零売(れいばい)という言葉は初めて聞きました
4月1日から改正薬事法が施行されましたが、そのなかで「処方せん薬」と呼ばれる新しい医薬品分類ができたことは、ぽん太も耳にしておりました。しかし「医療機関には関係なさそうだし、いったいなんだろうな〜」ぐらいの認識でしかありませんでした。
ところが先日「日経メディカル」の記事「処方せん薬」(2005年5月号、15ページ)を読んで、謎が解けました。
記事によると「処方せん薬」は、これまでの「要指示薬」に代わるものだそうです。「要指示薬」は処方せんがなくても、医師の口頭の指示があれば薬局で販売することができました。いっぽう「処方せん薬」は、医師の処方せんがないと販売することができません。厚労省はこれまでの「要指示薬」をすべて「処方せん薬」に組み入れ、さらにこれまで「要指示薬」でなかったものも付け加えました。
で、問題はこのような制度改正を行った理由です。記事を引用してみましょう。
「今回の制度改正が医師の業務に与える影響は全くない。にもかかわらず、このような改正が行われた背景には、新潟市のある薬局が要指示薬以外の医療用医薬品を処方せんなしに売る分割販売(いわゆる零売(れいばい))を大々的に行い、地元医師会で問題になったことがある。新しい医薬品分類の創設が、零売に対して一定の歯止めをかけようとする動きだとみる向きは多い」。
ぽん太は「零売」(れいばい)という言葉を初めて聞きました。ちなみに広辞苑にも出ていません。
そこで「零売」でぐぐってみたところ、たはら整形外科のホームページ内の読売新聞の記事がヒットしました。「医師が使う医薬品、薬局が小売り」というタイトルの平成15年11月11日の記事のコピーのようです。ここには零売について、次のように解説されています。
「この“法のすき間”を突く形で、一部の薬局・薬店は、要指示薬以外の風邪薬、鎮痛剤などの医療用医薬品を仕入れ、小分けにして販売する『零売』を行ってきた。『零売』という言葉は、明治時代の薬品取扱規則などに使われている言葉。『零』には『半端』の意味があり、小分けして販売することとされる。『零売』の実態は厚労省も把握しておらず、業界関係者は『少なくとも1960年代ごろには零売の店はあったが、ひそかに行われてきたため、一般に知られなかった』と説明する。 ところが、最近になって『零売』を宣伝する店が出てくるようになった」。
確かに「零」を広辞苑で引くと、「3、はした。あまり。『零墨・零余・零本』」と書かれています。
しかし気になるのは「零売」でぐぐったときにヒットする北大付属図書館のこのページで、「零売(小売)物価統計年報 康徳4年度/満州国経済部商務司」と書かれています。ということは、中国語で「小売」のことを「零売」というのかしら? 中国語を知らないぽん太にはわかりません。確かに広辞苑で「零」のほかの意味に、「2、きわめて小さいこと。『零細』」というのも書かれています。
「零売」という言葉が中国語からきたのかどうかはわかりませんが、医薬品業界のルール違反ぎりぎりの商行為を示す業界用語として、こんにちまで生き残った言葉のようです。
ちなみに今回の改正薬事法によって「零売」がなくなるかどうかは疑問なようで、「薬種商ピックアップニュース」に「薬事法改正以後もなくならない”処方せん医薬品”零売」という記事があり、「新潟市で開局する薬局○○○○○○。零売を堂々とPRして物議を醸し、法改正の端緒になったともいわれる店主の○○○○は、「通知は厚労省の“お願い”だから、私が嫌だと言えばそれまでのこと。従来通りの経営を続ける」と、涼しげな表情で語る」(一部伏せ字にしました)と書いてあります。
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