【登山】変化に富む低山歩き/高鈴山・御岩山(日立アルプス)
茨城県の日立市の西側にそそり立つ稜線がある。秋になるとセンブリの花が咲き乱れ、花の百名山に数え上げられた高鈴山、そしてその岩峰が信仰の対象となり、またロッククライマーたちを呼び寄せる御岩山など、変化に富んだ景観が広がる。人はそれを「日立アルプス」と呼ぶ。
ということで、茨城の旅の二日目、本日も好天だったので、ネットで見つけた日立アルプスに登りました。「日立アルプス」というのは地元のハイキングクラブ「のんびり」の命名だそうで、気軽に登れる600メートル級の稜線です。全山縦走は時間的に無理なので、最高峰の高鈴山を含む一部を周回コースを選択しました。
【山名】高鈴山(623.3m)、御岩山(492m)
【山域】日光・那須・筑波
【日程】2014年1月16日
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】晴れだけどとても寒い
【ルート】もとやま自然の村駐車場10:52…高鈴山11:43…御岩山12:17…もとやま自然の村駐車場13:27
(※3D地図や当日の天気図などは「山行記録のページへ」をクリック)
【マイカー登山情報】もとやま自然の村に広い駐車場があり、管理人さんにひと声かけて停めることができます。トイレもあり。ただし県道36号から自然の村までの道は、舗装はされてますが途中から細くなり、普通車では切り返しが必要なカーブが何回かあります。
トイレが必要なければ、県道沿いのあかざわ山荘の駐車場も利用できます。
また、今回の周回路の場合、国土地理院の地図を見ると、県道からショートカットしてもとやま自然の村に行く林道(車は通行止めです)があるようなので(未確認です!!)、日鉱記念館の駐車場を利用させていただいて、ショートカットしてもとやま自然の村に入る方法もあるかもしれません。
【山行URL】ハイキングクラブ「のんびり」のホームページ:地図や案内があります。
ただ、実際に登ってみると細かな脇道がいくつもあるようで、それらが記載された地図は、ぽん太はネット上で見つけることができませんでした。
もとやま自然の村の駐車場に車を停め、登山の準備をしていると、音を聞きつけたのか、ワンちゃんがお出迎え。う〜ん、これは人懐っこすぎます。
まずはキャンプ場のなかを登っていき、キャンプ場が終わりかけたところで案内板に従って左折して小川を渡ると、ようやく登山道となります。登山道といっても廃道となった林道で、広くてなだらかな道です。
稜線に出ると反対側から来た林道にぶつかりますが、こちらの林道は現役で使われているようです。ここからの登山道は写真のような舗装道路。
あっけなく山頂に到着。冒頭の写真のような電波塔(?)があるので、道が整備されているのでしょう。寒かったですがとてもいい天気で、雪を冠った日光方面の山が見渡せました。
稜線を御岩山に向かいます。写真のような案内板があり、御岩山に直登するルートは通行禁止になっておりました。巻道を通り、引き返すような形で山頂に向かいます。
白木に墨で書かれた「御岩山山頂 賀毗禮之高峯」(かびれのたかみね)という案内板がありました。山の西側にある御岩神社(公式サイトはこちら)ゆかりの修験の山なんだそうです。最高地点は、この立て札より少し南に位置するようです。
写真を撮ったりしていると、普通の服装のカップルが登ってきました(女性はコートにパンプス)。パワースポットの洞窟があると聞いて、御岩神社から登って来たそうです。ちょっと一緒に探してみたんですが、それらしきものは見つかりませんでした。帰ってからぐぐってみると、天岩戸というものがあるようなのですが(例えばこちら)、正確な位置はわかりません。
さて、岩戸山から北へさらに稜線を辿って行くと、やがて舗装された林道に出ます。10mくらい左(西)へ行くと、神峯山へ続く登山道があります。そこを登って少し行くと、案内板があって、日立鉱山に日鉱記念館へと下る道への分岐があります。急な坂を下って行くと林道に出て、やがて舗装道路となります。道は神社の裏手を通りますが、入り口は反対側にあるようです。帰ってからぐぐってみると、「日立鉱山神社」だそうで(例えばこちら)、祭神は案の定、金山彦命(かなやまひこのみこと)のようです。鉱山にある神社は、この神様を祀っているものが多いです。
舗装道路をどんどん下って行くと、日鉱記念館の前に出ます(公式サイトはこちら)。ちょっと見てみたかったのですが、寒そうにしているにゃん子が機嫌をそこねるといけないので、言い出すことができませんでした。
日立鉱山は、銅鉱と硫化鉄鉱を産出した鉱山で、近代産業史に大きな足跡を残しましたが、一方で深刻な労働問題や鉱毒問題を引き起こしたそうです。Wikipediaの日立鉱山や日立鉱山の鉱害問題の項目をご覧下さい。
日鉱記念館からは、車が行き交う県道を下って行きます。途中で右に入る林道(車は通行止め)があり、恐らくもとやま自然の村に通じていると思われます。今回は冒険はしませんでした。県道の真ん中に立派な杉の木が聳えておりました。本山の一本杉と呼ばれているそうです(例えばこちら)。かつてはこのあたりに杉の大木が林立しておりましたが、鉱山の開発に伴って伐採され、守り神としてただ一本残っているのがこの杉だそうです。
もとやま自然の村で再びワンちゃんに挨拶し、車を回収。帰途、巨大な煙突が目に入りました。手前の太い煙突は、鉱石の精製で発生する亜硫酸ガス(足尾鉱毒事件やロンドンのスモッグでも有名)の対策として大正2年(1913年)に作られたものですが、まったく効果がなかったため、地元では「阿呆煙突」と呼ばれているそうです。そこで翌年、「高い所からまき散らせば拡散するだろう」という画期的な発想のもと、奥にある細い煙突が作られたそうです。福島第一原発の、高濃度放射線汚染水をそのまま流すといけないが、基準濃度以下になるように薄めて排出すればいいという発想(排出される放射性汚染物質の量は同じですよね)に似てますね。煙突に続く万里の長城のような回廊が、蛇のようで不気味ですね。この煙突は平成5年(1993年)に強風によって下1/3を残して倒壊し、補修されて現在に到っているそうです(例えばこちら)。
ところで話しはまったく変わりますが、なぜ福島原発による放射能汚染には、「公害」という言葉を使わないのでしょうか。企業活動によって深刻な環境汚染を引き起こしたわけですから、水俣病やイタイイタイ病、光化学スモッグなどのような公害なのではないかとぽん太は思うのです。少しぐぐってみると(「福島原発告訴団」代理人に聞く・・・なぜ東京電力を「公害罪」で刑事告発したのか?)、公害と認定されると公害罪の対象となるようですが、狸のぽん太には難しくてよくわかりません。
帰りに、おいしいお魚を求めて「久慈浜おさかなセンター」(→公式サイト)に寄りました。そこにあった「みなと寿し」で地魚を使った海鮮丼をいただきました(→食べログ)。美味しゅうございました。
久慈浜の駐車場に車を停め、しばし打ち寄せる波を見つめてから、帰途につきました。
なお、御好評いただいた冬の低山シリーズですが、寒くて辛いくせに面白くないとにゃん子の不興を買い、今回で中止となりました。しばらくスキーに専念する予定です。春になりましたらお会いしましょう。
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