★ピンポ〜ン!使用上の注意:本日のブログはパロディ、皮肉、ジョークであり、書かれている内容の一部はぽん太の本心ではありません。
厚生労働省のお役人は、いわゆる医者の売り上げである「診療報酬」によって、医者の診療行為をコントロールしようとします。つまり、発展させたい分野の診療報酬を上げ、縮小したい分野の診療報酬を下げることによって、医者の治療、検査、投薬などを、役人の意図に従わせようとするのです。
どうやらお役人さんは、医者が最大利益を追求して診療を行っていると考えているようです。しかし断言いたしますが、医者は患者さんにとってもっとも適切な医療を行うことを第一に考えているのであって、決して最大利益を得ようとして診療しているのではありません。それゆえ時として、患者さんのためを思って診療を行うとかえって収入が減り、劣悪な医療を行うと高収入が得られることさえあるのです。
お役人さんたちが、「医者は金目当てに診療をしている」と考えるなら、いいでしょう、いっそのことぽん太はお役人さんの言うとおり金の亡者となりましょう。そして、患者さんを何分診療したら一番儲かるのか検討してみましょう。
単純化するために、精神科クリニックを再診した患者さんに、精神療法と、処方箋の発行を行った場合を考えましょう。診療報酬の体系はとても複雑で、受付の曜日・時刻や、薬が何種類かによって価格が変わって来るのですが、細かいことは省略します。
診察時間によって、診療報酬は以下のように変化します。
(1)診察時間が0分を超えて5分以下の場合
再診料(明細書発行体制等加算):70点
精神科外来支援・指導料:55点
処方箋料(7種以下):68点
合計:193点
1点=10円で1,930円
(2)診療時間が5分を超えて30分未満の場合
再診料(明細書発行体制等加算):70点
通院・在宅精神療法(30分未満):330点
処方箋料(7種以下):68点
合計:468点
1点=10円で4,680円
(3)診察時間が30分以上の場合
再診料(明細書発行体制等加算):70点
通院・在宅精神療法(30分以上):400点
処方箋料(7種以下):68点
合計:538点
1点=10円で5,380円
診察時間(分)をx、診療報酬(円)をyとして、x分診察した場合の診療報酬y円を、y=p(x)と関数で表現すると、以下のようになります。
p(x)=1,930 (0<x≦5)
p(x)=4,680 (5<x<30)
p(x)=5,380 (30≦x)
この関数をグラフにすると、以下の図1ようになります。
これを見ると、時間とともに段階的に診療報酬が上がり、やがて飽和するという感じになっております。イメージ的にをわかりやすくするために、補助線を加えてみます(図2)
精神科医の精神療法の価値を評価するならば、診察料金は次の図3のように、時間とともに増大していくのが筋のように思います。しかしこのようにすると、精神科医の中には、一人の患者を2時間診察し、一日4人診て生計を立てるヤカラが出て来る可能性があるので、仕方がないのかもしれません。
以上のように考えてみると、精神科の診療報酬体系は、そこそこ妥当なような気がします。
しかし、精神科医は1日にたった一人の患者さんを診察するのではなく、立て続けに大勢の患者さんを診ていることを考慮する必要があります。一人の患者さんを長く診察すると、一日に診察できる患者さんが減ります。反対に一人当たりの診察時間を短くすると、多くの患者さんを診ることができます。
単純化して、全ての患者さんを同じ時間診察すると仮定します。また、ある患者さんの診察が終わってから、次の患者さんを診るまでのロスタイムを無視しましょう。すると一人の患者さんをx分診察した場合の、1時間あたりの診療報酬をz=P(x)とすれば、P(x)=p(x)*60/xと表すことができるので、
P(x)=1,930*60/x (0<x≦5)
P(x)=4,680*60/x (5<x<30)
P(x)=5,380*60/x (30≦x)
となります。これをグラフにしたのが下の図4です。
これを見るとわかるように、診察時間が短くなればなるほど、1時間あたりの診療報酬は無限に発散していきます。しかし診察時間とともにそれは減少し、5分を過ぎた直後に跳ね上がってピークを迎え、1時間あたりの診療報酬が56,160円となります。そして再び時間とともに減少し、診察時間30分で再び1時間あたりの新療報酬10,760円という小ピークを迎え、再度時間とともに減少していきます。
1時間あたりの診療報酬が56,160円と聞いて、「なに〜時給6万円、ふざけんじゃねえ、医者は儲け過ぎだ」と起こっているのはどなたですか?「診療報酬」は「売り上げ」であって、医師の「収入」ではありません。ここはよく誤解されるところですが、診療報酬から、開業医はテナントの賃貸料や職員の給料などの経費を支払い、その残りが収入となるのです。いつぞやウソツキ鳩山政権時代に、勤務医の「収入」と開業医の「診療報酬」を意図的に混同して比較し、「開業医は勤務医の1.7倍儲けている」というネガティブキャンペーンを張り、各新聞社もこぞって報道したのでした。過去のニュース記事は消えてしまうので、こちらにリンクしときます)。みんなホントは知ってるくせに、よくやるよ。民主党さん、ぽん太は忘れてへんで〜。さすがにその時は、厚労省がホームページに反論を掲載しましたが。
さて、話しを元にもどしますが、こうして図4を眺めてみると、通院・在宅精神療法が、診察時間30分未満では330点であるけれど、30分以上になると400点に上がるというのは、ほとんど意味がないことがわかります。何分診療すると、30分における時間あたりの診療報酬P(30)=10,760を下回るのかを計算してみましょう。
P(x)=10,760 (5<x<30)を解くと、
4,680*60/x=10,760となり、
x≒26という答えがでます。
つまり、診察時間が26分以下の時は、診察を伸ばして30分以上にするメリットはなく、さっさと診察を切り上げた方が儲かるわけです。診察時間が26分を超えてしまった場合にのみ、あと数分診察をして30分以上診察すると、精神科医は儲かることになります。でも、いくら儲かるかというと、
P(30) - lim[P(30-h),h→+0] =10,760-9,360=1,400
で、最大で1時間あたり1,400円の売り上げにしかすぎません。
同様に、診察を5分間引き延ばすと得するのはどういう場合かを計算してみると、5分間をわずかすぎた瞬間の1時間あたりの診療報酬は、
lim[P(5+h), h→+0]=4,680*60/5 =56,160 ですから、
P(x)=56,160 (0<x≦5) を解くと、
1,930*60/x=56,160
x≒2
となります。
5分を超えて診察しないと通院・在宅精神療法(30分未満)330点が取れないのなら、診察時間を短くして数をさばけばいいや、と思う精神科医もいるかもしれませんが、計算結果によれば、そのためには一人の診察時間をわずか2分以内に押さえないと意味がないわけです。
で、5分を過ぎていくとどうなるかというと、1時間あたりの診療報酬は
P(5+0)=56,160
P(6)=46,800
P(7)≒40,114
P(8)=35,100
P(9)=31,200
と減少していき、
診察時間が10分になると、
P(10)=28,080
と、1時間あたりの診療報酬は、5分間の診察の半分に落ち込みます。
以上の結果をまとめます。
厚労省推奨の精神科の診療時間は、
(1)診察が2分を超えたら、無理やり長引かせて5分以上にすること。
(2)診察が5分を超えたら、少しでも早く診察を打ち切ること。10分診察すると売り上げは半額になる。
(3)30分を超えることで診療報酬を上げようというのは無意味。
ということになります。
患者さんから、「診察時間が短すぎる」「もっとじっくり話しを聞いて欲しい」などの苦情があった場合は、「厚労省の方針だからしかたありません。不満があったら厚労省に言ってください」と返答しましょう。
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