【バレエ】コロナ禍で久々のバレエ 「バレエ・フォー・ライフ」モーリス・ベジャール・バレエ団
だいぶ以前の話ですが、今を去る10月15日、新型コロナの患者数が奇跡的に減ってきたことから、恐るおそるバレエを見に行くことにしました。切符を取ったのが直前になってしまったのですが、これまた奇跡的に、端っこですが1階8列くらいの席が空いてました。当日キャンセルか、関係者席の放出があったのかもしれません。
演目は、クイーンの音楽を使った「バレエ・フォー・ライフ」。2020年5月に日本公演が予定されていて、ぽん太もチケットを取っていたのですが、コロナ禍により中止となった因縁の演目です。
いや〜。一年以上ぶりに、しかも舞台に近い席で見れるバレエはよかったです。なんか、戦争が終わって、久々に舞台を生で観た人々の感動がちょっとわかりました。
ぽん太はロックや海外ポップスには疎いので、クイーンという名前は知っていますが、CMなどで流れた2曲ぐらいしか知りません。一応Youtubeで少し予習をしておいたのですが、もうちょっと曲を聴き込んでいて、歌詞はともかく何を歌った歌かぐらいわかるようにしておくと、もっと楽しめたかもしれません。
で、衣装がヴェルサーチですか? これもまたぽん太は名前はかろうじて知っているけど、どんな服を作るのか全くイメージがわかない一流ファッションデザイナー。とってもお洒落でしたが、ファッションは時代じだいの流行物のせいか、ちょっと懐かしい印象も受けました。
全体としては、2ヶ月以上前の話なので細かいところを覚えていないのですが、都会的で洗練されて躍動感のある舞台でした。ベジャール独特のユーモアもあり、狭い部屋に男性ダンサーが入っていくところなど、すでに「密」状態なのにさらに舞台袖からダンサーが登場してきて「ええっ、まだ入るの?」という感じでした。
このバレエの初演は1997年。1991年に他界したフレディ・マーキュリーと、その翌年に世を去ったジョルジュ・ドンへをトリビュートして作られた作品です。
二人とも同性愛者で、死因はAIDSでした。今でこそ同性愛の権利は広く認められておりますが、当時はまだ偏見の強い時代でした。またAIDSに関しても、当時の認識では、同性愛者や麻薬中毒患者に広がるウイルスが原因で治療法がなく緩慢な死に至る病いというところで、治療法が確立されていったのはようやく1990年代後半になってからでした。バレエファンにとっては、1993年に亡くなったフドルフ・ヌレエフも忘れることはできません。
舞台の後半でジョルジュ・ドンの動画が映し出されました。容貌と姿だけで強烈な存在感があるタイプですね〜。
その動画を、出演ダンサーたちが、舞台上で体育座りして一緒に眺めるというのは、ぽん太にはちょっと違和感がありました。確かに現在のベジャール・バレエ団のダンサーたちにとって、ジョルジュ・ドンは見たこともない偉大な大先輩なんでしょうけど、いやしくも彼らもベジャール・バレエ団のプロのダンサーなんですから、観客と一緒になって動画を見てるのはどうなのかと。カーテンコールでもジル・ロマンが最初に出てきて、出演ダンサーを一人ひとり舞台上に迎え入れていったのですが、良く言えばジル・ロマンが中心になって若いダンサーを引っ張っているという感じですが、悪く言えば学校の先生と生徒みたいで、ダンサーたちが半人前に扱われ、彼らもそれを受け入れているように感じてしまいました、などというのは、ぽん太のひねくれた見方でございますから、ファンの方々はお怒りにならないようお願い申し上げます。
日本人ダンサーの大橋真理が、可愛らしくてスタイルも良く、素晴らしい踊りを見せてくれました。男性の大貫真幹も大活躍でしたが、ヘアスタイルが角刈りみたいで、かつ今回の衣装が着古して伸びたランニングシャツみたいに見えて、なんか夏に縁台で夕涼みしているお父さんを思い浮かべてしまいました。ヘアスタイルの変更を希望します。
モーリス・ベジャール・バレエ団
2021年日本公演
「バレエ・フォー・ライフ」
2021年10月15日
東京文化会館
振付:モーリス・ベジャール
音楽:クイーン/W.A.モーツァルト
衣装:ジャンニ・ヴェルサーチ
公式サイト:https://www.nbs.or.jp/stages/2021/bejart/index.html
【キャスト】
「イッツ・ア・ビューティフル・デイ 」
タイム/レット・ミー・リヴ
カンパニー全員
「フレディ」
ファブリス・ガララーグ
「ブライトン・ロック」
ソレーヌ・ビュレル、アランナ・アーキバルド、アントワーヌ・ル・モアル、大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹
「ヘヴン・フォー・エヴリワン」
アンジェロ・ペルフィド、ガブリエル・アレナス・ルイズ
天使:パオロ・ランドン
「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」
ヴァレリア・フランク
花嫁:ジャスミン・カマロタ
天使:アントワーヌ・ル・モアル
モーツァルト 「コジ・ファン・トゥッテ」
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹
「カインド・オブ・マジック」
ドリアン・ブラウン、ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、アンジェロ・ペルフィド、クララ・ボワテ、アレッサンドロ・カヴァッロ、シプリアン・ブヴィエ、ファブリス・ガララーグ(フレディ)、ハビエル・カサド・スアレス、岸本秀雄、アントワーヌ・ル・モアル、クウィンテン・ギリアムズ、ヴィト・パンシーニ、リロイ・モクハトレ、アンドレア・ルツィ
モーツァルト 「エジプト王タモス」への前奏曲
ガブリエル・アレナス・ルイズ
「ゲット・ダウン・メイク・ラヴ」
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ
モーツァルト ピアノ協奏曲21番
アランナ・アーキバルド、ハビエル・カサド・スアレス、アンジェロ・ペルフィド、キアラ・ポスカ
「シーサイド・ランデヴー」
ソレーヌ・ビュレル
アリステール・マダン、アレッサンドロ・カヴァッロ、オアナ・コジョカル、ビアンカ・ストイチェチウ、イ・ミンギョン
「テイク・マイ・ブレス・アウェイ」
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、岸本秀雄、ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、カルメ・アンドレス、ソレーヌ・ビュレル
モーツァルト 「フリーメーソンのための葬送音楽」
ガブリエル・アレナス・ルイズ
「Radio Ga Ga」
リロイ・モクハトレ
「ウインターズ・テイル」
大貫真幹
アンジェロ・ペルフィド、キアラ・ポスカ
「ミリオネア・ワルツ」
クウィンテン・ギリアムズ、シプリアン・ブヴィエ、ドリアン・ブラウン、岸本秀雄、アリステール・マダン
「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」
大橋真理、ガブリエル・アレナス・ルイズ、キアラ・ポスカ、大貫真幹
「ブライトン・ロック」
アレッサンドロ・カヴァッロ、ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、フロリアーヌ・ビジョン、オアナ・コジョカル
「ボヘミアン・ラプソディ」
カンパニー全員
「ブレイク・フリー」 (ビデオ)
ジョルジュ・ドン(ビデオ)とカンパニー
「ショー・マスト・ゴー・オン」
カンパニー全員
« 【登山】箱根小涌谷温泉から浅間山 | トップページ | 【仏像】武蔵国分寺の重文薬師如来のご開帳 »
「芸能・芸術」カテゴリの記事
- 【美術展】キューピッドの画中画をみちくさ。修復後の《窓辺で手紙を読む女》「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」東京都美術館(2022.03.22)
- 【オペラ】新国立劇場オペラ「オネーギン」(2019.10.09)
- 【クラシック】辻井伸行 日本ツアー2020 "バラード"(2020.01.08)
- 【歌舞伎】2020年1月新春浅草歌舞伎(第1部・第2部)(2020.01.22)
- 【歌舞伎】2020年2月歌舞伎座昼の部/仁左衛門と玉三郎の「道明寺」(2020.02.05)
コメント