最近目につくダッタン蕎麦とイベリコ豚ってなに?
何年か前から、蕎麦屋などに行くと「ダッタン蕎麦」とか「ダッタン蕎麦茶」というのが目につくようになりました。また最近レストランなどに行くと、「イベリコ豚」を使ったメニューが目につきます。で、ダッタン蕎麦とかイベリコ豚というのは何でしょう。また、最近目につくようになったのはなぜでしょう。だれか仕掛人がいるのでしょうか?
まずダッタン蕎麦から。ダッタンと聞いてぽん太が思い出すのは、「ダッダーン、ボヨヨン、ボヨヨン」というコマーシャルと、ボロディンのオペラ「イーゴリ公」のなかの「ダッタン人の踊り」という曲です。で、前者は無視して後者ですが、そういえば「ダッタン人の踊り」も、どこかのコマーシャルで使っていましたね。前奏の次のメロディーだったと思います。聞きたい方は、たとえばこちらのフラットというホームページの下のほうの青色の部分に、MIDIとMP3のファイルがあります。
で、ダッタン人って何だ? まずgoo辞書で引いてみると、「だったん 【韃靼】 八世紀にモンゴル高原にあらわれたモンゴル系の一部族。のちモンゴル族の総称となり、明代では北方に逃れたモンゴル帝国の子孫を呼んだ。タタール」と書かれています。なるほど、もともとはモンゴルの一部族の名前が、やがてモンゴル全体をさすようになり、さらにモンゴル帝国の子孫までも意味するようになったということですな。そしてタタール(Tatar)と同じ意味だそうです。ところでタルタルステーキやタルタルソースのタルタル(tartar)というのは、「タタールの」という意味だそうです。知らなかった……。
ボロディンの「ダッタン人の踊り」ですが、英語ではPolivtsian Dancesとなっています。Polivtsianという語はgoo辞書にも出ていないのですが、ウィキペディアの「イーゴリ公」の項目にありました。ポロヴェツ(クマン人)のことだそうで、同じウィキペディアのクマン人の項に詳しく書いてあります。よってポロヴェツはダッタン人ではないのですが、これは誤訳というよりも、わかりやすく訳したと言われているようです。
さて、ダッタン蕎麦を調べてみると、goo辞書に出ていました。「韃靼蕎麦 【ダッタンそば】 蕎麦の品種の一。中国,モンゴル,ネパールの高地などで栽培され,稔実(ねんじつ)性がよく多収。日本では食用にされていなかったが,日本蕎麦に比べ血圧降下作用があるルチンなどを多く含み注目されている。苦みがあるため苦そばともいう」。なるほど、モンゴルで栽培されていたのですね。
また太洋物産のホームページを見てみると、「私共太洋物産株式会社は、この韃靼蕎麦(ダッタンそば)に10数年前から着目し、独自に開発輸入をしてきました。現在、日本に輸入されるダッタンそばの大部分を、太洋物産が取り扱っています」と書いてあり、ホームページを見るかぎり、ダッタン蕎麦の仕掛人のひとつのようです。
そのホームページによると、食品用のソバは普通種とダッタン種に大別され、そのダッタン種のひとつがダッタン蕎麦だそうです。味が苦いのが特徴で、苦蕎麦とも呼ばれます。栄養的にはルチンの含有量が普通のソバに比べて100倍も多く、そのほかの栄養分も豊富だとのことです。で、ダッタン蕎麦の名前の由来ですが、1840年頃にドイツの植物学者が「タータクリム」という学術名を付けたのですが、この名前は「タタール」から来ているため、ダッタン蕎麦という名ができたそうです。
なるほど、だいたいわかりました。
で、次はイベリコ豚です。
まずgoo辞書で引いてみると、「イベリコ豚 【イベリコぶた】 ブタの一品種。スペインのイベリコ(Iberico)地方で,どんぐりなどを飼料として飼育された黒豚。肉質が良く,脂肪に独特な味があり,栄養価も高いことから珍重される」。さらにググってみると、こちらのページに、イベリコ豚の特徴について詳しく書かれています。で、そこには「長い間、スペインの豚肉は禁輸でしたが、ここ1〜2年、ようやく色々な形での輸入が本格化してきました」(2004年3月の記事)と書かれています。つまり、もともと世界的に有名な食材であったイベリコ豚が、ここ数年、輸入が許可されて国内に出回るようになったということのようです。
さらにググってみると、豚肉・豚肉製品の対日輸出再開(スペイン)という2003年2月25日の記事がありました。それによると、スペイン産の豚肉の輸入は1999年に解禁されましたが、2001年6月にスペイン・カタルーニャ地方で豚コレラが発生したため、日本政府は輸入禁止措置をとりました。スペインの豚コレラの発生が治まり、日本が輸入再開をしたのが、2003年2月17日だそうです。この後、イベリコ豚が輸入されるようになったと考えると、ぽん太の実感とだいだい会っているようです。
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コメント
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コメントありがとうございました。
仕掛人のなかに信州大学農学部も混ざっていたのですか。
ある時期からあちこちのそば屋で、
韃靼蕎麦や韃靼蕎麦茶を置くようになったので、
ぽん太も気になったのです……。
確かにブーム自体は終わって、
メニューに残したところと止めたところがあるようですね。
投稿: ぽん太 | 2008/09/28 09:00
韃靼蕎麦に関しては、1990年代の健康食品ブームの中で「蕎麦には血圧降下作用のあるルチンが多い」ということが話題になり、そのルチン含量が普通の蕎麦の100倍ということで着目されました。
日本でも北海道農業試験場が品種を開発したりしてますが、日本に流通する多くの韃靼蕎麦は「太洋物産」が中国四川省や雲南省の山の中から輸入しているものです。
ただブームは過ぎ去りました。しかし韃靼蕎麦茶や蕎麦屋の中には韃靼蕎麦の麺を売り出しているところもあり、コンスタントで低空飛行しているということでしょうか。
韃靼蕎麦の仕掛け人といえば、太洋物産と雑穀を取り扱っているイナサワ商店。そして蕎麦のルチンについて研究していた信州大学農学部のグループなんでしょうね。
投稿: | 2008/09/22 15:48