【拾い読み】神社に鶏がいる理由/速水融『歴史のなかの江戸時代』
ぽん太は以前に奈良の石上神宮を訪れた時、境内に鶏がいっぱいいるのに驚きました(そのときの記事はこちら)。そこでは伊勢神宮で鶏が「神鶏」として大切にされていることを指摘し、「神宮」つながりでニワトリを大切にしているのではないか、とぽん太は推理しました。しかし今回、速水融の『歴史のなかの江戸時代』(ぽん太が読んだのは、東洋経済新聞社の1977年版ですが、2011年に藤原書店から増補版が出ております)を読んでいたら、次のように書かれていました。
宮本 ニワトリは、とにかく時間を知るために、みんな飼いましたからね。小型の日本系のチャボみたいなものですと、必ず啼いてくれたですから、必ず一番鳥、二番鳥と啼いてくれましょう。ところが、啼くのが一年か二年の間はちゃんと啼いてくれているんですが、三年ぐらい経つと、時を告げなくなる。そうすると、それを大抵、お宮の森へ持っていって捨てたものなんです。う、う、う、全然知らんかった。ちなみに引用した「宮本」とは、民俗学者の宮本常一ですね(→Wikipedia)。石上神宮にいたニワトリは、近所の人たちが捨てたものとは思えませんが、神社と鶏にはこのような関係もあったんですね。
速水 食べないんですか。
宮本 食べないんです。ですから明治の中頃までは、少し大きい森を持ったお宮さんだったら、ニワトリがすごいほどおったんですね。
本書は昭和51年(1976年)に速水が様々な分野の人と行った対談によって構成されており、「封建社会で農民は生かさず殺さずの状態に置かれていた」という紋切り型の江戸観を批判し、多角的な視点からの理解を追求しております。伊藤和明(→Wikipedia)との対談では、大地震による津波が話題になっていて、身につまされます。また江戸後期には寒流が南下していたのか、アシカが銚子をはじめかなり南まで来ていたということも書かれていて、読み物としても面白い本です。
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