ぽん太が棲息する多摩地区でKバレエが『白鳥』をやるとのこと。しかも熊哲の王子!これは何を置いても観に行かねばなりません。こちらが公式サイトです。
ぽん太がKバレエの『白鳥』を観るのは今回が3回目。最初は2007年2月の東京国際フォーラムで、吉田都がオデット、松岡梨絵がオディールと、白鳥と黒鳥を別のダンサーが踊るという企画。ことのき熊川哲也は踊りませんでしたが、その3ヶ月後に右膝前十字靭帯を損傷したわけです。2回目は、同じく2007年11月のオーチャードホールで行われた公演で、ベルリン国立バレエ団の中村祥子がオデット/オディール、王子は宮尾俊太郎でした。このときのぽん太の記事はこちらです。で、こんかいの3回目なので、熊哲の王子は初めてです。わくわく。
オデット/オディールは、当初は白石あゆ美とのことでした。ぽん太は記憶にない名前ですが、Kバレエのソリストで、既に何回か観ているようです。どんな白鳥を見せてくれるのでしょうか。
ところが会場に行ってみると、荒川祐子に交替。怪我かしら……などと思ってキャスト表をながめていると、パ・ド・トロワに出てるやん。ということは役を外されたのか?カワイソス。映画『ブラック・スワン』顔負けのドロドロが繰り広げられたのだろうか……。でも、パ・ド・トロワで踊っていた白石さんはとってもキュートで、喜びが内からあふれて来るような踊りでした。彼女のオデット/オディールも観てみたかったです。
荒井祐子は、白鳥よりも黒鳥の方がよかったです。グラン・アダージョもうるうる感がちと不足していましたし、身体が固いのか羽の動きもピチピチしていて魚みたいでした。一転して黒鳥は、強靭な身体がマッチしており、妖艶な表情もなかなかのものでした。長いバランスの見せ場もあり、グラン・フェッテもダブルを交えて安定していました。ただその直後、熊哲が高速回転をみせ、最後は片足を上げた回転姿勢のまま止まって見せたので観客は大興奮。やっぱり主役はこっちか、という感じでした。その他ジャンプなど、熊哲の身体パフォーマンスはあいかわらずすばらしかったです。
ロットバルトのスチュアート・キャシディ、ちょっと太ったでしょうか?少し身体が重そうで踊りにキレがなかった気がしました。友人ベンノの橋本直樹、美しく端正な踊りで良かったですが、回転はもうちょっとスピードが欲しいところ。パ・ド・トロワの遅沢佑介、なぜか元気がありませんでした。2羽の白鳥の佐藤圭、おそらくぽん太は初めて観たと思いますが、大人のエレガンスがあっていいですね。コールドもそろっていて美しかったです。オケは、所々テンポがふらついていたり、音のバランスがよくなかったりしたのが気になりました。
演出について。過去2回の演出はよく覚えてないのですが、気がついたところをいくつか覚え書き。
王子が、冒頭から弓を持って出て来たのでびっくり。そのあとどうするのかと思っていたら、お母さんからはもっと高性能の弓をもらっていた。道化は出てこなくて、かわりに王子の友人が出てくるパターン。お城にロットバルトが一瞬あらわれる。この段階ではまだ王子とオデットは出会ってさえいないのに、何でロットバルトが城に来るのか不明。第1幕最後の「マザコン王子の憂うつ踊り」はなかった。
第2幕、オデットが初めて現れるシーンで、勢い良くでてきた。ゆっくり出て来る方がぽん太は好きです。マイムの動きは、以前よりも洗練されて美しくなった気がします。白鳥たちの衣裳が足が見えないのは、ぽん太にとっては減点です。白鳥の群舞に、ロットバルトが絡まないで欲しい。邪魔です。
第3幕、以前はチャイコフスキーの原曲に忠実に、お妃候補が2度に分けて出て来ましたが、今回は普通に一度に出るかたちになってました。オディールのソロは、蛇使い風の音楽のほう、32回転の音楽も珍しいほうの曲で、残念ながらどちらもぽん太の好みではありません。
第4幕のオデットと王子の踊りはなかなかよかったです。ラストはオデット、続いて王子が身を投げ、愛の力と白鳥たちの力でロットバルトをやっつけ、あの世で二人は結ばれるという結末。熊哲の振付けはストーリー性が強いせいか、結構感動して目がうるうるしてしまいました。
Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY Autumn Tour 2011
白鳥の湖 Swan Lake
2011年10月23日 府中の森芸術劇場 どりーむホール
オデット Odette / オディール Odile :荒井祐子 Yuko Arai
ジークフリード王子 Prince Siegfried :熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
ロットバルト Von Rothbart :スチュアート・キャシディ Stuart Cassidy
王妃 The Queen:柄本まりな Marina Tsukamoto
家庭教師 Tutor :小林由明 Yoshiaki Kobayashi
ベンノ-王子の友人 Benno:橋本直樹 Naoki Hashimoto
【第1幕 Act 1】
パ・ド・トロワ Pas de Trois
第1ヴァリエーション 1st Variation :白石あゆ美 Ayumi Shiraishi
第2ヴァリエーション 2nd Variation :遅沢佑介 Yusuke Osozawa
第3ヴァリエーション 3rd Variation:東野泰子 Yasuko Higashino
王子の友人たち Princes Friends
日向智子 Satoko Hinata / 中村春奈 Haruna Nakamura / 浅野真由香 Mayuka Asano / 井上とも美 Tomomi Inoue / 岩渕もも Momo Iwabuchi / 松岡恵美 Emi Matsuoka
ニコライ・ヴィユウジャーニン Nikolay Vyuzhanin / 秋元康臣 Yasuomi Akimoto / 浅田良和 Yoshikazu Asada / ビャンバ・バットボルト Byambaa Batbold / 伊坂文月 Fuzuki Isaka
【第2幕 Act 2】
4羽の白鳥 Four Cygnets
神戸里奈 Rina Kambe / 湊まり恵 Marie Minato 梶川莉絵 Rie Kajikawa / 渡部萌子 Moeko Watanabe
2羽の白鳥 Two Swans
浅川紫織 Shiori Asakawa / 佐藤圭 Kei Sato
【第3幕 Act 3】
6人の姫 Six Princesses
日向智子 Satoko Hinata / 中村春奈 Haruna Nakamura / 白石あゆ美 Ayumi Shiraishi / 浅野真由香 Mayuka Asano / 別府佑紀 Yuki Beppu / 森絵里 Eri Mori
ナポリ Neapolitan
神戸里奈 Rina Kambe / 湊まり恵 Marie Minato
小山憲 Ken Koyama / 北爪弘史 Hirofumi Kitazume
マズルカ Mazurka
岩渕もも Momo Iwabuchi / 並河会里 Eri Namikawa / 薄井友姫 Yuki Usui / 山口愛 Ai Yamaguchi
ビャンバ・バットボルト Byambaa Batbold / 伊坂文月 Fuzuki Isaka / 福田昴平 Kohei Fukuda / 合屋辰美 Tatsumi Goya
スペイン Spanish
井上とも美 Tomomi Inoue / 北見奈稚 Nachi Kitami / 國友千永 Chiei Kunitomo / 山田蘭 Ran Yamada
ニコライ・ヴィユウジャーニン Nikolay Vyuzhanin / 秋元康臣 Yasuomi Akimoto / 浅田良和 Yoshikazu Asada / 西野隼人 Hayato Nishino
白鳥 Swans / 貴族 Court Ladies and Gentlemen :Artists of K-BALLET COMPANY
●芸術監督 Artistic Director 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
●演出・再振付 Production / Additional Choreography 熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
●原振付 Original Choreography マリウス・プティパ Marius Petipa / レフ・イワノフ Lev Ivanov
●音楽 Music ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー Peter Ilyich Tchaikovsky
●舞台美術・衣裳 Set and Costume Design ヨランダ・ソナベンド Yolanda Sonnabend / レズリー・トラヴァース Leslie Travers
●照明 Lighting Design 足立恒 Hisashi Adachi
●指揮 Conductor 井田勝大 Katsuhiro Ida
●演奏 シアター オーケストラ トーキョー THEATER ORCHESTRA TOKYO
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