【登山】古き道を辿る/島々宿から徳本峠・霞沢岳を経て上高地へ(1)
今年の夏休みの登山は、島々宿から徳本峠(とくごうとうげ)を越えて上高地に入るという古い道を辿ってみました。徳本小屋に泊まって霞沢岳往復付きです。
霞沢岳は穂高の展望がすばらしい山ですが、これまで老朽化した徳本峠小屋に泊まらなくては行けないというのがネックになっておりました。その徳本峠小屋が2010年にリニューアル・オープン。とても快適な小屋に生まれ変わりました。 上高地を訪れるには、いまでこそ釜トンネルを使えば簡単ですが、旧釜トンネルが開通したのが昭和8年(1933年)。それ以前は島々宿から徳本峠を越えて1日がかりで上高地に入っておりました。ウエストン卿や志賀重昂、高村光太郎・智恵子や芥川龍之介もこの峠を越えたそうです。
【山域】北アルプス
【山名】霞沢岳(2645.6m)
【日程】2011年8月8日〜8月10日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】(8/8)晴れ、(8/9)晴れ、(8/10)晴れ
【ルート】(8/8)島々宿6:58…徳本峠小屋14:04(泊)
(8/9)徳本峠小屋5:45…霞沢岳10:09…徳本峠小屋14:08(泊)
(8/10)徳本峠小屋6:01…明神7:34…合羽橋7:51
(※大きい地図や3Dグラフはこちら)
【見た花】(8/8, 島々宿〜徳本峠小屋)トモエソウ、フシグロセンノウ、キツリフネ、ヤブカンゾウ(初)、シデシャジン(初)、ソバナ、ミソガワソウ、タマガワホトトギス、ジャコウソウ、センジュガンピ、メタカラコウ、オタカラコウ、ジンヨウイチヤクソウ、ミヤマトリカブト
(8/9, 徳本峠小屋〜霞沢岳)ゴゼンタチバナ、モミジカラマツ、バイケイソウ、ネバリノギラン、ハクサンフウロ、アザミの一種、エゾシオガマ、イワオトギリ、アキノキリンソウ、カニコウモリ、オタカラコウ、キヌガサソウ(実)、ニッコウキスゲ、ヤマハハコ、カンチコウゾリナ、クロウスゴ、ミヤマホツツジ、イワツメクサ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、コバイケイソウ、ウサギギク、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラ、ハクサンチドリ、イワカガミ、クルマユリ、ギンリョウソウ
(8/10, 徳本峠小屋〜合羽橋)
【マイカー登山情報】島々谷川の左側(右岸)の道をどんどん登っていくと、広い駐車場があります(地図)。ただしぽん太が行った時は、7月末の豪雨による被害の復旧のため、手前数台分を残して閉鎖されていました。
先日の豪雨のせいで、島々谷川の水の色はご覧の通り。
吊り橋の上を、猿の群れが、「なんだ、なんだ」「人間だ、人間だ」と言いながら通り過ぎていきました。
登り始めは標高が低く、人里にも近いので、ぽん太が見たことのない里の花が咲いておりました。写真はシデシャジンです。細い花びらの紫の花がずらりと並んで、とても派手やかです。
夏の緑の間から差し込む木漏れ日が、とてもきれいで気持ちがいいです。
秀綱夫人慰霊碑です。釈迢空(折口信夫)の「をとめ子の心さびしも清き瀬に 身はながれつつ人恋ひにけむ」という歌が刻まれています。
隣りにある案内板です。「天正十三年(一五八五)」と書いてありますが、天正13年は1586年です。まあ、細かい年代はいいとして、飛騨高山にあった松倉城は秀吉方の軍勢に攻められて落城します。城主三木秀綱は信濃の国へ落ち延びようとしますが、一目に付かぬように夫人と別々の道をとります。秀綱夫人は、中尾峠(焼岳山頂のやや北側ですね)を越えて上高地に入り、さらに徳本峠を越えて島々谷を下ってきたところで、木こりたちに見つかって殺されたのだそうです。折口信夫が1926年(大正15年=昭和元年)にこの地を通りかかった時に詠んだ歌を刻んで、1975年(昭和50年)に地元のひとたちが供養碑を建てたそうです。
さらに少し進んだところに、秀綱夫人遭難の碑があります。
ちなみに、焼岳の中尾峠から、新穂高方面へ登山道を少し下ったところに秀綱神社があり、秀綱夫人(?)が一夜をあかした場所とされているそうです。また松本市安曇野資料館には、木こりたちが剥ぎ取った秀綱夫人の服や持ち物(?)が展示されているそうです。また、島々宿にある島々神社(地図)は、秀綱夫人の慰霊のために作られた神社で、明治時代に現在の場所に移されたものだそうです。こちらのサイトが参考になります。
徳本峠越えは歴史ある道で、途中、「炭焼きがま」跡や「花木の石灰窯跡」などがありますが、写真は省略。
このコース、何回か渡渉があるので注意が必要です。こんかいも豪雨の影響もあるのか、一カ所、靴を濡らして渡らないといけないかな、と思ったところがありましたが、丸太を探してきて橋渡しして、なんとか足を濡らさず渡ることができました。
岩魚留小屋です。なかなか渋いです。この日は営業はしておりませんでした。
ジンヨウイチヤクソウです。よく見る花ですが、偶然ピントが合ったので、アップしておきます。
徳本峠小屋に到着。奥がリニューアル・オープンした建物で、手前が昔ながらの旧館です。公式サイトはこちらです。
旧館のつっかえ棒は、建物と比較してかなり頑丈にできています。ゴシック建築のフライング・バットレスを思わせます(パリのノートルダム大聖堂の写真はこちら)。
こちらが旧館の内部。下は物置になってますが、上は泊まることもできます。旧館の風情が好きな人や、ちょっと飲みたい団体さんがこちらに泊まったりするようです。
こちらが新館の内部。新しくて清潔でとても快適です。
こちらが夕食です。トンカツにスイカもついて、なかなか豪華でおいしいです。
朝食もおかずが充実しております。エネルギーを蓄えて、さあ今日は霞沢岳登山です。
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