【歌舞伎】藤十郎の『封印切』2011年4月新橋演舞場昼の部
観てからだいぶ時間がたって印象が薄れてしまったので、覚え書きです。公式サイトはこちら。
『お江戸みやげ』は初めて観た演目ですが、ほろりとする人情話。三津五郎のお辻が品が良いお芝居で、未曾有の大災害のあとでは心が暖まりました。
『一條大蔵譚』も初めてでした。常磐御前が清盛の次に嫁いだ一条大蔵卿は、NHK大河ドラマの『義経』では確か蛭子能収が演じてましたが、「一条大蔵卿=阿呆」という定型があるのでしょうか?(蛭子さん、ゴメンなさい)。Wikipediaを見ても書いてありません。常磐御前が一条大蔵卿に嫁いだという話しの出典はどこでしょう。『平家物語』をめくってみても書いてないようです。Wikipediaの常磐御前を見てみると、『尊卑分脈』『公卿補任』が出典とされておりますが、ちょっとそこまでみちくさする気にはなれないので省略!飄々とした阿呆ぶりのおかしみと、本性を現したときのカッコよさは、菊五郎の独壇場でした。
藤十郎と三津五郎の『封印切』は、平成19年10月の歌舞伎座以来。関東者のぽん太には、封印を切るにいたるやりとりはちょっとクドく思えますが、忠兵衛と梅川のじゃらじゃらや、最後の死への旅立ちのしっとりした抒情など、とてもよかったです。
ところで、花道での「梶原源太は私かしらん」という台詞。梶原源太は、義経の宿敵と言われている梶原景時の、息子の梶原景季(かじわらかげすえ、Wikipedia)のことだそうです。『源平盛衰記』には、一ノ谷の戦いで景季は、箙(えびら:矢を入れる容器)に梅の枝を差して戦ったという逸話が残っており、後世には色男の典型とされたそうです。
新橋演舞場
四月大歌舞伎
平成23年4月
昼の部
一、お江戸みやげ(おえどみやげ)
お辻 三津五郎
文字辰 扇 雀
お紺 孝太郎
鳶頭六三郎 亀 鶴
角兵衛獅子 巳之助
女中お長 右之助
市川紋吉 萬次郎
阪東栄紫 錦之助
おゆう 翫 雀
二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
檜 垣
奥 殿
一條大蔵長成 菊五郎
常盤御前 時 蔵
八剣勘解由 團 蔵
鳴瀬 家 橘
お京 菊之助
吉岡鬼次郎 團十郎
恋飛脚大和往来
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)
亀屋忠兵衛 藤十郎
傾城梅川 扇 雀
丹波屋八右衛門 三津五郎
井筒屋おえん 秀太郎
槌屋治右衛門 我 當
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