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2018年4月の9件の記事

2018/04/26

【歌舞伎】悪もまた美しい「絵本合法衢」2018年4月歌舞伎座夜の部

 仁左衛門が一世一代と銘打っての「絵本合法衢」、観て参りました。いや〜素晴らしかったです。これで最後なんてもったいない!まだまだできそう……というのは客の身勝手な意見で、実はいろいろと大変なんでしょうね。
 仁左衛門は、一時声が出にくそうな時もありましたが、こんかいはとてもよく出てました。特に冒頭で編み笠をかぶった大学之助の声は野太くて迫力があり、最初ほかの役者さんかと思うくらいでした。

 こんかいの「絵本合法衢」は歌舞伎座初上演ですが、ぽん太はすでに国立劇場で2回見てます。ということで細かい感想は省略。
 特に最初に観たのは2011年3月でした。そう、東日本大震災が起きたときです。3月公演としてこの狂言がかけられていたのですが、震災が起きて、途中で打ち切りになりました。ぽん太は震災が起こる前に見ることができたのですが、以来ぽん太のなかでは、仁左衛門演じる悪のイメージと、圧倒的な強さで破壊をもたらした震災のイメージが、重なりあっています。こんかいも、大学之助・太平次によって人々があっけなく次々と死んていくのを見て、じんわりと涙が出てきました。

 「崇高さ」さえ感じる大学之助の巨悪、そしてちょっと可愛らしくさえあるちんぴらの立場の太平次、仁左衛門の演技はこんかいも完璧でした。
 それから時蔵もいいですね。あのカマボコ小屋に住まわせたら、右に出る役者はいません。
 錦之助、孝太郎の田代屋与兵衛・お亀夫婦は、育ちの良い町人らしさと正義感がありました。坂東亀蔵、梅丸の孫七・お米夫婦も若々しかったです。吉弥、彌十郎、團蔵などがしっかりした演技。

 この狂言の題名の由来であり、大詰めの舞台となっているのが、大阪は天王寺の近くにある「合邦辻閻魔堂」であり、そこで実際にあった仇討ち事件がこの狂言の題材になっていることは、以前の記事で書きました(《【歌舞伎】仁左衛門の崇高な悪 国立劇場「絵本合法衢」》)。また実際に合邦辻閻魔堂を訪れた時の記事はこちら(《【大阪の歌舞伎ゆかりの地を訪ねて】合邦辻閻魔堂、四天王寺、野崎観音など》)。
 
 合邦辻閻魔堂に関しては、こちらのサイト(続・竹林の愚人)に簡単な歴史が書かれております。下の方に、『摂津名所図会』に描かれた「合法辻」の画像がありますが、柱と屋根だけの東屋の下に、大きめ(座った状態で人間の身長より少し低いくらい)の閻魔様が祀られているようです。この閻魔様、今回の舞台の閻魔様と似てますね。参考にしたのかもしれません。『摂津名所図会』の刊行は1796年(寛政8年)~1798年(寛政10年)。鶴屋南北の「絵本合法衢」の初演が文化7年(1810年)ですから、南北のころの閻魔堂は、この画像とほぼ同じだったことでしょう。
 

 

四月大歌舞伎

歌舞伎座
平成30年4月25日

公式サイト

夜の部

  四世鶴屋南北 作
  奈河彰輔 補綴・演出
  片岡仁左衛門 監修
通し狂言
絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

  立場の太平次
  片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候

  序 幕  第一場 多賀家水門口の場
       第二場 多賀領鷹野の場
       第三場 多賀家陣屋の場
  二幕目  第一場 四条河原の場
       第二場 今出川道具屋の場
       第三場 妙覚寺裏手の場
  三幕目  第一場 和州倉狩峠の場
       第二場 倉狩峠一つ家の場
       第三場 倉狩峠古宮の場
       第四場 元の一つ家の場
  大 詰  第一場 合法庵室の場
       第二場 閻魔堂の場

左枝大学之助/立場の太平次  仁左衛門
田代屋与兵衛  錦之助
田代屋娘お亀  孝太郎
孫七  坂東亀蔵
太平次女房お道  吉弥
お米  梅丸
番頭伝三  松之助
升法印  由次郎
関口多九郎  権十郎
田代屋後家おりよ  萬次郎
高橋瀬左衛門/高橋弥十郎  彌十郎
佐五右衛門  團蔵
うんざりお松/弥十郎妻皐月  時蔵

2018/04/22

【温泉】オーガニックな美食と美意識・沓掛温泉満山荘(長野県青木村)(★★★★)

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 満山荘といえば、かつて奥山田温泉にあった名旅館。硫黄の香りがする薄濁りのお湯、北アルプスの大パノラマ、美味しいお料理、そしてユニークな館主にお会いするのが何よりの楽しみでした。
 その満山荘が山を降りて、松本と上田の中間ぐらいにある沓掛温泉に移転したのが2016年。ぽん太とにゃん子は2月下旬、初めて新・満山荘に泊まってきました。
 こちらが公式サイト日本秘湯を守る会のWebサイトからも予約できます。

 ほっこりした里山のなかにある昭和テイストの木造旅館。お湯は無色透明、お肌すべすべのアルカリ性単純温泉がもちろん源泉掛け流し。露天風呂もあります。そしてお料理の素晴らしさは以前と同じ。地元の素材を使いながら、見た目も美しい創作料理の数々。もちろん地酒も充実してます。
 新たな名旅館の誕生を、温泉ファンとして喜びたいと思います。ただ、お値段がぽん太にとっては若干高いので、評価は4点……ですが、お値段以上の価値がある宿です。

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 こちらが宿の入り口です。ここからみると建物が小さく見えますが、奥に広い配置になっております。

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 旅籠風の玄関。窓に描かれたMANSANSOHの文字が、レトロモダンな雰囲気を醸し出します。

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 旧満山荘からは急峻な北アルプスの大パノラマが望めましたが、新満山荘の周囲は鄙びた里山の風景が広がっております。これもまたいいです。椅子へのこだわりは旧満山荘譲りか。

 ちなみに元々この旅館は、同じく日本秘湯を守る会の会員宿だった「おもとや」さんですね。買い取って改築したのでしょう。旧満山荘は、いまは伊奈里館という旅館になってます。

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 ロビーでいただくウェルカムお菓子。なんだか忘れちゃいましたが、美味しかったです。

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 昭和テイストの鄙びた廊下を進んでいきます。

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 お部屋は、広々として明るい角部屋でした。ソファとロッキングチェア。ふかふかの羽布団。レトロモダンの調度品です。

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 なかなか建物全体が見渡せるアングルがありません。左下は、温泉の屋根です。

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 お風呂は三つあって、男女入れ替わりになってます。写真は一番小さい内湯。このほか、青いタイルが美しい広々した半露天風呂と、庭にあって開放感あふれる野天風呂があります。ほかのお客さんがいて、ちと写真は撮れませんでした。
 お湯は無色透明で、ちょっと硫黄臭があります。綿状の褐色の湯の花が少量舞ってます。すべすべ感がある優しいお湯です。
 加温はしているようですが、加水や消毒なしの源泉掛け流しです。
 ぬるめの温度設定になっていて、いつまでも入ってられる感じです。

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 源泉は二種類あるようですが、どれがどれに注がれてるかわからなくなってしまいました。
 こちらは沓掛温泉1号泉の温泉分析書です。泉温は34.7度と低め。pH9.2のアルカリ性です。泉質はアルカリ性単純温泉。

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 そしてこちらが3号泉の温泉分析書です。泉温が38.5度と少し高いですね。

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 夕食はお食事処で。あ、この「Food 風土」の看板、旧満山荘にあったな。懐かしい。

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 ずらりと並んだ日本酒がお出迎え。

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 彩も鮮やかな前菜盛り合わせ。新鮮な野菜の数々。

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 本日のお品書きは、二代目館主の手によるもの。達筆ですね。書道は独学なんだそうですよ。料理人の明子さんは、館主の奥さんです。

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 この器もあった、あった。牛乳豆腐柚子味噌です。
 とてもお料理全部の写真は載せられません。冒頭の写真が、メインの「大岩魚・春菊ジェノバ風」。芸術のような盛り合わせですね。春菊のジェノベーゼが絶品でした。

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 朝食も美味しゅうございました。

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 宿の休憩室には、旧満山荘から持ってきたと思われる様々な椅子があり、初代館主が一生懸命切り貼りしてた北アルプスのパノラマ写真が展示されてました。初代はどうしてるんだろう。初代が惚れ込んだ奥山田の地を離れてここに移転したということは、ひょっとして……。
 思い切って三代目の若旦那に聞いてみたところ、初代はお元気で、老人ホームに入っているそうです。もともと奥様が入居していたらしいのですが、見舞いに訪れているうちに、他の知り合いも入居してたりしたものだからすっかりそこが気に入って、まだまだお元気にもかかわらず、自分も入居したんだそうです。そして持ち前のキャラクターで、すっかり老人ホームの人気者になっているそうです。
 よかった。
 休憩室に、アルペンホルンとか、初代ゆかりの品々をもっと展示して欲しいです。

2018/04/21

【温泉】素晴らしいお料理!高級旅館並みの宿が格安の料金で・追分屋旅館(長野県美ヶ原温泉)(★★★★)

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 4月中旬、ぽん太とにゃん子は親孝行のためにお義父さんを連れて、美ヶ原温泉の追分屋旅館に泊まって来ました。落ち着く和風旅館で、廊下に錦鯉が泳ぐ池があったりと、内装は高級旅館並み。従業員の応対も、とっても親切で丁寧。なによりも素晴らしいのがお食事で、色とりどりのお皿に守られたお料理は、見た目が美しいだけではなく、味もとっても素晴らしいです。国産ワインに力を入れているのも特色。温泉も八つの浴槽が楽しめ、お湯も加水なしの源泉100%ですが、美ヶ原温泉の泉質もあるのかちょっと温泉力が弱いのがわずかに減点となって、ぽん太の評価は4点。
 高級旅館と言っても何の遜色もない素晴らしい宿で、場所も松本からほど近くと便利。それでこの宿泊料金は、コスパ最高。皆さんにお勧めしたい宿です。
 こちらが公式サイトです。


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 信州美ヶ原温泉は、松本市内から車でわずか15分ほどのところにありますが、山を背にした静かな温泉街で、開湯が奈良時代と歴史もあります。
 写真は宿の建物です。実際に到着したのはもちろん日が暮れる前ですが、いい雰囲気なので夜の写真をアップしました。落ち着いた感じの和風旅館です。

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 お部屋も新しくてきれいな和室です。元々の建物は昭和38年の築ですが、こまめに改修を繰り返して現在に至っているそうです。

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 細かく作り込まれた廊下。手前の石橋の下には、錦鯉が泳ぐ池があります。雰囲気は高級旅館ですね。

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 気持ちのいいテラス。一角には足湯もあります。目の前に咲き残っていた桜を眺めながら、朝のコーヒーをいただきました。

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 お料理に感動しました。器も色とりどりで見ているだけで楽しく、味も美味しかったです。冒頭の写真が先付けですが、品数が多いです。
 予約時に、お造りを一人分だけ馬刺しに変更しておいてもらいました。だって信州ですからね。新鮮で柔らかくてとても美味しかったです。

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 お料理の写真を全てアップルすことはできないので、抜粋でご覧ください。メインのお肉料理です。お皿と葉っぱ(?)のいろどりが見事です。

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 ご飯までもこの美しい盛り付け。

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 デザートの器もこのとおり。

 それから、写真を撮るのを忘れましたが、宿のご主人がソムリエの資格を持っているそうで、国産ワインが充実しております。普段は夕食時に地酒をいただくぽん太とにゃん子ですが、今回はワインをいただきました。お値段もけっこうやすいです。
 また売店前にはワインサーバーが置いてあって、8種類のワインを好みの分量でいただくことができます。フロントでもらったカードを使い、最後に精算というパターンなので、ついつい飲みすぎてしまいました。


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 朝食は、レトロモダンのお食事どころで。光の演出が素晴らしいです。

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 朝食も美味しゅうございました。


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 お風呂は、男女入れ替え制になっており、それぞれが内湯や露天など三つの浴槽を持ってます。

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 こちらは露天風呂のひとつ。ちっちゃいので独り占め。
 お湯は無色透明、無味無臭で、ちょっとすべすべ感があります。

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 こちらは隣にある別邸「辻の花」。45分2,500円なりの貸切風呂ですが、予約のない時間帯は、男女入れ替えで自由に入ることができます。もちろんぽん太はそっち狙い。

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 浴室はとっても広いです。これが貸切で使えるとはすごいですね。

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 露天の寝湯もついてます。
 ちなみにこの旅館の露天風呂は、基本的には景色は見えません。温泉街の中ですから仕方ないで。

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 温泉分析表です。pH8.6のアルカリ性単純温泉です。成分は全体に薄め。温泉力が弱いのがちと残念です。泉温は42.8度です。

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 加水なしの源泉100%ではあるのですが、循環ろ過・加温・消毒をしてますね。源泉がどのくらい注がれているのかは、ちとわかりません。

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 ホントに素晴らしい宿で、18,000円から2万数千円取ってもいいように思えますが、13,000円程度で泊まれるのはありがたいです。お義父さんも大満足で、いい親孝行ができました。

2018/04/20

【城・桜】初めての松本城、桜散る高遠

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 4月中旬、ぽん太とにゃん子は、親孝行のためにフクロウ義父さんを連れて、信州を旅行してまいりました。高遠の桜は残念ながら散り始めておりましたが、好天に恵まれ、うららかな春の旅を楽しむことができました。


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 まずは松本城へ。天守閣は、日本で5城しかない国宝のひとつ。また江戸時代以前に作られて現在に残っている12城の「現存天守」のひとつでもあります。
 なんとぽん太とにゃん子が訪れるのは初めて。山がらみで松本は数多く訪れておりますが、なかなか松本城に立ち寄る機会がありませんでした。
 天気がだんだんと良くなって青空が出てきました。白い山並みを背景にした優雅な松本城の姿です。

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 こちらからみると、三つの建物に分かれているのがわかります。直線的な屋根の線が重なりあって、モダン建築のような印象もあります。建物は小さめで、あまり装飾にこだわっておらず、羽目板の黒い色もあいまって、質実剛健な感じです。向かって左の、赤い欄干が巡らされた月見櫓だけが、風雅さを漂わせております。
 ここも外国人でいっぱいでした。観光バスの案内板を見ると、高遠の桜とセットの旅のようですね。

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 お義父さんの手助けをしながらなんとか最上層へ。常念から燕にかけての雪をいだいた稜線が見渡せました。

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 続いて高遠へ。残念ながら桜は散りかけでしたが、おかげで入口近くの駐車場に車が停められました。平日だというのに観光客はかなりの人数でした。

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 お堀の池をぎっしりと敷き詰めた桜の花びら。

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 一角で田楽の一座がパフォーマンスを行ってました。ぽん太は田楽を見るのはたぶん初めてで、どういうものかよく知りません。今回のは太鼓を使った元気な踊りでした。

2018/04/19

【登山】桜は終わり。和田バス停から陣馬山

 2週間前に生藤山に登ったぽん太とにゃん子ですが、前回は稜線付近がまだ冬枯れ状態だったのと、高尾山からつなげている稜線歩きのうち途切れている陣馬山と山ノ神の間をつなぐため、またまた出かけてきました。
 和田バス停(旧県立陣馬自然公園センター)に車を停め、和田第二尾根から陣馬山に登り、和田峠、醍醐丸を経て前回稜線から離れた山ノ神に至り、前回下った道を辿るコースとしました。



【山名】陣馬山(854.8m)、醍醐丸(867m)
  高岩山(800m)、大蔵里山(837m)
【山域】 奥多摩・高尾
【日程】2018年4月19日(日帰り)
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】晴れ
【ルート】和田バス停11:31…(和田第二尾根)…12:51陣馬山(昼食)13:27…和田峠13:48…醍醐丸14:32…山ノ神15:05…15:52和田バス停

大きな地図や3D地図は、「山行記録のページへ」をクリック。
【マイカー登山情報】和田バス停付近の駐車場は、閉鎖している県立陣馬自然公園センターに4台ほど停められます。登山客が停める場合断りを入れるように、という張り紙がしてありますが、閉鎖していて断りの入れようがないので、駐車できると思います。ここが満車の場合は、県道521号を少し下った鎌沢入り口バス停付近に車を停めるスペースがあります。鎌沢入口駐車場|登山口ナビを参照してください。



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 登山口から登り始めると、2週間前はまだ新緑でしたが、今回は葉っぱが青々と茂ってます。

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 道端には、写真のチゴユリをはじめとし、クサイチゴ、ヒトリシズカ、スミレなどの春の花が咲いておりました。

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 その中に、こ、これは!?タテヤマリンドウ?こんな低山に!?
 帰ってから調べてみると、葉っぱが楕円形で、花びらの副片が小さいということで、フデリンドウでした。

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 出だしこそ少し急登がありましたが、そのあとは緩やかな尾根歩きで陣馬山に到着。
 写真は、これから進んで行く稜線。一番高く見えるのが醍醐丸で、その向かって左の肩にちょっと見えているのが、前回登った生藤山。真っで花粉症を引き起こした杉の植林と、もともとの明るく美しい春の落葉樹の林の対比が見て取れます。

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 今回のルートの最高地点の醍醐丸。八王子市の最高地点だそうです。林の中で展望はありません。

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 2週間前は冬枯れ状態だった稜線も、今回は新緑状態。でも桜は、ほとんど散ってました。写真はかろうじて残っていた山桜の花。

 山ノ神から南に稜線から離れ、前回歩いた道を辿って、出発地点の和田バス停(旧県立陣馬自然公園センター)に戻りました。

2018/04/18

【オペラ】尻上がりに良くなった「アイーダ」新国立劇場

 新国立劇場開場20周年を飾るにふさわしい壮大なオペラ。新国立のプロダクションは、奇をてらわない重厚で壮大なセットが見ものです。

 ところが開始早々、ラダメス役のナジミディン・マヴリャーノフが歌う「清きアイーダ」が?の出来。声量もないし、声質もさだまらず、音程も不安定。対するアイーダのイム・セギョンは声量こそ圧倒的ですが、叫び声のようなちょっと耳障りな声質。重唱では一人だけ前にでちゃってます。こりゃもう新国立劇場合唱団のコーラスをメインに聞くしかないかな、という感じでした。
 しかし、マヴリャーノフもセギョンも尻上がりに良くなっていき、マヴァリャーノフは声量もある程度でてきて伸びやかな声を聞かせてくれましたし、セギョンも声量をちょっと抑えめにしてバランスもよくなり、心のこもった繊細な声を披露してくれました。最後の「さらばこの世よ涙の谷よ」はとても感動いたしました。
 ひょっとしたら初日だったのかなと思いましたが、ぽん太が聴いたのは2日目だったようです。

 最初のおぼつかない状態を救ったのがアムネリスのエカテリーナ・セメンチュク。とても安定した見事な歌声で、ちょっと声量はないけど、さすがベテラン。巧みな表現力で舞台を引き締めてくれました。

 アモナズロの上江隼人が外人勢に引けを取らない迫力ある歌声で、満足できました。ランフィスが妻屋秀和。新国立合唱団はいつもながらの素晴らしい合唱で、スケールの大きい舞台を支えてくれました。

 パオロ・カリニャーニ指揮の東京フィルハーモニー交響楽団は、キレのあるダイナミックな演奏だった気がします。バレエも楽しかったです。

 終わってみれば大満足。凱旋の場面も素晴らしかったし、久々に舞台全体が動く新国立の装置を見ることもできました。今回はお金をかけましたね。やっぱり「アイーダ」はいいな、と思える舞台でした。


新国立劇場 開場20周年記念特別公演
オペラ「アイーダ」/ジュゼッペ・ヴェルディ

新国立劇場・オペラパレス
2018年4月8日

公式サイト

指揮:パオロ・カリニャーニ
演出・美術・衣裳:フランコ・ゼッフィレッリ
照明:奥畑康夫
振付:石井清子

アイーダ:イム・セギョン
ラダメス:ナジミディン・マヴリャーノフ
アムネリス:エカテリーナ・セメンチュク
アモナズロ:上江隼人
ランフィス:妻屋秀和
エジプト国王:久保田真澄
伝令:村上敏明
巫女:小林由佳

合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

2018/04/07

【温泉】湯屋造りの内湯は正に芸術品!!清風館(長野県野沢温泉)(★★★★)

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 2月下旬、ぽん太とにゃん子は野沢温泉スキー場にスキーにでかけ、清風館に宿を借りました。
 外観は普通のスキー旅館ですが、源泉かけ流しの湯屋造りの内湯が温泉遺産に匹敵する素晴らしさで加点となります。お料理も、地元の食材を使った家庭料理を基本に、創作系も加わって、ボリュームも満点。若い人にも十分な量です。ぽん太の評価は堂々の4点。
 こちらが宿の公式ホームページです。


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 お部屋はきれいな和室です。

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 さて、この宿の売りは、湯屋建築の温泉です。
 外観の写真は、どこから見えるのかよくわからず、撮ることができませんでした。宿のホームページをご覧ください。
 上の写真は、脱衣所への入り口。レトロでいいですね〜。ちゃんと男女別になってます。男湯は広めでひょうたん型、女湯は狭めで楕円です。

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 天井の高い木造の湯殿です。これで木製の湯船だと古風な感じですが、タイル張りのやわらかい曲線を描いたひょうたん型の湯船であるため、和洋折衷の大正ロマンっぽい味わいがあります。

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 ひょうたんの先端部分の造形。素晴らしいですね。岩のような部分からお湯が流れてきます。

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 天井の湯気抜き部分の造形。見事の一言です。

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 朝日が差したところ。現代建築(隈研吾設計)と言っても誰も疑わないのではないでしょうか。

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 格子を通った光が湯気にあたって、空間に線条を描き出します(写真を拡大しないと見えないかと思います)。光の芸術です。

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 お湯は、近くの麻釜(おがま)のお湯を引いていて、もちろん源泉掛け流し。ほっとくと無茶苦茶熱くなるので、水でうめて入ります。無色透明で少し硫化水素臭があります。薄茶の綿状の湯の花が舞い、まさに温泉らしいお湯です。

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 夕食は基本は家庭料理ですが、ボリュームがあり、若い人でも満足できるでしょう。馬刺しが柔らかくてとっても美味しかったです。

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 野沢菜の煮物は地味な一品ですが、ぽん太は初めていただきました。そろそろ新しい野沢菜が取れるので、昨年仕込んだ野沢菜をどんどん使い切る時期なんだそうです。

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 お味噌汁がわりのキノコのポタージュも美味しゅうございました。

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 朝食も美味しゅうございました。

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 野沢温泉スキー場、快晴で素晴らしい天気でした。富士山が見えたと思ったんだけど、いま写真を見返しても写ってない。幻でしょうか。

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 とにかく外人だらけなのにびっくり。8割が外人でしょうか。まるで外国のスキー場に来ているような雰囲気でした。


2018/04/06

【温泉】早くも春の訪れ・高峰温泉(長野県小諸市)(★★★★)

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 ぽん太とにゃん子がリピートする数少ない宿のひとつ、高峰温泉に3月末に行ってきました。今年は初夏のような陽気が続いたため、標高二千メートルのこの地も雪がほとんど溶け、すっかり春の装いでした。
 こちらが公式サイトです。

 自然を愛し、自然の中にあり、自然と遊ぶことをアシストしてくれる宿。今回は春休み中ということもあって、家族連れが目立ち、それぞれ春スキーなどをして楽しんでおりました。われわれもスキーの予定でしたが、ぽん太が直前に腰を痛めてしまい、温泉療養になってしまいました。
 ぽん太とにゃん子も、こんかい星の観望会に初めて参加。夕食後の8時30分から行われる天体双眼鏡を使った星の観察会ですが、真冬は寒いし、第一この時間帯は泥酔していることが多かったので、これまで参加したことがありませんでした。この日は平地は初夏のような暖かさで、浴衣の上にダウンジャケットという出で立ちでも、寒さを感じずにいられました。
 天気は快晴だったのですが、あいにく月が明るかったので、暗めの星は見えませんでしたが、説明を聞き、天体双眼鏡を覗きながらの1時間、子供達と一緒に楽しみました。

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 3月中は林道が開通していないので、いつものように雪上車のお迎え。でも、あちこちに地面が露出してました。

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 こちらが宿の建物です。

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 景色のいい南側の和室。日差しがまぶしいですね。内装はきれいですが、広さはちょっと狭目。

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 温泉は三つあります。男女別の内湯が二ヶ所、男女別の雲上露天風呂が一ヶ所です。
 こちらは2階の内湯。眺めがいいです。
 お湯は、うっすらと濁りがありますがほぼ透明。ほどよい硫黄臭がありますが、酸味は感じません。やわらかくていいお湯です。
 ちょっと温度が低め(39度くらい?)の源泉の浴槽と、加温した浴槽に分かれております。木の浴槽が心地よいです。
 石鹸、シャンプーは禁止となっており、自然を守るためには致し方ありませんが、運動の後の人はさっぱりと汗を流したいかも。まあ、山小屋だと思えばいいですが……。

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 夜になるとランプに灯がともります。残念ながら電化されております。
 客室にも(電化された)ランプがあり、うっすらとつけるといい雰囲気です。

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 こちらは一階のお風呂。目の前に広がる樹林が美しいです。

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 そしてこちらが名物・雲上の野天風呂。彼方には、小諸の町の向こうに、美ヶ原がまだ雪を頂いております。
 けっこう混んでてなかなかは入れませんでしたが、みんなスキーなどに出かけた翌朝を狙いました。

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 温泉分析表です。pH:7.0とちょうど中性。泉温は35.6度となってますが、もう少し高いような気もします。泉質は、含硫黄ーカルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉です。
 温度が低いため加温しておりますが、加水・消毒なしの源泉掛け流しです。

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 夕食もナチュラル系。地元の天然素材がいっぱいです。写真はコラーゲンたっぷりの牛すじ鍋ですが、野菜もいっぱい入ってました。

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 こちらが本日のメニューです。岩魚の塩焼きは頭から尻尾までいただけます。鯉うま煮も美味しいです。刺身こんにゃくは、ちょっと群馬が入ってるか?

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 山菜天ぷらです。ふきのとう、春菊、なずな、菊芋です。菊芋は、ぽん太はあまり食べたことがないのですが、シャキシャキして美味しかったです。

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 朝食もヘルシーで美味しゅうございました。

2018/04/05

【登山】麓の桜が満開・生藤山(奥多摩・高尾)

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 初夏のような暑さの一日、ぽん太とにゃん子は生藤山に登ってきました。もうスキーに行く気分ではないということで、今年初めての山行です。

【山名】生藤山(990.3m)
  三国山(960m)、茅丸(1019m)、連行峰(1016m)
【山域】 奥多摩・高尾
【日程】2018年4月4日(日帰り)
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】晴れ、初夏のような暑さ
【ルート】鎌沢入口10:22…三国山12:25…12:53生藤山(昼食)13:08…茅丸13:23…連行峰13:38…山ノ神14:00…15:02鎌沢入口

大きな地図は、「山行記録のページへ」をクリック。
【注意】鎌沢入口の近くの橋が崩落しており、人は通れますが、車は通行止め。県立鎌沢駐車場まで車で入りたい人は、もう少し先のやさか茶屋の手前を左折する必要があります。

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 山が新緑でポワポワしてます。淡いグラデーションが美しいです。ぽん太は、この時期の中央道沿線の山々が大好きです。

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 中央道のサービスエリアの名前になっている藤野ですが、その佐野川地区には斜面沿いに茶畑が広がり、日本の里100選にも選ばれているそうです。
 鄙びた里の景色を眺めながら舗装道路をしばらく歩いたのち、登山道に入ります。

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 生藤山の有名な桜のプロムナードですが、残念ながらまだ二分咲き程度。満開まではもう少し日数がかかりそうです。

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 三国山を経て、生藤山山頂に到着。お昼にしました。
 霞がかかっていて、展望はあまり望めませんでした。

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 生藤山から、陣馬山方面へ稜線をたどります。このあたりの樹々はほとんど芽がでておらず、冬枯れ状態です。気候は初夏のような暑さだったので、なんかアンバランス。
 茅丸、連行峰などの小さなピークを越えていきます。

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 時間を計算して、山ノ神のところを右折して稜線を離れ、下山することにしました。

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 ところどころにムラサキヤシオが咲いてました。桜と同じように、葉が出る前に枯れ木にいきなり咲くので、明るい紫色がとても目立ちます。

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 白い八重の桜です。和田で車道に出ます。

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 大きな枝垂れ桜。なかなかの名木です。

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 桃でしょうか?桜と違った濃い赤が目に鮮やかです。

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