【クラシック】「第九」に正面から取り組む/アヌ・タリ指揮・東京フィルハーモニー交響楽団
今年の第九は、日程と会場の関係から、東京フィルに決定!公式サイトはこちらです。
なんか指揮者は若い美人女性。アヌ・タリという名前は初耳ですが、現在売出中のエストニアの指揮者だそうです。Wikipedia(英語版)(こちら)によると、1972年生まれというから、現在はすでに44歳。1997年、25歳の時に、双子の姉とともにノルディック交響楽団を設立したそうですが、いったいどうゆうことなんだ?セレブの娘でしょうか、ぽん太には皆目わかりません。
実際に見てみると、化粧も薄く、髪も後ろでシンプルに結び、チラシの写真ほど「美貌」を売りにしている感じはありませんでした。実力派のようです。
最初の曲はヘイノ・エッレル作曲の『夜明け』。エッレル(1887-1970)は、現代エストニア音楽の父と呼ばれる作曲家だそうで、これは自国の音楽の紹介ですな。もちろんぽん太は初めて聞く名前です。のちにエストニアのタリン音楽院の作曲科教授として、アルヴォ・ペルトを教えたそうです。アルヴォ・ペルトってエストニア人だったんですね。知りませんでした。
ちなみにぽん太とにゃん子は、来年のゴールデンウィークはバルト三国を訪れる予定です。
で、エッレルの『夜明け』は、ちょっとドビュッシーを思わせる音色もあり、シベリウスっぽい北欧らしさもあり、という感じで、凡庸さは感じられませんでしたが、かといって魅惑されるようなところもないという感じでした。
これまでさんざん演奏され尽くした「第九」。最近の演奏では、何か新しいニュアンスや表現を見つけ出して、ご披露するという感じが多いですが、アヌ・タリは「第九」と正面から取り組んだ感じで、小細工もほとんどせず、ストレートな演奏でした。
「第九」は、第一楽章はやや早めのテンポで始まり、特に三楽章が早かったです。楽譜を見ながらの指揮で、細かいニュアンスなどの表現は少なめ。第三楽章は、指揮棒を持たずに指揮してましたが、その効果があるのかどうかよくわかりませんでした。オーソドックスな演奏ながら、エネルギッシュで迫力がありました。ただ、一気に通り過ぎて行った感じで、ちょっと一本調子。ふっと緊張を抜いてためる、みたいなところがあると、もっといいのですが。
オケ、独唱、合唱はどれも満足。
円熟の極みの至芸という感じだった、今年のサイモン・ラトル、ベルリンフィルの「第九」に比べてしまうと、物足りなく思うのはいたしかたなし。
久々のオペラシティ、一階席でしたが、柔らかい音が良く届いて、音響は良かったです。左端だったので、側壁や、二階の床に反響して、ティンパニやホルンが大きく聞こえましたが、それもまた仕方ありません。
東京フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン『第九』特別演奏会
2016年12月22日
東京オペラシティ・コンサートホール
指揮:アヌ・タリ
ソプラノ:小川里美
アルト: 向野由美子
テノール:宮里直樹
バリトン:上江隼人
合唱:東京オペラシンガーズ
ヘイノ・エッレル/『夜明け』
ベートーヴェン/交響曲第9番『合唱付』
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