アフリカをみちくさすることにした
ジャンボ〜。みなさんお元気ですか?
え? ジャンボって何だって? スワヒリ語で「こんにちは」という意味です。
ぽん太はゴールデンウィークにアフリカのケニアに野生動物を見に行ってきました。ライオンやキリン、サイ、チータ、ゾウなどを間近で見てきました。それに関してはホームページでそのうち公開する予定ですが、ぽん太はこの旅行をきっかけにアフリカに興味がわいてきました。というか、自分にアフリカの知識がほとんどないことに気がついたのです。ケニアがどこにあるかも、こんかい初めて知りました。
しかし、それもそのはず。ぽん太が高校時代に使った世界史の教科書を見てみると、アフリカが出てくるのは、15世紀末にヴァスコ・ダ・ガマがヨーロッパから喜望峰を迂回してカルカッタに行ったこと、19世紀半ばから後半にイギリスのリヴィングストンやスタンレーが「暗黒の世界」とされていたアフリカ大陸内部を探検したこと、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパ諸国によるアフリカの分割、そして第二次世界大戦後の諸国の独立など、数カ所に限られます。これはわれわれが学んでいる歴史が、西洋中心に作られているからです。アフリカには古くから人が暮らしていたにもかかわらず、それはかつては「未知」の大陸であって、ヨーロッパ人によって「発見」されたものなのです。子供のころから叩き込まれている西洋中心史観を改めていく努力が、われわれには必要なのだと思います。
で、手始めに、近くの本屋で売っていた『新書アフリカ史』(宮本正興、松田素二編、講談社現代新書、1997年)を読んでみました。複数の執筆者がそれぞれの専門の立場からアフリカ史を照らし出した本で、アフリカ初心者のぽん太には詳しすぎましたが、アフリカを勉強していくうえでいくつかのヒントを得ることができました。
アフリカの言語の多くには文字がなかった。確かにスワヒリ語の文字もアルファベットが使われていました。このことがアフリカが遅れた世界であると考えられてきた原因のひとつです。文字がなかったため、歴史的な資料がほとんどないのです。そこでアフリカの歴史を研究するには、口頭伝承や遺物などを用いる必要がありますが、これらは「正統的」な歴史学では資料価値が劣るとされています。アフリカの歴史を研究するには、これまでの歴史研究の方法を変えていく必要があるそうです。
またアフリカではさまざまな人々が周辺社会と活発な交流をしてきたにもかかわらず、西洋社会のような国家や階級制度を持たないという理由で、「未開社会」というレッテルを貼られて歴史の外に置かれてきました。
アウストラロピテクスや初期のホモ・サピエンスの遺跡がアフリカで発見されていたことをぽん太はこの本で思い出しました。アフリカが人類発祥の地であるというのは有力な説です。この本には書かれていませんが、ミトコンドリアDNAの解析で、現代人の祖先はアフリカの一人の女性に遡ることができるという話を聞いたことがありますが、正確にはどういうことで、どういう根拠でそういえるのか、そのうちみちくさしてみたいと思います。
奴隷貿易に関して。アフリカから奴隷として「輸出」された人々は、18世紀だけで560万人と超えると言われているそうです。当時のイギリスでは「女流婦人が黒人少年を愛玩用の子猫と同じように『飼育』することも珍しいことではなかった」(280ページ)そうです。
人種的偏見について。啓蒙時代の哲学者もアフリカ=野蛮という考えから自由でなかったらしく、モンテスキューですら『法の精神』において、「きわめて英明なる存在である神が、こんなにも真黒な肉体のうちに、魂を、それも善良なる魂を宿らせた、という考えに同調することはできない」と書いているそうです。フランスの植民地政策の推進者であったジュール・フェリーは1885年の演説で、武力によってアフリカを植民地化する理由について、「なぜなら優等人種には一つの義務があるからです。すなわち劣等人種を文明化するという義務です」(323ページ)と語ったそうです。つまり植民地化は、劣ったアフリカ人に優れたヨーロッパの文明を伝えてあげるという「親切」だというわけです。こうした考え方は、日本がアジア諸国を侵略したときの言い訳や、アメリカがアフガンやイラクで行ったことを正当化する論理とどこか似ています。
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