【拾い読み】初鰹が24万円!・竹内誠『江戸社会史の研究』
歌舞伎を観ることで少しは江戸時代の雰囲気がわかったものの、まだまだ知らないことばかり。竹内誠著『江戸社会史の研究』(弘文堂、2010年)を読んでみました。江戸東京博物館館長の著者が書きためた論考をまとめたものだそうですが、学術論文的な固い文章ではなく、江戸時代の人々の暮らしぶりがよく理解できます。
とにかく知らないことばかりなので、興味深かったことを全部書くことはできませんが、そのうちいくつかだけ。
大屋あるいは家主と呼ばれる人は、長屋の所有者ではなく、所有者の代理人なのだとか。
食べ物屋では、武士も町人も差別はなく、順番を待って食事を取ったとのこと。
19世紀になると、吉原の風俗は「野暮」となり、深川の方が流行の先端を行っていて「いき」と感じられるようになったのだそうです。(ぽん太:深川には岡場所が多く、そこの芸者は羽織を着て座敷にあがり、男言葉を使いました。江戸から辰巳の方角にあるので「辰巳芸者」とも呼ばれ、意気で気っ風が良いという特徴がありました。深川については、近々書く予定)。
初鰹をありがたがる風潮は江戸初期からあったが、それが極端に加熱したのは18世紀後半になってからとのこと。大田南畝の『壬申掌記』(じんしんしょうき)によると、文化9年(1812年)3月25日に、日本橋の魚河岸に初鰹17本が入荷し、6本は幕府に上納され、残りは二両一分で売られた。また歌舞伎役者の中村歌右衛門は(時代からいうと3代目か?)、新場の魚屋から1本を3両で買ったとのこと。仮に1両=8万円とすると、初鰹一本24万円!ちなみに文献上に残っている初鰹の最高値は、1本4両だそうです。もちろん最盛期になると値段は下がり、1本250文(約3,000円)となったそうです。
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