【バレエ】至福の時間 ボリショイ&マリインスキー・バレエ合同ガラ2010
18:30に開演で、終わったのが22:30近く。それでもちっとも眠くならず、最初から最後まで大興奮でした。公式サイトはこちらです。このブログはぽん太の備忘録も兼ねているので、一つひとつ短い感想をかかせていただきます。
下の写真は昨年のGWのロシア旅行のときのもの。左が首都モスクワのボリショイ劇場(工事中)、そして右が古都サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場です。
まずは《フローラの目覚め》よりパ・ド・カトルで幕開き。ボリショイとマリインスキーのダンサーが、それぞれ二人ずつで踊ります。マリインスキーからは、何回か観たことがあるオブラスツォーワ。可愛らしく、テクニックが安定しております。アリーナ・ソーモワは、たぶんぽん太は初めて観たんだろうと思いますが、とても柔らかくて女性らしい踊りでした。ボリショイからはあいかわらず巨大なオーシポワちゃん。なんか可愛らしげに踊ってます。ルンキナは、一昨年のエトワール・ガラでエイマンと踊った「ジゼル」が強く印象に残ってますが、本日もまるで体重がないみたいに軽く、表現力もあり、端正な顔立ちで、改めて見直しました。
次いでボリショイ・ペアによる《ライモンダ》のパ・ド・ドゥ。ニクリーナは初めてでしたが、笑顔が素敵でなかなかよかったです。ロブーヒンは、以前に「イワンと仔馬」のイワンを観ましたが、やはり力強く男らしくダイナミックな踊りでした。
マリインスキー組の『タンゴ』が面白かったです。ピアソラの曲がそもそもすばらしいですが、昨年の来日公演で「白鳥」と「イワンと仔馬」で観たテリョーシキナが実に魅力的。細身で長身のスタイル、ちょっとアジア系が入ってる感じの面立ちがタンゴにあっていて、キレがよくて迫力があり、セクシーでした。セルゲーエフもぽん太は初めてですが、テリョーシキナに目を奪われ、あんまり覚えてない。
次のステパネンコとメルクーリエフによるボリショイ組もアルゼンチンの作曲家による音楽で、タンゴや、フォークロアっぽい音楽もありましたが、前のとちょっとかぶってる感じがしました。それともわざとぶつけたのかな?二人ともぽん太は初めて観たダンサーです。ベテランのようですが、振り付けがイマイチで、なんか歌謡ショーみたいでした。
第一部の最後は、冒頭に踊ったソーモワが、シクリャローフと「ロミジュリ」のバルコニーシーンを踊りました。二人とも初々しく、特にシクリャローフは少年のような顔をしているので、まさにロミオとジュリエットそのもの。得意のレパートリーなのか、二人とも大きくのびのびと踊ってました。しかし、テクニックや細かい動きはまだまだなようで、ソーモワがこけたのは仕方ないにしても、同じペアによる第二部の《パピヨン》は、シクリャローフもふらついたりして、動きの荒さが目立ってちょっと見劣りしました。
第二部に入りまして、オブラスツォーワとサラファーノフの《ゼンツァーノの花祭り》のパ・ド・ドゥ。これはサラファーノフの足技が光りました。細かな足さばきも見事なら、下半身のバネを使ったジャンプもすばらしかったです。
次はオーシポワ、ワシーリエフ組の《パ・ド・ドゥ》。コミカルな演技を交え、小技が中心の踊り。ん〜、こんなのを見たいんじゃな〜い。
先ほど触れたソーモワ、シクリャローフの《パピオン》に次いで、ルンキナとヴォルチコフの《グラン・パ・クラシック》。ヴォルチコフは初めてだと思いますが、なんといってもルンキナがすばらしかった。バランスがよくて安定感があり、ポーズも美しく、品格が感じられました。全幕物を見てみたいです。
さて、お待ちかね、ロパートキナの《ロシアの踊り》。頭に冠のような飾りをつけ、きらびやかなロシアの民族衣裳で踊っている姿は貫禄満点。バレエ界の美空ひばり状態で、ただただかしこまるのみ。
第二部の最後はニクーリナ、ロブーヒンによる《海賊》のパ・ド・ドゥ。これもなかなかよかったです。柔らかく笑顔がかわいいニクーリナのメドゥーラ、筋肉質でがっしりしたロブーヒンのアリともに雰囲気がありました。ニクーリナはグラン・フェッテで両腕を上げての2回転を入れてましたし、ロブーヒンのジャンプや回転もなかなかでした。
だんだん盛り上がって来たところで第三部、まずオーシポワ、ワシーリエフの《パリの炎》です。でぇたぁ〜。やっぱり第二部の《パ・ド・ドゥ》はジラし作戦だったのか……。高〜いジャンプやすご〜い回転の連続です。ワシーリエフなんか斜めになって回ってました。客席からは、最初はどよめきがあがり、途中からは技を出すごとに歓声と拍手がわき起こり、バレエというより体操やアイススケート状態です。でもこの二人は、これでなくちゃね。
客席が大興奮のるつぼとなったところで次はっ……《ジゼル》のパ・ド・ドゥです。オブラスツォーワ、やりにくかったでしょうね。でも見事な集中力で、とっても可憐なジゼルでした。
《プルースト・失われた時を求めて》より囚われの女。これもよかったです。ルンキナ、すっかりファンになりました。ローラン・プティの振付けもいいですね。最後に白い幕が下ろされる演出もよかったです。
《ファニー・パ・ド・ドゥ(ザ・グラン・パ・ド・ドゥ)》は、今年の5月の「マラーホフの贈り物」でカブレラとカニスキンが踊るのを見て、大笑い(心の中で)した演目。女王ロパートキナが「私だってこんなお茶目なところがあるのよ」とばかりに羽目を外しまくり、これはもう笑うしかありません。今月の新橋演舞場の「加賀鳶」の、市川團十郎演ずる竹垣道玄を思い出しました。
次はステパネンコとメルクーリエフの《ドン・キホーテ》。第一部の《Fragments of a Biography》は振付けがイマイチで楽しめませんでしたが、《ドンキ》はスペインっぽい貫禄があってフツーによかったです。メルクーリエフって、足が細いですね。
トリはテリョーシキナとサラファーノフの「黒鳥のパ・ド・ドゥ」です。約1年前のマリインスキー・バレエ団来日公演で観た黒鳥の再現となりました。今回もテリョーシキナは、髪の毛の先をピンと上に立てたヘアスタイル。彼女の雰囲気によくあってます。ねっとりと色気があって、サラファーノフ君は簡単に籠絡されそうな感じでした。
ということで、あっというまの4時間。すばらしい公演でしたが、ひとつだけジャパン・アーツさんに苦情を。オーケストラがひどすぎます。ホルンが不安定なのは許すにしても、トランペットまで音を外すとは。「黒鳥」のヴァイオリンのソロもなさけなや。全体的に音も薄く、ロミジュリのプロコフィエフの名曲も迫力がありませんでした。配役表を見るとロイヤルメトロポリタン管弦楽団とのこと。ロイヤルって王立?イギリスかな〜デンマークかな〜などと思いながら、第三部の前に楽団員が立って挨拶するのを見たら、日本人やん!家に帰ってググってみたらこれか〜。皇太子にちなんでいるんだったら、「ロイヤル」じゃなくて「インペリアル」じゃないの?こんなことを言うと団員のみなさんには大変申し訳ありませんが、世界一流のバレエを見ているのに、このオケではバランスが悪すぎます。ジャパン・アーツさん、チケット代もう千円出してもいいですから、次からもう少しいいオケに換えてください。お願いします。
ボリショイ&マリインスキー・バレエ合同ガラ公演
ロシア・バレエのスターたち2010
<Bプログラム>
10月27日 東京文化会館
≪第1部≫
《フローラの目覚め》よりパ・ド・カトル
(振付:プティパ / レガート / ブルラーカ、音楽:ドリゴ)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(ディアナ) /
アリーナ・ソーモワ(オーロラ) /
ナターリヤ・オーシポワ(ヘーベ) /
スヴェトラーナ・ルンキナ(フローラ)
《ライモンダ》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / グリゴローヴィチ、音楽:グラズノーフ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン
《タンゴ》 (振付:ミロシニチェンコ、音楽:ピアソラ)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / アレクサンドル・セルゲーエフ
《Fragments of a Biography》より
(振付:V・ワシーリエフ、音楽:アルゼンチンの作曲家による)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ
《ロミオとジュリエット》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ラヴロフスキー、音楽:プロコフィエフ)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ
≪第2部≫
《ゼンツァーノの花祭り》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ブルノンヴィル、音楽:ヘルステッド)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / レオニード・サラファーノフ
《パ・ド・ドゥ》( 振付:ヤコブソン、音楽:ロッシーニ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ
《パピヨン》よりパ・ド・ドゥ
(振付:M・タリオーニ / ラコット、音楽:オッフェンバック)
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ
《グラン・パ・クラシック》(振付:グゾフスキー、音楽:オーベール)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ
《ロシアの踊り》
(振付:ゴールスキー / ゴレイゾフスキー、音楽:チャイコフスキー)
ウリヤーナ・ロパートキナ
《海賊》よりパ・ド・ドゥ
(振付:チェクルィギン / チャブキアーニ、音楽:ドリゴ)
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン
≪第3部≫
《パリの炎》よりパ・ド・ドゥ
(振付:ワイノーネン / ラトマンスキー、音楽:アサーフィエフ)
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ
《ジゼル》よりパ・ド・ドゥ (振付:プティパ、音楽:アダン)
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ
《プルースト~失われた時を求めて》より 囚われの女
(振付:プティ、音楽:サン=サーンス)
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ
《ファニー・パ・ド・ドゥ(ザ・グラン・パ・ド・ドゥ)》
(振付:シュプック、音楽:ロッシーニ)
ウリヤーナ・ロパートキナ / イーゴリ・コールプ
《ドン・キホーテ》よりパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ / ゴールスキー、音楽:ミンクス)
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ
《白鳥の湖》より黒鳥のパ・ド・ドゥ
(振付:プティパ、音楽:チャイコフスキー)
ヴィクトリア・テリョーシキナ / レオニード・サラファーノフ
指揮:パーヴェル・クリニチェフ
演奏:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
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