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2009年9月の14件の記事

2009/09/29

【舞踏】勅使川原三郎の踊りと美術はすばらしかったが舞台全体としては?「鏡と音楽」

 勅使川原三郎を初めて観てきました。勅使川原のダンスはすばらしかったですが、公演全体としては、ちと不満が残りました。
 ちなみに、こちらが新国立劇場の「鏡と音楽」の過去の公演ページで、こちらが 特設サイト、そしてこちらが勅使川原三郎・KARASの公式サイトです。
 冒頭、暗転した舞台に爆音が鳴り響くと、タービンから漏れるような回転するストロボ状の光によって、モロッコの民族衣装風のフード付きの上着をまとい、白い面を着けた人物が二人浮かび上がります。しばらくして光の方向が変わると、今度は舞台の奥に立っている何人かのダンサーが照らし出されます。近未来の廃墟的な雰囲気で、なかなか出だしは好調です。しかしその後、この冒頭シーンが展開されて行くことはありませんでした。部分ぶぶんのアイディアはすばらしいのですが、全体的な統一性というか、発展性が感じられませんでした。
 とはいえ、初めて観た勅使川原三郎の舞踏はすばらしかったです。全身を柔らかく連動させる動きは太極拳を思わせ、あたかも波に揺られる海藻のように揺らめき、ゆっくりそして時に素早く動く両手のひらは、泳ぎ回る小魚のようにも見えました。
 勅使川原と比べて、残念ながら「コール・ド・バレエ」は実力差がありすぎました。激しく両手を動かしてはいるものの、足先から頭までの連動した体幹の動きがいまいちです。また勅使川原のダンスには、何かに手を伸ばしたり、ふっと力が抜けたり、希望に満ちて立ち上がるかと思うと、アンニュイの底に沈むといった「情動」が感じられるのですが、その他のダンサーには「動き」は感じても「情動」が感じられませんでした。
 また題名にある「鏡」というのがどのように舞台に現れているのか、ぽん太にはわかりませんでした。
 影と光を使った舞台美術は視覚的にとても美しく、センスがありました。新国立劇場独特の舞台の奥行きが生かされていて、舞台奥の暗がりのなかにダンサーがフェイドアウトしていくのも、ちょっと衝撃的な視覚体験でした。
 今度は、勅使川原のソロのダンスを見てみたいと思いました。

勅使川原三郎 鏡と音楽
2009年9月27日、新国立劇場中劇場

【振付・演出・美術・照明・衣裳】勅使川原三郎
【キャスト】勅使川原三郎・佐東利穂子
川村美恵・ジイフ・鰐川枝里・高木花文・加見理一・林誠太郎・西塚大樹・ケティングナイル

2009/09/27

【温泉】心落ち着く飛騨の和風モダンの宿・新穂高温泉谷旅館(★★★★)

P9110182 気持ちはるんるん、足はへろへろで槍ヶ岳から下山したぽん太とにゃん子は、新穂高温泉谷旅館で疲れを癒しました。平成19年にリニューアルし、ぽん太とにゃん子にはネコに小判・タヌキにこんばんわの高級旅館になってしまいましたが、なんといっても槍ヶ岳様から下山した夜なので、ちょっと奮発してみることにしました。こちらが谷旅館の公式サイトです。
P9110183 建物は落ち着いた和風建築で、素朴ながらも、飛騨の山の家という感じの風格があります。冒頭の写真はお休み処谷の庵です。手入れの行き届いた広い庭園を眺めることができ、とっても気持ちが落ち着きます。開口部にはガラスが入っているので、冬でも暖かそうです。
P9110173 内装は和風モダンのインテリアとなっており、重厚な木製の調度類は、木のぬくもりを感じさせると同時に、重厚さがあります。
P9110172 寝具はベッドとなっております。洗面所やトイレも新しくて清潔で快適です。改めて部屋を眺めてみると、もともと長方形の和室の一角に洗面所スペースを作ったようで、そうすると残った部屋が鉤の手の形になりますから、このような内装にせざるを得ない面もあるようです。
P9110176 さて、この宿自慢のお風呂ですが、まず内風呂から。内風呂とはいっても、片側が一面ガラスとなっており、美しい和風庭園を眺めることができます。開いた窓からは心地よい風が吹き抜け、自然のなかにいる気分です。
P9110179 露天風呂は、混浴と、女性専用風呂があります。混浴風呂は広々としたスペースに3つの浴槽があり、女性専用風呂には4つの浴槽があります。湯量が豊富な新穂高温泉ならではか?写真は、混浴風呂の「おりひめひこぼしの湯」です。
P9110178 こちらがひのき造りの「朝霧」。透明な柔らかいお湯ですが、白い湯の花が豊富に舞います。源泉温度が高いので加水して温度調整しているようですが、循環なしの掛け流しです。
P9110184 こちらは貸し切り露天風呂。無料で借りることができます。
P9110187 夕食は、全室個室のお食事どころでいただきます。岐阜といえばもちろん飛騨牛、刺身や朴葉焼きなどでいただけます。見た目も美しい和風創作料理です。
P9120004 朝食にも朴葉焼き。少し焦げたところを白いご飯でいただくと、香ばしくてとてもおいしいです。
 建物、風呂、食事、周囲の景観とすべてが最高で、とても落ち着ける宿です。でもお値段もいいので、ぽん太の評価は4点となります。高級でありながら、素朴でくつろげる宿をご希望の方にお勧めです。

2009/09/25

【新穂高温泉から槍ヶ岳(3/3)】下山前にもう一度山頂から360度の展望を眺める

P9110123 昨日、山小屋で寝過ごすという大失態を演じたぽん太とにゃん子は、本日は早起きをして、ご来光を待ちました。残念ながら日の出の方向に雲があって、ご来光を拝むことはできませんでした。それでも夜明けの神秘的な時間を堪能することができました。写真は、南アルプス稜線に顔を出した富士山です。
5
 今日は新穂高まで下るだけの行程です。朝食後、このまま下山するのも名残惜しく感じ、もう一度槍の穂先に登ってみました。早朝でまだ空気が澄んでいて、昨日に増してすばらしい展望でした。写真の左は東で、一番右は北になります。一番左の写真では、双六名岳の向こうに雄大なカールを持つ黒部五郎岳、右側に三俣蓮華岳が見えます。右から二番目の写真では、奥には立派な稜線を持つ薬師岳が見え、手目に鷲羽岳があり、その右に黒くてピラミダールな水晶岳のピークが見えます。3枚目は遠くに赤牛岳。4枚目は、手前に先日登った野口五郎岳、遠景には劔岳と立山が見えます。一番右の写真は、蓮華岳、針ノ木岳、爺ヶ岳、鹿島槍、そして後立山の稜線です。
Photo これは南側の景観です。槍・穂高稜線の縦走路が見えています。右手前の鞍部は、飛騨乗越と呼ばれ、日本で一番高い峠だそうです。その向こうは大喰岳、中岳、南岳。大キレット越えて北穂高岳、中央の一番高いのが奥穂高岳、その左が前穂高岳、右が西穂高岳。写真右奥のやや低くて赤いのが焼岳で、遠くには乗鞍岳、木曽御嶽山が望めます。左側にのびている大きな谷は槍沢。手前の小屋が殺生ヒュッテで、右端に小さく写っているのがヒュッテ大槍です。
P9110148 宿泊した槍ヶ岳山荘の向こうに、笠ヶ岳が見えます。肩をいからせているかのような、堂々たる山容です。そのまた向こうには白山も見えました。
 他の登山客は、それぞれ次の目的地を目指して次々と出発していきましたが、ぽん太とにゃん子は槍の穂先で小一時間ぼーっとしていました。体力が落ちてくると、こういうゆったりした山たびもいいものです。
 しかし、それにつけても思うのは、北アルプスのまんなかに、こんな美しいピークを造った神様のすばらしさです。富士山と槍ヶ岳は、神様が日本に与えてくれた宝だと思います。
P9110168 なごりは付きませんが、下山するときが来ました。飛騨乗越から西へジグザグの道を下り、槍平小屋を経由して新穂高温泉に戻りました。稜線には見るみるガスがかかってきました。写真は滝谷です。稜線に見えるコブはどこになるのでしょうか?迫力ある風景です。
P9110569 雄大な景色を眺めながら昼ご飯にしました。槍ヶ岳山荘のお弁当は、竹の皮に包まれて、茶封筒に入っており、レトロな感じです。炊き込み御飯でしたが、味付けがとてもおいしかったです。
 今日一日で、標高3,180メートルの槍ヶ岳山頂から、標高約1,100メートルの新穂高温泉まで、約2,000メートルの下りです。足がへろへろになりました。
 下山して新穂高温泉に入っていたら、小さな街なのに、救急車だか消防車だかがけたたましくサイレンを鳴らしながら、何台も通り過ぎて行きます。なんか騒々しいなあと思っていたら、穂高岳で例の山岳救助隊のヘリコプターが墜落した事故が起きたのが、まさにこの日でした。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたします。

2009/09/23

【新穂高温泉から槍ヶ岳(2/3)】彼方に聳えていた槍ヶ岳をついに踏みしめる

P9100114 新穂高から槍ヶ岳への山行の2日目です。
 山小屋で寝過ごすという大失態を犯したぽん太とにゃん子は、ゆっくりと双六小屋を出発しました。本日は槍ヶ岳山荘までと行程が短いので、あわてる必要はありません。
P9100062 一面にかかったいたガスも次第にはれてきて、樅沢岳山頂に立つと、逆光に浮かび上がる槍ヶ岳が目に飛び込んできます。今日はあそこまで行って、槍の頂上に立つのだ!次第に大きくなっていく槍ヶ岳に魅了されながら、西鎌尾根を一歩一歩たどっていきます。
P9100084 向かって左、北側を眺めると、鷲羽岳(写真左端)から先日登った野口五郎岳(写真やや右)に連なる裏銀座コース(喜作新道と東鎌尾根)が見えます。くそう、野口五郎岳に行った時もこういう景観を見たかった。
P9100441 双六小屋のお弁当です。豪華でおいしゅうございました。
P9100096 槍ヶ岳山荘前にザックをデポして、槍の穂先に登ります。メタボなぽん太は、身軽なにゃん子に、あっという間においてかれてしまいました。
P9100104 時間があったので、山頂に1時間ほど留まり、360度の展望を楽しみました。写真はそのうちの一枚。常念岳(写真右の三角のピーク)から大天井岳に続く稜線と、大天井岳から槍ヶ岳へと続く表銀座コースです。槍ヶ岳山頂では携帯電話がつながります。歌舞伎の切符の発売日だったことを思い出し、槍ヶ岳山頂で10月歌舞伎座の切符を取ってみました。
P9110150 今宵の宿は槍ヶ岳山荘。大きな山小屋です。外人さんのお姉さんがアルバイトをしていました。お客さんにも外人さんが多かったです。
P9100479P9110503 槍ヶ岳山荘の夕食と朝食です。頂上直下の山小屋としては十二分のメニューです。おいしゅうございました。
 美しい夕暮れの景色は冒頭の写真をご覧下さい。明日は寝過ごさないように自分にいい聞かせながら床に入ると、疲れと満足からまたたくまに眠りにつきました。

2009/09/21

【新穂高温泉から槍ヶ岳(1/3)】山小屋で寝過ごしたのは生まれて初めてだぜ・新穂高〜双六小屋

P9100119 先日野口五郎岳と烏帽子岳に登ったものの、思わぬ荒天で展望を楽しめなかったぽん太とにゃん子は、何としても北アルプスの展望を楽しみたいという一心で、槍ヶ岳を目指すことにしました。槍は、以前に槍沢から登って槍・穂高縦走をしたことがあるので、今回は新穂高温泉からアプローチすることにしました。写真が多いので、3回に分けてご紹介いたします。

【山名】槍ヶ岳(3180m)
【山域】北アルプス
【日程】2009年9月9日〜9月11日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】(9/9)曇りのち晴れのちガス(9/10)晴れ、(9/11)快晴のち晴れ
【コース】(9/9)新穂高温泉06:26…(小池新道)…双六小屋14:20(泊)
(9/10)双六小屋06:25…(西鎌尾根)…槍ヶ岳山頂12:50…槍岳山荘13:40(泊)
(9/11)槍岳山荘06:30…槍ヶ岳山頂06:50…飛騨乗越…槍平小屋10:42…新穂高温泉14:53
ルート図と標高グラフ
【マイカー登山情報】新穂高温泉ロープウェイのやや手前、スノーシェッドの途中で、「深山荘」という案内板に従って左に曲がると、登山者用の無料駐車場(150台)があります。

 9月8日は仕事を終えてから車で出発し、松本駅近くのビジネスホテルで前夜泊。明日の出発は早いとはいえ、松本まで来て夜の街に繰り出さないわけにはいきません。適当に歩いて行くと雰囲気のよさそうなお店が。信州の地酒もそれなりにありそう、ということで「蔵のむこう」という居酒屋に入りました。公式サイトはなさそうなので、ぐるなびにリンクしておきます。馬料理がとてもおいしく、馬刺盛り合わせは臭みがまったくなく、「おたぐり」という牛もつ煮もおいしかったです。飲んで食えばきりはなけれども、明日に備えてそこそこで撤収。
 翌朝は4時起き。とはいえ、先日甲斐駒の仙水小屋で3時に起こされたのと比べれば、大したことはありません。以前に笠ケ岳に行った時は、無料駐車場が見つからず、やむなく有料駐車場に停めて高くついてしまったのですが、今回はしっかりと下調べして、無事無料駐車場に車を停めることができました。
P9090001 天気予報では晴れのはずなのに、今にも降り出しそうな天気。水墨画のような風景は確かに美しいものの、気分は盛り下がります。しばらくは約2時間の林道歩き。マウンテンバイクを押して登っている人もいました。確かに下りが楽ですね。
P9090007 しばらく登って行くと、うれしいことに青空が出て来ました。槍ヶ岳が見えてきます。その右は大喰岳・中岳でしょうか。小池新道は長い登りですが、それほど急ではないので登りやすい道です。
P9090012 しかしだんだんと、ちょうど稜線の高さににガスがかかってきました。写真は鏡平の池です。ホントなら水面に、槍・穂高の稜線が映し出されるはずなのですが、ガスで何にも見えません。ううう、残念。
P9090015 ガスの合間から一瞬顔を出した槍ヶ岳です。う〜ん、これはこれで神々しいです。
P9090020 鏡平から急坂を登って弓折岳直下の稜線に出て、少し北に辿ると、左に双六岳が見えて来ます。
P9090029 やがて谷間に、今宵の宿の双六小屋が見えて来ました。正面に立ちはだかるのは鷲羽岳。向かって左の肩にちょっと顔を出しているどことなく邪悪な黒い山は、水晶岳です。
P9090033 こちがら双六小屋。きれいな山小屋です。9月の平日ということですいていて、9人用(布団9組だから定員18人か?)の部屋に4人で泊まれました。
P9090383 夕食です。天ぷらが食べきれないほど。とってもおいしいです。ぽん太が知らない間に、山小屋の食事で豪華になったんですね。
P9100387 朝食です。おかずもボリュームも十分です。
 実は、ぽん太とにゃん子は、生まれて初めて山小屋で寝過ごしました。朝食が5時からということで4時半に腕時計のアラームをセットしておいたのですが、寒くて布団にくるまって寝ていたのでアラーム音が聴こえなかったようです。夢うつつで、なんか周りがうるさいな〜、早出の人たちかな〜などと思っていたのですが、その後周囲が再び静かになりました。おそらくその時が朝食の時間だったのだと思います。ようやく目が覚めたのは、同室の登山客が出発の準備をしている物音のおかげ。時はすでに5時半を回っていました。他に誰もいない食堂で朝食をいただきました。2日目の行程は短かったので問題はなかったですが……。トイレがすいててよかったです。今回みたいにゆっくり出るのもいいなと思いました。
(2日目に続く……)

2009/09/19

【富士宮】白糸の滝・曽我物語史跡・富士山本宮浅間大社・さの食堂の焼きそば

 話しはちと遡りますが、8月の末、山梨県は赤石温泉で一泊したぽん太とにゃん子は、そのまま帰宅すると午前中に家についてしまうので、どこかみちくさするところはないかとあれこれ考えた結果、精進ブルーラインから富士宮道路を走り、朝霧高原を抜けて富士宮に出てみることにしました。これまで通ったことがない道です。
 残念ながら雲がたれ込めていて、朝霧高原から富士山は見えず。ガイドブックを眺めていると、白糸の滝というものがあり、国の名勝、天然記念物に指定されているとのこと。これは見ずばなりません。
 P8270166 こちらが白糸の滝です。富士山の伏流水が、地層の間からさながら白い糸のごとく、幾筋にもなって流れ落ち、なかなか見事な風景です。
 見終わって駐車場に帰ろうとしたところ、小さな案内板が目にとまり、読んでみると、時の征夷大将軍源頼朝公が富士の裾野で巻き狩りを行った際ここに立ち寄り、鏡のような水面に顔を映して鬢(びん)のほつれを直したとのこと。こ、これはぽん太が先日みちくさしたばかりの「曽我物語」ではないか!!
P8270172 これがその「おびん水」だ〜!う〜む、巻き狩りは富士の「裾野」で行われたと書いてあったから、てっきり現在の裾野市かと思っていたら、富士宮だったのか〜。
P8270174 なんと近くには「工藤祐経の墓」もあるとのこと。工藤祐経(くどうすけつね)は、曽我兄弟の仇討ちによって殺された人です。場所はここですが、とってもわかりずらいです。赤い祠の中に墓石があります。
P8270178 こちらは「曽我の隠岩」。曽我兄弟がこの岩陰で工藤暗殺の策を練ったのだそうです。
P8270179 白糸の滝の近くにある「音止の滝」。曽我兄弟が仇討ちを果たした瞬間、ぴたりと音が止んだのだそうです。虹が出ていてとてもきれいでした。
P8270181 いいものを見てほくほく顔のぽん太が次にみちくさしたのは、富士山本宮浅間大社です。こちらが公式サイトです。この神社は、富士山の山頂の所有者であることで有名ですね(豆知識)。その経緯を知りたい方は、たとえばこちらのページをどうぞ。
P8270186P8270313 富士宮と言えば焼きそばです。どこがおいしいのかわからないので、たまたま通りかかって店構えがおいしそうな雰囲気だった「さの食堂」に入ってみました。公式サイトはなさそうです。場所は ここでございます。富士宮のやきそばの特徴はよく知らなかったのですが、鰹節がいっぱいかかっていておいしかったです。家に帰ってから調べてみると、腰が強い麺、肉かすの使用、鰹節がかかっている、などの特徴があるようです。 富士宮やきそば学会のサイトにリンクしておきます。
P8270191 最後に、冨士インターの近くにある曽我寺によりました( 地図)。ここには曽我兄弟の墓があるそうです。ちなみに曽我兄弟の墓は各地にあり、 箱根にもあります
P8270190 ふと境内の案内板を見てみると、このお寺の近くにも、「工藤祐経の墓」をはじめとして曽我物語史跡セットが一式あるようです。じゃ、ぽん太が今日一生懸命見た史跡はなんだったんだ!ぽん太は複雑な気分で多摩の巣穴に戻りました。

 帰宅後再び「曽我物語」をひもといてみました。テクストは『曽我物語』 (新編日本古典文学全集53、小学館、2002年)です。
 巻第七の最後のあたりから、舞台は仇討ちの場となった富士の裾野に移ります。三島明神に祈念した曽我兄弟は、まず「駿河国小林」の狩場で工藤祐経の隙をうかがいます。この狩場の位置は、注によれば、ちょうど富士インターがある 富士市伝法あたりと考えられているそうです。しかしここでは、仇討ちの機会はありませんでした。
翌日、頼朝ら一行は「井出」の狩場に移動しますが、ここは現在の 富士宮市上井出あたりだそうです。例の白糸の滝の近くですね。
 しかしその後は地名に関する記述はなく、源頼朝が顔を水に映して鬢を直したとか、仇討ちをした瞬間に滝の音が止んだとかいう記述はありません。もっとも「曽我物語」にはいろいろな版があるようですから、なかにはそういうことが書かれているものもあるのかもしれませんし、「曽我物語」とは別に地元の伝承があるのかもしれません。

2009/09/17

【歌舞伎】ぽん太はちと不完全燃焼・2009年9月歌舞伎座昼の部

 昼の部の方は、ちとぽん太の体調が悪かったせいもあるのか、夜の部ほど楽しめませんでした。
 「竜馬がゆく」は、竜馬が暗殺される最後の一日を描いたものでした。染五郎の竜馬はいつもながら颯爽として悪くはないのですが、芝居が大した事件もドラマもなくたんたんと進んでいきます。なんか「竜馬シリーズの大団円」という盛り上がりがありません。竜馬の人物像も、描かれている状況も、誰もが知っている通りで、目新しさがありません。一方現実世界では民主党が政権交代を果たしており、今後の世の中が実際にどうなっていくかのほうがよっぽど興味深かったです。
 「時今也桔梗旗揚」は、以前に松緑で「馬盥」と「連歌」を観ましたが、「饗応」は初めてでした。吉右衛門の武智光秀、富十郎の小田春永という豪華な顔ぶれでしたが、これもぽん太はあまり気に入りませんでした。富十郎も吉右衛門も、持ち味の明るさと人の良さが見えてしまい、小田春永は意地悪っぽくないし、武智光秀の恨みを根に持つ陰湿さも感じられませんでした。
 昼の部で一番気に入ったのは「お祭り」。冒頭でそれぞれがポーズを決めてせり上がってくるところから、まるでひとそろいの人形のような美しさでした。艶やかで若々しい鳶頭や手古舞たちを、芝翫の芸者がベテランの味でしっかりしめて、いなせで賑やかな踊りでした。
 最後は幸四郎の「河内山」。これも、悪党だけどちょっと愛嬌のあるスーパーヒーローが大名を痛快にやっつける、という感じにならず、なんか河内山宗俊がずるく暗く見えてしまい、逆にやり込められる武士たちの方に同情しそうになりました。


歌舞伎座さよなら公演
九月大歌舞伎
歌舞伎座/平成21年9月昼の部

一、竜馬がゆく(りょうまがゆく)
  最後の一日
            坂本竜馬  染五郎
         近江屋女房すみ  高麗蔵
              桃助  男女蔵
           近江屋新助  猿 弥
          伊東甲子太郎  錦 吾
            淡海槐堂  竹三郎
           後藤象二郎  門之助
           中岡慎太郎  松 緑

二、秀山を偲ぶ所縁の狂言
  時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)

  饗応の場
  本能寺馬盥の場
  愛宕山連歌の場
            武智光秀  吉右衛門
          四王天但馬守  幸四郎
           安田作兵衛  歌 六
              桔梗  芝 雀
            山口玄蕃  歌 昇
             森蘭丸  錦之助
            丹羽五郎  男女蔵
            三村次郎  亀 寿
             森力丸  種太郎
            鈴木草太  宗之助
            園生の局  吉之丞
           長尾弥太郎  桂 三
            浅山多惣  由次郎
           連歌師丈巴  家 橘
            矢代條介  友右衛門
              皐月  魁 春
            小田春永  富十郎

三、名残惜木挽の賑
  お祭り(おまつり)
              芸者  芝 翫
              鳶頭  歌 昇
              鳶頭  錦之助
              鳶頭  染五郎
              鳶頭  松 緑
              鳶頭  松 江
             手古舞  孝太郎
             手古舞  芝 雀

四、天衣紛上野初花
  河内山(こうちやま)

  松江邸広間より玄関先まで

           河内山宗俊  幸四郎
          高木小左衛門  段四郎
            宮崎数馬  門之助
          近習大橋伊織  松 江
          同  黒沢要  男女蔵
          同 米村伴吾  亀 寿
          同 堀江新六  種太郎
          同 川添運平  隼 人
          同 間宮帯刀  宗之助
            北村大膳  錦 吾
            腰元浪路  高麗蔵
           松江出雲守  梅 玉

2009/09/16

【歌舞伎】鈴ヶ森刑場つながり? 2009年9月歌舞伎座夜の部

 なかなか楽しかったです。
 「浮世柄比翼稲妻」は、「鈴ヶ森」は観たことがありますが、「鞘當」は初めて。伊達姿の若侍二人が、傾城を巡って争いを繰り広げます。松緑と染五郎が色気もありながら涼やかで、若々しい勢いを感じる舞台でした。「鈴ヶ森」の白井権八は梅玉、幡随院長兵衛は吉右衛門というごちそう。こちらはベテランの芸。ところで白井権八のモデルである 平井権八は実際に鈴ヶ森刑場で処刑されました。そういえば最後の演目の八百屋お七も鈴ヶ森刑場で火刑となっています。こんかいは鈴ヶ森つながりか?まさか「勧進帳」は鈴ヶ森とは関係ないよね。
 続いて幸四郎の「勧進帳」。ぽん太が前回観た仁左衛門の「勧進帳」は、台詞もはっきりしていてドラマチックな心理劇でしたが、2008年10月15日に弁慶1000回目達成をした幸四郎は、あまりにも何度も演じすぎたせいか、台詞がお経のようでよく聞き取れません。では悪いかというとさにあらず、様式的・儀式的で、なにやら神事を観ているような神聖さがありました。吉右衛門の富樫がこれまた大きくて立派。見得を切ったときの微かに笑みを浮かべたような表情が、明るくて華やかでした。「勧進帳」というと弁慶と義経ばかりに目を向けていましたが、富樫もいい役であることを改めて感じました。幸四郎と吉右衛門のあいだに入ると、さすがに染五郎の義経は悪くはないけど見劣りがしました。判官御手も何かが足りない。残念!
 「松竹梅湯島掛額」は明るく楽しい笑劇で、趣向もたっぷり。福助のお七がすばらしく、「お土砂」では可愛らしい娘をちょっとコミカルに演じながらも、例の変な声を出すのを一カ所に留めて、品が悪くなりませんでした。「櫓のお七」の人形ぶりはあまりリアルではなかったけれど悪くはなく、吉三郎に会いたい、救いたいという一心で鐘を叩く迫真の演技は最高でした。
 さて、八百屋お七が避難したお寺に関しては、諸説あるようですが、「松竹梅湯島掛額」では本郷駒込の吉祥院とされています。これは現在の文京区本駒込の吉祥寺で、公式サイトはなさそうですが、場所はこのへん(地図)です。吉祥寺に関しては、 こちらのサイトが詳しいようで、それによれば、境内には鳥居耀蔵、榎本武揚、二宮尊徳らの墓、お七・吉三の供養塔などがあるそうです。そのうち行ってみたいです。吉祥寺は元々水道橋近く(現在の都立工芸高校あたり: 地図)にあったのが、1657年(明暦3年)の明暦の大火で焼失したため現在の地に移ったのだそうですが、このとき焼け出された周辺住民が移住したところを吉祥寺と名付け、それが現在の武蔵野市吉祥寺だそうです。ふ〜ん、知らなかった。豆知識ですな。
 ところで、「お土砂」の「木曽の源範頼が江戸に攻め上がってくる」という「世界」がぽん太には理解できません。範頼が木曾義仲追討のため義経と協力して京に攻め上った宇治・瀬田の戦い(1184年(寿永3年)のことでしょうか?それとも単純に木曽義仲が京に上ったときのことか?ううう、よくわかりません。


歌舞伎座さよなら公演
九月大歌舞伎
歌舞伎座/平成21年9月夜の部

一、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)

  鞘當
          不破伴左衛門  松 緑
           名古屋山三  染五郎
           茶屋女お京  芝 雀
  鈴ヶ森
          幡随院長兵衛  吉右衛門
            飛脚早助  家 橘
           北海の熊六  桂 三
           東海の勘蔵  由次郎
            白井権八  梅 玉

二、七代目松本幸四郎没後六十年
  歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

           武蔵坊弁慶  幸四郎
             源義経  染五郎
            亀井六郎  友右衛門
            片岡八郎  高麗蔵
            駿河次郎  松 江
           常陸坊海尊  錦 吾
           富樫左衛門  吉右衛門

三、松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)

  吉祥院お土砂
  櫓のお七
           紅屋長兵衛  吉右衛門
           八百屋お七  福 助
           小姓吉三郎  錦之助
            丁稚長太  玉太郎
            下女お杉  歌 江
            長沼六郎  桂 三
            月和上人  由次郎
            若党十内  歌 昇
           釜屋武兵衛  歌 六
            母おたけ  東 蔵

2009/09/15

【オペラ】初めて観てとにかく感動!「ドン・カルロ」ミラノ・スカラ座

 オペラの最高峰のひとつ、ミラノ・スカラ座をぽん太は初めて観ました。あゝ感動です
 中高年のぽん太は、スカラ座と聞くとアルトゥーロ・トスカニーニを思い出します。かんしゃく持ちで、リハーサル中に怒ると懐中時計を投げつけ、誕生日には団員が懐中時計を送った、などという逸話を昔聞いた気がしますが、ホントでしょうか?ところでスカラ座の「スカラ」って何?Wikipediaを見ると、サンタ・マリア・アラ・スカラ教会のあった場所に建てられたので、スカラ座という名前になったとのこと。ふ〜ん、な〜んだそうか。って、何にも解決してないじゃん。それじゃ何でサンタ・マリア・アラ・「スカラ」教会という名前がついたの?このサイトによれば、この教会の名前は、かつてミラノを支配したヴィスコンティ家に嫁いだベアトリーチェ・デッラ・スカーラに由来するそうです。なるほど、ぽん太はようやく納得しました。ちなみに映画監督のルキノ・ヴィスコンティは、このヴィスコンティ家の伯爵ですね。
 いきなり話が脱線してしまいました。要するに子供の頃からあこがれていたミラノ・スカラ座オペラを観て、ぽん太はとても感動したわけです。演目は「ドン・カルロ」。「アイーダ」の切符はとれませんでした。でも、「ドン・カルロ」だけで大満足。
 ぽん太は「ドン・カルロ」も初めて。「ドン・ファン」みたいな話か?いえいえ、とってもくら〜い話で、お墓で幕が開き、お墓で幕が降りるというものでした。ストーリーもわかりやすくてドラマチック。心理劇でもあり、また歴史劇でもあります。
 このヴェルディのオペラが初演されたのは1867年のことで、日本で言えば幕末、「精神病は脳病である」と言ったとされているグリージンガーの『精神病の病理と治療』が刊行されたのが1845年、クレペリンの教科書の初版が1883年ですから、近代的な心理が表現されているのは、十分納得できます。原作は、ベートーヴェンの『第九』の歌詞で有名なシラーの戯曲『スペイン王子ドン・カルロス』(1787年)とのこと。そのうち読んでみたいです。
 このオペラの主題をせいしんぶんせきすると、「父の不在」と言うことができましょうか。事実、幕が開くといきなりフィリッポ二世の父であるカルロ五世の葬儀から始まります。ただしこの皇帝に対する評価は、既に冒頭から二分しているようです。さて、主人公のドン・カルロの婚約者であったエリザベッタは、彼の父親のフィリッポ二世と結婚してしまいます。つまり婚約者が母親になったわけで、これは「母親を愛し、父に嫉妬する」というオイディプス的状況に他なりません。実際にエリザベッタは、愛を告白するドン・カルロに対して、「父を殺して私を奪いなさい」と言います。しかしドン・カルロは「そんなことはできない」といい、エリザベッタは彼が父親殺しを拒否したことを神に感謝します。ドン・カルロもエリザベッタも、オイディプス的状況を乗り越えることはできません。そのドン・カルロも後には父親に向かって剣を抜きますが、ロドリーゴによってその剣は奪われます。また父フィリッポ二世の愛人であったエボリ公女はドン・カルロを愛しますが、カルロは父の愛人の求愛を拒否します。そして父であるフィリッポ二世も、自分の国王としての権力を行使することができません。彼にとっての父は宗教裁判長であり、彼はロドリーゴに「宗教裁判長には注意しろ」忠告するものの、息子が自分に刃向かうと、一転してどうすべきか宗教裁判長に伺いを立てます。彼は、国王たるものが宗教に屈しなくてはいけないのかと嘆きますが、民衆が国王に向かって反逆したときにそれを静めたのは、宗教裁判長の権威でした。しかしその権威は戯画化されており、宗教に屈する民衆の愚かさが強調されています。宗教裁判長は、国王の「父」ではなく、彼を飲み込み自分の保護下に置こうとする「グレートマザー」です。登場人物たちが、自分の命を犠牲にして他人を救おうとし始めたところで、舞台の色調は打って変わってポジティブで英雄的になります。ドン・カルロは、エリザベッタに対する愛欲を昇華し、フランドルでの戦いに自分の運命を見いだしたように見えます。しかし彼らの自己犠牲は、オイディプス・コンプレックスを乗り越えたものではないので、想像的・双数的な領域から出ることはなく、幻想の世界にとどまっています。この茶番を見るに見かねた父王「カルロ五世」が最後に墓から復活しますが、この父親が果たして現実なのか幻想なのかは、定かではありません。
 歴史劇として見た場合、カトリックの強権的な支配、プロテシタントの蜂起、国王の権威、民衆の反逆と屈服などが見て取れますが、モデルとなったフェリペ二世(1527-1598年)の時代のスペインや、ヴェルディ(1813-1901年)の時代のイタリアにおける政治的・宗教的な状況に関しては、ぽん太は知識はまったくありません。どうも実在のドン・カルロス(1545-1658年)は精神錯乱を来したようで、精神科医のぽん太としてはそのうちみちくさしてみたいところです。
 登場した歌手全員の豊かな声量と表現力に脱帽。ドン・カルロがメタボでも、この声なら不満はありません。エボリ公女のスミルノヴァの「呪わしき美貌」、バスでは空虚な権威を振りかざす宗教裁判長(アナトーリ・コチェルガ)も、王でありながら内面での苦悩を抱えるフィリッポ二世(ルネ・パーペ)もすばらしかったです。エリザベッタのバルバラ・フリットリは声も容姿も美しい。第2幕第2場の合唱も迫力がありました。「アイーダ」の大合唱も観たかった。
 オケは華麗かつ艶やかで豊かな音色。指揮のガッティの善し悪しは、初めて「ドン・カルロ」を聞いたぽん太には判断できません。演出はモダンでありながらも奇をてらわずセンスがよかったです。心象風景(?)を子供で表す演出もおもしろかったです。
 世界一流のオペラを観れてよかったです
 会場で偶然出会ったウシさん夫婦に、ありがたくもプログラムをいただき、新宿で飲んで帰りました。


ミラノ・スカラ座 2009年日本公演
「ドン・カルロ」全4幕(イタリア語版)

指揮:ダニエレ・ガッティ

演出・舞台装置:シュテファン・ブラウンシュヴァイク
衣裳:ティボー・ファン・クレーネンブロック
照明:マリオン・ヒューレット
合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ
--------------------------------------------------------------
フィリッポ二世:ルネ・パーペ
ドン・カルロ:スチュアート・ニール
ロドリーゴ:ダリボール・イェニス
宗教裁判長:アナトーリ・コチェルガ
修道士:ガボール・ブレッツ
エリザベッタ:バルバラ・フリットリ
エボリ公女:アンナ・スミルノヴァ
テバルト:イレーナ・ベスパロヴァイテ
レルマ伯爵:クリスティアーノ・クレモニーニ
国王の布告者:キ・ヒュン・キム
天の声:ユリア・ボルヒェルト
フランドルの6人の使者:フィリッポ・ベットスキ/アレッサンドロ・パリャーガ/エルネスト・パナリエッロ/ステファノ・リナルディ・ミリアーニ/アレッサンドロ・スピーナ/ルチアーノ・バティニッチ

ミラノ・スカラ座管弦楽団 /ミラノ・スカラ座合唱団

2009/09/09

【温泉】自然に囲まれた手作りの宿・赤石温泉(★★★)(付:江ノ電801(山梨交通モハ7))

P8270151 甲斐駒・仙丈から無事下山したぽん太とにゃん子は、赤石温泉で汗を流し、疲れた体を休めました。公式サイトはなさそうなので、「日本秘湯を守る会」の紹介ページにりんくしておきます。南アルプスの入り口芦安温泉のやや南、櫛形山の南麓にある一軒宿で、戸川渓谷の清流に面した、自然に囲まれた宿です。
P8270150 建物はレトロというか、野趣溢れるというか、独特の民芸調です。装飾は宿のご主人の手作りだそうです。
P8260141 こちらは混浴の露天風呂。お客さん(男ですけど)が入っているので外観のみです。源泉温度が低いので加温しているためでしょうか、基本的には土日しかりようできません。この日は土日ではありませんでしたが、運良く入浴することができました。冷たい源泉と、暖かい浴槽が両方ありました。源泉はまっ茶色で鉄分が強そうです。
P8270145 こちらが混浴の内風呂です(女性専用時間帯あり)。特有の美意識に貫かれた岩風呂ですが、あれれ、お湯がちょっと薄い気がします。循環加熱しているせいでしょうか?ぽん太は露天風呂に入れたので、濃い源泉を堪能しましたが、内湯しか入れない場合は少し物足りないかも、
 お風呂は他に、女性専用の内風呂があります。
P8260144 夕食は部屋食でいただきました。馬刺や鯉の洗い、鮎の塩焼き、天ぷらなど、おいしい山のお料理です。
P8270149 こちらは朝食。ミョウガのみそ汁がおいしかったです。
 自然に囲まれた独特の美意識の旅館で、素朴でアットホーム、コストパフォーマンスもいいです。3点か4点か迷うところですが、内湯のお湯がちと薄いのが気になるので、申し訳ありませんが3点にしておきます。

P8270165 翌朝、宿から坂を下って行くと、国道52号線に出る手前の利根川公園(地図)に、江ノ電801(山梨交通モハ7)が保存されていました。山梨交通は、ロッキード事件で偽証罪に問われた小佐野賢治が一時経営権を握っていたことでも有名です。

2009/09/05

【演劇】診察室では会いたくない!大竹しのぶが多重人格を熱演・野田秀樹「ザ・ダイバー」(ネタバレ注意)

 すばらしい舞台でした。
 まずは何と言っても大竹しのぶに拍手喝采。すばらしい役者だとは聞いていましたが、ぽん太は生で観るのは2回め。2007年に井上ひさしの「ロマンス」でチェーホフの妻オリガを演じたのを観ましたが、(芝居そのものが)あまり感心しませんでした。しかし今回は、さまざまな人格の演じ分け、それぞれの人格の表現のうまさ、感情表現の迫力など、すばらしい演技でした。
 脚本は、能の『海女』と『源氏物語』を世界とし、殺人を犯した多重人格の女性の深層心理を精神科医が解明していくなかで、事件の真相が明らかになってくるという推理ドラマです。例によって言葉遊びによって劇全体に統一性を与えるという野田秀樹独特の手法は健在。題名の「ザ・ダイバー」は海女であるとともに、深層心理に分け入っていく精神科医でもあります。海は羊水につながり、海のなかを泳ぐ姿が能の動作に重ね合わされます。全体にシンプルなセットと小道具が使われ、能の扇子がさまざまに見立てられますが、「ピザ」には思わず笑いました。
 テーマは要するに「不倫した女が騙されて捨てられる話」で、「よくある話し」ともいえますが、野田の舞台からは「人類の普遍的なテーマ」という印象を受けました。どちらになるのかは、このテーマを芸術としてどのように表現するかにかっているわけです。出会いのときめき、愛、裏切られる不安、我が子への思い、憎しみ、嫉妬などが、野田独特の様式感と郷愁のなかで、ぽん太の胸に伝わってきました。
 冒頭で精神科医の野田秀樹は顔の前に本を広げて読んでいるのですが、本の表紙に能面の写真があって、それを面に見立てて能のような動きを始めます。ぽん太は「なるほど、おもしろいアイディアね」などと見てました。劇の終盤でかなりの部分が明らかになった段階で、再び野田秀樹が同じような一連の動作をします。その時、同じ能面の写真に、こんどは捨てられた女性の悲壮なもろもろの感情が凝縮されているのが見えたのには、ぽん太は愕然といたしました。
 この女性の行き場のない情念を表現するには、多重人格となるか、あるいは能面のように無表情になるしかないのでしょう……あるいは裁判の証言台に立った精神科医のように口ごもるか……。
 源氏の時代と現代、『源氏物語』のさまざまシーンと人格を、スピーディーに行き来する技もいつもどうりで、目眩に似た感覚に襲われました。ただ、最初の出会いから最後に捨てられるまで、基本的に時系列に沿って舞台が進行していきましたが、時間軸もシャッフルされていたほうが、さらに頭がクルクルしたような気がします。でもそうしたら筋が理解不能になっちゃうか……。
 無教養のぽん太は、『海女』も『源氏物語』もよく知らなかったので、どこが原作から借りてきた部分で、どこが野田秀樹が創作した部分なのか十分にわからなかったのが残念です。そういえば六条御息所には、先日 岩佐又兵衛の絵で会ったばかりです。これも何かの縁、『源氏物語』を読んでみようかしら。
 精神科医のぽん太としては、精神科医が情けなく描かれていたのがよかったです。冒頭で大きな紙袋やたくさんの本を不器用に抱えて落としそうになりながら登場します。彼女の世界に入り込むにつれて深い共感を覚えますが、その微妙な心理を裁判官に伝えることはできず、「正義」の前では彼女と共に圧殺されてしまいます。
 北村有起哉は、高貴な光源氏とどうしようもない浮気男を重くならずに演じてよかったです。渡辺いっけいは、野田も台詞(?)で言ってましたが、暑苦しくてよかったです。演奏(?)は歌舞伎の鼓でおなじみの人間国宝田中傳左衛門。こんな活動もしていたのか……。
 野田秀樹は「キル」、「パイパー」と見てきてそれなりにおもしろかったですが、今回あらためて見直しました。またこういう路線も見たいです。
 ちなみにこちらが 公式サイトです。

 偶然クマさん夫婦も見に来てたので、久々に新宿で飲んで帰りました。


野田秀樹「ザ・ダイバー」日本語バージョン
2009年8月/東京芸術劇場小ホール1
作・演出
野田秀樹
出 演
大竹しのぶ、渡辺いっけい、北村有起哉、野田秀樹
スタッフ
美術/堀尾幸男 照明/小川幾雄 作調/田中傳左衛門 音響/高都幸男

2009/09/04

【登山】甲斐駒・仙丈(その2)/大平山荘と仙丈岳

P8250061 甲斐駒ケ岳から下山したぽん太とにゃん子は、北沢峠から15分ほど歩いたところにある大平山荘に泊まりました。真新しく見えて清潔な建物ですが、実は宿の歴史は古いそうです。南アルプスNETの紹介ページはこちらです。
P8250062 内部は、土間の両側に畳部屋があるという、昔ながらの造りです。北沢峠周辺の山小屋は、みな大きくて新しくて賑わっていますが、ちょっと足を伸ばすと昔ながらの静かな山小屋を楽しめます。ぜひともこの建物を長く守ってほしいです。
P8250112 こちらは夕食。刺身こそありませんが、とてもおいしいです。小屋の経営者は高遠近くで農業を営んでいるそうで、野菜もお味噌汁もご飯もおいしかったです。この小屋には長いあいだ愛子おばあちゃんという名物の小屋番がおりました。ご高齢のため小屋番こそ引退したものの、元気に畑仕事をしているそうです。愛子おばあちゃんが育てたトマトはとてもみずみずしかったです。
 朝食は6時からと遅いので、山に行く人は朝ご飯を弁当にし早出となります。ぽん太とにゃん子も4時起きで仙丈岳を目指しました。
P8260083 ちょっと時期は遅いとはいえ、さすがに仙丈だけの花は見事でした。写真はタカネナデシコの群落です。
P8260085 しばらくは沢沿いの道が続きます。所々で沢に流れ込む滝が、涼感を誘います。
P8260107 薮沢カールの向こうに、仙丈岳の頂が望めます。前回登った時は暴風で、景色は全く見えませんでした。こんな美しい山だったんですね。
P8260117 ライチョウの一家に出会いました。子供を3匹連れて歩いてました。
P8260130 山頂から東を見ると、北岳・間ノ岳・農鳥岳と続く稜線が見えました。残念ながら鳳凰三山は雲の中でした。
P8260131 南を見ると南アルプスの山々が、塩見・荒川岳・赤石、そして遠く聖まで見ることができました。
P8260135_2 頂上ではゆっくりと時間をとって風景を楽しみました。あとは下山です。振り返ると、雄大な大仙丈カールの向こうに仙丈岳山頂が見えました。

2009/09/03

【登山】甲斐駒・仙丈(その1)/仙水小屋と甲斐駒ケ岳

P8250034_2 甲斐駒・仙丈は以前に登ったことがあるのですが、そのときは仙丈でひどい風雨に遭い、展望もなければお目当てのお花畑を見る余裕もなく、さんざんな目にあいました。昨年も雪辱戦を挑もうとしたのですが台風で中止。今回は三度目の正直で晴天に恵まれ、気持ちいい山行を楽しむことができました。

【山名】甲斐駒ヶ岳(2967m)、仙丈岳(3032.7)
【山域】南アルプス
【日程】2009年8月24日〜8月26日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】(8/24)晴れ、(8/25)晴れだけど山頂部ガス、(8/26)晴れ
【コース】(8/24)北沢峠(15:02)…仙水小屋(15:50)(泊)
(8/25)仙水小屋(4:00)…仙水峠…駒津峰…(直登コース)…甲斐駒ケ岳山頂(8:24)…摩利支天(10:01)…北沢峠…大平小屋(13:49)(泊)
(8/26)大平小屋(4:50)…馬ノ背ヒュッテ…仙丈岳山頂(9:28)…小仙丈岳…北沢峠(13:15)
ルート図と標高グラフ
【見た花】(甲斐駒ケ岳)ハンゴンソウ、ヒメシャジン、ヤマハハコ、ミヤマコゴメグサ、ハハコヨモギ、セリバシオガマ、タカネヒゴタイ、トウヤクリンドウ、ミヤマアキノキリンソウ、タカネツメクサ、ウサギギク、チシマギキョウ、イワツメクサ
(仙丈岳)トリアシショウマ、イチヤクソウの一種、セリバシオガマ、ダイモンジソウ、カイタカラコウ、ミソガワソウ、ヤマハハコ、ハンゴンソウ、トモエシオガマ、ソバナ、オウレン、ホソバトリカブト、マルバダケブキ、センジュガンピ、チシマヨモギ、タカネナデシコ、グンナイフウロ、ミヤマミミナグサ、イワオウギ、ウサギギク、ミヤママンネングサ、ミヤマコゴメグサ、ミヤマホツツジ、ハクサンフウロ、トモエシオガマ、コオニユリ、イワツメクサ、バイケイソウ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマカラマツ、タカネツメクサ、タカネヒゴタイ、チシマギキョウ、ミネウスユキソウ、イブキジャコウソウ、トウヤクリンドウ、
【マイカー登山情報】今年もマイカー規制が行われており、芦安あるいは奈良田の駐車場に車を停めて、バスで広河原まで行き、さらにバスを乗り継いで北沢峠まで行くことになります。例えば下記を参照して下さい。
南アルプス市観光協会のページ
南アルプスNETのページ
 時刻表は時期によって異なるのでご注意を。料金は芦安〜広河原がバス1000円、乗り合いタクシー1100円、広河原〜北沢峠が荷物料コミで750円でした。
【苦情】その1。マイカー規制の必要性は理解できますが、もう少し本数を増やすことはできないでしょうか。この時期、広河原と北沢峠を結ぶバスは1日4本しかなく、北沢峠発は12:55の次は15:30分です。せめて1時間30分に1本ぐらい出してくれないでしょうか?
 その2。広河原〜芦安間はバスと乗り合いタクシーがあります。北沢峠から広河原に着いた時、乗り合いタクシーの運転手さんが、「バスと同じ値段で行きますからこちらへどうぞ」と誘導しておりました。実際はバスが1000円なのに対し乗り合いタクシーは1100円で、100円高かったです。わずか100円の差ですし、バスよりも速く着けたので不満はありませんでしたが、それでも「バスと同じ値段」という誘導の仕方は止めた方がいいのではないでしょうか?

P8240003 初日は最終のバスで北沢峠に入り、仙水小屋までです。プレハブ風の外観で、細長い土間の周りにコの字型に畳があるという古めかしい構造で、北アルプスなどの山小屋に比べるといたって質素です。
P8240005 仙水小屋は、食事がおいしいことで有名です。仙水小屋の食事も今回の山行のお目当てのひとつでした。夕食は、天気のいい日は庭のテーブルでいただきます。ご覧下さい。センターステージにあるのはなんとお刺身です。しかも、そんじょそこらのスーパーで売っているお刺身よりよっぽど新鮮です。普通、山奥で刺身がでると「何も山の中で刺身を食べなくても」という気になるのですが、ここまでやられると感動するほかありません。それ以外にも天ぷらや煮物や生野菜など、うわさに違わずとてもおいしかったです。宿泊料はとても安いです。仙水小屋のホームページはなさそうなので、こちらの南アルプスNETのページをリンクしておきます。完全予約制なのでご注意を。
P8250012 朝食もおいしゅうございました。宿に着いた時に朝食の時間を聞いたら、なんと3時半とのこと。起床は3時です。ぽん太はここ十数年こんなに早く起きたことはありません。登山の途中でご来光を見せようという親心でしょうか?
P8250021 小屋番の親心により、仙水峠から駒津峰に向かう途中でご来光を迎えることができました。摩利支天の朝焼けです。摩利支天は陽炎を神格化したインドの女神が仏教に取り入れられたもので、実体がないので誰もその姿を捉えることはできません。しかしつねに太陽に先行して、自在の通力を示すのだそうです。そう考えると、なかなか象徴的な写真でしょう?
P8250050 山頂から摩利支天に向かうあいだの絶壁です。甲斐駒ケ岳の山頂付近は、花崗岩が作り出す独特の景観で、とても神々しいです。この山が信仰登山の対象とされたのもうなづけます。天気はよかったのですが、周囲の山々は雲海に埋もれてしまって、展望を楽しむことはできませんでした。
P8250055 摩利支天に祀られている朽ち果てた仏像です。六臂でイノシシに乗っていることがわかります。摩利支天とイノシシの関係については、例えばこちらのサイトをどうぞ。

2009/09/01

【騙されたぽん太が悪いのね】樽前山のコマクサは誰かが勝手に植えたんだって!

 ぽん太は2009年7月21日の記事( 【登山】曇りでニャンにも見えんばい・樽前山)で、北海道の樽前山でコマクサを観たことをうれしそうに書きました。
 しかし、その後ネットサーフィンをしていたところ、コマクサは本来は樽前山に自生しない植物で、誰かが勝手に植えて増えてしまったものであり、環境省は苦労してコマクサの除去を行っているということを知りました。
 例えばこちらの 苫小牧民放2006年8月9日のページや、2007年11月12日にその事実が書かれております。
 高山植物を勝手に持ち去る人がいるのは知っていましたが、勝手に植える人がいるとは知らなかった……。おのれ、純情なぽん太を騙しおって〜。しかし無知ゆえに素直に喜んでいた自分が情けない

 

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