっと感動しました。

 まずは、パイプオルガンの小品を何曲か。ちょっと変わった趣向だけど、クリスマスっぽくでこれはこれでいいな。目をつぶって、オルガンの響きを堪能しました。


 休憩をはさんでいよいよ第九。シモーネ・ヤングはなかなかの長身。足は細くて長いけど、胴体はぶっとくでボリュームがあるという、外人女性体型。美人指揮者というよりは、迫力あるオバサン風。最初から最後まで両腕をブンブンと振り回し続け、とってもパワフル。
 細かいニュアンスを引き出したり、各パートのバランスを整えたりという指揮ぶりではなく、オケ全体でぐいぐい押してく感じ。もちろんダナミクスや速度の変化は工夫が感じられます。
 第三楽章では、第一主題はゆっくりめのテンポで、弦楽合奏がキラキラ光る天国的に美しい演奏。一転して第二主題はちょっと速めのテンポで、ワルツのようにも聞こえる生き生きとした音楽を奏で、見事な対比をみせてくれました。
 しかしいわゆる精神性には欠けるようで、金管のファンファーレのくだりを夢から目覚めさせる神の警告のように重々しく演奏する指揮者もいますが、シモーネ・ヤングは単なる「音楽」としてあっさり流してました。このまえ聴いたゲルギエフの悲愴とは対照的ですネ。
 圧巻は、独唱と合唱による歓喜の歌の最後の合唱によるGott。ベートーヴェンの指示がデクレッシェンドだという説もあるなか、Gottの後半を思いっきりクレッシェンドしてみせました。これにはぽん太もシビれたぜ。
 ヤングの合唱の指揮ぶりがとても見事だった気がします。歌劇場で鍛えてきたせいでしょうか。

 対する東京オペラシンガーズも声量豊かで、少人数なのに声ががんがん響いてくるし、細かいニュアンスの表現などとても素晴らしかったです。

 席がオケの横だったので、独唱の歌声はあまりよくわかりませんでした。

 楽譜は、プログラムに書いてあったように、新ベーレンライター版。第二楽章の反復は一部省略でした。

 N響は、さすがにうまかったです。聴き応えがありました。日本のオケの第九で感動したのは久しぶり
。ありがとうございました。




N響第九 Special Concert

2019年12月26日(木) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

サントリーホールの公演案内

出演
   指揮:シモーネ・ヤング
   ソプラノ:マリア・ベングトソン
   メゾソプラノ:清水華澄
   テノール:ニコライ・シュコフ
   バス・バリトン:ルカ・ピサローニ
   東京オペラシンガーズ
   NHK交響楽団
   オルガン:勝山雅世
曲目
   ヘンデル:『音楽時計のための小品集』より 
    -「天使の飛行のためのヴォランタリー」 ハ長調 HWV600
    - ジーグ ハ長調 HWV589
   アルビノーニ:アダージョ (原曲:オーボエ協奏曲 ニ短調 Op.9-2-第2楽章)
   J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV541
   ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱つき」

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2019/12/15

【オペラ】「スペードの女王」ゲルギエフ/マリインスキー・オペラ

 以前の来日公演(2008年)の「イーゴリ公」では、涙を流して感動したゲルギエフ/マリインスキー ・オペラ、今回も楽しみです。

 だけど、日曜日だというのに客席には空席が目立ちました。2/3ぐらいしか入ってなかったのでは。な、なぜ? 演目がマイナーだったからか。「オネーギン」だったら満員だったのかもね。

 「スペードの女王」は、2009年のボリショイ・オペラで観たことがありますが、あまり覚えてません。前回の記事を見てみると、なんとゲルマンは、こんかいと同じウラディーミル・ガルージンだったではないか!

 読み返してみると、10年前のぽん太は、「スペードの女王」があまり気に入らなかったようです。確かにエカテリーナ2世万歳や、モーツァルトっぽい劇中劇など、ちょっと盛り込みすぎのような気もしますが、今のぽん太には、観客に対する普通のサービス精神に思えます。
 それよりも晩年のチャイコフスキーが、「狂気」を真正面から取り上げていることに感動しました。チャイコフスキーは、彼自身はモスクワ川に入水自殺を試みて精神科医の診察を受けたりと、実生活はいろいろありましたが、音楽は常に流麗で、親しみやすかったですから。
 で、ラストでゲルマンは悔い改め、一同が彼の傷ついた魂に祈りを捧げるという展開にはびっくり仰天。あゝ、チャイコフスキーは、狂っていくゲルマンに同情していたんだ。なんかここは、聴衆を喜ばすための結末ではなく、チャイコフスキー自身の気持ちが込められたいたような気がしました。

 それからこのオペラは、音楽が素晴らしい。晩年のチャイコフスキーが、持てるものすべてを注ぎ込んで作曲したように思えます。

 ゲルギエフ指揮のオケは、メリハリがあってエネルギッシュ。狂気の物語を盛り上げました。

 ガルージンのゲルマンは、鬼気迫る演技に引き込まれました。もちろん歌も素晴らしかったです。リーザを歌ったイリーナ・チュリロワも、美声で声量もあり、「ああ、悲しみで疲れ切ってしまった」には聴き惚れました。伯爵夫人のアンナ・キクナーゼは、さすがにちょっと若すぎたか。

 アレクセイ・ステパニュクの新演出は、衣装は当時のままだが、可動式の円柱と梁による洗練されたセット。しかしサンクトペテルスブルクという場所柄か、新奇性や読み替えはなくオーソドックスな演出だと思いました。
 彫刻は、オペラグラスで見て「人形」と確信していたのに、動き出したのには驚きました。
 ただ、狂言回しみたいな子供の意味がよくわかりませんでした。

 ろころで、会場で配られたガルージンの紹介のチラシには笑いました。冒頭を引用すると、
「ウラジミール・ガルジンは、専門的に関連していて優れた歌手または演奏家であると言われるアーティストのタイプではありません。これらのカテゴリは自明のことです。」
 なんか、どこかの国から送ってくるフィッシング・メールみたいです。ジャパン・アーツさん、ちゃんとロシア語の翻訳家に依頼しましょう(^_^)。



 返す返すも、こんな素晴らしい公演に空席が目立ったのが残念でした。




マリインスキー ・オペラ
歌劇「スペードの女王」(新演出)

2019年12月1日(日) 3:00p.m.~6:40p.m.
東京文化会館

特設サイト

指揮:ワレリー・ゲルギエフ(マリインスキー歌劇場芸術総監督)
管弦楽・合唱:マリインスキー歌劇場管弦楽団・合唱団音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

台本:モデスト・イリイチ・チャイコフスキー(アレクサンドル・プーシキンの同名の小説に基づく)
音楽監督:ワレリー・ゲルギエフ
演出:アレクセイ・ステパニュク
舞台美術:アレクサンドル・オルローフ
衣装:イリーナ・チェレドニコヴァ
照明:アレクサンドル・シヴァエフ
合唱指導:アンドレイ・ペトレンコ
音楽スタッフ:イリーナ・ソボレヴァ
振付:イリヤ・ウスチャンチェフ

ゲルマン:ウラディーミル・ガルージン
トムスキー伯爵:ウラディスラフ・スリムスキー
エレツキー公爵:ロマン・ブルデンコ
チェカリンスキー:アレクサンドル・トロフィモフ
スーリン:ユーリ・ウラソフ
チャプリツキー:アンドレイ・ゾーリン
ナルーモフ:ドミトリー・グリゴリエフ
伯爵夫人:アンナ・キクナーゼ
リーザ:イリーナ・チュリロワ
ポリーナ:ユリア・マトーチュキナ
マーシャ:キラ・ロギノヴァ
家庭教師:エカテリーナ・クラピヴィナ
式典長:アンドレイ・ゾーリン
プリレーパ:アンナ・デニソヴァ
児童合唱:杉並児童合唱団

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2019/12/14

【演劇】またしても戦争説教モノ『Q』NODA・MAP

 またしても戦争説教モノ。野田秀樹、どうしちゃったんだろうね。

 休憩をはさんで、一部・二部に分かれた構成。

 一部は、言葉遊びやスピーディな場面転換がふんだんに散りばめられ、ロミオとジュリエットという物語の初々しさもあいまって、昔の野田秀樹を思わせる構成。大きな紗を利用した場面転換や舞台美術も美しい。

 ってところで、休憩を挟んだ第二部で、これをどう展開するのかが楽しみとなります。三谷幸喜みたいに、ロミジュリを裏からもう一度見たら……とかになるのかしらん?

 と、ところが話は突然シベリア抑留に!またしても戦争説教モノだ〜〜。
 しかも、単調で過酷な生活をおくる抑留者の上で、支配者の頼朝が豪華なディナーを味わうという、極めて極めて極めて陳腐な手法。
 前半のような言葉遊びも、舞台美術のアイディアもなし。舞台上でいろいろやってるけど、何ら演劇的な「出来事」は無く、ぽん太は抗議の居眠りだ〜〜。
 最後は「無名戦士などと言わないて下さい、私も一人の人間です」みたいで終わるのだが、へいぼん、へいぼん。

 ぽん太は怒り心頭でしたが、いきなりスタンディング・オベーションしてる客がいっぱいいて、びっくりしました。


 冒頭の、いくつもの扉の前にベッドが並ぶセット、見た瞬間に、2009年に新国立劇場でやった、キース・ウォーナー 演出の「ワルキューレ」を思い出しました。あんまりぴったりの写真は見つからないけど、こちらのページの写真<7><8>かな〜? 舞台が救命救急になっていて、ワルキューレたちが白衣姿でベッドを動かしたりし、死んだ戦士たちを運び入れてました。
 パクリかな〜と思ってたら、途中で野戦病院の看護師が「私たちはワルキューレ」って言ってましたね。

 また、歌舞伎の「俊寛」も入ってましたね。

 役者陣は、みなうまかったです。広瀬すず、じじいのぽん太はお名前だけはお伺いしておりましたが、初めて見てとっても美人さんでした。

 音楽はクイーンの「オペラ座の夜」というアルバムから取られているとのこと。じじいのぽん太はロックは範囲外で、「ボヘミアン・ラプソディー」も見ませんでしたし、もちろん英語も聞き取れず。クイーンをも少し知ってたら、「この曲がここで来たか〜」みたいな面白さもあったのかも。ロックって、がんがんうるさいのかと思ってたら、とっても繊細なんですね。聴いて見たくなりました。

 野田秀樹が台詞のタイミングを間違えたのか、橋本さとしに「俺がまだしゃべってるんだ〜」と怒られていたのがおかしかったです。


 野田秀樹、もう見にいくのやめようかな?でも、いっちゃうんだろうな〜。
 ここまで来たら、とことん戦争で押し通して欲しいです!





NODA・MAP第23回公演
『Q』:A Night At The Kabuki inspired by A Night At The Opera

2019年12月4日14:00
東京芸術劇場 プレイハウス


作・演出:野田秀樹
音楽:QUEEN
出演
 松たか子  それからの愁里愛(じゅりえ)
 上川隆也  それからの瑯壬生(ろうみお)
 広瀬すず  源の愁里愛/愁里愛の面影
 志尊淳   平の瑯壬生/瑯壬生の面影
 橋本さとし 源義仲/法皇/源頼朝/平の虚仮威(こけおどし)
 小松和重  平の水銀(みずがね)/平の白金(しろがね)
 伊勢佳世  六波羅禿の巴(ろくはらかむろのともえ)/巴御前/尼トモエゴゼ
 羽野晶紀  源の生母(せいぼ)/平の溺愛母(ろみまま)
 野田秀樹  源の乳母
 竹中直人  平清盛/平の凡太郎

 秋山遊楽 石川詩織 浦彩恵子 織田圭祐 上村聡 川原田樹
 木山廉彬 河内大和 末冨真由 鈴木悠華 谷村実紀 松本誠
 的場祐太 モーガン茉愛羅 柳生拓哉 八幡みゆき 吉田朋弘 六川裕史

美術:堀尾幸男 
照明:服部基 
衣裳:ひびのこづえ 
美粧:柘植伊佐夫 
サウンドデザイン:原摩利彦 
音響:藤本純子 
振付:井手茂太 
映像:奥秀太郎 
舞台監督:瀬﨑将孝

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2019/12/13

【クラシック】音楽を超えたなにか・ゲルギエフの「悲愴」マリインスキー 歌劇場管弦楽団

 今回のゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団のコンサートは、オール・チャイコフスキー・プログラム。
 20代の若きチャイコフスキーの手になる初々しい「冬の日の幻想」。「白鳥の湖」「オネーギン」「ピアノ協奏曲第1番」「ヴァイオリン協奏曲」などを次々と生み出した30代に作曲された、手慣れた感じの「ロココ風の主題による変奏曲」。そして「スペードの女王」や「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」などを残した最晩年の「悲愴」。1回のコンサートで、チャイコフスキーの生涯を振り返ることができました。
 ボリュームたっぷりのプログラムで、これでC席9000円でいいの?という感じでした。

 何と言ってもお目当ては、ゲルギエフの「悲愴」。評判を聞いて楽しみにしていたのですが、期待を上回る名演でした。最後の音が消えて、ゲルギエフがゆっくりと腕を下ろして行き、観客の拍手が始まるまで、1分近くかかったんじゃないかな。終わった習慣にブラボーを叫ぶアホがいなくてよかったです。

 サントリーホールのP席で、ゲルギエフの指揮姿を真正面から見れたのですが、変な指揮ですね〜。竹串みたいな短い指揮棒をもって、両手をピラピラと小刻みに震わせ、決して脇を広げず窮屈な動き。しかも「ウッ、ウッ」としょっちゅう唸り声を上げ、たまに顔と頭を掻きむしります。
 なんか神経質というか、スマートじゃなくって、「自分に没入している芸術家」という感じ。トランス系かな?
 見ていてだんだんわかってきたけど、両手がブルブルって震えた時が「拍」なんですね。そろって「ターン」と音を出すのではなく、「ブワ〜〜ン」と弾いて欲しいのかもしれません。
 かと思うと、普通に旋律を奏でていているところで、思いっきり腕を振り下ろしたりします。
 それから、楽章の合間の休みがない。指揮棒を下ろさずにいたり、そのまますぐに続けたりします。ふだんからオペラやバレエを振っているので、休みがなくても大丈夫なのかしら?
 また、オケのメンバーが出揃ってから、指揮者が出てくるまでに間があります。なにしてるんでしょ。

 ダイナミクスが半端なく、エネルギッシュで、速度変化も多い演奏。「ゲルギエフの華麗な指揮棒さばきによる」とは思えないから、練習によって楽団員にしみついているものでしょうか。

 第一楽章の第二主題の前の静寂のタメが異様に長く、そこに静かにゆっくりと第二主題が聞こえてくるところはとても美しかったです。
 また、再現部で第二主題が出てくる直前の、慟哭を繰り返しながら鎮まっていくみたいなところ。以前に聴いた飯守泰次郎指揮の東京シティフィルで、大音量で和音を奏で、そこにゆっくりとトロンボーンの無機的なファンファーレが入り、まるでワグナーというか、さらには現代音楽のようで、ぽん太は衝撃を受けたことがあります。ゲルギエフはどう演奏するか楽しみにしていたのですが、やはりゆっくり目のテンポではありましたが、トローボーンが独特のビブラートをかけて柔らかく、感情のこもった情緒的な音楽でした。

 そして一度だけ第四楽章で鳴らされるドラ。普通は間をおかずにトロンボーンの合奏に入っていきますがが、ドラの音が小さくなって消えていくまで待っていました。お客さんも、皆、ドラの音に聞き入ります。なんかこれは、音楽の演奏会とは別の体験でした。




チャイコフスキー・フェスティヴァル2019
ワレリー・ゲルギエフ指揮
マリインスキー歌劇場管弦楽団演奏会

2019年12月5日(木) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

ジャパンアーツの公演案内

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
チェロ:アレクサンドル・ブズロフ
マリインスキー歌劇場管弦楽団

チャイコフスキー:
  交響曲第1番 ト短調 Op.13 「冬の日の幻想」
  ロココの主題による変奏曲 イ長調 Op.33
  交響曲第6番 ロ短調 Op.74 「悲愴」

アンコール(チェロ)
  J.S.バッハ:無伴奏組曲 第3番より “サラバンド”


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2019/12/12

【文楽】熊谷陣屋は歌舞伎の方が面白いかな「一谷嫩軍記」2019年12月国立劇場小劇場

 12月の国立劇場文楽は、一谷嫩軍記の通しで、陣門から熊谷陣屋まで。
 文楽では、以前に陣門から組討までは観たことがあるので(2016年9月)、熊谷桜・熊谷陣屋が初めてです。

 し、しかし、熊谷陣屋に関しては、やはり文楽より歌舞伎の方が面白いかな〜。歌舞伎の工夫の、最後の花道での熊谷直実のシーンが素晴らしすぎます。
 直実が「実は傷を負ったと抱えて運び出したのが敦盛様で、そのあと須磨浦で斬ったのが小次郎だ」と、すり替えの解説をするのも、こんかい文楽で初めて聞きました。

 文楽トップレベルの人たちが出ていなかったのも、ちょっと物足りなく感じた原因かもしれません。

 太夫さんでは、織太夫の熊谷陣屋の前が、陣屋で起きる緊迫したドラマを力強く語っておりました。
 人形では、勘彌の相模が風格ある抑制した演技の中に深い心情を漂わせ、また息絶えんとする玉織姫を、簑紫郎自身がゆらりゆらりと体を揺らして好演しておりました。目の見えなくなった玉織姫が、小次郎の首を敦盛と信じて抱きながらのくどきは、涙を誘いました。



一谷嫩軍記

2019年12月
国立劇場 小劇場


陣門の段
  小次郎  咲寿太夫
  平山   小住太夫
  熊谷   亘太夫
  軍兵   碩太夫
       宗助
須磨浦の段
       希太夫
       勝平
組討の段
       睦太夫
       清友
熊谷桜の段
       芳穂太夫
       藤蔵
熊谷陣屋の段
  前    織太夫
       燕三
  後    靖太夫
       錦糸

熊谷小次郎直家(無官太夫敦盛) 一輔
平山武者所   玉翔
熊谷次郎直実  玉助
玉織姫     簑紫郎
遠見の敦盛   簑之
遠見の熊谷   和馬
妻相模     勘彌
堤軍次     玉誉
藤の局     簑二郎
梶原平次景高  紋吉
石屋弥陀六実は弥平兵衛宗清 文司
源義経     玉佳
軍兵      大ぜい
百姓      大ぜい
奴       大ぜい

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2019/11/25

【舞踏】これぞ日本の暗黒舞踏?「のたれ●」大駱駝艦・麿赤兒

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 麿赤兒の大駱駝艦を初めて観に行ってきました。会場は世田谷パブリックシアター。

 うう、観客の年齢層が高! 70代くらいが多かったでしょうか。いわゆる全共闘世代? 紅テント見てたぜぃみたいな感じか。
 若い客層は掴んでないみたいですね。けっこう空席も多かったです。

 パンフレットや、役者名の幟が並んだ劇場の雰囲気からすると、ぽん太がたまに観に行く山海塾とくらべると、ちょっとおどろおどろしく、ちょっと下品、ちょっと寺山修司が入った感じか? 実際に観てもだいたいそんな感じでしたが、さらにユーモアも感じました。

 冒頭は、麿赤兒がむしろの上で死んでるところから始まります。

 ぽん太は山頭火のことは、「咳をしても一人」という句しか知りません、ってググってみたら、山頭火じゃなくて尾崎放哉(おざきほうさい)って人じゃん! 「分け入っても分け入っても青い山」のほうか。

 ということで、ぽん太は山頭火のことを全く知らないので、解説やネットを参考にしながら解読すると、冒頭で死んでる麿赤兒は、山頭火の母親らしい。彼が10歳の時に、父親の芸者遊びなどを苦にして、井戸に投身自殺したそうな。ということは、傍らで泣いていた少年が山頭火か。
 死んだ母親(麿赤兒)は、トラウマのように、山頭火に纏わりつき続けます。

 「行乞1」では、山頭火の分身と思われる5人の托鉢僧が現れます。お経を唱えながら客席を歩き回って喜捨を乞うのですが、不思議なことに、次第に観客が財布を取り出して鉢に小銭を入れ始めます。な、なんだこれ? 小声で「小銭入れてください」とか行ってるのかな? ぽん太の席は2階だったけど、まさかこっちには来ないだろ〜な。
 観客はクスクス。麿赤兒のユーモアを感じました。

 その後は、遊女あり、逆さ吊りあり。大正時代の浅草っぽい毛色の悪い女性のダンスあり。

 公家・坊主・武将・褊綴姿の人たちは誰でしょう。公家は「東風吹かば……」とか行ってたから菅原道眞かな。坊主は西行で褊綴姿は芭蕉で、漂泊した人たちかしら。でも菅原道眞は太宰府に左遷はされたけど漂白してないよね。よくわからん。

 最後は関東大震災かしら。そういえばあのセット、檻のようであり、雨のようでもあり、なかなかいいですよね。

 ラストで山頭火の句を団員たちが読み上げるのはちょっと興ざめ。モノマネで本人の名前を言っちゃうみたいな感じ。あれをやらなくても、これまでの舞踏の表現で十分だったと思います。
 あと、麿赤兒の踊りをもすこしたっぷり見たかったです。
 顔が大きくて、手も大きいし、ホントに舞踏向きの体ですね。
 でも全体としては、「日本の暗黒舞踏」という感じで、初めてのぽん太にはとても新鮮で面白かったです。




大駱駝艦・天賦典式
「のたれ●」

世田谷パブリックシアター
2019年11月23日(土)

振鋳・演出・美術・鋳態:麿赤兒

公式サイト

鋳態
麿赤兒
村松卓矢、田村一行、松田篤史、塩谷智司、若羽幸平、小田直哉、坂詰健太、荒井啓汰、阿蘇尊
我妻恵美子、高桑晶子、鉾久奈緒美、藤本梓、梁鐘譽、伊藤おらん、齋門由奈、谷口舞、古田真奈未、川村真奈

場面表題
1 その日  (音楽:土井啓輔)
2 行乞1
3 行乞2  (ジェフ・ミルズ)
4 御霊  (ジェフ・ミルズ)
5 恵美子シスターズ  (チェロ:Shika Udai)
6 木賃宿  (土井啓輔、ジェフ・ミルズ)
7 彼岸花  (ジェフ・ミルズ)
8 ホーイ ホイッ  (土井啓輔)
9 コロリ  (土井啓輔)
10 そしてその後  (土井啓輔)

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2019/11/24

【クラシック】巨匠の堂々たる演奏。メータ/ベルリン・フィル「ドン・キホーテ」「英雄」

 先週のウィーン・フィルに引き続き、本日はベルリン・フィル。世界一流のオケを続けて聴けるなんて、日本はいい国だなあ。

 メータがすっかり老け込んでいるのに驚きました。杖をつきながらゆっくり舞台に現れ、椅子に座って指揮をしてました。
 前回見たのは5年前で、イスラエル・フィルで、ベジャール・バレエの「第九」を振ったとき。その時は普通に元気でした。

 しかし、体は衰えても音楽は素晴らしい! メータがちょっと指揮棒を動かしただけで、ベルリンフィルがものすごく反応。

 席は前方の右端で、弦楽奏者の脚しか見えませんでした。でも、奏者たちが演奏中に足を盛んに動かし、ピクピクさせたり、踏み変えたり、時にはリズムをとったりして、全身で楽器を弾いていることがよくわかりました。
 それから、「英雄」を上皇夫妻がお聞きに来られたのですが、場所的にぽん太の席のすぐ上で、間近でお姿を拝見することができました。上皇夫妻にお目にかかるのは生まれて初めてかな? 天皇陛下は何度も会ってるのですが(山ですれ違ったこともあります)。

 「ドン・キホーテ」はあんまり聴き込んでいる曲ではないので、良し悪しはよくわからず。色彩豊かで、まるでオペラを観たかのようなストーリー性を感じました。

 「英雄」は、奇をてらったところのないオーソドックスな演奏でしたが、すべての楽器がどれひとつ埋没することなく響き合ってベートーヴェンの交響曲を作り上げ、堂々たる貫禄の演奏でした。「ベートーヴェンは普通に演奏すればいいじゃん。なんで小細工する必要があるの?」と言っているかのようでした。ベルリンフィルの演奏も、すごい集中力で目一杯演奏している感じでした。とても感動しました。



ズービン・メータ指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2019年11月20日(水) 19:00開演
サントリーホール 大ホール

指揮:ズービン・メータ
チェロ:ルートヴィヒ・クヴァント
ヴィオラ:アミハイ・グロス
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

R.シュトラウス:交響詩『ドン・キホーテ』 Op.35
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」

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2019/11/23

【バレエ】ストーリーが……ヴォロンツォーワ&ザイツェフ「パリの炎」ミハイロフスキー・バレエ

 久々にミハイロふスキー劇場バレエを見に行ってきました。

 演目は「パリの炎」にしてみたのですが、失敗だった……。ストーリーが単純すぎるというか、子供騙しのようなお話。パフォーマンスでは、最後のグランフェッテでヴォロンツォーワがドゥブルを入れまくるなど悪くはなかったのですが。「舞台」としては退屈でつまらなかったです。客席も、半分ぐらいしか埋まってなかったかな。
 ナチョ・ドゥアドが芸術監督になったとのことで、ちょっと期待していたのですが、それなら彼が振り付けた「眠りの森の美女」を観に行けばよかったです。下調べが足りませんでした。

 イワン・ザイツェフも安定した踊りでしたが、目をみはるほどのところはありませんでした。イリーナ・ペレンはさすがに魅力的。



ミハイロフスキー劇場バレエ
「パリの炎」

公式サイト

作曲:B.アサフィエフ
振付:V.ワイノーネン
改定振付:M.メッセレル

2019年11月21日(木)15:30開演
東京文化会館大ホール

ガスパール(農夫)  ロマン・ペチュコフ
ジャンヌ(農夫ガスパールの娘)  アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
ジャック(農夫ガスパールの息子)  アレクサンドラ・バトゥーリナ
フィリップ(マルセイユの青年)  イワン・ザイツェフ
ディアナ・ミレイユ(女優)  イリーナ・ペレン
アントワーヌ・ミストラル(俳優)  ヴィクトル・レベデフ

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2019/11/14

【クラシック】エストラーダ、ウィーンフィル ラフマニノフP協第3番、「春の祭典」

 みなさん、お久しぶりです。ぽん太、生きてます。
 ちょっと忙しくて、ブログを書くひまがありませんでした。

 昨夜はウィーンフィルを聴いてきました。席はP席の一番前。
 そう、ステージの奥にある席です。

 この席は、音のバランスは悪いですが、指揮者を真正面から見ることができるのが楽しみです。

 最初はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。先日、マツーエフ、ゲルギエフで凄い演奏を聴いた曲です。

 し、しかし、ピアノが聴こえない。考えてみればあたりまえです。ピアノの音は、反響板によって、向こう側に行ってしまうのですから。そのかわり、目の前にあるホルンがすごい音で響いて来ます。ご存知かと思いますが、ホルンの開口部は後ろを向いているので、音が直接こちらに響いて来ます。まるでマフラー外した族車が目の前で何台も空ぶかししている感じです。
 いろいろ試しているうちに、やや上を向いて、反響を聞くようにすると、比較的バランスよく音が聴こえることがわかりました。

 ピアノのブロンフマンは、もちろんぽん太は初めて。テクニックは素晴らしいです。マツーエフのような鬼気迫る爆発力はありませんが、そのかわり叙情性が素晴らしかったです。ラフマニノフ独特の感傷や苦悩、そして優しさが伝わって来ました。
 ピアノアンコールの、ベートーヴェンのピアノソナタ第7番の第4楽章も、テンポ感というか構造性を消して、語りかけるような、戯れるような演奏。まったく違った曲に聞こえました。
 指揮のオロスコ゠エストラーダも初めてでした。コロンビア生まれだそうですが、いわゆるラテン系というよりは、ちょっとインディオが入った感じ。笑みを浮かべながら指揮しているのが印象的でした。

 さてP席、ラフマニノフはバランスが悪かったですけど、「春の祭典」の迫力は凄かった。目のまで金管が鳴り響き、打楽器が連打!多少のバランスの乱れは関係にゃい!
 ちょっとインディオが入った系のエストラーダですが、さすがに南米のリズム感は健在で、ノリノリでした。

 アンコールはヨーゼフ・シュトラウスの『憂いもなく』。シュトラウスを演奏するウィーンフィルは、本当に楽しそう。エストラーダが途中で客席を向いて、ティンパニに合わせて拍手を要求。観客が戸惑っていると、「ダメダメ、ほら、あれに合わせて」みたいなジェスチャーをして、面白かったです。

 

ウィーン・フィルハーモニー 管弦楽団 2019年来日公演

サントリーホールの公演案内

2019年11月13日(水) 19:00開演 
サントリーホール 大ホール

指揮:アンドレス・オロスコ゠エストラーダ
ピアノ:イェフィム・ブロンフマン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』

アンコール曲
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 作品10-3より第4楽章(ピアノ・アンコール)
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル『憂いもなく』 作品271 

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2019/09/08

【歌舞伎】勘太郎の千松、長三郎の鶴千代。2019年8月歌舞伎座第一部

 歌舞伎座の八月納涼歌舞伎は、第一部のみ観劇。

 第一部のお目当は、もちろん七之助が初役で政岡をつとめる「伽羅先代萩」ですが、勘太郎の千松、長三郎の鶴千代からも目が離せません。
 「竹の間」は省略で「御殿」から。その代わり「飯炊き」が付いてました。長三郎くんの「政岡が代わりにそちが行け」を楽しみにしてたので、ちと残念でした。

 長三郎の鶴千代は、なんだかぽーっとしている感じで可愛かったです。高貴さはありません、というか、育ちのいいぼんぼんみたいな感じ。昨年11月の「実盛物語」の太郎吉の時は、じっとしてるのも大変という感じでしたが、こんかいはそんな心配もなく、ちゃんと演技してました。う〜ん、子供の成長は早いですね。
 勘太郎の千松は立派。この役はたいてい、子役が演じて可愛いな〜という感じですが、勘太郎はきっちり歌舞伎として演じており、歌舞伎的な型や動き方の面白さを感じられました。
 対照的なこの二人の成長、ホントに楽しみですね。

 七之助の初役の政岡、しっかりと演じており、破綻はありませんでした。さすがに飯炊きは手順に追われてる感じて、ちょっとバタバタしていて、動作に見とれるとこまでいきませんでした。
 殺された千松に対し、ついに母親の心情をあらわにして泣き叫ぶところは、猿之助の真似をしたのかわからないけど、ちょっとやりすぎでぽん太は好きではありません。悲しみを観客に伝えるのではなく、観客の拍手をもらおうという感じに聞こえました。

 幸四郎が八汐と仁木弾正。八汐はちょっとダミ声でしたが、悪くありませんでした。仁木弾正は巨悪の風格と美しさがありました。児太郎の沖の井。扇雀の栄御前。巳之助の荒獅子男之助は勢いがありました。




 「闇梅百物語」は、化け物が次々と出てくる楽しい舞踊。一本足の傘を踊った歌昇、宙乗りまであってご苦労様でした。



八月納涼歌舞伎
2019年8月21日
歌舞伎座

公式サイト

第一部

一、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
   御殿
   床下

  乳人政岡  七之助
  仁木弾正/八汐  幸四郎
  沖の井  児太郎
  一子千松  勘太郎
  鶴千代  長三郎
  小槙  歌女之丞
  荒獅子男之助  巳之助
  栄御前  扇雀

  三世河竹新七 作
二、闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)

  骸骨/読売  幸四郎
  傘一本足  歌昇
  小姓白梅  新悟
  河童  種之助
  新造  虎之介
  籬姫  鶴松
  狸/大内義弘  彌十郎
  雪女郎  扇雀

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