夏だ、暑いぞ、バレフェスだ。本日はBプロ。公式サイトはこちらです。
ポリーナとフォーゲルの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」は、非常に柔らかくて優美でした。シャルキナ、シャコンのベジャール・ペアの「パルジファル」は、実在の二人と、背後に映った影との対比が面白かったですが、暑い中やってきて体が冷え始めたのか、このあたりから睡魔が襲ってきました。水香とゴールディングの「タイス」は、ぽん太にはどこがどう違うのかわからないのですが、プティらしいオシャレな感じが漂ってきません。ラドメーカーの「エフィ」は、「モペイ」を振り付けたゲッケの作品で、やはりコミカル楽しいダンスです。両手のひらをヒラヒラさせる動きが目につきました。「ドン・キホーテ」で情熱的な踊り、「ラ・シルフィード」では妖精らしい軽さを見せてくれたロホが、今日は「ライモンダ」で、高速のシェネや、3回転を交えたグラン・フェッテなど、超絶的なテクニックを披露してくれました。マックレーも負けじとジャンプやピルエットでアピール。客席は興奮の渦でした。
第二部は、コジョカルとコボーの「ロミオとジュリエット」から。今日はマクミラン版です。コジョカルはかわいかったですが、コボーがおっさん過ぎて初々しさがないのは、残念だけど仕方がないです。ノヴィコワとサラファーノフの「ウィズアウト・ワーズ」はナチョ・ドゥアトの振付。肌色っぽい衣装にはステッチが入っていて、南欧の中世の雰囲気が漂います。形が彫刻のように美しかったです。ところでバレフェスの公演、最後に出場者全員が踊った衣装で登場するのですが、サラファーノフ君も、この衣装のまま4時間近く待っているのでしょうか?シャワーでも浴びてスッキリしたいだろうな。でもシャワー浴びて着替えた後、またフィナーレで汗だくの衣装を着るのもなんだか……などどいらぬことを考えてしまいました。「椿姫」は、ルテステュのねっとりとした濃厚な踊りに、ビュリョンがついていけなかった気がします。オブラスツォーワとガニオの「ラ・シルフィード」は、マリインスキーとパリオペが見事に融合した、古風でおっとりとして端正な美しさにあふれた舞台でした。
第三部です。Aプロでドラマチックな「幻想〜『白鳥の湖』のように」を踊ったブシェ、ボァディンが「アダージェット」を踊りました。しっとりとした情感があり、とても感動しました。ブシェは手足が長くて、独特の不思議な魅力を持ったダンサーですね。今後、着目していきたいです。「シェラザード」。フォーキンの振付は、エキゾチックだけども、派手なテクニックの見せ場もなく、なんか古くさくて退屈だな〜とぽん太は思っていたのですが、ポリーナが踊るとこんなにも面白くなるものか!アラブっぽいクネクネした動きも色っぽく、ぽん太は悩殺されてしまいました。デュポンとオファルトの「アザー・ダンス」はオシャレで美しい踊りですが、バレフェスの演目のなかに入るといかんせん地味。さあ来たぜオシポワ、ワシーリエフの「海賊」。大柄なオシポワの力一杯の踊りで、舞台がなんだか小さく感じます。これはもう、ただただ拍手するしかありません。
第四部、ヴィシニューワとマラーホフの「ル・パルク」は、しっとりとした大人の情熱。ザハロワ、メルクーリエフはBプロでもコンテンポラリーを踊りました。ロパートキナ、ゴメスの「『ジュエルズ』より"ダイヤモンド"」は、これまた「完璧」な踊りで、まさにバレエ界の女王の風格。ルグリの「オネーギン」第3幕のパ・ド・ドゥは、ぽん太は3回目。1回目がルディエール、2回目は今回と同じアイシュヴァルトと踊りました。これはもうるルグリの十八番というか、完成された芸ですね。3回目ということで、ちょっと冷静に眺めてみたのですが、「オネーギン」のオペラや原作では、いまさらながら恋に目覚めたオネーギンに対し、タチアーナはオネーギンに対する拙い初恋の情熱を胸に蘇らせながらも、グレーミン公爵の妻としての人生を全うすることを選び、(表面上は)毅然とした態度でオネーギンを拒絶します。ドストエフスキーによれば、以前は単なる田舎育ちの小娘だと思ってタチアーナの恋を退け、洗練された社交会の花となった姿を見て恋に落ちるオネーギンは、しょせんはタチアーナの本質を愛しているのではなく、見てさえいないのです。タチアーナは、そのようなオネーギンを見て、起こったのでも軽蔑したのでもなく、ただただ哀しかったのですが、バレエではさすがにそこまで複雑な状況を表現するのは難しいようで、「今頃になって好きと言ったって遅いわよ」みたいな感じになってました。そのうちバレエ「オネーギン」の全幕を見てみたいです。今度の東京バレエ団よりちょっといいキャストの公演があったら。
〆の「ドンキ」は、本日はサレンコとシムキン。若々しくて勢いのある踊りでした。
「ガラ」は切符が取れなかったので、ぽん太のバレフェスは今年はこれで終わりです。NBSさん、ガラの切符も2枚まで取れるようにして下さい。
第13回世界バレエフェスティバル <プログラムB>
8月12日(日) 東京文化会館
■第1部■
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
「パルジファル」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン
「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング
「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー
「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
■第2部■
「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン
「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団
■第3部■
「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット"
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
「シェエラザード」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト
「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ
■第4部■ 18:35~19:30
「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
「コール・ペルドゥート」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス
「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ
「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:髙橋 望 (「椿姫」「アザー・ダンス」「ル・パルク」)
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