モローとガニオが出るというので観に行ってきました。特集ベージはこちら、オーチャードホールのサイトはこちらです。
「美形」のダンサーと演奏家を集め、オーチャードを会場にしたオシャレな企画でしたが、出演者がダンサー3人、演奏2人で、ちょっとこじんまりとしてあっけない印象でした。もうちょっとたっぷり見たかったな〜。
モローが股関節を痛めたということで、演目の変更があったりしたのが関係してるのかもしれません。
3人のダンサーのパフォーマンスはもちろん素晴らしかったですが、振付がいまいちだったのが残念。まあ、オサレな企画なので、前衛的な振付は避けたんでしょうけど。
モロー自身が振り付けた『煌めくエトワール』は、エレガントながら普通の古典バレエだったし、ジョルジオ・マンチーニの振り付けも、『トリスタンとイゾルデ』では抱き合ったり、『それでも地球は回る』では顔を覆って泣く仕草がありましたが、それを「踊り」で表現して欲しかったです。『トリスタン…』もあまり官能的じゃなかったし、ヴァグナーのオペラの感動を超えているようには思えませんでした。ブベニチェク振り付けの『月の光』はぽん太は2回目。舞台上のピアノを利用した振り付けは雰囲気があって悪くありませんが、前の方の席だったせいかちょっとバタバタした印象があり、序奏部分とかでもうちょっと「月の光」らしい静謐さがあるとよかったです。フォーキンの『瀕死の白鳥』は定番ということで、いちばん見応えがあったのが中村恩恵の振付でした。首藤康之とのペアでこれまで何回か振り付けや踊りを見たことがありますが、今回も振り付けを楽しみながら観ることができました。
ジョルジオ・マンチーニという名前は初めて聞きましたが、ぐぐってみたところ、イタリア語のWIkipeidia(Giorgio Mancini - Wikipedia)と、彼自身のバレエ団の公式サイト(GM Ballet)などを見ると、1964年生まれのイタリアの振付家・ダンサーで、以前はベジャールの二十世紀バレエ団やベジャール・バレエ・ローザンヌなどで踊っていたみたいですね。下の動画を見るとだいぶ印象が違って、なかなかいいような気もするのですが、1時間くらいの作品の最後だけだったのがいけないのか?こちらにもっと長い動画もありますが、早々にリンク切れになりそうな予感。
それにしてもジルベールやガニオ、体重しぼり過ぎではないかいな?オペラ座の命令かしら。ジルベールは頬がこけ、腕も細くて阿修羅像みたいで、『瀕死の白鳥』の腕の動きに柔らかさが感じられませんでした。ガニオも体脂肪がとれて、ボディビルみたいに筋肉の間のくぼみがきっちり出てました。
ヴァイオリニストの三浦文彰という名前も初めて聞きましたが、若手の売出中の人みたいですね。楽器を良く鳴らしていて、艶やかで深みのある音色でした。『瀕死の白鳥』では、チェロのパートをヴァイオリンで弾いていたわけですが、違和感がありませんでした。ただ『序奏とロンド・カプリチオーソ』などでは、ぽん太の好みとしては、もちっと激しいアタックを聞かせたり、演歌調にねばっこく弾いても良かった気がしました。
イザイの『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』。現代曲のようなバッハのような不思議な曲でした。イザイって誰かと思ったら、往年の名ヴァイオリニストですね。
ピアノのジョルジュ・ヴィラドムスもぽん太は初めてでしたが、メキシコのピアニストのようですね。同じメキシコ人の作曲家(ギター曲が有名ですね)のポンセの『メキシカン・バラード』も良かったですが、リストの『バラード 第2番 ロ短調』がなかなか雰囲気がありました。
カーテンコールでモローと一緒に手をつないで出て来たので、「友達なのかな〜」などと思って後でググってみたところ、次のような記事を見つけました(エルヴェ・モローが日本のために企画した公演とは? | madame FIGARO.jp(フィガロジャポン)、2015.08.06)。
それによると、ヴィラドムスが祖国メキシコで貧しい子供たちにクラシック音楽を学ぶ機会を与える財団を作っていることをモローが知って賛同。自分も何か協力できないかと考え、ヴィラドムスがピアノを弾いてモローが踊るというチャリティープロジェクトが生まれ、2014年秋に第一回の公演が行われました。今回の日本公演はチャリティーではないけど、この公演の延長上にあるようです。
「主催」にテレビ東京が入ってました。う〜ん、フジテレビを抜いて文化活動にも力が入ってきてるんでしょうか?
Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~
オーチャードホール
2016/1/11
■『煌めくエトワール』 *日本初演
音楽:ジュール・マスネ 「タイスの瞑想曲」
振付:エルヴェ・モロー
振付協力:イザベル・シアラヴォラ
バレエ:ドロテ・ジルベール&エルヴェ・モロー
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■イザイ:『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』
ヴァイオリン:三浦文彰
■ポンセ:『メキシカン・バラード』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■『トリスタンとイゾルデ』よりパ・ド・ドゥ *日本初演
音楽:リヒャルト・ワーグナー
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ
※音楽は録音テープを使用
■『ツクヨミ』 *世界初演
音楽:アルヴォ・ペルト「アリーナのために」
振付:中村 恩恵
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■『それでも地球は回る』
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ「バヤゼット」より“私はないがしろにされた妻”
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:マチュー・ガニオ
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■サン=サーンス:『序奏とロンド・カプリチオーソ』
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■『瀕死の白鳥』
音楽:カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
バレエ:ドロテ・ジルベール
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■リスト:『バラード 第2番 ロ短調』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■『月の光』
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:イリ・ブベニチェク
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
■スペシャル・カーテンコール
音楽:バート・ハワード「Fly Me to the Moon」
出演:全員
※音楽はフランク・シナトラによる録音を使用
出演
エルヴェ・モロー
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス
ヴァイオリン:三浦文彰
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