【苦情】デイ・ケアに行った日は「通院精神療法」が算定できないなんてオカシイにゃん
一年の最初のブログを苦情で始めるのもどうかと思いましたが、温泉や観劇の報告じゃなくて本業に関することから始めるのもいいかと思って、投稿することにしました。
医療を行った場合の医療機関の収入は、「診療報酬点数表」によって定められております。診察をするといくら、処方箋を発行するといくら、精神療法をするといくらというのが、こと細かに決めれているわけです。
で、精神科の診療報酬に関することで、ぽん太が常々疑問に思っていたことを、今日は書いてみたいと思います。もちろん、「医者の儲けが少なすぎる」みたいないな下賎な文句ではありません。
それは、ある医療機関で精神科ショート・ケア、あるいはデイ・ケアを行うと、同一日に、例え他の医療機関であっても、「精神科専門療法」を算定できないことです。
これはどこに書いてあるかというと、厚労省のページの「第3 関係法令等」の「 【省令、告示】(それらに関連する通知、事務連絡を含む。) 」の、「(2) 3 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」の別添1(医科点数表)というpdfファイル(こちら)のI009(3)に、「また、精神科デイ・ケアを算定している患者に対しては、同一日に行う他 の精神科専門療法(他の医療機関で実施するものも含む。)は、別に算定できない。」と書かれています。
わかりやすい一般サイトのURLをあげれば、例えばこちらのサイトの(3)の終わりの部分ですね。
ちなみに問題の「(他の医療機関で実施するものも含む。)」という文言は、平成26年4月から加わったものだそうです。
具体的にいうと、ぽん太のクリニックの外来に通っている患者さんが、うちではデイ・ケアを行ってないので、他の大きな病院のデイ・ケアに通っていたとすると、その同じ日にぽん太の外来を受診した場合、「通院精神療法」を算定できなくなるのです。
患者さんが外来通院した場合、普通ならば、再診料72点+処方箋料70点+通院精神療法330点=472点=4,720円の収入があるのですが、通院精神療法が算定できない場合は、再診料72点+処方せん料70点+外来管理加算52点=194点=1,940円と、収入が半分近くになってしまいます。同じ診療を行っていて、こんなに収入を下げられてしまっては、経営が成り立ちません。仕方ないので、デイ・ケアに行かない日に当院を受診してもらってますが、頑張って月曜から金曜までデイ・ケアに通っている患者さんは、わざわざ土曜日に当院を受診してもらわなければなりません。患者さんにしてみれば面倒きわまりなく、デイ・ケアの帰りにクリニックに寄って一日ですませ、土日はゆっくりすごしたいところだと思います。
通院精神療法とは、同じく留意事項通知(こちら)のI002の(1)に書いているように、「精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。」となっており、いくら患者さんがデイケアに通っているからといって、ぽん太が「じゃ、薬出しておきますから、困ったことや相談したいことがあったら、あとはデイ・ケアで聞いて下さいね」というわけにはいきません。ぽん太が行っている医療行為は、患者さんがデイ・ケアに通っているからといって、減るわけではありません。
厚労省の考えは、どうせ「あちこちで精神科専門療法を算定するのは医療費のムダ!」ということなんでしょうが、ぽん太にはどうにも納得できません。デイケアと外来が別の医療機関の場合は、外来で「通院精神療法」を算定するのは構わないんじゃないでしょうか?
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