【クラシック】初めて聴いた角田鋼亮の指揮。東京フィルの『第九』
昨年はコロナで行けなかった年末恒例の『第九』に、今年は行ってまいりました。
日付の関係から、今年は東京フィルのオペラシティーでの演奏会を選択。当初はケンショウ・ワタナベが指揮をする予定でしたが、オミクロン株の拡大に伴って来日できなくなり、代わりに角田鋼亮が振ることになりました。ぽん太は初めて聞く名前ですが、ぐぐってみると、昭和55年生まれの41歳。若々しくエネルギッシュな指揮ぶりで売り出し中のようです。
また新国立劇場合唱団も、以前に聴いた『第九』で少人数なのに圧倒的な声量だったのが印象に残っており、今回も期待が高まります。
まずは『フィデリオ』序曲でしたが、ぽん太はあまり聞き込んでない曲なので、特に感想はなし。
さて、7分の曲のあとに15分の休憩を挟み、いよいよ『第九』です。
出だしのテンポは早めの普通(?)といった感じ。歯切れが良くてパンチが利いた演奏で、大時代的な重厚感はありません。ぽん太は最初はちょっと付いていけなかったのですが、再現部の終わりのあたりから、ぽん太が慣れてきたのか、演奏側が乗ってきたのかわかりませんが、何だか気持ち良くなってきました。ただ第一楽章独特の、恐怖感というか、凄まじさは感じられませんでした。
第二楽章も同様に、エネルギッシュでビートのきいた演奏ながら、バッカス的な狂乱は感じられず。エンディングの「ちゃかちゃかちゃかちゃかちゃん」の最後の「ちゃん」を、ふわっと力を抜いて鳴らしたのは、ぽん太は初めてで、ちょっとびっくりしました。帰ってからスコアを見ると、確かに「ちゃかちゃかちゃかちゃか」はフォルテッシモやフォルテの記号があるのに、最後の「ちゃん」には何も付いていません。Youtubeで何人かの指揮者の演奏を聞き直してみたのですが、同じような終わり方は見つかりませんでした。
第三楽章は指揮棒を持たずに指揮。両手のひらを別々に、ひらりひらりと翻すような動きで、踊りのような、蝶が舞うかのような、これもまた初めて見ました。とても美しい演奏でしたが、テンポが早いので、一つひとつの楽想をそれぞれ味わって聴いていくというよりは、次々と現れては消えていく音の戯れを立ち尽くして聴いている感じがしました。
金管のファンファーレも、普通は甘美な音楽に満足している人を夢から覚まさせる警告のように演奏すると思いますが、あっさりとしか感じ。二度目のファンファーレのあとのちょっと不安がよぎるようなパッセージも、さらりと流していました。角田鋼亮は、あまり音楽に意味を持ち込みたくないというか、標題音楽的にしたくないのかもしれません。
ということで最終楽章ですが、これはベートーヴェンの曲自体の素晴らしさもあるのか、コロナ禍を経て2年ぶりに聞けた感慨もあるのか、さすがにぽん太も感動。新国立劇場合唱団は、期待した通り今回も少人数でしたが圧倒的な迫力。今回は1階席で聴いていたのですが、オペラシティ・コンサートホールでは、オケの後ろの2階部分に合唱が立つので、上の方から声が降り注いでくる感じで、本当に神々しかったです。
独唱陣も悪くなかったです。今回の演奏もそうでしたが、バリトンのO Freundeで始まる最初のレチタティーヴォで、昔はなかった装飾音を入れるのが最近多い気もしますが、どんな理屈なんでしょうか。ぐぐってみたけどわかりませんでした。
プレスティッシモで上り詰めて全曲が終わった瞬間、フルートが片手で楽器を高々と掲げた状態になっていたのには驚きました。いったいどうゆう経緯であのポーズになったのでしょう。
とうことで、初めて聴いた角田鋼亮の演奏は、興味深くもあり、感動もありで、全体としては大いに満足できました。コロナと闘う苦難の一年が終わり、来年も良い年でありますように。
ベートーヴェン『第九』特別演奏会
東京フィルハーモニー交響楽団
12月23日
東京オペラシティ コンサートホール
公式サイト・https://www.tpo.or.jp/concert/20211223-01.php
指揮:角田鋼亮
ソプラノ:迫田美帆
アルト:中島郁子
テノール:清水徹太郎
バリトン:伊藤貴之
合唱: 新国立劇場合唱団
ベートーヴェン/歌劇『フィデリオ』序曲 Op.72
ベートーヴェン/交響曲第9番二短調『合唱付』Op.125
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