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2017年12月の8件の記事

2017/12/22

【歌舞伎】亀蔵の至芸!「らくだ」で笑い納め。2017年12月歌舞伎座第2部

 亀蔵がらくだをやると聞いて歌舞伎座に行ってきました。
 ん〜、なんか暮れも押し詰まってきたせいか、空席が多かったですね〜。亀蔵のらくだの価値を知らんのかいな。12月は3部制で、お値段は若干安いとはいうものの、割高感があったのかも。

 で、亀蔵のらくだ、す・ば・ら・し・か・っ・たです。約10年ぶりに観ましたが、衰えるどころかさらにパワーアップした感じ。
 前回とはちょっと脚本が違うみたいですが、ぽん太の記憶力ではよくわかりませんでした。
 というかこの芸は、舞踏やダンス、マイムなどの身体パフォーマンス全体のなかでも、トップクラスなんじゃないでしょうか?
 実際は自分で体重を支えているはずなのに、あのぐったり感はすごいです。操られているときなどは、伸ばした足の指先で体重を支えているのでしょうか?
 らくだが背が高くてのそ〜っとしているという設定も、亀蔵にぴったりですね。「ニン」を超えた天性のらくだ役者だと思います。
 心の底から大笑いをして、一年の垢を落とすいい機会となりました。ありがとうございました。

 中車の屑屋久六と、愛之助のやたけたの熊五郎、う〜〜〜ん今ひとつでした。というか、十年前の勘三郎と三津五郎が記憶に残っているからな〜。
 中車も双眼鏡で見ると、顔で一生懸命芸をしてるんですけど、三階から肉眼で見ると、身体全体の動きや声の調子やリズムなど、面白さが感じられません。愛之助ともうまく掛け合いになって行かず、最後も盛り上がって皆でかんかんのう踊ってドタバタでエンディング、という流れができませんでした。
 ニャン子と、勘三郎に代わる屑屋久六役は誰かいるだろうかという話になり、勘九郎しかないという結論に達しました。勘九郎さん、そろそろ「らくだ」 、よろしゅうお願いいたします。

 今回、舞台に向かって右側の席を取ってしまい、大家さんの玄関先での亀蔵と中車の「格闘」がよく見えなかったのが残念!次は左側の席にします。

 あと、皆さんすでにご存知かと思いますが、若き亀蔵さんが「らくだ」を語った動画をリンクしておきます。

 そのあと松緑で「蘭平物狂」。松緑の体を張った立廻りが見事でした。
 一子繁蔵は松緑の息子さんの左近。なんか声がはかなげで良かったです。

十二月大歌舞伎
平成29年12月20日

公式サイト
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/548

第二部

 初代桂文枝 口述
 堀川 哲 脚本
 奈河彰輔 改訂・演出
 今井豊茂 演出
一、らくだ

  紙屑屋久六 中車
  やたけたの熊五郎 愛之助
  家主幸兵衛 橘太郎
  家主女房おさい 松之助
  らくだの宇之助 片岡亀蔵


 浅田一鳥 作
 水沼一郎 補綴
 竹柴諒二 補綴
 倭仮名在原系図
二、蘭平物狂(らんぺいものぐるい)

  奴蘭平実は伴義雄 松緑
  壬生与茂作実は大江音人 坂東亀蔵
  水無瀬御前 児太郎
  一子繁蔵 左近
  女房おりく実は音人妻明石 新悟
  在原行平 愛之助

2017/12/21

【クラシック】なんか淡々とした演奏でした。マルク・アンドレーエ指揮、新日本フィルの『第九』

 今年の第九は日程と会場の関係から新日本フィル。指揮のマルク・アンドレーエは初めてでした。

 どうも音響的にぽん太と相性がわるいオーチャードホール。今回は3階の袖の席。全体的にまあまあまとまって聴こえたのですが、ちょっと遠い感じで、迫力がありませんでした。

 座席のせいなのかわからないけど、なんか淡々とした演奏で、特にぐぐっと引きつけられるところなく終わってしまいました。
 指揮のマルク・アンドレーエは指揮棒を持たず、強拍で手をぐっと伸ばすような感じで、淡々とリズムを刻んでました。細かいニュアンスの指示はほとんどなく、テンポの微妙な揺れもありませんでした。なんかとっても地味な演奏で、あんまり興奮できませんでした。

 プログラムも『第九』一曲だけで、コスパが悪い( ^ω^ )。


 家に帰ってからぐぐってみると動画がみつかりました(https://www.youtube.com/watch?v=Ma9EjcUixjM)。1993年のN響ですが、あれれ、指揮棒持ってパワフルかつ表情豊かに振ってるじゃないですか。う〜ん、昨日の指揮は「老成」したってこと?ぽん太には、なんか老成の域を超えてるように思えて、この間に脳梗塞とか病気をして、握力が落ちて指揮棒を握れなくなったんじゃないかなどと心配になりました。
 

『第九』特別演奏会
2017 ユニオンツール クリスマスコンサート

Bunkamura オーチャードホール
2017年12月17日

公式サイト
https://www.njp.or.jp/archives/5763

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調『合唱付き』op.125
Beethoven:Symphony No.9 in D minor op.125 “Choral”


指揮 マルク・アンドレーエ
Marc Andreae, conductor
ソプラノ 森谷 真理
Mari Moriya, soprano
アルト 山下 牧子
Makiko Yamashita, alto
テノール 大槻 孝志
Takashi Otsuki, tenor
バリトン 久保 和範
Kazunori Kubo, baritone
合唱 栗友会合唱団
Ritsuyukai Choir, chorus
合唱指揮 栗山 文昭
Fumiaki Kuriyama, chorus master

2017/12/15

【クラシック】マツーエフのラフマニノフにびっくり仰天(ゲルギエフ/マリインスキーが劇場管弦楽団)

 マツーエフの演奏、特にラフマニノフの3番はまさに「凄い!」のひとことでした。ぽん太は驚くやら感動するやら。
 無知なるぽん太はマツーエフという名は初耳で、何の事前情報もなく聴きに行きました。大柄でがっちりした体格で、ぴんと背筋を伸ばして椅子に座った姿は、強靭な筋肉が伺えます。奏でる音色もがっしりとしていて、昔でいえばリヒテルみたいなスケール感がありあす。どんなに早いパッセージでも音が混ざらず、一つひとつの音が正確に聞こえてきます。それでいて静かでゆっくりしたところなどでは、まるで天国のような美しい音色を奏でます。
 まさしく超絶技巧ですが、ヴィルトーソ的なテクニックのひけらかしはなく、音楽に正面から向き合った演奏です。
 圧巻は第3楽章。怒涛の突き押しならぬ怒涛の演奏で、ラストは大きな体全体をムチのように痙攣させて腕をはね上げ、力のこもった熱演でした。
 いや〜凄かったな。観客も大興奮で、演奏終了と同時に「うお〜っ」というどよめきが起きました。
 こちらのインスタグラム(https://www.instagram.com/p/Bch2cBNH00m/)で、ラストの部分を聞くことができます。こちらのyoutube(https://www.youtube.com/watch?v=dRYSuGQfiqE)に、2013年の演奏があるけれど、今回の方がパワーアップしている気がします。
 ラフマニノフの3番というと、映画の『シャイン』を思い出しますが、こりゃ弾いてて気が触れるのも無理ないな〜。

 4番ももちろんよかったですが、3番の後ではちょっと物足りなく感じてしまうというのが、とっても贅沢。

 3番4番を続けて演奏するなんて、なんと凄い体力だと思ったら、同じ日のマチネで1番と2番を弾いてるじゃん。1日4曲とはおそロシア。

 最後は「交響的舞曲」。初めて聞く曲ですが、ロシアっぽい哀愁はあまり感じられず、なんだかフランス音楽っぽいところもありました。ラフマニノフの最後の作品だそうですね。

 先日のベルリンフィルに引き続いてのラフマニノフで、なんだか彼の曲に興味が湧いて来ました。

 ゲルギエフ指揮のマリインスキー歌劇場管弦楽団の演奏は、ロシアっぽい哀愁が感じらていいですね。弦の繊細な音色も、先日のベルリンフィルの厚みのある音とは全く違います。そして夕焼けの光のような金管、感傷的な木管の響き。所どころで見せるタメもよかったです。
 ゲルギエフって楽章の間の休みを取らないんですね。歌劇で鍛えているから、このくらいの長さをぶっ続けで演奏するのは平気なんでしょうか。表現がドラマチックなのも、歌劇の影響か?

 この演奏会は、ロシア文化の祭典「ロシアの季節」の締めくくりなんだそうです。実はぽん太とにゃん子、「ロシアの季節」の幕開けの公演にも行っております。それはザハロワが踊ったバレエの『ジゼル』で、これがまた最高のパフォーマンスでした。「ロシアの季節」の最初と最後の公演(しかもどちらも名演)を見れて、とっても幸せに思いました。ロシアの文化は素晴らしい!!

 


ワレリー・ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽団 デニス・マツーエフ(ピアノ)

2017年12月10日(日) 18:00
サントリーホール

公式サイト
https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=584

ワレリー・ゲルギエフ Valery Gergiev (芸術総監督、首席指揮者, Artistic and General Director)
デニス・マツーエフ Denis Matsuev (ピアノ, Piano)
マリインスキー歌劇場管弦楽団 The Mariinsky Orchestra


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op. 30
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ト短調 Op. 40 (ピアノ:デニス・マツーエフ)

ソリストアンコール
ラフマニノフ:練習曲「音の絵」Op.39-2

ラフマニノフ:交響的舞曲 Op. 45

オーケストラアンコール
メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」より"スケルツォ"

2017/12/14

【オペラ】ゾフィー役のゴルダ・シュルツが可愛いね「ばらの騎士」新国立オペラ

20171203_165021_1
 今回はにゃん子が病欠で、一人で観に行ってきました。にゃん子の席は、とっても高価な荷物置き場に。

 「ばらの騎士」は久しぶり。でも、何度観てもいいオペラですね。お洒落で流麗で、胸ときめく恋もあればドタバタのお笑いあり。そして漂う哀愁。大人の最高のエンタテイメントです。

 今回はオクラヴィアン役のダニエラ・シンドラムが来日できなくなったのがとっても残念。代役のステファニー・アタナソフももちろんとっても素晴らしいのですが、前回の2015年の「ばらの騎士」でも同じ役。オクタビアンやファーニナルも前回と同じ歌手だったので、全体にちょっと既視感がありました。

 前回と違う歌手としては、元帥夫人のリカルダ・メルベートは、『さまよえるオランダ人』のゼンタや『ジークフリート』のブリュンヒルデを聞きました。時の流れを憂いつつ若い世代に未来をたくしていく気品ある元帥夫人でした。

 また、ゾフィー役のゴルダ・シュルツは、ちっちゃくて可愛らくして、令嬢というより可愛らしいお嬢さんという感じ。高音が鈴の音のように澄んでました。

 ジョナサン・ミラー演出の舞台装置も悪くないですが、やっぱりばらの騎士の登場シーンは、舞台正面の階段の上から降りてくるのがぽん太は好きです。まばゆいばかりの美しい若者の登場に、ゾフィーと同じ気持ちで胸をときめかせたいところ。


オペラ「ばらの騎士」/リヒャルト・シュトラウス
Der Rosenkavalier / Richard STRAUSS

新国立劇場オペラパレス
2017年12月3日

公式サイト
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/9_009637.html

指揮:ウルフ・シルマー
演出:ジョナサン・ミラー
美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター
照明:磯野 睦
再演演出:澤田康子
舞台監督:大澤 裕

元帥夫人:リカルダ・メルベート
オックス男爵:ユルゲン・リン
オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ
ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー
ゾフィー:ゴルダ・シュルツ
マリアンネ:増田のり子
ヴァルツァッキ:内山信吾
アンニーナ:加納悦子
警部:長谷川 顯
元帥夫人の執事:升島唯博
ファーニナル家の執事:秋谷直之
公証人:晴 雅彦
料理屋の主人:加茂下 稔
テノール歌手:水口 聡
帽子屋:佐藤路子
動物商:青地英幸

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

2017/12/08

【観光】信玄餅が次々と出て来て可愛いです❤️桔梗屋工場見学(山梨県笛吹市)

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 仏様を拝んだところで、精進落としに桔梗屋の本社工場見学へ。
 信玄餅はぽん太が子供の頃からあるお菓子で、きな粉好きのぽん太にはたまらない逸品でした。最近は信玄餅だけでなく、アイスやプリンなども売り出して、手を広げているようですね。

 工場見学の公式サイトはこちらですが、こちらの「富士の国やまなし観光ネット」のページの方が、地図などもあって見やすいかもしれません。

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 まずは工場見学。信玄餅の原料のお餅が練られております。

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 きな粉餅が次々と小箱に詰められ……

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 それぞれに黒蜜が乗っけられます。

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 ビニールで包むのは手作業。熟練の技で手早く包んでいきます。

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 箱詰めして完成!
 あの信玄餅がどんどん作られていくのを見るのは面白いです。

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 工場見学のあとは売店へ。
 「桔梗信玄ソフト」と「恋い抹茶」です。美味しゅうございました。


2017/12/07

【仏像】重文の日光・月光菩薩と十二神将 ぶどう寺大善寺@山梨県勝沼町

 ぶどう寺として有名な、山梨県の勝沼にある大善寺を再訪しました。

 

 とっても珍しい、薬壷ではなくてブドウを持った薬師如来さま(重文)がいらっしゃしますが、残念ながら秘仏で見れず。でも、重要文化財の十二神将と大きな日光・月光菩薩さまが拝観できます。
 

 

【寺院名】真言宗智山派 柏尾山 大善寺(ぶどう寺)
【公式サイト】http://katsunuma.ne.jp/~daizenji/ 【住所】山梨県甲州市勝沼町勝沼3559
【拝観日】2017年8月31日
【拝観】基本的に常時可能。拝観料500円。駐車場もあります。
【仏像】
十二神将立像 檜一木造・寄木造 像高138.2〜145.9cm 鎌倉時代 重要文化財
日光菩薩立像・月光菩薩立像 檜寄木造・玉眼 像高248.0/247.0cm 鎌倉時代 重要文化財
【写真】大きくありませんが、公式ホームページの中にあります。
http://katsunuma.ne.jp/~daizenji/bunkazai.html

 

 

Img_6357  まずは立派な山門があります。

 

Img_6359Img_6361  ということで恒例の仁王チェック!
 比較的バランスが取れて、おとなしい感じの仁王様ですね。胸と腹の筋肉の表現がすごいです。手のひらがでかい。

 

Img_6380  こちらが本堂の薬師堂(国宝)です。山梨の山を背にした桧皮葺の伸びやかな建物。弘安9年(1286年)の銘があり、鎌倉時代の建築ですが、流麗で雅やかな印象を受けます。

 

Img_6376  薬師堂の中に仏様が安置されておりますが、内部は撮影禁止。お坊さんが丁寧に解説をして下さいます。

 

 国宝の厨子の中に、平安時代の薬師三尊像が納められておりますが、残念ながら秘仏で非公開。ご開帳は5年ごとですが、次回は来年の平成30年10月。これは見逃せません。
 お写真が飾られておりますが、薬師様は左手に薬壷のかわりにブドウを持っておられます。ブドウの産地の勝沼に、ブドウを持った仏様がおられるのは、とっても不思議な気がします。勝沼は平安時代からブドウの産地だったんでしょうか。
 そもそもこのお寺は、行基菩薩が養老2年(718年)にぶどうを持つ薬師如来を刻んで安置したがの始まりとされております。そうだとすると奈良時代からブドウの産地だったことになりますが、これはあくまでも伝説上のお話。
 一般には、文治2年(1186年)に上岩崎(現勝沼町)に住んでいた雨宮勘解由が、野性のぶどうを自分の畑に植えて栽培したのが、勝沼のぶどう栽培の始まりとされているそうです。これだとぎりぎり平安時代ですが、栽培を始めてわずか数年でぶどうを持った仏像を作ったかどうか。ひょっとしたら手に持っているブドウは後付けという可能性もあるのかもしれません。

 

 日光・月光菩薩は、像高約2メートル50センチと、かなり大きいです。以前には丈六の中尊があったのではないかと推察されております。ゆったりと鷹揚な感じの立派な仏様です。向かって右の日光菩薩は少し怖い表情で、左の月光菩薩はお優しいお顔です。深く彫り込まれた衣紋が美しく、日光と月光で変えているあたりも凝ってます。

 

 十二神将も像高150cm弱と、けっこう大きめ。こちらは格調というよりは個性が感じられて面白い。特に午(うま)の像がガハガハ笑ってるのが面白かったです。

 

Img_6371  境内の一角からは甲府盆地を見渡せます。

 

 このお寺では、毎年5月に「藤切り祭」と呼ばれるお祭りが開かれます。大蛇をかたどった藤の根を修験者が切り落とし、若者が奪い合うそうです。役行者の大蛇退治にちなんだもので、お寺と修験道のつながりを示す珍しいお祭りです。

 

Img_6368  芭蕉の句碑。元々は古そうですが、文字が刻まれたところだけ新しいものがはめ込まれているようです。「勝沼や 馬子は葡萄を 喰いながら」。残念ながら、こちらの「芭蕉俳句集」というサイトでは、「贋作の部」に分類されております。

 

Img_6381  庭園の見学もできます。
 大善寺には戦国末期に、織田・徳川連合軍に追われて敗走する武田勝頼一行が一夜を明かしたという歴史があります。また幕末には、近藤勇率いる甲州鎮撫隊が、大善寺の山門付近に陣を構えたそうです。

 

Img_6383  江戸時代の如意輪観音像が置かれておりました。

 

Img_6388  こちらは江戸時代の大黒様です。

2017/12/03

【バレエ】ベジャールの正法の時代は終わったか? モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演<Bプロ>

 モーリス・ベジャール・バレエ団は、日程の都合でBプロのみの鑑賞。ベジャール振り付けとジル・ロマン振り付けが、それぞれ2作品というプログラムでした。

 ジル・ロマンの振り付けは、オシャレで独特な雰囲気があるけれど、ちょっと小道具に頼りすぎで、踊りそのものの面白さに欠ける感じがしました。それから、群舞がほとんどない。パワフルな群舞の振り付けは苦手なんでしょうか。オシャレすぎて、なんだかファッションブランドのショーのような気もしました。いっそのこと、衣装デザインはゴルチエとかにしてみては?
 いつのまにかダンサーにイケメンが増えた気がします。ビジュアル重視か?
 それから、ベジャールよりジル・ロマンの振り付けの方が、ダンサーたちが生き生きと踊っている気がしました。開祖ベジャールが成仏して10年たち、正法の時代が終わり、像法の時代に入ったのか?

 最初はベジャール振付の「ピアフ」。ぽん太は初めて見ました。
 有名な、というより伝説的なシャンソン歌手、エディット・ピアフの歌に振り付けた演目。背後にピアフの写真が掲げられ、ベジャールのピアフに対するオマージュの気持ちが感じられます。
 一つひとつの振り付けがバラエティに富んでいて、ベジャールの溢れんばかりの才能が伝わってきます。ピアフの声の質は哀愁に満ちておりますが、男性ダンサーだけの踊りで、ベジャールが同性愛だったことがよくわかりました。

 続いてジル・ロマン振り付けの「兄弟」。日本人ダンサーの那須野圭右と大貫真幹が兄弟役(?)で出演。音楽には津軽三味線の吉田兄弟や、美空ひばりの歌も使われており、日本公演にふさわしい演目でした。美空ひばりは、日本にピアフといったところか?座間の事件のあとでは、ちょっと生々しい表現もありましたが。

 休憩を挟んでこれまたジル・ロマン振り付けの「アニマ・ブルース」。ベンチがあったりして、なんか街の中でいくつもの恋が繰り広げられるような話し。最初に出てきた男性が、椅子に座って上から雪を振りかけられ続けるのが、なんだかよくわからなかった。おもしろいって言えばおもしろいけお、バレエではないよね(後で踊るけど)。
 隣に美女(シャルキナ)が座った黒人ダンサーが、びっくりして二度見し、「なにこれ?どうしたの」、「あっちもなんかやってるやん」、「げへへ、よく見るといい女だな、ひとつくどいてみるか」みたいな顔芸をするのが面白かったです。演技がうまいですね。

 最後はベジャールの「ボレロ」。「メロディ」はベテランのエリザベット・ロス。もちろん悪くはなかったんだけど、「ボレロ」の「メロディ」は、「良かった」レベルを超えるカリスマ性が欲しいところ。そういう意味では、ちょっと物足りなかったです。おまけに席が前の方だったので、「リズム」が邪魔になって「メロディ」が見えにくかったです。
 終わってからにゃん子が、「「リズム」がすごく良かった〜、感動して涙が出そうになった」との感想。引き締まったボディに、両手を広げて上げたり下げたりするポーズが、まるで阿修羅像みたいだったとのこと。そういう見方はぽん太は気がつきませんでした。千手観音と二十八部衆といったところか。ベジャールが仏教にも精通し、自ら座禅をしていたのは有名ですが、ボレロの振り付けで仏像を意識していたかどうか。面白いテーマですね。

 カーテンコールにジル・ロマンが登場。細身の神経質そうな青年だと思っていたら、ベジャール風のヒゲをたくわえて、いつの間にかおじいさんになってました。
 


モーリス・ベジャール・バレエ団 2017年日本公演

2017年11月26日
東京文化会館

Bプロ

公式サイト
http://www.nbs.or.jp/stages/2017/bejart/index.html

「ピアフ」
 振付:モーリス・ベジャール
 音楽:エディット・ピアフ

『愛の言葉』:男性全員
『アコーディオン弾き』:クゥィンテン・ギリアムズ
『冷淡な美男子』(ジャン・コクトーの戯曲より):ファブリス・ガララーグ
『私の回転木馬』:ローレンス・リグ
『道化師万歳』:ハビエル・カサド・スアレス
『あなたはきれいね、分かってるでしょ...』:男性全員
『私の友達リュシアン』:デミアン・バルガス
『水に流して』:男性全員

「兄弟」
 振付:ジル・ロマン
 音楽:モーリス・ラヴェル、エリック・サティ、吉田兄弟、美空ひばり、
 シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

 ガブリエル・アレナス・ルイス、リザ・カノ
 那須野圭右、大貫真幹
 ジャスミン・カマロタ、大橋真理

「アニマ・ブルース」
 振付:ジル・ロマン
 音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

 カテリーナ・シャルキナ、コナー・バーロー
 リザ・カノ、ガブリエル・アレナス・ルイス
 ジャスミン・カマロタ、ジェイム・オエッソ
 エリザベット・ロス、クゥィンテン・ギリアムズ
 キャサリーン・ティエルヘルム、ジュリアン・ファヴロー

「ボレロ」
 振付:モーリス・ベジャール
 音楽:モーリス・ラヴェル

 メロディ:エリザベット・ロス

 リズム:
 アンジェロ・ペルフィド、ガブリエル・アレナス・ルイス、ファブリス・ガララーグ、コナー・バーロー、
 スン・ジャユン、ダニエル・ゴールドスミス、マッティア・ガリオット、ミケランジェロ・ケルーチ、
 ヴィト・パンシーニ、ローレンス・リグ、ハビエル・カサド・スアレス、フェデリコ・マテティッチュ、
 ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ジェイム・オエッソ、クゥィンテン・ギリアムズ、大貫真幹、
 ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ、アントワーヌ・ル・モアル

2017/12/01

【クラシック】躍動感あふれる「ペトルーシュカ」 サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団2017年来日公演

 前回の「第九」の演奏で超感動したラトルとベルリンフィル、日程の関係から川崎まで聴きに行ってきました。
 会場のミューザ川崎シンフォニーホールは、以前に野田秀樹演出の「フィガロの結婚」を観たところ。ほどよい大きさで、カタツムリみたいな作りで、いいホールですね。でもホワイエが狭くて休憩時間には大混雑し、トイレが大行列になるのが玉に瑕です。

 最初は「ペトルーシュカ」。バレエではちょくちょく聞く曲ですが、さすがに全然違います。やや早めのテンポでフルートのパッセージが始まりますが、それが極めて複雑な音楽に聞こえます。やがて入ってくる弦楽器のトゥッティが、心に染み入るかのような音色。至福の悦びに酔いしれて、ぽん太は思わずだらしない笑顔に……。全体として、とてもビビッドでリズム感に富み、ニュアンス豊かで、緊迫感のある演奏でした。

 つづいて陳銀淑のChorós Chordón。ぽん太は現代音楽(特にメロディーがないやつ)は苦手で、よくわかりません。さすがのラトルも、でっかい総譜を見ながら、拍子を刻んで指揮してました。
 なんかクシャクシャいう音がしてきて、観客の誰かがチラシの入ったビニール袋の音を立てているのかと思ったら、打楽器奏者が紙をクシャクシャしてました。真剣にクシャクシャしてるのが、おかしかったです。

 ラフマニノフの交響曲第3番は、ぽん太は初めて聞く曲。郷愁を誘うメロディーがあちこちでてくる、ロシアっぽい曲でした。ラトルは演歌系も悪くないですね。

 最後にアンコールでプッチーニの「マノン」の間奏曲。ドラマチックに歌い上げました。

 4種類のまったく違う曲を堪能できました。来年の夏でベルリン・フィルとの首席指揮者契約が終了するラトル。最後の来日公演を聴くことができてよかったです。


ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 2017年来日公演

公式サイト
http://www.fujitv.co.jp/events/berlin-phil/index.html

2017年11月23日
ミューザ川崎シンフォニーホール

管弦楽 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮 サイモン・ラトル

演奏曲目
<プログラム①>
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
陳銀淑(チン・ウンスク):Chorós Chordón
  (ベルリン・フィル委嘱 2017年11月ベルリンにて世界初演)
ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44

アンコール  「プッチーニ:マノン・レスコー」第3幕間奏曲

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