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2018年8月の9件の記事

2018/08/19

【温泉】登山の前泊にはもってこいのアットホームな宿 栃尾温泉 民宿むらかみ(岐阜県奥飛騨温泉郷)(★★★)

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 7月中旬、笠ヶ岳登山の前泊でお世話になりました。こちらが公式サイトです。

 東京から新穂高温泉を目指していくと、最後に蒲田川を渡って右折するところで、正面に「栃尾温泉」という門看板があるのが目につきます。民宿中心の小さな温泉街で、いつか泊まりたいと思っていたのですが、これまで機会がありませんでした。
 こんかい笠ヶ岳に登るに際して、前泊する宿を探していたのですが、奥飛騨温泉郷はちょっと高級ないい旅館が多く、そんなところに泊まってすっかりくつろいでしまったら、登山をする気力がなくなってしまいます。ということで、以前から気になっていた栃尾温泉を選びました。

 民宿むらかみは、建物は普通ですが、お部屋はとっても広い和室。渋い雰囲気の内風呂と、裏庭に大きめの露天風呂があります。無色透明のお湯で、もちろん源泉掛け流し。とっても温まります。お料理も、山菜・川魚の山里料理をうたうだけあって、イワナの塩焼きに牛肉もあって、食べ応えがあります。アットホームな雰囲気もいいです。ぽん太の評価は3点と伸びませんが、宿泊料の安い民宿なので仕方なく、コスパは良くて、登山などの目的で泊まるにはもってこいの宿です。ホームページをよく見て予約すると、いいことがあるよ!

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 蒲田川をわたって直進して温泉街に入ってすぐ。建物は普通です。

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 お部屋はこんなに広い和室でした。ちなみに、海の日の連休明けで、この日泊まったのはぽん太とにゃん子だけ。

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 裏から庭に出ると小さな建物があり、露天風呂になってます。

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 脱衣場は、いろんな写真やらテン(?)の剥製やらが飾られ、ちょっとマニアック。

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 思ったより広めの露天風呂。源泉がとうとうとかけ流されてます。熱いので水でガンガンうめて入ります。無色透明のお湯。残念ながら周りは囲われていて開放感はありません。開放感を求める人は、共同露天風呂・荒神の湯に入りましょう。入ればわかりますが、ほんとうに開けっぴろげです。

 内湯は冒頭の写真ですね。泉質は単純温泉ですが、けっこう結晶が析出していて、成分の濃さが感じられます。こちらも掛け流し。奥飛騨温泉郷は湯量が豊富です。

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 温泉分析書です。泉質は単純温泉。泉温は67.3度です。

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 食堂でいただく夕食です。山菜・川魚の山里料理というふれこみだけあって、イワナの塩焼きがついてました。背中を手前に置くのは、以前に泊まった新穂高温泉の野の花山荘でもそうでしたね。ぐぐってみると、これが正式なマナーのようですが、東京ではちょっと珍しい気がします。ほかに牛肉もあってボリューム満点です。ぽん太とにゃん子としては、刺身のかわりに山菜でも良かったのです。

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 朝食は、飛騨名物の朴葉焼き。ご飯がすすみます。普段はしないおかわりして登山に備えました。美味しゅうございました。

2018/08/18

【登山】猛暑のなか笠ヶ岳(3日目)笠ヶ岳〜新穂高温泉

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 笠ヶ岳のアサ〜!

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 朝ごはん、いただきま〜す。

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 今日も快晴。朝から360度の大展望です。写真は立山と剣岳。

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 甲斐駒ケ岳(?)の左上に、富士山まで見えました。
 しかし、これから猛暑の中に下山していくかと思うと、ちょっと気持ちが沈みます。

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 槍ヶ岳よ、さようなら。
 あゝ、槍ヶ岳も手を振ってくれている……。なんだ、小槍か。

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 笠ヶ岳よ、さようなら〜〜。

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 コバイケイソウも手を振ってくれているよ。

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 にゃん子が黒百合を発見!あんたはエライ!

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 ニッコウキスゲの群落。

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 なんだ、このピンクのユリは……。ヒメサユリか?と思って後で調べたら、ササユリでした。ぽん太は初めて見ました。

 などと楽しい気分はここまで。笠新道のつづら折りのくだりは、単調で、急で、暑くて、ぽん太とにゃん子だけでなく、他の登山者もみんなヘロヘロでした。途中何ヶ所か、岩の間から冷気が吹き出ているところがあり、束の間の涼しさを味わいました。

2018/08/17

【登山】猛暑のなか笠ヶ岳(2日目)鏡平山荘〜笠ヶ岳

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 猛暑のなかの笠ヶ岳登山。後半です。

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 鏡平山荘の朝食です。ノリもついてますね。お味噌汁をいっぱい飲んで、水分を蓄積します。

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 少しでも日中の暑さを避けるため、朝一番の朝食をお願いし、5時過ぎに出発です。

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 やがて、槍の西鎌尾根からのご来光です。

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 弓折岳への登り。猛暑のなかですが、雪渓が残ってました。

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 強い日差しを浴びて、シダが勢いよく芽吹いています。

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 今年はコバイケイソウの当たり年か?あちこちに群落がありました。

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 コバイケイソウで埋め尽くされた斜面です。

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 シナノキンバイやハクサンイチゲも真っ盛り。

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 やがて、笠ヶ岳の独特の山頂が見えてきます。

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 笠ヶ岳を眺めながら昼食です。鏡平山荘のお弁当で元気を取り戻します。
 今日の行程は短いので、バテないようにこまめに休息をとりながら、ゆっくり歩きました。日差しはあいかわらず強いですが、三千メートル近い稜線なので、昨日ほど暑くはありませんでした。

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 笠ヶ岳の頂上直下にある笠ヶ岳山荘に到着。最後に小屋が見えてからがきつかった!

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 一休みして、とりあぜず山頂往復。お昼をすぎてガスがかかってきてしまい、展望はのぞめませんでした。
 山頂の一角に祠がありました。早速チェック。

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 とうぜん神道のお札か何かがあるのかとおもったら、仏像があるのでびっくり。
 「笠ヶ岳山頂 播隆上人 発願佛 本尊阿弥陀佛 銅像 杓子ノ岩屋
 再安置 寄進者 笠ヶ岳山荘 主 ○○ ○」
と書いてあります。
 播隆上人(播隆-Wikipedia)は、江戸時代後半の浄土宗の僧侶。笠ヶ岳に何度も登頂して再興し、また槍ヶ岳の開山者として有名ですね。播隆上人は、文政7年(1824年)に笠ヶ岳に四度目の登頂をしたとき、山頂に銅製の仏像を安置したそうです。この仏様は、それにちなんで安置されたと思われます。杓子ノ岩屋というのは、杓子窟、釈氏窟などとも言われますが、岐阜県高山市神宝町岩井戸にある巨大な岩窟で、播隆上人はなんどもここにこもって修行をしたと言われております。

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 阿弥陀様の向かって右には、陶器のお地蔵さんと、木彫りの円空っぽい仏様が。この彫像はなかなかよくできてますね。
 なんでここに円空?と思うかもしれませんが、笠ヶ岳に初めて登頂したのは円空であるという言い伝えがあります(笠ヶ岳-Wikipedia)。円空は他に、御嶽山、乗鞍岳、穂高などにも登ったと言われています(円空-Wikipedia)。

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 向かって左には、緑青の生えた銅像と、奥の大きめの木造、手前には頭と背中だけ写ってますが、龍の像があります。
 銅像は如来形で、あげた右手は手のひらを見せる施無畏印、さげた左手はチョキみたいな刀印を結んでいます。ちょっと珍しい印相に見えますが、法隆寺金堂の釈迦三尊像などにも見られる、古い形の印相です。
 木造は細部が失われておりますが、首から上半身に布がかけられているのを見ると、お地蔵さんのようです。竜は水の神様ですから、麓の農耕との関係で祀られているのかもしれません。

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 夕食です。唐揚げに、サラダやデザートもついて美味しいです。

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 夕暮れが近づくにつれて、雲が晴れてきて、周りの山々が見えてきました。

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 山頂にも夕日が当たり始めます。

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 大キレットの夕焼け。

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西側を見ると、オレンジ色の夕焼けを背景に白山のシルエット。

Img_9933 月が見え始めて、夜がやってきます。

2018/08/16

【登山】猛暑のなか笠ヶ岳(1日目)新穂高温泉〜鏡平山荘

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 海の日の連休後の7月17日から19日、ぽん太とにゃん子は猛暑のなか、笠ヶ岳に登ってきました。
 記録的な猛暑だけど、せっかく休みをとったんだからどこか登りたい。3000メートル級ならさすがに涼しいだろ、ということで、12年ぶり2回目の笠ヶ岳に決定。前回は笠新道の往復で1泊2日。今回は体力低下を考慮して、鏡平小屋を経由指定の2泊3日とし、これなら大丈夫だろう。
 ところが大誤算。7月17日は同じ岐阜県の高山市の最高気温が36度、18日は多治見市が40度を記録。登り口の新穂高駐車場は標高わずか1000メートル。初日の登りと、最終日の笠新道の下りで、暑くてへろへろになりました。
 しかし、鏡池に映った槍穂高の夕焼けや、笠ヶ岳小屋からの展望はすばらしく、暑いなか頑張って登ったかいがありました。


【山名】笠ヶ岳(2897m)、弓折岳(2592m)
【山域】槍・穂高・乗鞍
【日程】2018年7月17日〜19日(2泊3日)
【メンバー】ぽん太、にゃん子
【天候】(7/17)快晴・猛暑、(7/18)快晴・猛暑、(7/19)快晴・猛暑
【ルート】(7/17)新穂高温泉駐車場8:48…わさび平小屋10:31…裸山12:32…12:06秩父沢出合(昼食)12:33…15:13鏡平山荘(泊)
(7/18)鏡平山荘5:23…弓折岳6:45…笠ヶ岳山荘12:41…13:12笠ヶ岳…13:34笠ヶ岳山荘(泊)
(7/19)笠ヶ岳山荘6:11…(笠新道)…笠新道登山口13:08…14:56新穂高温泉駐車場

大きな地図や3D地図は、「山行記録のページへ」をクリック。
【マイカー登山情報】深山荘入り口から入る登山者用無料駐車場に停められればラッキー。


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 登山開始。新穂高温泉から北方を眺める。抜戸岳から笠ヶ岳に続く稜線あたりが見ている……と思う。

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 暑いので、日陰を選んで歩いていきます。右の岩の間から、ところどころ涼しい風が吹き出してきます。まだ余裕。

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 林道が終わって、そろそろ登山道。ここからがしんどかった。あっという間にオーバーヒート。そういえば最近、オーバーヒートしてボンネット開けて止まっている車見ないな。
 高い木がなくて、上からは日光に照らされ、下は熱い岩がゴロゴロ。なんだか石焼き芋になった気分で、一気にペースダウン。目に入った汗がしみて、前がよく見えません。

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 それでも、槍が見えると、少しは元気が戻ります。

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 あまりの暑さに写真を撮る元気もなし。秩父沢で何度も顔を洗い、頭に水をかけ、腕を冷やし、お昼ご飯を食べて少し復活しました。

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 このあと、沢にさしかかるたびに頭から水をかぶって進みました。標高が上がってきて気温も多少は下がり、写真を撮る余裕も出てきました。キヌガサソウです。

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 偶然ピントが合ったので……。オオバタケシマランです。タコさんウィンナーがぶら下がってるみたいで、可愛いですよね。

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 ヘロヘロになって鏡平小屋に到着。きれいで快適な小屋です。海の日の連休明けで、けっこう空いていて、ゆったりと寝れました。
 「氷」のノボリが……。かき氷も美味しそうでしたが、やっぱりビールにしました。奮発して生ビール。やっぱりうまいです。

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 夕食です。揚げたての揚げ物や生野菜。素麺も清涼感があります。美味しゅうございました。

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 夕食後は鏡池で、槍穂高の夕焼けのショータイム。稜線に雲ひとつかからず、湖面も無風でまさに鏡のようです。暑くて大変だったけど、強い高気圧に覆われているおかげです。

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 夕日を浴びてまどろむ槍ヶ岳。

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 やがてピンク色を帯びてきました。

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 最後の陽光です。
 あとは、明日に向けて英気を養うのみ。おやすみなさい。

2018/08/15

【温泉】築200年の百姓家と、広々した総ひのき風呂。新平湯温泉 旅館藤屋(岐阜県奥飛騨温泉郷)(★★★★)

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 7月中旬、猛暑のなか、岐阜県は奥飛騨温泉郷の旅館藤屋へ。なんか猛暑で温泉って、暑そうだな〜。なんと、30度の冷泉の源泉浴槽があった! にゃ〜体が冷えて気持ちいい
 東京から車で行くと、上高地の玄関口沢渡(さわんど)を通り、安房トンネルを抜けたところに広がる奥飛騨温泉郷。だいたいめぼしい旅館は行き尽くしたと思ってましたが、まだまだいい旅館が隠れてます。こんかいお世話になった藤屋さんは、前を通るたびにいい感じの古そうな建物だな〜と思っていた旅館です。こちらが公式サイトです。

 その建物は、築200年の百姓家を改装したもので、お食事どころとして使われています。純和風の客室は、とても広かったです。温泉は、広々として開放感のある総檜造りの浴室で、露天風呂もついてます。無色透明のお湯で、ほのかに硫化水素の香りがし、白と褐色の湯の花がかすかに舞います。さらに冷泉の小さな浴槽があるのもポイント。もちろんすべて源泉掛け流し。お湯の豊富さは奥飛騨温泉郷の特徴ですね。他に無料で使える貸切風呂が二つあります。
 歴史を感じさせるお食事どころでいただく夕食は郷土料理風。岩魚はお造りで、おいしい飛騨牛の朴葉焼き、笹で包んで蒸し焼きにした鱒の味噌焼き、天ぷらなど。最後の鍋のお肉はチョイスできて、ぽん太とにゃん子は熊鍋を選びました。
 応対は素朴でちょっと素っ気無いですが、奥飛騨温泉郷はそんな感じのところが多い気がします。地域性かしら。
 建物も温泉も食事も高得点で、ぽん太の評価は堂々の4点!
 

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 こちらが藤屋さんの建物です。落ち着いた和風建築です。
 奥飛騨温泉郷には、平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉がありあすが、いずれもとにかく湯量が豊富なのが特徴です。

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 新穂高は、西穂や槍ヶ岳、雲の平、笠ヶ岳などの登山口になっており、ぽん太とにゃん子は何度も訪れております。その途中で車から見えて気になっていたのがこの建物。築200年の百姓家を改築したものだそうです。
 とはいえ、よくあるどっから移築して持ってきたものではありません。この旅館の経営者は元々ここで農家をしていたそうで、温泉旅館の経営を始めたときに、昔から使っていた建物をお食事処に改築したんだそうです。

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 玄関の内側です。旅籠風で広々としてます。

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 民芸風のくつろぎスペース。

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 木のぬくもりが嬉しい館内。廊下は黒光りしています。

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 こちらが今回泊まったお部屋。とっても広い和室です。玄関の真上の部屋ですね。お布団はあらかじめ敷いてあるタイプ。


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 さ〜てお風呂です。わ〜!これは広くて明るいですね〜。木のぬくもりが素敵です。総檜造りだそうです。大きさの違う三つの浴槽があります。

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 手前の一番小さな浴槽は、かなり年季が入ってます。
 この宿は二つの自家源泉を持っていますが、それぞれ70度と35度と温度が異なります。二つの源泉が程よく混合して浴槽に注がれていますが、この小さな浴槽には35度の源泉だけが注がれています。
 今年の猛暑のなか、冷泉がとても気持ちよかったです。

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 こちらは温泉の神様への供えものか?

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 露天風呂です。
 お湯は無色透明無味無臭。もちろんすべて源泉掛け流し。この宿は、「日本源泉湯宿を守る会」に所属しているようです。

 温泉分析書は宿のホームページにありました(→温泉分析書)。低温の方は単純温泉、高温の方がナトリウム-炭酸水素塩温泉のようです。

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 宿の裏手には二つの貸切露天風呂があり、無料で使えます。

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 貸切露天風呂は、あまり広くはありませんが、開放感があります。


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 夕食は、築200年という百姓家を改築したお食事どころでいただきます。地元の食材をふんだんに使った郷土料理です。

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 飛騨牛は欠かせませんね。朴葉焼きでいただきます。

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 イワナはお刺身でいただきま〜す。

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 マスに味噌を塗って笹の葉で包んで蒸し焼きにした一品。美味しいです。

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 天ぷらです。ぷりぷりのエビにはシソが巻いてあります。ウドの葉。右下の枕はよもぎ餅。

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 お鍋のお肉は、カモ、地鶏、イノシシ、クマから選べます。ぽん太とにゃん子はクマを選択。以前に熊に脅かされてから、一度は食って仕返ししてやろうと思っていたのですが、今回ついに実現し、溜飲が下がりました。けっこう甘めの味付けでした。

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 満腹、満腹。奥飛騨料理を満喫です。あとは温泉にもう一度入って寝るだけ。


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 朝食です。朴葉焼きと、新鮮なトマトが美味しゅうございました。

2018/08/14

【仏像】素朴な平安末期の地方仏。薬師如来、十一面観音@保福寺(神奈川県足柄市)

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 暑い暑い7月、神奈川県は足柄市にある保福寺に行ってまいりました。膝の上で定印を結んだ手の上に薬壷を持つちっちゃなご本尊の薬師如来さま、そして素朴でとってもお優しいお顔の十一面観音さま、どちらも平安仏です。観ていて思わずほっこりする見事な地方仏でした。

 

 

【寺院名】曹洞宗 両澤山 保福寺
【公式サイト】見つかりません。
【住所】神奈川県南足柄市内山1959-1
【拝観日】2018年7月25日
【拝観】要事前連絡。志納。
【仏像】 
薬師如来座像 カヤ 一木造 像高47.8cm 平安末期〜鎌倉初期 県重文 写真 木造十一面観音立像 ヒノキ 一木造 像高161.5cm 平安末期 県重文 写真

 

 

Img_0082  保福寺は、東名高速の大井松田インターからほど近い集落の中にあります。敷地が広々しております。

 

Img_0087  境内には蓮池があり、ちょうど美しい花を咲かせていました。こちらには、トクサの上にシオカラトンボが……。なんかこんなの見るのも久しぶりだな〜。ちなみに帰宅後ぐぐってみたら、オオシオカラトンボでした。

 

Img_0094  住職さんに案内をお願いし、まずは本堂に安置されている、ご本尊の薬師如来さまから。
 曹洞宗のご本尊は、普通は釈迦如来。このお寺の創建は応年元年(1368年)と言われてますから、その以前からこの地方で信仰されていた仏様なのでしょう。
 像高50cm足らずの小さな薬師さま。膝の上で定印を結び、その上に薬壷を持っているのが、ちょっと珍しい感じがします。切れ長の目。ちょっと曲がったおちょぼ口。ぷっくり膨れた顎。ぽん太は、なんか、ひょっこりひょうたん島の人形を思い出しました。衣紋の表現も簡略で、螺髪もツブツブが大きめであるなど、全体に素朴な造りで、のんびり、おおらかな、平安時代の地方仏です。

 

Img_0091  本堂に向かって左手にある観音堂には、もう一つの平安仏、十一面観音様がいらっしゃいます。
 対面した瞬間、「あら〜」とこっちが思わず笑顔になります。ちょっと胸をそらして、首を少し傾げた感じで、ひょっこりとお立ちです。肩をちょっとそびやかしてますが、肩から胸、二の腕にかけてふっくらとしていて、田舎の娘さんみたいです。お顔も、切れ長の大きな目、おちょぼ口、顎がぷくっと出ていて、頬から首にかけて肉付きが良く、ちょっとはにかんだようにも見える、可愛らしいお顔です。う〜ん、癒し系。こけしのようにも見えますね。
 頭上面の細部は失われています。衣の襞も浅め。
 もともとは厨子の中に安置されていましたが、2010年から2011年にかけての修復ののちは厨子から出され、お優しいお姿全体が拝めるようになったそうです。
 元々は大森頼明の持仏だったと伝えられ、保福寺の近くの御堂(みどう)という名の集落のお堂に祀られておりましたが、明治時代にお堂が老朽化したため、保福寺に預けられたそうです。
 地域の人々に親しまれ、年一回観音祭りが行われ、毎月開かれる観音講では御詠歌が唱えられるそうです。繰り返しますが、曹洞宗のお寺ですから……。宗派にこだわらないところがいいですネ。

 

Img_0083  広い境内には、様々な石仏や石塔が並んでいます。これは青面金剛が掘られた庚申塔でしょうか。

 

Img_0101  六地蔵ですね。中央の後ろにいらっしゃるのは……

 

Img_0100  如意輪観音さまのようです。

 

Img_0098  こちらは、お堂に単独で祀られているお地蔵様です。

2018/08/13

【温泉】日本で2つしかない泊まれる重要文化財・萬翠楼福住@箱根湯本(★★★★★)

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 7月下旬、箱根湯本にある萬翠楼福住に泊まってきました。
 建物が「登録有形文化財」に指定されている宿はいっぱいありますが、国の「重要文化財」に指定されていて、しかもそこに泊まることができる宿は、日本広しといえども現在は二つしかありません。ひとつは赤レンガの東京駅の中にある東京ステーションホテルで、もうひとつがこの萬翠楼福住です。こちらが公式サイトです。
 福住で重要文化財に指定されているのは、明治10年(1877年)竣工の金泉楼と、明治11年(1878年)竣工の萬翠楼の二棟。これは、どうせならここに泊まるっきゃありません。
 でも、ちょっとお高いんじゃないの? ふっふっふっふっふっ。ふるさと納税でもらった箱根町の宿泊券があるのである!

 今回泊まったのは、萬翠楼3階の35号室。細部まで意匠を凝らした部屋で、ほとんど和室、一部洋風が入ってます。付け書院のある本格的な床の間があると思うと、床柱は八角系の南洋材を使うなど奇巧性に富んだ部分もあります。さすが重要文化財です。お風呂はタイル張りで広々しており、男女別の内湯と露天があります。お湯は無色透明の優しいお湯ですが、湯量が豊富で、湯船からとうとうと溢れております。もちろん源泉掛け流し。食事も手の込んだ会席料理で、アワビの踊り焼きあり、ちょっと創作系もありで、非常に美味しいです。サービスも満点。ちょっとお高いけど、それ以上の価値がある旅館で、ぽん太の評価は堂々の5点満点。

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 萬翠楼福住は、箱根湯本駅のほど近く、早川の反対側にあります。はつ花そば本店の近くというとわかりやすいか? 上の写真は、湯本橋から撮ったもので、向かって右が萬翠楼、左が金泉楼ですが、樹木が邪魔してよく見えません。プライバシーの保護もあるのかもしれないけど、ちょっと樹を剪定して、貴重な重要文化財の建物の外観が見えるようにしてほしいところです。
 両方とも土蔵造りになっていて、1,2階が木骨石造り、3階は漆喰仕上げ。屋根は寄棟で瓦葺きです。
 建物がぎっしりと立ち並ぶ箱根湯本。天下の萬翠楼さんも、え?ここが入り口というような門構えですが、その奥にこのようなお宝が眠っております。

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 ロビーから金泉楼への入り口。土蔵建築ということで石造りで鉄の扉。でも扉の上のアーチなどは洋風です。

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 こちらが萬翠楼への入り口です。踏み込みの部分の黒大理石は本物ではなくて、黒と白の漆喰をまぜて作った偽岩だそうです。こんなところにも職人さんの技を見ることができます。

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 一回から二階に登る階段は、らせん状になっています。

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 階段の途中にあるのは明かり取り、それとも通風孔? 手が込んでますね。

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 三階は一室しかないので、三階に登る階段は専用になっております。

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 ここにも通風孔。

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 階段を上っていくと、畳敷きの廊下(?)につながり、左右に部屋がある構造。

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 つきあたりは、早川に面する北向きの廊下になっております。もちろんアルミサッシは使われておりません。

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 窓の下の意匠。板を二枚合わせたものではなく、彫り込んだものだというのが驚きです。

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 建物の妻側の窓は、いっけん和風の格子窓に見えますが、洋風の重りの入った上げ下げ窓です。

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 付け書院のある本格的な床の間……に見えますが、床柱は八角系の南洋材(熱帯系の木材)。長押も黒っぽい木材ですね。建築当時、南洋材を扱う材木問屋があったそうで、そこから珍しい木材をいろいろ手に入れたそうです。
 床の間にテレビがあるのは……現代では仕方ないですね。

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 床板はケヤキ(だったと思う)の一枚板です。

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 壁と天井をつなぐ回り縁も、二重になっています。仕事が細かいですね。

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 こ、これはなんでしょう。ヘゴ系の樹木の幹か?


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 お風呂は円形のタイル張り。明るくて広いです。お湯は無色透明、無味無臭。

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 あまり広くはありませんが、露天風呂がついています。

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 もちろん源泉掛け流し。溢れ出たお湯が、排水口で渦を巻いています。なんか、給湯量の設定を間違えてるんじゃないかと思うくらい。

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 ちょっと汚れてるけど、温泉分析書です。泉質はアルカリ性単純温泉でpH8.9。でもあんまりヌルヌル感はありません。泉温は42.4度とほどよいです。横穴の奥にある自家源泉から自噴しているそうです。


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 夕食は、この宿は基本は部屋食だそうですが、旧館3階は急な階段により配膳困難ということで、別室の個室でいただきました。
 で、お料理が、創作系が入っていて手が込んでいて素晴らしいです。見事な先付けの品々。ほうずきに見えるのも、中身はトマトです。

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 こちらがメニューです(クリックで拡大します)。

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 とっても新鮮なお造り(3人前です)。
 今回は、ぽん太とにゃん子が、フクロウ義父さんを連れての親孝行の旅だったのですが、お義父さんが猛暑にやられて体調を崩してしまい、ちとバタバタしてしまいました。そのため、宿のあちこちを探索することができませんでした。


 アワビの踊り焼きです。わーごめんなさい。成仏してくれい!南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、なんまいだ〜。でも、美味しゅうございました。あゝ、生きるって罪なことだなァ。
 お好みで牛肉に変えることもできます。


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 宿の新名物・焼胡麻豆腐です。焼いた胡麻豆腐に、胡麻のソース、すりゴマがたっぷりかかってます。胡麻付きのにゃん子は大喜び。

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 酢の物には金魚型の人参が泳いでます。なんとも清涼感のある演出。

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 料理長が自ら打った二八蕎麦。料理長さんは、東北出身で、最初は蕎麦の修行をしたのち、関西で和食を学んだそうです(と言ってた気がしますが、違ってたらごめんなさい)。

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 デザートもこの品数で、もうお腹いっぱい。でも帰宅して計ったら、体重は増えてませんでした。意外とヘルシーなようです。


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 木製のレリーフの見事なメダリオン(ライトの取り付け座の天井装飾)。


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 朝食です。品数が多すぎて写真が撮りづらい。豆乳は、汲み上げ湯葉を楽しんだのち、最後はニガリを入れてお豆腐になります。


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 箱根湯本を散策。萬寿福旅館。いい味だしてます。今度はここにも泊まってみたいな〜。

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 干物屋にたむろする猫。観光客が試食をくれるのを待っているようです。

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 温泉まんじゅう「箱根のお月さま」で有名な饅頭屋「菜の花」の店先の招き猫。ちょっと古風な感じがします。

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 湯本橋近くの裏通りに「見番」がありました。
 見番というのは、芸者さんを旅館や料亭に派遣するところですね。箱根湯本にも芸者さんがいるんですね。

2018/08/12

【バレエ】世界バレエフェスティバル(2018)Aプログラム

 暑い暑い暑い暑い。世界バレフェスに行ってきました。夏バテで途中で眠くなってしまいました。こちらが公式サイトです。

 オープニングの「ディアナとアクテオン」は、小さくて可愛らしいバデネスと、長身で力強いカマルゴのペアは、神話らしい雰囲気がありました。ところでディアナとアクテオンってどんな話?あとでググってみると、ディアナはローマ神話に登場する狩猟と貞節と月の女神。ギリシャ神話ではアルテミスに相当します。アルテミスは水浴中に、猟師アクタイオーンが裸体を見たために怒り、アクタイオーンを鹿に変え、50頭の犬に襲わせて殺したそうです。しかしこのバレエは、そんな恐ろしい話は想像できないような、幸せそうな踊りです。ちなみに「ディアナとアクテオン」は、全幕バレエ「エスメラルダ」の一部だそうです。

 続いてアイシュヴァルトとリアブコの「ソナタ」は、ノイマイヤーではなく、ウヴェ・ショルツの振り付け。先日の「ニジンスキー」では鬼気迫る踊りを見せたリアブコですが、このバレエは愛に満ちた暖かい踊りでした。

 「ジゼル」はコチェトコワのジゼルの浮遊感がなかなかでしたが、シムキン君の身体能力が堪能できなかったのは、振り付け上しかたなし。

 ノヴィコワとホールバーグの「アポロ」、ぽん太の体が冷房でほどよく冷えてきて、睡魔に襲われる。

 サラ・ラムとボネッリの「コッペリア」は、美しく端正な踊りでした。

 第2部に入りまして、サレンコ姉さんの「瀕死の白鳥」は貫禄たっぷり。でも、腕をちょっとクネクネ振りすぎて、羽じゃないみたいでした。

 ハミルトン、ボッレの「カラヴァッジオ」は、美しく雰囲気があって、振付もよく、素晴らしいコンテ作品でした。

 ついでボラックとルーヴェがヌレエフ振り付けの「くるみ割り人形」を踊りましたが、ぽん太は感心しませんでした。一生懸命振り付けをなぞっているだけみたいで、動きの面白さや表現力が感じられませんでした。

 「…アンド・キャロライン」は、鬱屈した若者系の踊りでなかなか面白かったです。英語のナレーションが聞き取れれば、もっとシチュエーションがわかったかも。振り付けはノルウェー人のアラン・ルシアン・オイエン(Alan Lucien Øyen)、音楽は映画音楽を多く手がけるアメリカのトーマス・ニューマン(Thomas Newman)。

 アレクサンドロワとラントラートフの「ファラオの娘」は、正統派の美しい踊り。

 第3部は、ロホとエルナンデスの「カルメン」から。ロホ、貫禄ありすぎ。ちょっとカルメンの妖艶さやかわゆさも見たかったです。

 エリザベット・ロスの「ルナ」は、この人ならではの演目。黒い背景に、白いレオタードが、独特のフォルムを刻んでいきます。

 次いでラウデールとレバヴァツォフの「アンナ・カレーニナ」。ノイマイヤーの振り付けはドラマを感じさせますが、どういう場面かはぽん太にはわからず。子供が出てきたりします。関係ないけど、本は大切に扱いましょう。

 ボーダーとサラファーノフの「タランテラ」。速いテンポの激しい踊りを、サラファーノフが足さばきも鮮やかに踊りました。

 第3部のトリはフェリとゴメスの「アフター・ザ・レイン」。ああ、フェリさま、おなつかしや……。でも、グレーのレオタード姿には、ちと老いを感じました。けど、精神性があるしっとりした踊りは絶品。

 ノイマイヤー振り付けの「ドン・ジュアン」は、古典的な雰囲気の振り付け。ドン・ジュアンが女性の亡霊に苦しめられるような話か?

 「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」は、「世界初演」と銘打っているが、新しさが感じられない振り付け。面白い動きもドラマもなく、アラブっぽさもなし。コジョカルは可愛らしかったけれど。

 ポリーナちゃん登場。何回かすっぽかされたけれど、ようやく見れました。Bプロは「個人的な理由」で踊らないと告知されてますが。なんかわがままっぽい。
 しかし踊りは凄い。その前に体が筋肉質になってます。まるでギエムみたい。
 振り付けも面白く、途中でポリーナちゃんがちょっとダサい黄色いスカートを履いて出てくるのですが、続いてフォーゲルも同じスカートで出てくると、観客席に笑い混じりのどよめきが起こりました。
 カテコでもセンターがポリーナちゃんでした。う〜ん、今後の進化が末恐ろしい。

 ジルベールとガニオの「マノン」は、パリオペのエレガンスの極め。これはこれで凄い。

 ラストはウルド=ブラームとエイマンの「ドン・キホーテ」でした。なんかエイマンが元気ない感じがしました。こんなもんだっけ。

【第15回 世界バレエフェスティバル】Aプログラム
2018年8月1日
東京文化会館

― 第1部 ―

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ

「ソナタ」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト、アレクサンドル・リアブコ

「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ、ダニール・シムキン

「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
オレシア・ノヴィコワ、デヴィッド・ホールバーグ

「コッペリア」
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
サラ・ラム、フェデリコ・ボネッリ

― 第2部 ―

「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
ヤーナ・サレンコ

「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
メリッサ・ハミルトン、ロベルト・ボッレ

「くるみ割り人形」
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

「・・・アンド・キャロライン」
振付:アラン・ルシアン・オイエン
音楽:トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン、ダニエル・プロイエット

「ファラオの娘」
振付:ピエール・ラコット(マリウス・プティパに基づく)
音楽:チェーザレ・プーニ
マリーヤ・アレクサンドロワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

― 第3部 ―

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン
タマラ・ロホ、イサック・エルナンデス

「ルナ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
エリザベット・ロス

「アンナ・カレーニナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ・ラウデール、エドウィン・レヴァツォフ

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー、レオニード・サラファーノフ

「アフター・ザ・レイン」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ、マルセロ・ゴメス

― 第4部 ―

「ドン・ジュアン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クリストフ・ウィリバルド・グルック、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」【世界初演】
振付:リアム・スカーレット
音楽:リムスキー・コルサコフ
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー

「ヘルマン・シュメルマン」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
ポリーナ・セミオノワ、フリーデマン・フォーゲル

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン


指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェロ:伊藤悠貴(「瀕死の白鳥」)
ピアノ:原久美子(「瀕死の白鳥」、「タランテラ」)

2018/08/11

【バレエ】台風をぶっとばせ! 世界バレエフェスティバル(2018) Bプログラム

 台風13号が接近する中、めげずに世界バレエフェスティバルを観に行ってきました。空席はほとんどなく、バレエ・ファンがいかにこの公演を楽しみにしているかがよくわかりました。こちらが公式サイトです。

 まずはノヴィコワ、ホールバーグの「眠れる森の美女」。美男・美女の気品溢れる優雅な踊りでした。二人とも、背が高くてスタイル抜群!ノヴィコワが「ちょっと支えていただけるかしら?」という感じで手を伸ばすと、ホールバーグが「喜んで」と手を取ります。これはオーロラ姫ごときの小娘の踊りではありませんな。社交界のベテランという感じ。素晴らしかったです。

 「ムニェコス(人形)」は、赤いパンツ丸見えの女の子(ヴァルデス)と兵隊さん(カマルゴ)の可愛らしい踊り。人形みたいに始まって、とちゅう人間っぽくなったりします。楽しいけど、ちょっと哀愁が感じられました。

 ボラック、ルーヴァの「ソナチネ」は、舞台上のピアノが奏でるラヴェルの音楽にのせて踊ります。流れる水のようなラヴェルの音楽にぴったりあった振り付けが素晴らしく、パリオペらしいエレガントな踊りでした。

 次いで、ぽん太イチオシのリアブコが登場!この人の表現力は凄いな〜。盟友のアッツォーニと「オルフェウス」を踊りました。ぽん太は初めての演目ですが、ギリシャ神話のオルフェウスの、冥府下りの物語のようでした。
 オルフェウスは、死んだ妻を取り戻そうと冥府に下ります。自慢の竪琴を奏でて妻を返してもらえることにりますが、たった一つの条件は「冥府を抜け出すまで振り返って妻を見てはいけない」というものでした。しかしオルフェウスはもう少しというところで振り返ってしまうのです。
 『古事記』にも、イザナギノミコトが、死んだ妻イザナミノミコトを取り戻しに黄泉の国(よみのくに)に行きますが、約束を破ってイザナミノミコトを見てしまうという似たような話があります。「見るなのタブー」と呼ばれるモチーフですね。映画の「千と千尋の神隠し」でも、最後に千尋が現実に戻るトンネルをくぐるとき、ハクは決して振り返らないように言います。でも千尋はタブーを犯しませんでしたね。
 で、バレエでは、竪琴がヴァイオリン、後ろを見ないことがサングラスになってました。ガラの短い一演目でしたが、とてもドラマチックでした。

 第一部最後の「コッペリア」はコジョカルがかわゆいですね〜。おじさん、すっかりやられました。お相手のコラレスが、失礼ながら釣り合いがとれてませんでした。すごく勢いはありましたが。

 ジルベール、ガニオの「シンデレラ」はとってもエレガント。ヌレエフの振り付けを見るときにぽん太がいつも感じる違和感がありませんでした。二人の実力のおかげでしょうか?

 ロホ、エルナンデスの「HETのための2つの小品」は、なかなか雰囲気ある踊りでしたが、男のTバックがちょっときつかった。ところでHETってなに?オランダ国立バレエ団(Het Nationale Ballet)のことか?ようわからん。

 ボーダーとサラファーノフの黒鳥のパ・ド・ドゥは、ボーダーが貫禄ありすぎ。踊りとしては素晴らしかったですが、黒鳥の小悪魔的な雰囲気がなくって、ぽん太の好みではありません。この人が白鳥を踊るとどうなるんだろ。対してサラファーノフの王子様は、エレガントで線が美しく、踊りも大きくてあざやかでした。

 「椿姫」の第2幕のパ・ド・ドゥは、アマトリアンが素晴らしかったです。結核に蝕まれた雰囲気、若いアルフレードの純粋で一直線な愛に戸惑いながらも、次第に心をときめかせていくヴィオレッタ。フォーゲルがきっちりした踊りで支えてました。

 こんかいはちっとも眠くならないぞ、涼しいせいかな?というところで第3部、ハミルトンとボッレのロミジュリのバルコニーシーンから。見事な踊りでガラ公演としてはいいんでしょうけど、ボッレでかすぎ。若い二人のウルウルした雰囲気は出ませんでした。

 ウルド=ブラームとエイマンの”ダイヤモンド”は、エレガントで美しかったですが、エイマン跳ばず。エイマンのし身体能力も見たかったな〜。

 コジョカル、コボーの「マノン」は、第3幕の砂漠のシーン。ドラマティックで感動しました。

 ラムとボネッリの「アポロ」は、ボネッリが神話らしい崇高さがありました。

 「椿姫」第3幕のパ・ド・ドゥは、ラウデールとレヴァツォのハンブルク・ペアでしたが、ぽん太の感想は「いけませんな〜」。ドラマチックに踊ろうとしているのはわかりますが、一つひとつの動作が雑になっている気がしました。コジョカル、コボーの「マノン」を見習って欲しいです。

 ようやく第4部。感想を書くのに疲れてきたので、短くなります。

 バデネスとカマルゴの「じゃじゃや馬馴らし」、バデネスのじゃじゃ馬踊りがうまい。

 アレクサンドロワとラントラートフの「ヌレエフ」は、昨年ボリショイ・バレエで初演された話題作ですが、素晴らしかったです。全幕も見てみたいです。

 アイシュヴァルト、リアブコの「アダージェット」もただただ感動。東京フィルの演奏も良かったです。

 フェリとゴメスで「オネーギン」。フェリのタチヤーナが素晴らしかったですが、ぽん太はこの演目、クランコの振り付けが嫌いで、ラストはやはり貴婦人となったタチヤーナが、昔の初恋の思い出を噛み締めながらも、毅然とした態度でオネーギンの愛を断ってほしいもの。オネーギンの手紙を破くのでは、昔の仕返しになってしまいます。

 オオトリはコチェトコワはシムキンのドンキ。いや〜シムキン君のパフォーマンスが見事でしたね〜。ドンキはこうでなくちゃ。片手リフトも危なげなし。コチェトワのヴァリアシオンで扇子を持ってないのが珍しかったです。
 
 劇場を出ると、風雨はそれほどでもありませんでした。長い長い公演でしたが、とってもとっても満足できました。


【第15回 世界バレエフェスティバル】Bプログラム
2018年8月8日
東京文化会館


― 第1部 ―

「眠れる森の美女」
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オレシア・ノヴィコワ、デヴィッド・ホールバーグ

「ムニェコス(人形)」
振付:アルベルト・メンデス
音楽:レムベルト・エグエス
ヴィエングセイ・ヴァルデス、ダニエル・カマルゴ

「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:モーリス・ラヴェル
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

「オルフェウス」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー、ハインリヒ・ビーバー、ピーター・プレグヴァド、アンディ・パートリッジ
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

ローラン・プティの「コッペリア」
振付:ローラン・プティ
音楽:レオ・ドリーブ
アリーナ・コジョカル、セザール・コラレス

― 第2部 ―

「シンデレラ」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ

「HETのための2つの小品」
振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:エリッキ=スヴェン・トール、アルヴォ・ペルト
タマラ・ロホ、イサック・エルナンデス

「白鳥の湖」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、レオニード・サラファーノフ

「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル

― 第3部 ―

「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
メリッサ・ハミルトン、ロベルト・ボッレ

「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン

「マノン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー

「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
サラ・ラム、フェデリコ・ボネッリ

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
アンナ・ラウデール、エドウィン・レヴァツォフ

― 第4部 ―

「じゃじゃ馬馴らし」
振付:ジョン・クランコ
音楽:ドメニコ・スカルラッティ
編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ
エリサ・バデネス、ダニエル・カマルゴ

「ヌレエフ」より パ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・ポソホフ
音楽:イリヤ・デムツキー
マリーヤ・アレクサンドロワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

「アダージェット」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:グスタフ・マーラー
マリア・アイシュヴァルト、アレクサンドル・リアブコ

「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アレッサンドラ・フェリ、マルセロ・ゴメス

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
マリア・コチェトコワ、ダニール・シムキン

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル(「ソナチネ」「椿姫」)

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