【歌舞伎】孝太郎のお園がよかった「彦山権現誓助剱」 松竹座2011年2月昼の部
歌舞伎が跳ねた後は大阪の夜を堪能し、翌日は昼の部を観劇。「彦山権現誓助剱」(ひこさんごんげんちかいのすけだち)は、「毛谷村」は何度か観たことがありますが、通しは初めてでした。関西では67年振りの通し上演とのこと。
歌舞伎では、有名な場面だけをいくつか組み合わせたプログラムも多いですが、今回は昼も夜も通し。まあ、バレエで言えば、有名な踊りを集めたガラ公演と、全幕ものみたいなもんですね。そう考えると、両方あったほうがいい気がします。
仁左衛門の六助は何と初役とのこと。4幕目からの登場ですが、出てくると舞台にぱっと花が咲いたように明るくなります。夜の部とは違って昼の部は、明るくって正直で人が良くって腕も良くて、とってもいい役です。仁左衛門の優しい人柄が感じられました。昨日の夜の部ですっかり暗くなった気分が、明るくなりました。偶然ですが、夜・昼という順序で見れてよかったです。
それから、お園の孝太郎がなかなかよかった気がします。いつものながら様式的な所作が身に付いていて心地よく、安心して見ていられます。「しの字尽くし」も上手だったし、女武道が六助をそれと知って急に女らしくなるところも、下品にならずに可愛らしかったです。
京極内匠はとにかく卑怯な手ばっかり使うイヤなやつですが、愛之助が演じると憎々しくならずに、風格もあってちとカッコいいです。もうちょっと得たいのしれない恐ろしさが出てくるといいのですが。
筋書きによると、この狂言は、九州は英彦山周辺に伝わる巨人伝説と、江戸時代の「豊臣鎮西軍記」に描かれた吉岡一味齋に関わる毛谷村六助の仇討譚を題材としているとのこと。
英彦山(ひこさん)は、福岡県と大分県の県境にある山ですが、巨人伝説というのは何のことでしょう。ぐぐってみると、英彦山には豊前坊(ぶぜんぼう)という天狗(?)がいたようですが、詳しいことはよくわかりません。高住神社(ブログはあるけど公式サイトがみつかりません。地図はこちら)は、神仏分離以前は「豊前坊」と呼ばれていたそうです。
「豊臣鎮西軍記」は、こちらの国立国会図書館デジタルアーカイブで読めますが、ちと元気が出ません。Wikipediaによると、この本には、毛谷村六助が女の仇討ちを手助けしたこと、後に貴田孫兵衛と名を変えて加藤清正の家臣となったことが書かれているそうです。英彦山の東側には、毛谷村六助の墓(地図)があるそうです。
片岡仁左衛門 昼夜の仇討
二月大歌舞伎
大阪松竹座 平成23年2月
昼の部
通し狂言
彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
序 幕 第一場 長門国住吉鳥居前の場
第二場 同 社前の場
第三場 同 郡城下馬場先の場
二幕目 長門国吉岡一味斎屋敷の場
三幕目 第一場 山城国眞葛ヶ原浪宅の場
第二場 同 釜ヶ淵の場
四幕目 第一場 豊前国彦山杉坂墓所の場
第二場 同 毛谷村六助住家の場
大 詰 豊前国小倉立浪主膳正本陣の場
毛谷村六助 仁左衛門
一味斎姉娘お園 孝太郎
京極内匠 愛之助
一味斎妻お幸 竹三郎
一味斎妹娘お菊 松 也
衣川弥三郎 薪 車
若党佐五平 猿 弥
吉岡一味斎/杣斧右衛門 彌十郎
衣川弥三左衛門 段四郎
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