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2019年6月の10件の記事

2019/06/28

【演奏】30年ぶりの山下洋輔の肘打ち「ラプソディ・イン・ブルー」調布国際音楽祭オープニングコンサート

 なにやら調布で国際音楽祭があって、山下洋輔が「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏し、しかも入場料が500円と聞いて、こりゃぁ行くっきゃねェな、てなもんで行ってきました。

 山下洋輔の「ラプソディ・イン・ブルー」といえば、前回聞いたのは確か30年くらい前だったような気がします。当時クラシック一辺倒だったぽん太がこの曲をわざわざ聴きに行くことは考えづらいから、新日本フィルの定期会員だった時に聴いたのでしょうか。ううう、よく覚えてません。

 当時の山下洋輔といえば飛ぶ鳥落とす勢い。アドリブがえらく長くて、激しくて、得意の肘打ちも飛び出しての大熱演だった記憶があります。
 はたして30年ぶりの今回はどうなるのか?

 舞台に現れた山下洋輔は、足元も少しおぼつかない感じ。演奏もかなりゆっくりしたテンポで、指も十分回ってない感じでした。さすがに歳とったな〜。でも、あれから30年だから仕方ないか。

 しかし、後半になってきてだんだんエンジンがかかってきたようで、激しいアドリブは、ちゃんと弾いてるんだかめちゃくちゃなんだかわかんない。氏の現在の体力を考えると、力の限りの大熱演だということが伝わってきます。懐かしの肘打ちも登場しました!!

 今回の伴奏はオーケストラではなく、地元の中高生からなるブラスバンド。彼ら/彼女らは山下の演奏をどう思ったのでしょうか。「こりゃあすごい」「めちゃくちゃ弾いてるだけじゃん」。いずれにせよ、強烈な記憶として残ったことでしょう。


 もう一曲は、公募の合唱団(こちらは、おじさん・おばさん主体)を加えての、ベートーベンの第九の第4楽章の後半。これもなかなか良かったです。


 調布がこのような音楽祭を開いているとはしりませんでした。今年で7回目だそうです。深大寺の本堂で開かれるコンサートも魅力的でしたが、切符が取れませんでした。

 

 

調布国際音楽祭2019

オープニング・コンサート

調布国際音楽祭公式サイト

2019年6月23日
調布グリーンホール 大ホール

曲目
  ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
  George Gershwin(arr. Donald Hunsberger):Rhapsody in Blue
  ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」より 第4楽章(吹奏楽版)抜粋
  Ludwig van Beethoven(arr. Hisaatsu Kondo):4th movement from Symphony No. 9 in D minor,Op.125 (Wind Orchestra Version), excerpts

出演
  指揮:鈴木優人 Masato Suzuki, Conductor
  ピアノ:山下洋輔 Yosuke Yamashita, Piano
  ソプラノ:澤江衣里 Eri Sawae, Soprano
  アルト:布施奈緒子 Naoko Fuse, Alto
  テノール:谷口洋介 Yosuke Taniguchi, Tenor
  バス:渡辺祐介 Yusuke Watanabe, Bass
  調布国際音楽祭特別編成吹奏楽団 CIMF Special Wind Orchestra
    芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー Geigeki Wind Orchestra Academy
    調布市立第三中学校 Chofu III Junior High School
    調布市立調布中学校 Chofu Junior High School
    東京都立調布北高等学校 Tokyo Metropolitan Chofu-kita High School
    明治大学付属明治高等学校・中学校 Meiji University Meiji High School, Meiji Junior High School
  調布国際音楽祭特別編成合唱団 CIMF Special Choir

2019/06/27

【バレエ】オシポワ/ムンタギロフの「ドン・キホーテ」英国ロイヤル2019

 オシポワちゃんがドンキを踊るというので観てきました。

 オシポワのドンキというと、今をさること11年前、ボリショイ・バレエの来日公演でワシーリエフを相手に踊った衝撃的なステージが記憶に残ってます。空いてる日程で選んだ公演で、「オーシポワ?(当時はオーシポワと表記してましたね)知らねえなあ。まあ、いいか」みたいな感じでみ始めたら、二人のあまりの身体能力に腰を抜かしそうになった記憶があります。ワシーリエフの片手片足リフトも凄かったです。

 で、久々のオシポワちゃん。まだまだ健在でした。凄かったです。

 出だしでののけぞりジャ〜〜ンプこそ、振り付けの関係かありませんでしたが、大きくてキビキビした動き、バランスと安定性は以前のまま。そして表現力は格段にレベルアップしております。
 並んだ闘牛士たちが布をフリフリする前を回転して進んでいくところのスピードはものすごく、客席からどよめきがおきました。最後のグランフェッテも、前半は高速のドゥブルで全てを通し、後半はシングルでさらに速度をあげ、軸のぶれもまったくありませんでした。なんだかバレエというよりは、体操競技やフィギュアスケートを見ている気分でした。

 お相手のキトリはムンタギロフ。ガラでは何度かお目にかかりましたが、全幕を見るのは初めてでした。長身でスタイルが良く、足が細長くてジャンプ力があるので、浮遊感がハンパないです。これなら長身のオシポワちゃんに十分対抗できますね。3幕のヴァリアシオンの、開脚回転ジャンプは、とても大きく見えました。
 ただ、片手リフトは意外とあっさりやってました。ちときつかったのか?


 振り付けは、キューバ出身のカルロス・アコスタ。元々の英国ロイヤルの振り付けを見たことがないので、どこまでが彼の工夫なのかよくわかりませんが、よく見る振り付けとはだいぶ違ってました。
 メルセデスのナイフの踊りはなく、並んだマグカップの間を一回だけ踊りました。ジプシーの場面も群舞主体になっており、この方がいいような気がしました。ギターの演奏のシーンも初めて見た気がします。
 ドリアードの世界も、背景に大きなガーベラのような花が咲き乱れていて、ということはドリアードたちが小さいのか?ひょっとしてイギリスの妖精と重なってるのかな、などと思いました(妖精には詳しくないので全然違うかも)。
 機械仕掛けのロシナンテは、ちょっと浮いている感じがしました。

 一番に感じたのは、タイトルロールのドン・キホーテに重きを置いていたこと。普通この演目は、「ドン・キホーテ」という題名ではあるものの実際はキトリとバジルの物語で、ドン・キホーテは付け足しという感じですが、アコスタの演出では、ドン・キホーテは主役とまではいかないものの、彼の狂気と愛と悲しみが丁寧に表現されておりました。
 冒頭でドン・キホーテは、白いケープをまとった女性(ドゥルシネア姫でしょうか)の幻影に魅了されます。一方で黒い布を頭からすっぽりかぶった何かに脅かされます(こちらは恐怖の表現か?)。第一幕の広場では、突然舞台がブルーに暗転すると、ドゥルシネア姫の幻影が現れ、ドン・キホーテがキトリをドゥルネシア姫と混同していることが示されます。それ以外にも、ドン・キホーテはなんども宙を見つめながら、何かに気を取られているような仕草をします。風車に襲いかかるところでも、皆がギターを弾きながら踊っているなかで、次第に精神が混乱していく様子が表現されています。
 ドン・キホーテが高齢なので、なんだかぽん太は認知症のおじいさんを前にしているような感じにして、気の毒に思われました。

 エスパーダのズッケッティは、ちと背が低くて、闘牛士らしい花が感じられませんでした。

 最後に端役(ガマーシュと結婚する人)なのに花束もらっていたのは、ヌニュスでしたでしょうか?

 久々に素晴らしいバレエ公演を観れたな、という感じで、大満足でした。

 

 

英国ロイヤル・バレエ団 2019年来日公演
「ドン・キホーテ』

NBSの公式サイト

改訂振付:カルロス・アコスタ/マリウス・プティパの原版に基づく
音楽:ルトヴィク・ミンクス
編曲:マーティン・イエーツ
美術:ティム・ハットリー
照明デザイン:ヒュー・ヴァンストーン

ドン・キホーテ:ギャリー・エイヴィス
サンチョ・パンサ(従者):フィリップ・モズリー
ロレンツォ(宿屋の主人):クリストファー・サンダース
キトリ(ロレンツォの娘)/ドゥルシネア姫:ナターリヤ・オシポワ
バジル(床屋の青年):ワディム・ムンタギロフ
ガマーシュ(裕福な貴族):トーマス・ホワイトヘッド
エスパーダ(闘牛士):ヴァレンティノ・ズッケッティ
メルセデス(街の踊り子):ベアトリス・スティックス=ブルネル
キトリの友人たち:メーガン・グレース・ヒンキス、アンナ・ローズ・オサリヴァン
ジプシー(ソリスト):ロマニー・パイダク、ルカス・ビヨンボウ・ブランズロッド
ドリアードの女王:クレア・カルヴァート
アムール(キューピッド):イザベラ・ガスパリーニ
ドゥルシネア姫(第1幕):ヘレン・クロフォード
ファンダンゴ(ソリスト):ジーナ・ストーム=ジェンセン、リース・クラーク
街人たち、闘牛士たち、ジプシーたち、森の精たち:英国ロイヤル・バレエ団 ほか

指揮:マーティン・イエーツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ギター演奏(舞台):デイヴィッド・バッキンガム、トーマス・エリス、フォーブス・ヘンダーソン、ナイジェル・ウッドハウス

2019/06/14

【歌舞伎】つっころばしのじゃらじゃらから一気に悲劇へ・仁左衛門の「封印切」2019年歌舞伎座昼の部

 本日は昼の部の鑑賞。お目当はもちろん仁左衛門の「封印切」。こちらが公式サイトです。
 先日の夜の部の三谷歌舞伎では若い女性がいっぱいでしたが、本日の昼の部は、いつもの客層に戻ってました。

 仁左衛門の「封印切」は、ぽん太は初めてだと思います。少なくともこのブログを検索しても出てきません。これまで見たのはほとんど藤十郎でした。
 仁左衛門の忠兵衛は、出だしは完全につっころばし風。梅川とのやりとりもなよなよデレデレして、滑稽というか、喜劇風でさえあります。そこまでやるかという感じで、見ていて微笑んでしまいます。藤十郎の場合は、この辺りは節度をもって演じて、大阪はんなり風の情感を醸し出してました。
 こんな調子では、八右衛門とのやりとりや、最後の死への旅立ちはどうなるんだろうと心配になりましたが、そこは仁左衛門、芸と格好良さで、一気に悲劇へと突き進んで行きました。
 愛之助の八右衛門は、ぺらぺらとリズミカルに滑稽に話すのではなく、やや抑えた芝居的でシリアスな演技。藤十郎の忠兵衛は、テンポ良いやり取りの中でカーッと頭に血が上って封印を切ってしまう感じでしたが、仁左衛門の場合は、八右衛門の悪口に対する怒りや、自分が馬鹿にされるのを見ている梅川の苦しみに対する思い、治右衛門やおえんの手前でのメンツなどの様々な心理が読み取れました。
 茶屋で梅川と二人きりになった忠兵衛が外の様子を伺う時、仁左衛門の表情は、冒頭のつっころばしの忠兵衛とは同一人物とは思えない厳しい表情でした。
 久々に素晴らしい舞台を堪能できました。

 「寿式三番叟」では、幸四郎と松也が元気いっぱいに三番叟を踏みました。

 「女車引」は、魁春、雀右衛門、児太郎の華やかな踊り。「車」は出てこないんですね。

 吉右衛門の「梶原平三誉石切」は、明るくおおらかで暖かみがありました。



六月大歌舞伎

歌舞伎座
2019年6月13日

昼の部

一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
  松本幸四郎・尾上松也 三番叟相勤め申し候
    三番叟  幸四郎
    三番叟  松也
    千歳  松江
    翁  東蔵

二、女車引(おんなくるまびき)
    千代  魁春
    八重  児太郎
    春  雀右衛門

三、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
  鶴ヶ岡八幡社頭の場
    梶原平三景時  吉右衛門
    大庭三郎  又五郎
    俣野五郎  歌昇
    梢  米吉
    大名山口十郎  桂三
    同 川島八平  松江
    同 岡崎将監  種之助
    同 森村兵衛  鷹之資
    囚人剣菱呑助  吉之丞
    奴萬平  錦之助
    青貝師六郎太夫  歌六

四、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
  封印切
    亀屋忠兵衛  仁左衛門
    傾城梅川  孝太郎
    丹波屋八右衛門  愛之助
    阿波の大尽  由次郎
    槌屋治右衛門  彌十郎
    井筒屋おえん  秀太郎

2019/06/13

【歌舞伎】犬ぞりが見どころ!三谷幸喜の「風雲児たち」は2019年6月歌舞伎座夜の部

 歌舞伎座六月大歌舞伎は、久々に昼の部と夜の部の両方を鑑賞することにしました。昼の部は仁左衛門の「封印切」がお目当。そして夜の部は、三谷幸喜の新作の通しです。
 まずは夜の部から。こちらが公式サイトです。


 原作はみなもと太郎の漫画とのこと。みなもと太郎というと、ぽん太は『ホモホモ7』しか知りませんが、こんな漫画も描いていたのか……。なになに、現在も連載中? なんと、まだ生きてたのか! 現在72歳やて。ぜ、ぜひともお元気で……。


 三谷歌舞伎ということで、いつもと客層が全然違って、若い女性が多かったです。

 肝心のお芝居は、前半はちょっとダレてて、「ええっ?三谷幸喜ってこんなもの?」という感じでしたが、犬ぞりが出てきたあたりから面白くなってきました。一斉に背景の幕の下からハスキーちゃんたちが出てきて可愛かったです。やんちゃな子犬たちなのか、盛んにじゃれあっていて、一部ではどんどん乗っかって団子みたいになってましたな。ホントに三階さんたち、何でもできますね〜。

 ラックスマン親子を二役で演じる八嶋智人が出てくると、とたんにテンポが良くなりました。さすがです。
 やっぱり、歌舞伎と演劇ではセリフ術が違うんですね。前半がダレてるように感じたのも、そのせいかも。
 対して歌舞伎陣が本領を発揮したのは、大黒屋光太郎と、脚が壊疽を起こした庄蔵、ロシアに留まることを決めた愛之助のやりとり。歌舞伎というのは、矛盾に引き裂かれた人間たちの叫びで、観客を泣かせる芸なんだなと、再認識いたしました。

 猿之助の庄蔵は、得意の大絶叫。エカテリーナはゴージャスなおばさんみたいで良かったです。松也が黒縁メガネのスーツ姿で巧みな口上。磯吉って、いったい誰が演じてるんだろうと思って見ていたら、幸四郎の息子の染五郎でした。いつの間にか大きくなってたのね。でもなかなかカッコいいです。
 男女蔵の小市、折れたマストで頭を打って認知能力を失った男性を好演。高麗蔵のアグリッピーナ、おもちゃ箱からマトリョーシカが飛び出てきたみたいで可笑しかった。こんな一面もあったのねん。白鸚のポチョムキン、歌舞伎よりぜんぜんいいです。

 第三幕だけ大向こうさんがひとり入ってました。よくこんな芝居でタイミングよく声をかけられるなと思いましたが、意外と歌舞伎の間で演じられているのかもしれません。
 歌舞伎の構成要素として大向こうが大切と言われても、これまで実際のところ、ぽん太にはよくわからなかったのですが、現代劇に大向こうが入ることで、その重要性がよくわかりました。大黒屋光太夫が、「さては新蔵は、庄蔵とともにロシアに残るために、洗礼を受けたんだな」と気がつくための間(ま)に、「高麗屋!」と大向こうが入ったのですが、実に見事なタイミングでした。


六月大歌舞伎

2019年6月12日
歌舞伎座

夜の部

  みなもと太郎 原作
  三谷幸喜 作・演出
  三谷かぶき
月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)
風雲児たち
  大黒屋光太夫  幸四郎 
  庄蔵/エカテリーナ  猿之助
  新蔵  愛之助
  口上  松也
  キリル・ラックスマン/アダム・ラックスマン  八嶋智人
  マリアンナ  新悟
  藤助  廣太郎
  与惣松  種之助
  磯吉  染五郎
  勘太郎  弘太郎
  藤蔵  鶴松
  幾八  松之助
  アレクサンドル・ベズボロトコ  寿猿
  清七/ヴィクトーリャ  宗之助
  次郎兵衛  錦吾
  小市  男女蔵
  アグリッピーナ  高麗蔵
  ソフィア・イワーノヴナ  竹三郎
  九右衛門  彌十郎
  三五郎/ポチョムキン  白鸚

2019/06/12

【温泉】こんなところに秘湯中の秘湯が!赤滝鉱泉@栃木県矢板市(★★★★★)付:八方台のレンゲツツジ

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 那須温泉や塩原温泉で知られた那須塩原市の南に位置する矢板市は、ともすれば素通りしてしまいがいちですが、どっこい個性的ないくつかの鉱泉宿があります。こんかいは、以前に泊まった小滝鉱泉(【温泉】東京から車で2時間で秘湯の味わい・小滝鉱泉(★★★★))の近くにある、赤滝鉱泉にお世話になりました。宿泊日は6月上旬です。
 この宿、ホームページはありませんので、じゃらんのページにリンクしておきます。電話番号は、こちらを参照してください。宿泊料は7~8千円だったかな?

 矢板インターから車で約30分。宿手前に「この先4WD以外進入禁止」の看板がありますが、ぽん太の車は一応4WDなので、柵をどかして突っ込みました。急なジグザグ道で、カーブでは切り返しも必要でした。4WD以外の車の人は、この坂を3分ほど歩いてくだらなくてはいけません。

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 入り口の上に掲げられた案内板。享保年間に発見されて近在の人が利用しておりましたが、次第に湯治に来る人が増えたため宿泊所が作られました。明治になって旅館法が制定されるにあたり、赤滝鉱泉として登録されたそうです。とうことで建物の一部(冒頭の写真に写っている、正面と右の建物)は、元々は江戸末期のものだそうです。
 何棟かの建物があって、部屋数も多いようで、昔は結構な賑わいだったことが想像できます。
 現在は普段は老夫婦が住んでいて、客の予約が入ると娘さんが手伝いにくるようです。

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 猫ちゃんがおりました。ここがお気に入りの場所のようです。

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 喧嘩して猫パンチをくらったのか、右目の上に傷があります。

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 おどおどしたワンちゃんもおります。

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 時代劇にでも出てきそうな階段と廊下です。

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 昔の湯治用の台所でしょうか。現在は洗面所と物置として使われております。

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 窓側の廊下にそって障子が並ぶ、昔ながらの作りの建物です。

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 こちらが今回泊まったお部屋。江戸時代までは遡りませんが、かなり古い建物だそうです。天井が低く、鴨居から上の高さがほとんどありません。床の間に、ちゃんと書院窓も付いてますね。床柱もなかなか立派です。
 畳や障子は新しくなっていて、汚い感じはまったくありません。正面の壁も、新しく張り替えられています。

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 現代アートを思わせる蛍光灯のヒモ。緑のリボンや麻縄が結び付けられ、一番下に5円玉が付いています。昔の下宿によくあった? でも、5円玉はつけなかったよね。

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 お隣の部屋に、すでに布団が敷かれておりました。
 浴衣が見当たらなかったのですが、帯だけあったので聞いて見たところ、出してくれました。そのあとタオルがないのに気がつきましたが、また言いに行くのも気が引けたので、持ち合わせを使いました(前日泊まった宿から持ってきたやつ)。
 テレビはありますが、昔懐かしい100円入れるタイプ。携帯は通じません。ワイファイはルータが置いてあったので、パスワードを聞いたら押してくれるのかもしれません。ぽん太とにゃん子は、テレビなし、携帯ワイファイなしの一夜を過ごしました。近頃はやりのデジタルデトックスですな。

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 こちらが浴室です。鉱泉の雰囲気たっぷりの小さな浴槽。定員1名。カランからお湯は出ず、もちろんシャワーもありません。小さな固形石鹸があるだけなので、シャンプー等も持参したほうがいいでしょう。

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 奥の赤いバルブを開くと、源泉が出てきます。源泉は無色透明で、ちょっと酸っぱいですが、硫黄味はまったくありません。浴槽にたまっているお湯は、鉄色の薄濁りになってます。

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 温泉分析書です。泉質は、単純酸性・鉄冷鉱泉。Ph3.2と酸性ですが、硫黄臭がまったくないのが珍しいですね。また、ぽん太は鉄味はあまり感じませんでした。泉温は13.2度です。

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 加熱方式は「マキ」です。熱めに沸かしてくれるので、源泉でうめて入ります。ということで、言ってみれば源泉掛け流しですね〜。温泉力はあると思います。

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 風呂から出たら、ビールを飲んで夕食を待ちます。おつまみは柿ピー。でっかい栓抜きが、なんか懐かしいですね。

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 夕食です。肉じゃが、天ぷら、お造り、ワラビ、ごま豆腐など。宿の娘さんの手作りの、家庭料理です。あと、ご飯がとっても美味しいです。
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 こちらが朝食です。シャケがふっくらしていて美味しかったです。

 

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 宿からほど近くにある八方台のツツジを見に行きました。こちらの開花情報が見やすいです。

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大間々駐車場のあたりでレンゲツツジが満開でした。小間々のトウゴクミツバツツジの大木は、完全に散っておりました。

2019/06/05

【山菜・温泉】山菜採り体験プランは楽しくて美味しい! 六日町温泉いろりあん(新潟県南魚沼市)

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 ぽん太とにゃん子が春になると山菜を食べに訪れる「いろりあん」。5月中旬に行ってきました。こちらが公式サイトです。
 今年はただ食べるだけではなく、初めて「山菜採り体験プラン」を選んでみました。宿泊の翌日山菜採りをし、温泉で汗を流し、昼食のお蕎麦をいただくというプランです。参加するまでは山菜採りなんて面白いのかな、と思っていたのですが、山菜採り名人に教えてもらいながらいろいろな山菜をいっぱい採ることができて、とても楽しかったです。

★楽天トラベルからの予約は右のリンクをクリック

 

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 お料理はいつもの山菜料理。焼き魚やお造りもあります。

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 今年の山菜しゃぶしゃぶは、こごめ、うるい、のぜりでした。

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 山菜天ぷらも欠かせません。ふきのとう、タラの芽、根曲がり竹です。

 これだけでも十分ですが、今回は翌日の山菜採りのお楽しみが待ってます。

 9時ごろ宿をバスで出発し、近くのスキー場(ムイカ スノーリゾート)の上部に連れてってもらい、山菜を採りながら2時間ほどかけてゲレンデを下っていきます。
 わらび、うど、木の芽(アケビのつるの新芽)、たけのこ、ざくろの新芽、ふきなど、食べきれないくらい採れました。のんびり山菜狩りをしている写真も取りたかったのですが、山菜名人がどんどん先へ行って次々と山菜を見つけるので、写真を撮る暇がありませんでした。

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  山菜採りが終わったら、宿までバスで送ってもらい、お風呂に入って汗をながしてから、お蕎麦と山菜天ぷらをいただきました。

 あ〜楽しかった。来年も山菜採りプランにしようっと。

 家に帰ってからも山菜料理を満喫できました。

2019/06/04

【仏像】密教彫刻の世界/東京国立博物館本館

 東寺展を観たついでに寄りました。小さな企画展でしたが、初めて見る仏さまばかりで、重文もいっぱいありました。しかも一部をのぞいて写真もオーケー。さすが東京国立博物館です。

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 重文の十一面観音菩薩立像は、中国の唐時代に作られた檀像の仏さま。頭でっかちでインド風のお顔。お腹を突き出しております。奈良の談山神社に伝わったものだそうです。

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 こちらは和歌山県は那智勝浦で出土した飛鳥時代の金銅仏。日本の十一面観音の最古例だそうです。

 千葉・小松寺の重文の十一面観音さまは写真撮影禁止。写真は下のリンクからご覧ください。鎌倉時代の鋳銅製です。坐像で4臂のお姿が、十一面観音としては珍しいです。銅板を打ち抜いて作ったという光背が装飾的で見事です。


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 石川県白山市の十一面観音坐像は金銅製で、もとは懸仏(かけぼとけ)だったそうです。鎌倉らしい美しいお姿ですね。

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 鎌倉時代の如意輪観音菩薩坐像は、色が黒くて目つきが鋭い。隅っこに座ってなんか悪巧みをしてるように見えます。

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 重要美術品の不動明王は平安時代の作。全体に肉付きがよく、頬から顎もふっくらしており、腰のひねりも強くて、ちょっと色っぽい不動明王さま。オリジナルのものかどうかぽん太にはわかりませんが、裳(スカート)の模様がとても綺麗です。

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 こちらの鎌倉時代の不動明王様は、どっしりと直立。布の表現がとても見事です。

 運慶の孫にあたる康円の最晩年の作の愛染明王は、写真撮影禁止(下にリンクしてあります)。運慶のようなダイナミックさには欠けますが、細かく装飾的に美しく作り込まれています。重文です。

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 今回の展示作品のなかで最も目を引く色鮮やかな仏さま。赤い彩色や、身にまとった装飾品、裳に施された截金など、非常に美しいです。

 光得寺の大日如来は、運慶の作とも言われているもので、すでに何回かお目にかかっています。

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 平安時代の大日如来は、けだるそうで、衣紋の彫りも浅く、平安後期の定朝様のお姿。

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 南北朝時代の千手観音様は、装飾的で、細長いお顔、ブロックを積み上げたような造形など、この時代の特徴を表しております。

 鎌倉時代の十一面観音様は、プロポーションも良くないし、衣紋の彫りもぎこちない感じがします。
 
 そのほか、中国やチベットの仏像がいくつか展示されておりました。

 

【展覧会名】密教彫刻の世界
【博物館名】東京国立博物館 本館14室

【公式サイト】https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1957
【住所】東京都台東区上野公園13-9
【拝観日】2019年5月9日
【拝観】開催期間:2019年3月19〜6月23日
【仏像】・展示作品リスト

  ◎重要文化財 ○重要美術品 ◆初拝観

◎◆ 十一面観音菩薩立像 1躯  木造、素地 中国 奈良・多武峯伝来  像高42.4cm 唐時代・7世紀  C-304
 ◆ 十一面観音菩薩立像 1躯  銅造、鍍金 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土  像高30.9cm 飛鳥時代・7世紀  北又留四郎氏他2名寄贈 E-14848
◎◆ 十一面観音菩薩坐像 1躯  銅造 像高60.5cm 鎌倉時代・13世紀  千葉・小松寺蔵 写真
 ◆ 十一面観音菩薩坐像 1躯  石川県白山市白山比咩神社境内出土  鎌倉時代・13世紀  C-1052
 ◆ 不空羂索観音菩薩立像 1躯  鎌倉時代・13世紀  奈良・法隆寺蔵
 ◆ 如意輪観音菩薩坐像 1躯  鎌倉時代・13世紀  C-1883
○◆  不動明王立像 1躯  平安時代・12世紀  東京・大田区蔵
 ◆ 不動明王立像 1躯  鎌倉時代・13世紀  個人蔵  
◎◆ 愛染明王坐像 1躯  康円作  鎌倉時代・文永12年(1275)  京都・神護寺蔵  写真
◎◆ 愛染明王坐像 1躯  鎌倉時代・13世紀  C-1858
◎ 大日如来坐像 1躯  鎌倉時代・12~13世紀  栃木・光得寺蔵
◎◆ 大日如来坐像 1躯  平安時代・11~12世紀  C-311
 ◆ 千手観音菩薩坐像 1躯  南北朝時代・14世紀  C-306
 ◆ 十一面観音菩薩立像 1躯  鎌倉時代・13世紀  C-331 写真
 ◆ 八臂十一面観音菩薩立像 1躯  中国 清時代・17~18世紀  TC-271
 ◆ 馬頭尊立像 1躯  中国 清時代・18~19世紀  TC-293
 ◆ ヴァジュラバイラヴァ父母仏立像 1躯  中国 清時代・17~18世紀  東ふさ子氏寄贈 TC-723
 ◆ チャクラサンヴァラ父母仏立像 1躯  中国・チベットまたはネパール  15~16世紀  服部七兵衛氏寄贈 TC-192  

2019/06/03

【仏像】立体曼荼羅のほとんどが観れる!特別展「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」(東京国立博物館)

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 東京国立博物館に、東寺の仏さまがやってきたので、行ってまいりました。

 

【博物館名】東京国立博物館 平成館
【公式サイト】https://toji2019.jp
【住所】東京都台東区上野公園13-9
【拝観日】2019年5月9日
【拝観】開催期間:2019年3月26〜6月2日
【仏像】・作品リストpdf
   ⦿国宝 ◎重要文化財 ◆初拝観 番号は出品目録の番号

4 弘法大師坐像 江戸時代・18世紀 東寺
69 ⦿ ◆ 女神坐像 平安時代・9世紀 東寺 写真
70 ⦿ ◆ 武内宿禰坐像 平安時代・10世紀 東寺 写真
71 ◆ 獅子・狛犬 平安時代・9世紀 写真
84 ⦿
兜跋毘沙門天立像 中国 唐時代・8世紀 東寺
85 ◎◆ 地蔵菩薩立像 平安時代・9世紀 東寺 写真
86 ◎◆ 聖僧坐像 平安時代・9世紀 東寺 写真
87 ◎◆ 獅子 平安時代・9世紀 東寺 写真
95 ◎◆ 五大虚空蔵菩薩坐像 中国 唐時代・9世紀 東寺 写真
96 ◎ 宝生如来坐像 江戸時代・天保5年(1834) 東寺
97 ◎ 阿弥陀如来坐像 江戸時代・天保5年(1834) 東寺
98 ◎ 不空成就如来坐像 江戸時代・天保5年(1834) 東寺
99 ◎ 阿閦如来坐像 江戸時代・天保5年(1834) 東寺
100 ⦿ 金剛宝菩薩坐像 平安時代・承和6年(839) 東寺
101 ⦿  金剛法菩薩坐像 平安時代・承和6年(839) 東寺
102 ⦿  金剛業菩薩坐像 平安時代・承和6年(839) 東寺
103 ⦿  金剛薩埵菩薩坐像 平安時代・承和6年(839) 東寺
104 ⦿  降三世明王立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
105 ⦿  軍荼利明王立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
106 ⦿  大威徳明王立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
107 ⦿  金剛夜叉明王立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
108 ⦿  持国天立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
109 ⦿  増長天立像 平安時代・承和6年(839) 東寺
110 ⦿  帝釈天騎象像 平安時代・承和6年(839) 東寺
【写真】公式サイトにも多数あり。



 圧巻は、講堂の立体曼荼羅を構成するほとんどの仏さまがいらしていること。広い展示室にゆったりと配置され、どの像も360度から見ることができます。一体いったいをじっくりと拝むことができました。
 ただやはり、東寺の講堂にみっしりと配置された迫力はありません。あれ、こんなに小さかったかな。東寺ではもっと大きい印象がありました。イケメンの帝釈天さまも撮影可になっていて、人々が囲んで写メをカシャカシャ撮りまくってましたが、なんだかお気の毒な気がしました。もちろんぽん太もいっぱい写真を撮ったけどね。

20190509_161331

 象にかけられた布に美しい浮き彫りの模様があることに、こんかい真横から見ることができて、初めて気が付きました。

 やはり、平安時代の菩薩・明王たちは、江戸時代の如来たちより格段と素晴らしいです。当初の如来はどのようなお姿をしていたんだろうかと思いました。

 女神坐像(69)と武内宿禰坐像(70)は、御影堂で厳重秘仏として伝えられ、昭和32年(1957)に「発見」さたもの。女神坐像は、岸田劉生の「麗子像」を思わせるお姿で、大きな顔に黒い髪がかかり、頭から胴体の前後の厚みがあります。髪の毛のお下げが両肩から胸に、風大左衛門の涙のように垂れ下がっており、仏像とはまったく異なる表現で、見ていて有り難さよりも畏れ感じます。武内宿禰坐像は裸像で、衣を着せて祀られたんだそうです。
 獅子・狛犬(71)は、すっくと起立しており、背が高くて首が長く、なんだかバタ臭い。ひょっとしてガンダーラ風?
 地蔵菩薩立像(85) は、もとは西寺にあったそうです。とっても穏やかな平安仏。
 聖僧坐像(86)は、もともとは食堂の上座に置かれ、現在は宝物館にあるようですが、ぽん太が以前に宝物館を訪れたときは展示されてなかった気がします。
 獅子(87)は下を向いていじけていますが、背びれのようなタテガミのようなものがある不思議な造形。
 五大虚空蔵菩薩坐像 (95)は観智院に安置されており、唐から持ち帰られたものだそうです。5躯全員が動物に乗っています。造形は素朴。お顔は面長で、安○総理に似ています。

 仏像以外にもお宝の山で、空海が最澄にあてて書いた書状である国宝の「風信帖」は、字がへたっぴなぽん太も思わず見とれました。

 ミュージアムショップで売ってた帝釈天騎象像のフィギュア、買いたかったけど、7,200円とちょっとお高かったので、泣くなく我慢しました。

 

2019/06/02

【オペラ】フアン・フランシスコ・ガテルのオッターヴィオに感動!「ドン・ジョヴァンニ」新国立劇場

 新国立劇場の「ドン・ジョヴァンニ」はすでに何回か見た演出。またか、という気持ちで観に行ったのですが、聴いてびっくり。歌手のレベルが高かったのでしょうか、いままでにない満足感を得ることができました。

 まずは序曲。ん? 迫力がないな〜。低音も響かないし。4階席だからいけないのかしらん、と思って覗き込んで見たら、コントラバス3台の小編成でした。ぽん太はよく知らんけど、モーツァルトの頃の楽器編成なんでしょうか。でもそれだったら、中劇場くらいのハコで見たいよな〜。

 特筆すべきはドン・オッターヴィオ役のフアン・フランシスコ・ガテル。「彼女の心の安らぎこそ」は素晴らしく、特に小さな声の部分が美しかったです。これまでぽん太は、オッターヴィオは端役に過ぎず、彼女を寝取られながら「父親がわりに」とか「愛」とか「真心」とかほざいている木偶の坊かと思っていたのですが、こんかいのアリアには誠実さと真実の愛を感じました。観客の拍手も多かったですね。
 彼の歌を聴いて、ぽん太はこれまでドン・ジョヴァンニの見方を間違えていたんじゃないかと思いました。近代の演劇のように、全体のストーリ展開や登場人物の心理を考えすぎたために、オッターヴィオが間抜けに見えていたんだと思いました。そうじゃなくて単純に、いろんなキャラの登場人物が出てきて、それぞれ素晴らしいアリアを歌う、と思う方が、しっくりくるみたいです。

 ドンナ・アンナについても、ぽん太は敬虔で清らかな女性という印象をもっていたのですが、マリゴーナ・ケルケジは、ちょっとアダっぽい感じ。新国立の「実は女たちはドン・ジョヴァンニを愛していた」という結末には、合っているように思いました。

 ドン・ジョバンニのニコラ・ウリヴィエーリは、単なるどすけべではなくて、ちょっと暗い影を持っており、このオペラの悲劇的な色調に合っていました。女遊びを楽しんでいるというより、何かに突き動かされているという感じがしました。レポレッロのジョヴァンニ・フルラネットはお上手。ドンナ・エルヴィーラは日本人の脇園彩。初めて聞かせていただきましたが、外人勢にまったく聴き劣りせず。今後が楽しみです。妻屋秀和がはまり役の騎士長。

 

「ドン・ジョヴァンニ」/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
Don Giovanni / Wolfgang Amadeus MOZART

新国立劇場オペラパレス
2019年5月22日

新国立劇場公式サイト


指揮:カーステン・ヤヌシュケ
演出:グリシャ・アサガロフ
美術・衣裳:ルイジ・ペーレゴ
照明:マーティン・ゲプハルト
再演演出:三浦安浩
舞台監督:斉藤美穂

ドン・ジョヴァンニ:ニコラ・ウリヴィエーリ
騎士長:妻屋秀和
レポレッロ:ジョヴァンニ・フルラネット
ドンナ・アンナ:マリゴーナ・ケルケジ
ドン・オッターヴィオ:フアン・フランシスコ・ガテル
ドンナ・エルヴィーラ:脇園 彩
マゼット:久保和範
ツェルリーナ:九嶋香奈枝

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

2019/06/01

【文楽】大河ドラマを1日で見た感じ 「妹背山女庭訓」2019年5月国立劇場

 5月の国立劇場文楽公演は、「妹背山婦女庭訓」の通し。これまで部分ぶぶんは見たことありますが、妹山背山の話しと、お三輪ちゃんの話がどう関係しているのかがさっぱりわからないぽん太とにゃん子、通しで見れるのはうれしいです。
 こちらが特設サイト、そしてこちらが国立劇場のサイトです。 

 通しで見ると、本筋に枝葉の話が絡みながら、クライマックスへと進んでいく流れがよくわかりますね。江戸時代の人は、このような複雑な構造を持つドラマをよく作ったものです。歌舞伎でも、歌舞伎座などは名場面集になってしまっていて、それはそれで面白いけど、たまには通しをやってほしいもの。最近通しが減った気がします。ぜひ国立劇場の方で頑張って欲しいです。

 第一部は若手中心。でも、これまで知らなかったストーリーが演じられます。蘇我蝦夷子が藤原鎌足を追い落とそうとする発端。雛鳥と久我之助の出会いは、腰元が気を利かせて仲を取り持つのが面白く、吹き矢の筒をつかって内緒話で思いを伝え合うというアイディアが秀逸です。後半には登場しない采女の局も絡んできます。
 前半は、蘇我蝦夷子が謀反を企てる悪者なのですが、息子の入鹿は父の悪行を嫌って出家をしています。さらに謀反の証拠の連判状を帝に差し出し、蝦夷子を切腹に追い込みます。あれれ、入鹿って善人に描かれてるのかな〜などと思ったらさにあらず。器量の小さい父のやり方は生ぬるいと考え、父を殺して自分が帝の地位につこうという企みだったのです。う〜ん、やっぱり入鹿は悪いやつですね〜〜。
 二段目は、天智帝を匿う猟師芝六の悲劇。これは泣けます。

 咲太夫が芝六忠義を語りました。よいのですが、ちょっとキレがないです。太宰館の段の靖太夫は、顔を真っ赤にして熱演。倒れるんじゃないかと心配でした。人形遣いも若手中心でしたが、最後は玉男、勘十郎、和生が登場。さすがに舞台が引き締まりました。


 第二部は、歌舞伎では見たことがある「妹背山の段」から。歌舞伎では左右に二つの花道がある「両花道」の演出ですが、文楽では左右に床があって、掛け合いになるんですね。蓑助の遣う雛鳥ちゃんがとっても可愛らしかったです。歌舞伎では高齢男性が演じるのを脳内変換しながら見るのですが、やはり人形の方が脳内変換しやすいです。それから歌舞伎では、大判事清澄が書を読んでる横で、白装束の久我之助が腹を切り、清澄が「早まったな〜」とびっくり仰天します。隣で腹を切ってるんだから気づけよ〜とツッコミたくなりましたが、文楽ではそういう変な感じはありませんでした。この段、泣けました。千歳太夫、声はでかいが、柔らかさがなくてカクカクしすぎて変な感じ。妹山の呂勢太夫と織太夫は、まだまだ楷書。

 四段目は、いつもの通りひたすらお三輪ちゃんが可哀想。現代だったら完全にセクハラのパワハラですな。そのお三輪ちゃんは勘十郎が使いましたが、元気というかシャキシャキしてるというか。橘姫が求馬を訪ねてきたのを見て、腹を立てたお三輪ちゃんが求馬に対し、「何なのよこの女。求馬さんには私という許嫁がいるんだから、ちゃんと言いなさいよ」という感じで迫るあたりは、ちょっと大げさに滑稽に演じてました。

 入鹿を討つ場面と、五段目は省略。こんかいの上演だけで、10時半に始まって終演が21時ですから、省略は仕方ないでしょう。
 

 

通し狂言「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」
国立劇場
2019年5月文楽公演

【第一部】
2019年5月23日観劇

大序  大内の段
          硯太夫
          亘太夫
          小住太夫
          咲寿太夫
          清允
          燕二郎
          錦吾
          清公
   小松原の段
     久我之助 芳穂太夫
      雛鳥  咲寿太夫
      小菊  南都太夫
      桔梗  文字栄太夫
      玄蕃  津國太夫
      采女  小住太夫
          團吾
     蝦夷館の段
       口  亘太夫
          清公
       奥  三輪太夫
          清友

二段目 猿沢池の段
          希太夫
          友之助
    鹿殺しの段
          硯太夫
          錦吾
    掛乞の段
          睦太夫
          寛太郎
    万歳の段
          織太夫
          清志郎
      ツレ  燕二郎
    芝六忠義の段
       切  咲太夫
          燕三

三段目 太宰館の段
          靖太夫
          錦糸

 人形役割
    蘇我蝦夷子 玉佳
    中納言行主 清五郎
    大判事清澄(大内)玉勢
    宮越玄蕃  勘市
    皇室定高(大内)玉誉
    采女    紋臣
    藤原鎌足(大内)玉翔
    荒巻弥藤次 文哉
    久我之助  玉助
    雛鳥    簑紫郎
    腰元小菊  紋吉
    腰元桔梗  玉誉
    めどの方  文昇
    大判事清澄(蝦夷子館より)玉男
    蘇我入鹿  文司
    天智帝   勘彌
    藤原淡海  清十郎
    禁廷の使  玉彦
    猟師芝六  玉也
    倅三作   勘次郎
    女房お雉  簑二郎
    大納言兼秋 玉輝
    来屋新右衛門 玉勢
    倅杉松   和馬
    鹿役人   玉路
    興福寺衆徒 亀次
    藤原鎌足(芝六忠義)勘十郎
    後室定高(太宰館)和生
    注進    玉翔
    青侍    大ぜい
    家来    大ぜい
    近習    大ぜい
    腰元    大ぜい
    官女    大ぜい
    村の歩き  大ぜい
    捕手    大ぜい


【第二部】
2019年5月12日観劇

三段目 妹山背山の段
  背山 大判事  千歳太夫
    久我之助  竹本文字久太夫改め藤太夫
       前  藤蔵
       後  富助    
  妹山  定高  呂勢太夫
      雛鳥  織太夫
       前  清介
       後  清治
       琴  清公

四段目 杉酒屋の段
          津駒太夫
          宗助
    道行恋苧環(こいのおだまき)
     お三輪  芳穂太夫
      求馬  靖太夫
      橘姫  希太夫
          咲寿太夫
          碩太夫
          勝平
          清丈
          寛太郎
          錦吾
          燕二郎
    鱶七上使の段
          藤太夫
          清来馗
    姫戻りの段
          小住太夫
          友之助
  同  金殿の段
          希太夫
          團七

 人形役割
    雛鳥(前) 簔紫郎
    腰元小菊  紋吉
    腰元桔梗  玉誉
    久我之助  玉助
    大判事清澄 玉男
    後室定高  和男
    雛鳥(後) 簑助
    丁稚子太郎 紋秀
    橘姫    一輔
    求馬実は藤原淡海 清十郎
    お三輪   勘十郎
    お三輪母  簑一郎
    宮越玄蕃  勘市
    荒巻弥藤次 文哉
    蘇我入鹿  文司
    両氏鮒七実は金輪五郎 玉志
    豆腐の御用 勘壽
    金殿の官女 勘介
    金殿の官女 玉路
    金殿の官女 簑之
    金殿の官女 玉延
    官女    大ぜい
    花四天   大ぜい

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