【仏像】重文の千手観音、聖観音、地蔵菩薩。清水寺(長野県松代町)
9月の頭のことですが、長野県は松代町にある清水寺に行ってきました。「清水寺」と書きますが、「きよみずでら」ではなく、「せいすいじ」と読みます。ここには三躯もの重文の仏様が安置されております。公式サイトはこちらです。
【寺院名】真言宗豊山派・龍燈山蓮華院清水寺(通称:北信濃厄除大師)
【住所】長野市松代町西条147
【拝観】事前予約制。拝観料500円。
【仏像】
木造千手観音立像 像高179cm 桂材一木造り 平安初期 重要文化財
木造観音菩薩立像(聖観音) 像高159cm 桂材一木造り 平安初期 重要文化財
木造地蔵菩薩立像 像高157cm 桂材一木造り 平安初期 重要文化財
薬師如来 像高107cm 桂材一木造り 平安初期 県宝
毘沙門天 像高158cm 桂材一木造り 平安初期 市宝
滝ノ上不動尊 不動明王
【写真】撮影禁止です。
お寺の公式サイトに写真があります。こちらからそれぞれのリンクをたどって下さい。
「真田丸」のおかげか観光客でにぎわう松代町ですが(真田幸村の兄・信之(大泉洋)が、大阪の陣の後に移封された場所ですね)、中心街からだいぶ南に外れたとろこにある清水寺周辺はまったく人気がありません。でも、旧参道と思われる道には昔ながらの街並みが残っていて、いにしえの雰囲気が漂います。
清水寺は、植木などはしっかりと手入れされておりますが、残念ながら建物があまり残っていないのが残念です。しかし収蔵庫はなかなか立派で、大きさもさることながら、シンプルで機能的なものが多いなか、デザインが凝ってます。壁に柱が模してありますし、曲線を描いた寄せ棟の屋根も美しいです。
なんでも、戦後初に造られた収蔵庫で、設計は、中尊寺の金色堂を覆っている建物と同じ人なんだそうです。あとでググってみると、大岡實(1900年 - 1987年)という人のようですね。こちらの「大岡實建築研究所」のサイトに、清水寺本堂や、中尊寺金色堂・新覆堂が掲載されています。
お堂の中に入ると、重文指定の千手観音・聖観音・地蔵菩薩の三躯が、やはりオーラを放っております。特に二つの観音菩薩は、江戸時代の補修で貼られた金箔が剥げかかり、爬虫類の鱗のようにも見えて、密教的な迫力が感じられます。
千手観音(写真)は、ほぼ等身大の大きさ。お顔がちいさく、やや胸を張った姿勢。厳かな表情で遠方を見つめていらっしゃいます。全体としては優美な印象です。平安時代初期の9世紀頃の作という古い仏様です。
聖観音(写真)は、ウエスト(というか、胸と腹の間)がくびれて、お腹がぷっくり。ちょっと昆虫的です。お顔は外国風で、髪型も青島幸男の意地悪ばあさんのようです(わかるかな?わらないひとは例えば こちら)。普通の人間とは異質な感じがします。腰をひねり、右足を前に踏み出し、からだ全体に大きなうねりがあります。千手観音が「静」なら、この聖観音は「動」か?
地蔵菩薩(写真)は、胸の辺りの肉付きがよく、重量感があります。表情はけっこう厳しいです。衣紋は彫りが深く、翻波式です。左手に宝珠、右手に錫杖というお姿はよく見かける気がしますが、実はこういった像容は鎌倉時代に一般的になったもので、この時代の地蔵菩薩としては珍しいんだそうです。
その他、薬師如来(写真)や、江戸時代に彩色された毘沙門天(写真)、四天王などもいらっしゃいます。
また、かなり傷んだ梵天様もありました。傷みが激しかったためか、お堂の天井裏に放り込まれていたそうですが、年代的には他の仏像より古いと考えられるそうです。また、表面に木の節が出ているのですが、仏像をわざわざ節のある木で造るはずはないので、御神木から彫られたのではないかと推定されるそうです。
不動堂には、不動明王(写真)が安置されております。以前に修復に出したら、このようなお姿になって帰ってきたそうで、体は真っ黒、火炎は真っ赤で、真っ白な目や歯がアニメチックです。この修復はいけません。
お堂の軒下に三つ葉葵の御紋が入っています。
このお寺は江戸時代には徳川家の祈祷寺だったそうで、そのおりに三つ葉葵の御紋を頂いたそうです。
« 【オペラ】わくわくドキドキぐるぐる「フィガロの結婚」ウィーン国立歌劇場 | トップページ | 【オペラ】声量はあったけど。「ラ・ボエーム」新国立劇場 »
「仏像」カテゴリの記事
- 【仏像】奈良国立博物館の仏像を東京で見れました「SHIBUYAで仏教美術」松濤美術館(2022.05.08)
- 【仏像】甲斐善光寺御開帳で御本尊善光寺如来を拝観(2022.05.07)
- 【仏像】放光院長楽寺の秘仏御本尊・聖観世音菩薩が御開帳(2022.05.06)
- 【仏像】善光寺がコロナで1年遅れの秘仏前立本尊の御開帳(2022.05.03)
- 【神像】重文を含む神像群は必見!・特別企画展「箱根神社の御神像」箱根神社宝物館(2022.04.29)
« 【オペラ】わくわくドキドキぐるぐる「フィガロの結婚」ウィーン国立歌劇場 | トップページ | 【オペラ】声量はあったけど。「ラ・ボエーム」新国立劇場 »
コメント