【歌舞伎自由研究】出てくる地名について「双蝶々曲輪日記」(2)
さて、「双蝶々曲輪日記・本朝廿四孝 (歌舞伎オン・ステージ19)」(権藤芳一編著、白水社、2003年)の脚注を参考にしながら、細部のチェック!
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まず序幕は、第一場「清水浮無瀬の場」、第二場「清水観音舞台の場」となっております。清水の舞台と聞くと京都の清水寺を思い出しますが、この狂言の舞台は大阪。四天王寺の西にある有栖山清光院清水寺(ありすさん せいこういん きよみずでら)のことだそうで、崖に位置しており、京都の清水寺を模して作られたようです(地図の緑印)。ホームページはなさそうです。現在も「清水の舞台」があるようです。
「浮無瀬」(うかむせ)というのは、清水寺の北側に実在した浮瀬(うかむせ)という名前の有名な料亭がモデルだそうです。現在は大阪星光学園の敷地内となるそうで、松尾芭蕉なども句を読んだそうです。
女郎の都や吾妻は、「新町」の「藤屋」に所属していたようです。日本三廓のひとつ「新町」に関しては、以前に訪問して記事も書きました。「吉田屋」があったところですネ。藤屋も置屋(おきや)のひとつだったそうですが、ぐぐってみてもよくわかりません。置屋というのは、遊女を保有していて派遣する店のことで、一方派遣された遊女がお客と遊ぶ店が揚屋(あげや)です。つまり序幕は、新町の女郎が四天王寺近くの料亭(遊郭ではありません)に来ていたという舞台設定です。
南与兵衛の家の八幡(やはた)は、現在の京都府八幡市(地図の赤印)です。一方、与五郎の実家は山崎(地図の緑印)。京都と大阪を結ぶ交通の要所ですが、歌舞伎のお軽勘平の「山崎街道」や、明智光秀の山崎の戦いでも有名ですね。
「角力場」の角力小屋があったのは、今は埋め立てられた堀江川にに架かっていた高台橋の南詰めの空き地だったそうで、現在の「高台橋公園」(地図の水色印)のあたりだそうです。
「角力場」で揚巻と与五郎が向かった「九軒」は、新町遊郭の北部にある町の名前だそうで、現在では新町北公園のあたりとのこと(地図の黄色印)。井筒屋もここにあったそうです。井筒屋は、「恋飛脚大和往来」の「封印切」の舞台としても有名ですね。設定からみると揚屋だと思うのですが、Yahoo!辞書には置屋と書いてあり、ぽん太の知識では判断がつきません。
続いて濡髪が侍たちを斬ってしまう「難波芝居裏」。高島屋百貨店の西側あたりになるそうです(地図の紫印)。
「引窓」の舞台は、先に書いた京都府八幡市。与兵衛がそれとなく濡髪に逃げ道を教えるセリフ「おおかた河内へ越える抜け道は、狐川を左へとり…」の狐川は、現在の小泉川だそうです。
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