『ギルガメシュ叙事詩』の大洪水で船が流れ着いた山は?
前回の記事でぽん太は、旧約聖書の『創世記』に出てくるノアの方舟が流れ着いた山が、トルコのアララト山と言われていることを書きました。ところで、ぽん太が以前の記事(『ギルガメッシュ叙事詩』を読んでみた(2005/12/25))で書いたように、『創世記』より以前に書かれた『ギルガメシュ叙事詩』のなかに、ノアの方舟のとたいへんよく似た大洪水の物語があるのです。神の指示に従って船を造って生き物を乗せ、鳩を放って洪水が引いたかどうかを調べるなど、そっくりです。そこで、『ギルガメシュ叙事詩』では、洪水のときに船が流れ着いたのがどことされているのかが気になってきて、みちくさしてみることにしました。
『創世記』のノアの方舟の物語は、紀元前10世紀頃に編集されたヤハウェ資料と、紀元前5世紀頃に編集された祭司資料からなっているとされています。『ギルガメシュ叙事詩』の洪水の物語は第XI書板に刻まれていますが、紀元前2000年頃に使われていたシュメール語の断片も見つかっているそうです。だからといって『創世記』が『ギルガメシュ叙事詩』を参照したということには、もちろんなりませんが、両者のもととなる言い伝えが古くからあったことは確かなようです。
『ギルガメシュ叙事詩』は邦訳が文庫で手に入ります(『ギルガメシュ叙事詩』矢島文夫訳、ちくま学芸文庫、1998年)。本文に、洪水のさいに船が流れ着いたのは「ニシル山」と書かれています(XI-140、邦訳125ページ)。同じページの訳注によれば、「ニシル」は「ニムシュ」とも読めるそうで、新アッシリアの資料によると、クルディスタン地方(チグリス・ユーフラテス川の中上流近辺に広がる山岳地帯)にそのような名前の山があったらしいが、正確な場所は不明なのだそうです。
邦訳193ページの解説によると、『ギルガメシュ叙事詩』のディヤコノフによるロシア語訳(1961年)の解説によると、この山は、イラン高原西方のピル・オマル・グドルン山とされているそうです。ちょっとググって見たのですが、残念ながらどこなのかわかりませんでした。
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