【歌舞伎】寺嶋和史くん初お目見得・2016年5月歌舞伎座夜の部
歌舞伎座の團菊祭は、菊之助の長男の寺嶋和史くんの初お目見得がある夜の部を観劇。公式サイトはこちらでござる。
初っぱなからいきなり初お目見得の演目で、「勢獅子音羽花籠」。あんまり出番が遅くなるとオネムになっちゃうからでしょうか。豪華な役者陣に囲まれ、菊之助に抱かれて花道から登場。かわいいです。お顔は、菊五郎よりも、吉右衛門遺伝子を多く引いてる気がしました。
平成25年11月28日生まれとのことですから、まだ2歳5ヶ月。顔を両手で覆ったり、扇子を放り投げたりとやりたい放題。それでも三本締めではパチパチと両手を打ち、最後は客席に向かってバイバイしてました。う〜ん、どんな役者になるのやら。楽しみです。
続いて「三人吉三」。お嬢吉三が菊之助、お坊吉三が海老蔵、和尚吉三が松緑。黙阿弥一流の七五調のセリフも、不安なく楽しんできけるようになってきました。ただ、菊之助と海老蔵の掛け合いが、ちょっとテンポが遅い気がしました。あと、菊之助の化粧がなんだか変。小粋な感じがなく、目がショボショボして見えました。
お次ぎは松緑の武智光秀で、「時今也桔梗旗揚」。ぽん太は松緑はちょっと苦手なので、正直あまり期待してなかったのですが、けっこう感動しました。
化粧も、いつもの目がでかい猫みたいなやつじゃありませんでした。
小田春永のいじめを耐え忍ぶ光秀のつらさが伝わってきました。ただ、光秀の陰湿さや要領の悪さも見えてしまい、光秀に完全に感情移入することはできません。團蔵の春永も、単に意地悪なだけでなく、光秀と次元の違う豪放さを持っていて、二人がうまくかみ合ってないという印象を受けました。
最後は、海老蔵と菊之助の「男女道成寺」で明るくしめました。
聞いたか坊主のあと、踊りの衣装をつけた二人の白拍子がせり上がってくるという短縮版ですが、二人がせり上がって来た姿は人形のような美しさで、客席が大いに沸きました。単なる時間の節約ではなくて、こうした舞台効果も狙っているのかもしれません。
菊之助の踊りを堪能。海老蔵は狂言師左近となってからもなかなかの美形で、菊之助とのクドキはいい雰囲気でした。
全体として、なかなか満足できる舞台でした。
團菊祭五月大歌舞伎
歌舞伎座
平成28年5月22日
夜の部
一、勢獅子音羽花籠(きおいじしおとわのはなかご)
寺嶋和史 初お目見得
鳶頭 菊五郎
鳶頭 吉右衛門
菊之助
寺嶋和史(菊之助長男)初お目見得
鳶頭 松緑
鳶頭 海老蔵
鳶頭 團蔵
茶屋女房 萬次郎
茶屋女房 秀調
鳶頭 権十郎
鳶の者 亀三郎
鳶の者 亀寿
鳶の者 松也
芸者 梅枝
鳶の者 萬太郎
鳶の者 巳之助
芸者 尾上右近
芸者 種之助
鳶頭 錦之助
鳶頭 又五郎
芸者 雀右衛門
芸者 時蔵
芸者 魁春
世話人 彦三郎
世話人 左團次
鳶頭 梅玉
河竹黙阿弥 作
二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
大川端庚申塚の場
お嬢吉三 菊之助
お坊吉三 海老蔵
夜鷹おとせ 尾上右近
和尚吉三 松緑
鶴屋南北 作
三、時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)
本能寺馬盥の場
愛宕山連歌の場
武智光秀 松緑
小田春永 團蔵
四王天但馬守 亀寿
桔梗 梅枝
森蘭丸 萬太郎
森力丸 巳之助
連歌師丈巴 橘太郎
園生の局 笑也
矢代條介 男女蔵
安田作兵衛 松江
皐月 時蔵
四、男女道成寺(めおとどうじょうじ)
白拍子桜子実は狂言師左近 海老蔵
所化 男女蔵
所化 九團次
所化 萬太郎
所化 巳之助
所化 竹松
所化 尾上右近
所化 種之助
所化 廣松
所化 橘太郎
白拍子花子 菊之助
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