【鉄道模型】青梅電気鉄道1号形電気機関車・その2(1/80、16番)
ということで、青梅電気鉄道1号形電気機関車(正確には2号形)の3番機、1929年(昭和4)5月から1940年代初めに1013に改番されるまでの間の姿を、模型化することにしました。しかし技術や気力の関係で断念したところや、よくわからずに推測で作ったところなどがあるのはご容赦を。
下廻りを組み立てて試運転したところ、ガタガタと引っ掛かってうまく走りません。調べてみると、パワートラックの車軸についているギアーが劣化して割れてました。キットを買ったのが30年くらい前なので仕方ないか。新たに購入しようと思ったのですが、この天賞堂製のパワートラックは、すでに新しい製品に更新されています。ネットで模型店の在庫を調べまくり、神戸市の鉄道模型店に在庫があるのをようやく見つけて、送ってもらいました。
上回りに行って、側板はほぼキット通り。
妻板ですが、ドア横の小窓は国鉄のED36になってから開けられたもののようです。しかしそれに気づいたのは工作がかなりすすんでから。そこから真鍮板で塞ごうとすると、全てがバラバラになりそうだったので、後の祭りということで諦めました。
下部左右にある吊りかけ式(?)のテールライト は、輸入当時の写真を見ると、埋め込み式のフラットなライトになっているようです。パーツをいろいろ探し、Nゲージ用の「湘南形ヘッドライト(100Wタイプ)P210」(BONA FIDE PRODUCT製)を利用。
昔のワイパーはどうなっているのかと、写真を目を凝らして見つめたのですが、なんか写ってません。ひょっとして昔ってワイパーがなかったのかな。そういえば蒸気機関車はワイパーないし(雪国では旋回窓があるけど)。
そこでワイパーの歴史を調べてみると(進化していないようで進化している?ワイパーの歴史https://car-me.jp › articles )、自動車の世界で1903年に初めて手動式ワイパーが発明されました。手動ワイパーが初めて標準装備されたのがキャデラックで、1922年のこと。同年にTri-Continental Corporationがエンジンの動力を利用した真空式ワイパーを開発しましたが、エンジンの回転数によって速度が変わり、エンジンが止まるとワイパーも止まってしまうという不便なものでした。電動式ワイパーは、1926年にBOSCHが初めて開発したそうです。
とすると、1920年代末に作られた青梅電気鉄道1号形には、やはりワイパーはなかったかも。蒸気機関車と同じように、視界が悪い時は側面の窓から顔を出して前方を確認していたのでしょう。
ということでワイパーはつけないことに決定。後年に加えられた手すりも取り付けず、取り付け用の穴をハンダで塞ぎました。
実は一番苦労したのが青梅電気鉄道のマーク。「青梅」ということで、梅の花の形をした可愛いマークです。もちろん模型用パーツがあるはずもなく、𝝓1.0mm の真鍮パイプを整形しながら6個組み合わせ、レンコン状にしたものを薄切りして作成しました。色は、白黒写真しかないのでわかりません。熟す前の「青梅」の色は、黄緑っぽい色です。また江戸時代に青梅で作られていた染物「青梅縞」の色は藍色で、現在の青梅市でも濃い青色をOme Blueと名付けて観光プロモーションしているようです(Ome Blue(青梅ブルー)公式ホームページhttps://omeblue.tokyo )。どこかに問い合わせればわかるのかもしれませんが、ここは自由に作ることにして、梅の花をイメージしたピンクにしてみました。
塗装は、輸入当時の色はわかりませんが、ピンクで遊んだ分ここは常識的に、上回りがぶどう色1号、下廻りが黒としました。久々にエアブラシを使ったら、劣化したチューブから油滴のようなものが出てきて、塗装面が荒れてしまいました。シンナーのバケツにドボンして塗り直す気力もなく、「まあいいや」ですませました。
例によって最後にタミヤのウエザリングマスターで、錆や埃を控えめにウエザリング。
ナンバープレートは、本物はやや横に長い楕円形をしているようですが、円形のパーツしか見つからなかったので、それを利用しました(ナンバープレート セット2(C3005)アルモデル)。地の色は黒ではつまらないので、ピンクとの相性から青色にしてみました。ちょっとヨーロッパぽくなったかも。
車体下部の台枠に、それらしい検査表記のインレタ を貼りました。その横の「青梅電氣鐵道」の表記は、デカールを特注するほどの元気はなかったので、エーワンのデカールシール(品番81023)を初めて使ってみました。字体は古風な雰囲気を出すために教科書体を使用。社名表記がいつまで旧字体で、いつから新字体になったのか、これもググってみたけどよくわかりません。写真からも、解像度が悪くて読み取れず。古めかしさを出すために旧字体を採用しました。このデカールシールは、染料インクのプリンタ用に作られており、うちのプリンタは黒だけ顔料なのですが、なんとかなりました。白地のシールに、ブドウ色1号で白抜き文字を印刷して作ったので、よく見ると長方形にテカっておりますが、肉眼ではそんなに目立たず、いい感じの仕上がりです。
台枠の反対側にはイングリッシュ・エレクトリック社の長方形の銘板が、そして車体側面には円形のDick Kerr社の銘板があります[a]。市販のパーツは、イギリスの模型屋さんもググってみたのですが見つからず。ならばとプリンタでそれらしいものを印刷して作ろうとしましたが、解像度が悪くて使い物にならず。エッチング特注までする気はないし。ちょっと似ている東芝の円形の銘板を貼ろうかとも思いましたが、これはこの機関車の表札というか、名刺というか、顔みたいなものなので、インチキするよりは、無しを選びました。そのうち手に入ったら貼り付けたいと思います。
[1] 「私鉄買収電機の系譜〈下〉 (RM library (4))」 ネコ・パブリッシング 1999年
[2] 「電気機関車展望 1」久保田敏、日高冬比古著、交友社、1976年
ネット上では、
[a] 東武鉄道の電気機関車 - Gゲージ鉄道模型・風雅松本亭:ED36と同形な、東武博物館に保存された東武ED101型の写真。
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