【文楽】英太夫が呂太夫を襲名/国立劇場2017年5月第一部
5月の国立劇場の文楽は、「菅原伝授手習鑑」がかかる第一部を鑑賞。英太夫改め呂太夫の襲名披露もあります。公式サイトはこちらです。
最初の「寿柱立万歳」は、歌と踊りのおめでたい演目で、襲名のお祝い気分を高めてくれました。
さて、「菅原伝授手習鑑」は、歌舞伎でいう「賀の祝」と「寺子屋」。
「賀の祝」は以前に歌舞伎で観たことがあるのですが、なんか内容がよくわかりませんでしたが、こんかい文楽で観て、(字幕があるので)よくわかりました。
芳穂太夫が語った「茶筅酒の段」は、梅王丸・松王丸・桜丸のそれぞれの奥さんが、白太夫の70歳の祝いの準備をいそいそとする場面。ぽん太は歌舞伎でも見たことがありません。桜丸の奥さんの八重さんだけがぶきっちょで、すり鉢がグワングワンと揺れてしまったり、大根がうまく切れなかったりします。このめでたくも楽しい雰囲気が、最後には桜丸の切腹へ至るのですから、すごいストーリー展開です。
「喧嘩の段」は、若くてちょっとイケメンの咲寿太夫と龍爾が勤めました。良くいえば若々しく、悪く言えばちょっと固い語りでしたが、全力を尽くしての熱演が、梅王丸と桜丸が張り合って喧嘩をするという場面によく合ってました。
「桜丸切腹の段」は文字久太夫が切々と語りました。
口上をはさんで、呂勢太夫の「寺入りの段」に続いて、いよいよ新・呂太夫が「寺子屋の段」の前に登場。緊迫したやりとりを丁寧に語りました。切は咲太夫が格調ある語りで締めました。歌舞伎の「寺子屋」は武部源蔵夫婦が主役のような印象がありますが、文楽で見ると松王丸・千代の物語ですね。泣かせてくれました。
人形遣いでは、玉也の白太夫が味がありました。玉男の松王丸は大きくて立派。勘十郎が松王丸の女房千代、和生が武部源蔵。
平成29年 5月文楽公演
東京国立劇場小劇場
2017年5月17日
第一部
寿柱立万歳(ことぶきはしらだてまんざい)
太夫 三輪太夫
才三 津國太夫
南都太夫
小住太夫
文字栄太夫
清馗
清丈
清公
錦吾
團吾
太夫 紋臣
才三 清五郎
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
茶筅酒(ちゃせんざけ)の段
芳穂太夫
清友
喧嘩の段
咲寿太夫
龍爾
訴訟の段
靖太夫
錦糸
桜丸切腹の段
文字久太夫
藤蔵
豊竹英太夫改め六代豊竹呂太夫
襲名披露口上
寺入りの段
呂勢太夫
清治
寺子屋の段
前 英太夫改め 呂太夫
清介
切 咲太夫
燕三
親白太夫 玉也
百姓十作 勘市
女房八重 簑二郎
女房春 一輔
女房千代 勘十郎
松王丸 玉男
梅王丸 幸助
桜丸 簑助
よだれくり 玉翔
菅秀才 勘介
女房戸浪 勘寿
一子小太郎 簑太郎
下男三助 玉彦
武部源蔵 和生
春藤玄蕃 文司
御台所 簑紫郎
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