【歌舞伎】『盟三五大切』に出て来た笄(こうがい)とは?
先日観た花形歌舞伎の『盟三五大切』でひとつ気になったことがありました。源五兵衛が「家賃に充てよ」とひとつを八右衛門にわたし、もうひとつを五人斬りの現場に落とした「こうがい」とはなんでしょうか?
Wikipediaによれば「笄」という字を当てるようで、もとは中国で女性が髪結いや頭を掻くときに使ったもので、装身具としても用いられたそうです。日本では刀の付属品として用いられ、目貫 (めぬき) ・笄 (こうがい) ・小柄 (こづか)の三つを「三所物」(みところもの)と言うのだそうです。 goo辞書によれば、後藤家の工人によるものが有名なのだとか。そこで『盟三五大切』を読み直してみると、源五兵衛の台詞は「こりや後藤が作の千疋猿、これを預け物に致した上、家主へ払うて遣わせ」となっております。ふむふむ、やはり後藤の作。ググって見ると、後藤作の三所物を紹介したサイトはいろいろあるようです。例えばこちらの 文化遺産オンラインをご覧下さい。ところで、どれが目貫でどれが笄でどれが小柄?
こちらのブログを見ると、どれがどれで、刀にどのように収まっているかがよくわかります。ペーパーナイフみたいのが笄ですね。そして平たい板みたいなのが小柄。小刀の柄だったんですね。二つある飾りみたいなのが目貫。もともとは刀を柄に固定する釘を目貫と言ったのが、それを隠す物(建築でいう釘隠しですね)をさすようになったもので、次第に装飾性が高くなっていったのだそうです。刀のツバに開いている二つの小穴が、笄と小柄を挿す穴だったとは、ぽん太は初めて知りました。
「千疋猿」というのは、例えばこちらのサイトの写真にあるような、布の猿をたくさん糸で結びつけたもので、神仏に奉納するのだそうです。千疋猿を図案化した刀の鍔の写真が こちらにあります。
ところで源五兵衛は、笄の一方を八右衛門にわたし、もう一方を犯行現場に落とします。なんで二つあるの。調べてみると、割笄(わりこうがい・さきこうがい)というものだそうで、お箸みたいな形をしてるもののようです。写真は こちらをどうぞ。
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