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2016/05/14

【仏像】岩手にある二つの重文の兜跋毘沙門天(1)成島毘沙門堂

 岩手県にある、二つの重要文化財の兜跋毘沙門天を訪ねました。まずは成島毘沙門天。場所などの情報は例えばこちらをどうぞ(いわて観光/旅行ポータルサイト)。

 兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)というのは、仏像初心者のぽん太には耳慣れない言葉です。毘沙門天というからには、四天王の向かって右後ろにいる多聞天=毘沙門天のことでしょうけど、普通は邪鬼を豪快に踏みつぶしているのに、兜跋毘沙門天はすまし顔の女性に支えられています。

 なんだこりゃ、ということでぐぐってみると、「兜跋」とは西域兜跋国(現在のウィグル自治区のトゥルファン)とする説が一般的で、戦いの時にこの姿で毘沙門天が現れ、敵を撃退したという伝説に基づいているんだそうです。

Kyowogokokuji_monastery_tobatsu_bis

 この写真は、教王護国寺(東寺)にある国宝の兜跋毘沙門天像の、パブリックドメインの写真です(Wikipediaより)。さすが仏像で有名な東寺、しっかり揃えてますね〜。ぽん太が以前に東寺に行ったときは、宝物館が閉館していたため拝観できませんでした。

 東寺の兜跋毘沙門天は、唐で作られたものを日本に請来したもので、平安京を守るために、南の正門である羅城門の上に安置されていたと言われております。

 この像が兜跋毘沙門天の原型に近いそうで、いかにも西域風な出で立ちです。頭には宝冠をかぶっており、宝冠の正面には鳳凰、左右には宝棒を持って立つ人物が薄肉彫されています。身体には金鎖甲(きんさこう)という外套のような鎧をまとい、両手には海老籠手(えびごて)という海老の背中のような籠手をつけ、脛にも海老のような脛当を付けています。そしてなによりも地天女(じてんにょ)の両手の上に立つことが特徴で、両脇には二鬼(尼藍婆(にらんば)・毘藍婆(びらんば)を伴っています。

 平安後期にはこの東寺の像の模像が作られるようになり、各地に広まったそうです。

参考サイト
兜跋毘沙門天 - Wikipedia 重要文化財|兜跋毘沙門天立像|奈良国立博物館 兜跋毘沙門天立像 文化財オンライン 毘沙門天の発見|西域文明の発見 「毘沙門天像の成立と展開ー唐・宋から平安へ」

Img_9293 ということで旅のお話に戻りますが、こちらが入口。

 左右に「熊野神社」「毘沙門堂」と書かれております。神仏習合の美しい姿ですね。
Img_9300 このようなものも祀られており、素朴な民間信仰も排除されずに保たれているようです。
Img_9295 熊野神社の社殿です。
Img_9298 なき相撲の土俵です。案内板によると、以前は大人による相撲でしたが流血の争いとなり、子供の泣き相撲に改められたんだそうです。
Img_9307 毘沙門堂(国指定重要文化財)です。かつてはこのなかに兜跋毘沙門天が祀られておりました。室町時代後期の建立と考えられております。
Img_9310Img_9309
 毘沙門堂の前には狛犬がいます。かなり風化しており、ぽん太の得点は高いです。
Img_9315 毘沙門堂の内部。長く人々の信仰を集めて来たことが感じられます。
Img_9323 「御味噌奉納堂」です。案内板によると、毘沙門天立像の脛に味噌を塗って祈願をするという民衆信仰があったそうです。このお堂には、実物の毘沙門天像と同じ大きさの足があり(カーテンの下に足が見えますね)、そこに味噌を塗るようです(重文に塗っちゃまずいですもんね)。
Img_9325 傍らには宮沢賢治の詩碑。文語詩「祭日〔二〕」に、毘沙門天の脛に味噌を塗って病気平癒を願う母親たちの姿が描かれているそうです。
Img_9326 こちらが現在兜跋毘沙門天が祀られている収蔵庫です。内部は撮影禁止なので写真はありませんが、たとえばこちらのじゃらんnetに比較的大きめな収蔵庫内の写真があり、また昔に出会う旅には兜跋毘沙門天の大きな写真があります。
 なかに入ると、中央にで〜んと兜跋毘沙門天が。とにかくでかいです。像高4.73メートルは、一木彫の毘沙門天像としては日本最大。両腕や装飾などは付け加えたものとのこと。造形的にもどっしりしており、なんか服装といい、ぽん太は「大魔神」を
思い浮かべました。
 顔は身体に比べて小さめで、利かん坊風。頭上には宝冠ではなく兜か?腕には籠手はつけておらず、普通の毘沙門天のように、布の袖を縛ってます。鎧や脛当ても、普通のタイプのようです。腰から下がる紐(?)が輪を描いてます。
 邪鬼は左右に脇侍のように置かれ、外側に少し首をかしげ、両腕でバッテンを作ってます。降参の印でしょうか。
 さらに左には、吉祥天と伝えられている立像があります。木目がとてもきれいです。古風な像なのに、顔がとても写実的なのにぽん太は驚きました。しかし頭の上の髷みたいなところが、牙のある二つの象みたいになっていて、ちょっと怖いです。毘沙門天の脇侍ということで吉祥天とされているようですが、なんか腑に落ちないものを感じます。
 向かって右には阿弥陀如来がありますが、首は後から加えられたもので、ちょっと小さすぎます。元は十一面観音だったのではないかと言われておりますが、よくわからないそうです。

 

 

成島毘沙門堂

 

毘沙門天立像 ケヤキ一木造 4.73m 平安時代中期 国指定重要文化財
木造二鬼坐像 一木造 国指定重要文化財
木造伝吉祥天立像 ケヤキ一木造 平安時代前期 国指定重要文化財
木造伝阿弥陀如来立像(頭後補) ケヤキ割矧造 県指定

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