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2022年1月の15件の記事

2022/01/28

【温泉】養生館はるのひかり(箱根) - おしゃれな現代風湯治宿

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 今を去る2020年7月下旬、ぽん太とにゃん子は箱根にある「養生館はるのひかり」に泊まってきました。箱根湯本からほど近いのに、とても閑静な雰囲気。茅葺き屋根の風情ある本館があり、内装は細かいところに気が行き届いていて、とってもオシャレで瀟酒です。養生の宿をうたっていて、お食事もとってもヘルシー。無色透明でお肌に優しいお湯も、浴槽ごとに違う温度に設定されていて、お好みで楽しめます。まさに現代風のオシャレな湯治宿で、女性の二人連れや、女性ひとり客も多く、身も心もすっかりきれいになります。連泊を勧めておりますが、一泊でも大丈夫です。飲んで騒ぎたい人には不向きというか、そういう人は宿泊禁止ですね。それから12歳以下の子供も宿泊できませんのでご注意を。

【旅館名】養生館 はるのひかり
【温泉名】箱根温泉
【住所】神奈川県足柄下郡箱根町湯本554
【公式サイト】・https://harunohikari.com
【宿泊日】2020年7月中旬
【泉質】ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
【プラン】2食付きスタンダード養生プラン Aタイプ和室10畳 14,080円

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 茅葺き屋根の本館の中は、黒光りするタイルの床に、かまどが置かれています。レトロモダンな装いですが、繊細でおしゃれなイメージ。

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 内装もとっても洗練されております。女性客が多く、ぽん太のようなおじさんはちょっと浮いてる感じがしました。

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 お部屋はスタンダードな和室を選択しましたが、きれいで瀟酒な和室です。広縁からは、植栽の向こうに霧にけぶった山裾が見えました。これもまた落ち着く風景。今回お部屋全体の写真を撮るのを忘れてました。

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 浴場も現代アートのような雰囲気。三つに分かれた浴槽に、それぞれ異なる温度の湯が張られており、好みの温度で楽しめます。

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 温泉分析書です。無色透明、無味無臭の柔らかいお湯。とはいえ様々な温泉成分が溶け込んでおり、泉質はナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉。pH8.2の弱アルカリ性で、お肌すべすべの美人の湯です。

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 もうひとつの浴室。時間制で男女交代となります。こちらは窓の外の石組みの池が見事です。

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 夕食は素敵なお食事どころでいただきます。

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 夕食は、無農薬露地栽培の野菜などを使ったとってもヘルシーなお食事です。ダイエット中のぽん太はOKですが、若い男性は物足りないことでしょう。

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 お献立です。タンパク質は……胡麻豆腐と揚げ出し豆腐ですね。総カロリーは500kcal未満とのこと。
 お酒は……けっこう揃えてありました。ぽん太はこれがなかったら危ないところでした。よかった。

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 お食事は玄米ご飯、お椀は豆乳仕立ての醍醐椀です。すっかりデトックスされました。

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 窓の格子の向こうに、青竹と瓦屋根。
 ネットの情報では、この宿は以前は「雀のお宿 春光荘」という名前でしたが、創業70年を機にリニューアルし、2015年秋に「養生館はるのひかり」としてオープンしたようです。その際、開業の原点だった温泉宿の根本に立ち返り、「源泉湯治・養生」をコンセプトとしたようです。とてもすばらしアイディアだと思うので、ぜひうまくいって欲しいです(箱根湯本に源泉かけ流しの逗留湯治宿 『養生館はるのひかり』がこの冬グランドオープン! 100%無農薬 玄米と野菜が中心の身体に優しい献立|@Press)。

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 朝食もヘルシーです。

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 朝食の献立です。湯豆腐とメザシが2匹ついていて、タンパク質的には夕食よりリッチでした。

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 酵素ドリンクと、リクエスト制の納豆とハーブティーの説明書き。納豆は無農薬の大豆と稲藁で作ったもの。ハーブティーは自家菜園の無農薬ハーブを使ったもの。もちろんぽん太は両方ともリクエストしました。
 すっかり身も心もきれいになりました。ありがとうございました。

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 昼食は沼津港に抜けて生シラスと生サクラエビの二食丼を頂き、タンパク質を補給しました。え? 何かまずいですか? いいですよね。

2022/01/27

【民宿】茅葺き屋根に山菜料理、しかも都内・かんづくり荘

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 以前にかんづくり荘をに回目に泊まったときの記事をアップしましたが(【民宿・山菜】「民宿かんづくり荘」再訪(東京都檜原村)(★★★★)2021/09/24)、こんかいは最初に泊まった時のご報告。前後してわかりにくくてすみません。

 茅葺き屋根の建物で、山菜料理が美味しいです。しかもなんと東京都内(檜原村)。当時はコロナで「都道府県をまたいだ移動は自粛」という状態だったので、もってこいの宿でした。

 詳しくは前回の記事を参照していただき、何枚かの写真だけをアップいたします。

【宿名】民宿かんづくり荘
【住所】東京都西多摩郡檜原村数馬2411
【公式サイト】http://www.kandukuri.jp
【宿泊日】2020年7月下旬

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 7月下旬ということで都心は猛暑ですが、ここは窓から涼しい風が入ってきてエアコン入らず。夜は肌寒いくらいでした。

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 ぬくもりある檜の湯船に体を沈め、窓の外の渓流と樹林を眺めます。まるで山小屋にいるような気分で、ここが東京都とは思えません。残念ながら温泉ではありませんが、温泉とはいっても循環・加熱・加水・消毒がはびこるなか、檜原村の水の方が天然に近いかもしれません。ちなみに前回の記事とは違う浴室です。

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 お食事どころの部屋は天井が高く、白い壁と黒い梁が美しいです。きっと元々は囲炉裏があった部屋でしょうね。

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 お料理ですが、真夏というのに春の山菜が盛りだくさん。山菜好きのぽん太とにゃん子ですが、今年の春はコロナ禍のせいで、一度も山菜を食べに行くことができませんでした。思いがけない山菜との出会いに、二人とも大喜び。
 今年は山菜が豊作だったのに、コロナ禍でお客さんが少なかったそうです。こんかい頂いたのは、塩漬けにして保存してあったものだそうです。

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 川魚(なんだか忘れました)と夏野菜の天ぷらも美味しゅうございました。

2022/01/26

【温泉】登録有形文化財の落ち着く宿 湯河原温泉 ゆ宿 藤田屋

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 今を去ること1年半、ぽん太とにゃん子は湯河原の藤田屋に泊まりました。創業120年以上、登録有形文化財の本館を持つ老舗旅館です。自家源泉を持つ温泉、地元の食材を生かしたお料理。落ち着いてゆっくり過ごせる旅館です。

【旅館名】ゆ宿 藤田屋
【温泉名】湯河原温泉
【住所】神奈川県足柄下郡湯河原町宮上495
【公式サイト】・http://www.fujitaya.tv
【宿泊日】2020年9月下旬
【泉質】ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉
【部屋】本館(和室)

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 海岸付近はすっかり新しい街並みに生まれ変わった湯河原ですが、ちょっと奥に入ると古い風情ある建物が残っています。そんな一角にあるのがゆ宿 藤田屋ですが、庭木に覆われていて、車道からはあんまり目につきません。

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 創業は明治15年。本館の建物は大正12年(1923)築の木造二階建て。一部改修は行われていますが、古い雰囲気が保たれており、登録有形文化財に指定されています(→文化財オンライン)。温泉旅館らしい風情がありながら、格式も感じられます。

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 快適な新館もありますが、古い建物が好きなぽん太とにゃん子は迷わず本館のお部屋を選択。とっても落ち着いた和室で、床の間まわりや細かいところに、数寄屋風の意匠がほどこされています。

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 さて温泉ですが、こちらは望乃湯(もちのゆ)。円形の石製の浴槽と、木製のドーム状の天井の組み合わせが面白いです。

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 こちらが温泉の注ぎ口ですが、珍しい形ですね。何をかたどっているのでしょう。湯河原のお湯は無色透明・無味無臭ですが、析出した結晶が成分の濃さを示しています。柔らかくて温まるいいお湯です。

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 温泉分析書です。泉質はナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉。pH8.4の弱アルカリ性で、お肌すべすべの美人の湯系です。泉温は66.9度と高温。

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 せっかくの自家源泉ですが、温度調整のため水道水の加水、循環濾過、消毒が行われているのがちょっと残念。

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 こちらは露天風呂・漱玉の湯(そうぎょくのゆ)です。竹を多用した繊細な造りが風情があります。やはり竹を駆使した女性にうれしいパウダーコーナーもあります。望乃湯と時間制で男女入れ替えになっています。

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 うれしいことに貸切の家族風呂が二つあり、無料で楽しめます。こちらは木の湯船の桧乃湯。

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 そしてこちらはレトロな雰囲気のタイル張りの浴槽の藤乃湯です。

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 こちらが夕食です。先付けにお造り、和牛陶板焼きなど、定番のお料理です。

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 こちらが献立です。

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 さらに、さまざまなお料理が次々と運ばれてきます。地元のサザエがうれしいですね。こりこりしていて、ちっとも臭みがありません。お吸い物は枝豆真丈とじゅんさい。

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 鰻入りの煮物、美味しいしめ鯖の酢の物、揚げ物です。
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 美しい瓦屋根のリズム。

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 大正レトロっぽい木製のドアです。

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 望乃湯付属の休憩室です。

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 朝食も美味しゅうございました。

2022/01/21

【GoTo温泉】見事に蘇った名旅館 湯河原温泉・富士屋旅館(★★★★★)

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 2020年7月22日、新型コロナは第2波がようやくピークアウトしたかというタイミングで、「Go To トラベル」キャンペーンが始まりました。上限2万円の範囲で、旅行代金の1/2を、旅行代金の割引と割引クーポンで補助してくれるというもの。ぽん太はこれまで宿泊代は、一泊1万円台前半を目安にしておりましたが、ということは、あと5千円出せば一泊4万円の高級宿に泊まれるということではないか! しかし東京は、いまだ新規患者数が多いため除外。まだかまだかと待っていたら、ようやく10月1日から東京都在住のタヌキも割引対象となりました。

 これは一生に一度あるかないかの大チャンス。新型コロナにかかるのは怖いけど、「コロナになってもえじゃないか」のお陰参りの気分。同じアホなら踊らにゃソン、ソン!ってなこった。

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 ということで初っ端は湯河原の富士屋旅館を選択。以前に近くの藤田屋さんに泊まったとき、周辺の散策中にリニューアル工事中の富士屋旅館に目を止めました。とっても古い木造の建物が残っており、泊まってみたいと思いましたが、後でホームページをチェックすると、お高そうな雰囲気がぷんぷんと漂っていて、宿泊は無理だろう〜な〜と思ってました。

 しかし今や私にはGo To キャンペーンがあ〜る。わはははは、最初のえじきはお前なのだ。

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【旅館名】富士屋旅館
【温泉名】湯河原温泉
【住所】神奈川県足柄下郡湯河原町宮上557
【公式サイト】・https://fujiyaryokan.jp
【宿泊日】2020年10月上旬
【泉質】ナトリウムー塩化物・硫酸塩泉 (弱アルカリ性低張性高温泉)
【部屋】旧館(和室)

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 富士屋旅館の歴史に関しては、こちらのサイト(17年ぶりに蘇った名旅館・湯河原『富士屋旅館』。大改修後の湯河原のシンボルを隅々まで見てきた|LIFULL HOMES PRESS)が詳しいです。江戸時代に創業したと伝えられる老舗旅館で、多くの文人、政治家に愛されてきました。湯河原温泉のシンボルとも言える存在でしたが、時代の流れについていけずに1999年に売却され、2002年に営業を休止しました。その後17年間放置されてきましたが、2016年に際コーポレーションが事業者となり、大改修を経て2019年2月に再オープンとなりました。歴史ある旧館は、細かい建具に至るまで昔のままに修復・再現され、一方新館は大幅な改修を加え、レトロモダンな雰囲気に生まれ変わりました。

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 際(きわ)コーポレーションという会社はぽん太は初耳ですが、ぐぐってみると、中華料理系のレストランの経営にはじまり、さまざまな事業を展開し、旅館・ホテル経営にも携わっているようです。実際に泊まってみて、古い建物を単に営業のコンテンツとして利用するのではなく、復元・保存していこうという姿勢に共感を覚えました。

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 というわけで、今回ぽん太が選んだのは、最も歴史ある旧館。大正11年(1923)建築で、木造2階建ての楼閣造りです。

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 こちらが今回泊まったお部屋。きれいにリニューアルされてます。古い建物ですが、ちっとも歪みは出てないですね。関東大震災でもほとんど被害を受けなかったそうです。

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 床の間も、旅館ですから書院などはありませんが、きっちりと作り込まれています。

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 和モダンな縁側からは、歴史を感じさせる木立が見えます。

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 専用のお風呂が付いてます。

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 アメニティも完璧です。

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 こちらは大浴場です。やわらかく肌を包み込む湯河原の湯が、循環・加温・加水なしの源泉掛け流し。消毒はしているようです。

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 温泉分析書です。泉質はナトリウム・カルシウム—塩化物・硫酸塩温泉。源泉は61.7度と高温です。

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 お食事はお食事処「瓢六亭」でいただきます。「先付けは鯛とろろめし 唐墨」。

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 こちらがお品書きです。絵心がありますね。

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 お酒を注文すると、錫の容器で出てきました。

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 お椀は「すっぽんどんこ大根」です。

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 地物の新鮮なお造りです。

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 丸太の上に豪快に盛り付けられた揚げ物。松茸とのコラボですね。

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 そうして鰻でございます。

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 夜間良眠。

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 朝食もおいしゅうございました。

2022/01/19

【GoTo温泉】岩盤から流出する源泉が見事! 草津温泉 ての字屋(★★★★★)

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 草津温泉にある誰もが知る高級老舗旅館・ての字屋。残念ながらぽん太には縁がないと思ってましたが、GoToキャンペーンのおかげて行ってきました。ありがとう!菅元総理、ありがとう!二階元幹事長・全国旅行業協会会長。

 何と言っても1200年以上前から岩盤から自然湧出し続けているお湯だけで、温泉遺産としての価値があります。建物は時代を感じさせるものではありませんが、伝統的な「せがい出し梁造り」の落ち着いた数寄屋建築。お食事もけれん味がなく、手が込んだお料理が美しい器にきれいに盛り付けられて出てきます。もちろんサービスも言うことなしで、ぽん太のようなお上りさんにも十分なおもてなし。これを5点満点と言わずしていかがせん。

【旅館名】ての字屋
【温泉名】霧積温泉
【住所】群馬県吾妻郡草津町草津360
【公式サイト】・https://www.tenojiya.co.jp
【宿泊日】2020年10月下旬
【泉質】酸性・含硫黄—アルミニウム—硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)

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 湯畑からちょっと入った静かな小路にある落ち着いた和風建築。いわゆる歴史的な建物ではありませんが、木造三階建ての数寄屋建築。1階より2階の梁がせり出すといういう、草津伝統の「せがい出し梁造り」です。あゝ、この宿に足を踏み入れることができようとは、思ってもいませんでした。

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 2階に上がったところにあるロビーです。中に入れて嬉しいです。警備員さんの目を盗んで尾道市立美術館についに入った黒猫の気分です。

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 お部屋は広々した和室です。直線的で品格ある造りですが、縁側との間の欄間が葦(?)になってるあたりに遊び心があります。

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 水回りはモダンな作りになってます。

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 上階ですが、窓の外には小さな植え込みがしつらえてあります。

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 ウェルカムお菓子が、草津デフォルトの温泉まんじゅうではありません。

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 温泉は、冒頭にも書いたように、天然の凝灰角礫岩から1200年以上天然湧出し続けている天然岩風呂が絶品。4本の樋から温泉が注がれていますが、それ以外にも岩盤から染み出しているものがあり、湯量はハンパないです。温泉も時間とともに酸化していくので鮮度が大事ですが、これは文句なし。もちろん循環なしの正真正銘の源泉掛け流し。また湯船も、樹齢500年の檜の大樹からとった柾目板で、釘や金物を一切使わない工法で作られているそうです。

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 温泉分析書です。草津独特のpH2.0の強酸性のお湯ですね。お湯そのものは無色透明で、白い粉のような湯ノ花が底に沈殿しており、かき混ぜると真っ白に。舐めると酸っぱいです。

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 こちらは男女別の内湯です。

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 小さいけど露天風呂が付いているのがうれしいです。

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 夕食は、一品いっぴん運ばれてきます。彩鮮やかな先付けです。

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 お品書きをアップしておきます。それぞれの器が書かれたお品書きは初めて見ました。

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 お造りです。何で山の中でわざわざ……と普通は思うところですが、とっても新鮮で美味しいです。ここは最高の贅沢と考えたい。

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 金時南瓜うすくず流しです。蓋の裏に月をあしらった輪島塗りとのハーモニー。

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 鰤の西京焼きです。有田焼の菊と、ゆで卵、大葉などがうまく合ってますね。

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 上州和牛照り焼きと、うざくです。

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 翌日、朝食前に、ての字旅館の浴衣を自慢しに湯畑の散策に行きました。何度見ても飽きない独特の景観ですね。

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 朝食です。美味しゅうございました。

2022/01/18

【温泉】今も変わらぬ山中の秘湯 霧積温泉・金湯館(★★★★★)

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 オミクロン株の脅威が迫るなか、またこれでしばらく温泉ともお別れかと思いつつ、群馬県の霧積温泉金湯館に行ってきました。

 この宿はぽん太にとって20年ぶり3回目の宿泊。ぽん太の狸脳では前回の記憶はおぼろげですが、いまだに山の中の古い秘湯の雰囲気がしっかりと保たれています。「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね」で有名な映画『人間の証明』の舞台となったことで有名ですねと言っても、若い人はわからないか。で、何と言っても素晴らしいのは泉質です。お肌すべすべを通り越してお肌ぬるぬるのお湯が、豊富に正真正銘の源泉掛け流し。これは得点高いです。お食事も地元の山菜や野菜を使った素朴なお料理が食べきれないほど。秘湯マニアにはマストの宿で、ぽん太の評価は5点満点。

 

【旅館名】金湯館(きんとうかん)
【温泉名】霧積温泉
【住所】群馬県安中市松井田町坂本1928
【公式サイト】・https://www.kirizumikintokan.com
【宿泊日】2022年1月中旬
【プランと料金】
  【公式HP限定・2食付】秘湯・霧積温泉の一軒宿で非日常の時間を体感。山の恵み夕朝食付
   別館和室  2名1室 1人13,200円(税・サービス料込)
【泉質】カルシウム—硫酸塩温泉
【アクセス】宿の前まで車で入ることはできません。霧積館跡の駐車場に車を停めて、宿の車で送迎になります。横川駅までの送迎もあり。詳しくは宿に確認を。

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 碓氷峠を越える国道18号(旧道)、有名な眼鏡橋(アプト式だった碓氷線の旧線にかかる橋ですね)のやや東から、北へ向かう細い道に入って行きます。信越本線(新線)に沿って走り、霧積湖を抜けると細い山道となります。今は舗装されてるけど、昔は砂利道だったような。タイヤがパンクして自力で交換した記憶があります。

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 約30分で無料駐車場に到着。ここには以前霧積温泉きりずみ館という温泉旅館がありました。秘湯を守る会の会員宿でしたが、ぽん太は一度も宿泊する機会がないまま、2012年4月をもって残念ながら閉館となりました。トレードマークだった水車小屋だけが残ってました。ここ宿の送迎の車に乗り換え、ゲートを開けてさらに林道を登って行きます。ちなみに20年前に来た時はゲートがなく、宿の前まで車で入ることができました。

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 約15分で宿に到着。当日は日本各地で大雪の予報でしたが、一応太平洋側なので雪は多くありません。しかし冷え込みは凄かったです。入り口のある建物が、明治時代に建てられたものだそうです。

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 水車に水を運ぶ水路から漏れた水が凍りついて、氷の列柱になっております。奥にある白い建物は、こんかい泊まった「別館」です。ぽん太が30年くらい前に泊まった時は、ここには古〜い木造の建物がありました。ちと新しいのがちょっと残念。

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 玄関ホール(?)です。ほとんど山小屋ですね。

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 帳場の周辺です。旅籠の雰囲気ですね。

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 こちらが今回泊まった別館のお部屋。築30年ぐらいなのできれいで居心地よいです。でも、石油ファンヒーターを着けっぱなしにしても、室温が20度より上がりません。お布団は隣の部屋に敷いてくれました。寝ていて寒いんじゃないかと心配しましたが、電気アンカが入っていて、暖かく一晩をすごせました。

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 今回はあまり予備知識がなく別館の部屋となりましたが、どうせ泊まるなら、明治時代の本館をお勧めします。部屋と廊下は障子で仕切られているだけですが。ネットからは予約できないのかもしれません。
 かつて周辺が別荘地・避暑地として栄えた頃、多くの政治家や文人が訪れたそうで、伊藤博文が憲法を草案したという部屋があります。改装はされていますが、天井には太い梁が残っています。

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 温泉に向かう通路です。このあたりは昔は吹きっさらしでした。

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 こちらが浴室です。タイル張りのレトロな雰囲気。お湯は無色透明。入るとお肌がすべすべを通り越してぬるぬるする感じです。かすかに味がします。注がれたお湯がそのまま溢れ出ていくという、正真正銘の源泉掛け流し。湯量は豊富です。ややぬるめなので、いつまでも入ってられます。この泉質は素晴らしいですね。

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 温泉分析書です。泉質はカルシウム—硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性温泉)。pHは書いてないですね。泉温は28.9度です。

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 夕食は部屋食です。写真ではちょっとわかりにくいですが、天ぷらのボリュームがすごいです。保存物でしょうけどフキノトウや、そのほかよくわからない山菜が盛りだくさん。左上は上州名物刺身コンニャク。右下はニジマスの塩焼き。右上ですが、イワナの骨酒を追加注文しました。

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 そして豚汁(豚少なめ)です。これまた写真ではよくわかりませんが、いわゆるお椀ではなくて、ラーメンどんぶりぐらいあり、ボリューム満点。根菜類もいっぱい入ってます。とっても美味しくて体も温まりますが、全部食べきれなくて申し訳ありませんでした。

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 朝食も昔ながらのスタイルで美味しゅうございました。

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 廊下に貼ってあった昔の金湯館の写真。ぽん太が30年前に泊まった時はこれに近かった気がします。一番奥にある赤い屋根の建物が昔泊まったところで、建て替えて今回泊まった別館になってます。本館から浴室に続く通路は吹きっさらしになってます。

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 Wikipediaによれば、霧積温泉の発見は1200年代。江戸時代には湯小屋があったとのこと。
 金湯館の開業は明治17年(1884)。1886年には、これまでの旧中山道(熊野神社を通って旧軽井沢に抜ける道)に変わって、碓氷新道(現在の国道18号)が開通しました。当時周辺は別荘地・避暑地として栄え、多くの政治家や文人が訪れました。最盛期には旅館4軒、別荘20〜30軒があったそうです。どこにそんな建物が建っていたのかと思いますが、地図を見ても平地らしい平地はなく、霧積川沿いに点在していたのかもしれません。
 しかし明治25年(1892)の横川—軽井沢間の鉄道開通などで別荘地は軽井沢へと移って行き、明治43年(1910)の山津波で金湯館以外の温泉街・別荘は壊滅し、以後山中の一軒宿となりました。

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 霧積温泉といえば、森村誠一の長編推理小説『人間の証明』(1975年)の舞台として有名です。一般には(ぽん太もそうですが)、それを映画化した角川映画(1977年)の方が有名ですね。そこで重要な鍵となるが「母さん、僕のあの帽子どうしたでせいうね」で始まる詩で、テレビCMでもキャッチコピーとして繰り返し流され、当時の日本人はみんな(?)知ってました。これは、象徴派詩人にして歌謡曲の作詞家でもあった西條八十(さいじょう やそ)の詩「ぼくの帽子」で、大正11年(1992)に雑誌『コドモノクニ』に発表されました。森村誠一が学生時代に霧積温泉を訪れた時、お弁当の包み紙に書かれていたその詩に強い印象を受けました。それがやがて『人間の証明』として世に出たのだそうです。

2022/01/12

【GoTo温泉】漱石も泊まった修善寺の老舗旅館がリニューアル 湯回廊 菊屋(★★★★)

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 修善寺の創業400年の老舗旅館を、共立リゾートがリニューアルして誕生した「湯回廊 菊屋」。GoToトラベルを利用して行ってきました。池を囲むように建つ古い建物が、回廊でまるで迷路のようにつながっており、探検すると楽しいです。リニューアルされた部分が快適さを高めております。ただ雰囲気的にちょっと大衆的なところが減点1となり、ぽん太の評価は4点。歴史ある老舗旅館にそこそこのお値段で泊まれるという点ではおすすめです。

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【旅館名】湯回廊 菊屋
【温泉名】修善寺温泉
【住所】静岡県伊豆市修善寺874-1
【公式サイト】・https://www.hotespa.net/hotels/kikuya/
【宿泊日】2020年11月上旬
【部屋】本館 花の語り部
【泉質】アルカリ性単純温泉

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 桂川の手前側(北側)にある入り口がこちら。旅館というよりは、ちょっとお寺っぽいですが、修善寺だけにお寺っぽくしたのかも。ちなみにリニューアルの設計は熱海にある石井建築事務所(https://www.ishii-aa.com/works/781/)。旅館やホテルの設計を得意としているようです。

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 桂川を渡る通路の中が、ロビーになっております。

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 今回泊まったお部屋です。古い建物が好きなぽん太は本館和室を選択。同じ建物の2階が、かつて夏目漱石が逗留した「梅の間」になっております。「修善寺の大患」と呼ばれる漱石の菊屋逗留に関しては、あとでもう一度触れます。

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 この部屋のいいとろこは、中庭にある大きな池に面しているところ。翌朝の写真ですが、池に反射した光が窓ガラスにゆらゆらと当たって、とても綺麗でした。

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 鯉の餌は100円で売られていますが、この部屋には無料で餌が置かれており、好きなだけ鯉の餌やりをすることができます。ぽん太も早速やってみました。

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 建物の外観です。夏目漱石が泊まったのは明治43年(1910)ですから、それ以前からあった建物だと思いますが、外装はモルタルが塗られているようで、残念ながら古めかしさはありません。

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 お風呂がたくさんあって、いろいろ楽しむことができます。
 まずは「菊風呂」。いわゆる大浴場ですが、湯船の形がいいですね。橋もかかってます。壁はコンクリート製ですが、新たに板の壁を増設して雰囲気を出しております。無色透明のお湯で、泉質はアルカリ性単純温泉。残念ながら循環・加水・加温・消毒ありです。

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 露天風呂「朱雀の湯」です。やっぱり露天は気持ちがいいです。

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 お風呂ですごいのは、無料の貸切露天風呂が4つもあるところ。空いていたら自由に使えます。しかもこれらは「源泉掛け流し」です。雰囲気も素晴らしいですが、泉質を楽しみたい方はぜひご利用を。写真は「黎明の湯・星」です。

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 こちらは「岩戸の湯」。タイルが美しいレトロなデザインです。

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 夕食はレストランでいただきます。お造りは新鮮な伊豆の幸。わさびはもちろんその場で鮫肌で擦ります。

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 こちらがメニューです。

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 カサゴのフリットです。他にビーフシチューなど、洋風のメニューも加わります。

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 デザートの羊羹は富士山型。伝統にとらわれず、楽しいお食事です。


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 こちらは風呂上がりに最適の、無料のアイスキャンディーのサービスです。
 そのほかにも、夜になると夜食として小さなラーメンの無料サービスがあります。ぽん太はもう満腹で食べられませんでしたが……。若い人にはうれしいサービスですね。

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 朝食も美味しゅうございました。

 

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 さて、迷路のような回廊を巡って、館内探索に出発!
 レトロモダンになってますね。廊下の床板や、奥の方のガラス戸は、けっこう年代ものに見えます。

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 菊屋は創業400年といわれる歴史ある宿ですが、その「歴史」は、ぐぐってみても情報が出てきません。書籍にあたる元気はないので……。
 しかしその中で有名なのが、上で触れた、漱石の「修善寺の大患」です。

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 明治43年(1910)8月6日、43歳の漱石は、胃潰瘍の療養のために当時の菊屋別館を訪れました。その時泊まったのが、ぽん太の上階の「梅」の間でです。ところが翌日は別館が全館貸切だったため、漱石は本館の2階の部屋に移りましたが、その部屋をとても気に入ったようです。この本館は、当時は新館扱いだったようです。1階は少し掘り下げた形で温泉になっていたらしいですが、現在のどの位置なのかはちとわかりません。ひょっとしたら、現在の帳場や、岩戸の湯・古代の湯があるあたりかも……。この本館の一部は、現在は修善寺虹の郷(公式サイト)の日本庭園内に移築され、夏目漱石記念館となっております。漱石が療養した部屋も(1階になってますが)見ることができます。

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 しかし漱石の病状は日増しに悪化。8月24日には大量吐血をして昏睡状態に陥り、危篤を聞いた知人が次々に訪ねてきたそうです。しかしなんとか一命を取り留め、病状は徐々に改善。10月11日に漱石は東京に戻っていきました。
 随筆『思い出すことなど』(青空文庫)『修善寺日記』などにその頃のことが書かれているそうです。

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 菊屋は、明治から大正にかけて修善寺温泉の開発に貢献してきましたが、戦後になって徐々に時代に乗り遅れるようになり、バブル崩壊後は赤字経営に陥りました。2004年10月、台風22号では桂川が氾濫して多くの旅館や民家が被害を受けましたが、菊屋も壊滅的な被害を受け、ついに自主再建を断念。共立メンテナンスが経営を引き継ぐことになり、2006年7月、「湯回廊 菊屋」としてリニューアルオープンでしそうです。

2022/01/10

【GoTo温泉】一度泊まりたかった自然の中のリゾート・扉温泉明神館(★★★★★)

 「一度は泊まってみたいね〜」などと言いつつ、宿の前まで車で行ってみたこともあるけれど、「でも高いから無理かな〜」などと敬遠していた扉温泉。GoToキャンペーンのおかげで行くことができました。ありがとう菅元総理! ありがとう二階元幹事長!

 樹林に囲まれた自然の中に建つ一軒宿。リゾートホテルの雰囲気で、自然と向きあいながら入れる温泉も素晴らしい。お料理も美味しいです。なによりも従業員のおもてなしが心地よい。違う季節にも来てみたいです。またGoToキャンペーンよろしくお願いしまっす。ぽん太の評価は文句なく5点満点。

【旅館名】明神館
【温泉名】扉温泉
【住所】長野県松本市入山辺8967
【公式サイト】・http://www.tobira-group.com/myojinkan/
【宿泊日】2020年11月中旬
【泉質】アルカリ性単純温泉

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 松本から東に車で約1時間。美ヶ原高原の少し手前、美しい樹林のなかに扉温泉明神館があります。和風のホテル風で、外観はどちらかというと普通。従業員の応対は高級ホテルという印象で、丁寧で手際良いです。

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 お部屋は二間続き。手前は和室になっており……

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 窓側は洋室です。全面窓からは樹林が見えますが、紅葉はほとんど終わっています。

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 廊下のデッドスペースにさりげなく置かれたオブジェもオシャレです。

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 こちらは一転してレトロモダンな空間。

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 温泉は、写真の立ち湯「雪月花」が何と言ってもお見事。広い長方形の湯殿ですが、開口部の方が切れ落ちているように見え、内と外の空間の繋がりが感じられます。手前側から眺めるもよし、ちょっと深くなっている開口部近くに立って外を眺めるもよし。
 このほか、男女別の露天風呂付き内湯「白龍」もあります。

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 お湯は無色透明ですが、ちょっと硫化水素臭がします。泉質はアルカリ性単純温泉で、pHは9.2。お肌しっとりすべすべ系の美人の湯です。泉温は40.2度とややぬるめ。いつまでも入っていられます。

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 夕食は和食とフレンチから選べますが、今回は和食を選択。会場は「信州ダイニングTOBIRA」です。和食といっても内装はロッジ風で、白樺林をイメージした照明が面白いです。

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 まずは先付けです。器や盛り付けもきれいです。

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 お品書きをアップしておきます。

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 美味しそうですね〜美しいですね〜。「彩り砧巻き ずわい蟹」だそうです。砧巻きって何? ぐぐってみると、えびや鶏肉・白身魚などを、大根やきゅうりのかつらむき、のり、湯葉、薄焼き卵などの薄い食材で巻いた料理。 砧打ちの木槌に形が似ていることから、そのように呼ばれるんだそうです。へ〜。器が織部焼であることはぽん太にもわかります。で、砧打ちって何? キリがないので止めておきます。

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 こちらはお食事ですね。題して「真田丸と浅間小町 親子御飯」。「真田丸」は信州は上田で生産されている高級地鶏。「浅間小町」は佐久市の農場で生産された赤鶏卵で、卵としては唯一長野県知事賞を受賞しているとのこと。別々の器に入られてた食材を、自分で乗っけて出汁をかけていただきます。この卵のプリプリなこと。産地を上田地域で統一してるところも気持ちいですね。

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 朝食は洋食を選択。「ナチュラルフレンチ菜」でいただきました。窓際の席に案内していただき、凍てついた朝の景色を眺めながらの朝食です。

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 エッグべエネディクト。とっても美味しゅうございました。

2022/01/07

【GoTo旅館】登録有形文化財の招月楼に泊まる 料亭旅館 八ツ三館@飛騨古川(★★★★★)

 高山から北に約15kmに位置する飛騨古川。ともに古い街並みが残る街ですが、高山は観光地として賑わっておりますが、飛騨古川は昔ながらの静けさが残っています。
 八ツ三館は、白壁土蔵街からほど近く、荒城川のほとりにある料亭旅館。江戸末期の開業で、いかにも飛騨らしい落ち着いていて風格のある建物が魅力です。ぽん太とにゃん子は、登録有形文化財に指定されている招月楼のお部屋を選択。歴史を感じさせる素晴らしい部屋でした。お料理は、飛騨の素材を使ったいろどり鮮やかな品々。これは料亭旅館とうたうだけあって、美味しくて見事でした。運び湯なので温泉としては大きく減点となりますが、旅館部門としての評価では5点満点!

【旅館名】八ツ三館(やつさんかん)
【住所】岐阜県飛騨市古川町向町1-8-27
【公式サイト】・https://www.823kan.com
【宿泊日】2020年11月下旬
【部屋】招月楼(登録有形文化財)
【泉質】弱アルカリ性単純温泉(流葉温泉からの運び湯です)

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 荒城川に面する八ツ三館の玄関です。建物、庭、植木、どれもお見事。関東や東北の旅館とは趣が異なります。
 江戸時代の末期に開業。明治から大正にかけて製糸業が盛んだったころは、野麦峠を越えて信州に出稼ぎに行く女工たちの募集拠点や集散場所として賑わったそうです。
 八ツ三館は実際に、1979年に発表された映画「あゝ野麦峠」(大竹しのぶが出たやつですね)のロケ地として使われたそうです。
 ロケ地といえば、松本清張原作の映画「0の焦点」(1961年の野村芳太郎監督の方ではなく、2009年の広末涼子主演の方)のロケ地にもなっているそうです。

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 ロビーです。赤や緑の皮の重厚なソファが、漆塗りで装飾的な飛騨独特の内装によく合います。
 八ツ三館という名前は変わっていますが、創業者が越中八尾出身の三五郎さんだったことから、「八」と「三」をとって屋号を「八ツ三」にしたんだそうです。

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 ロビーの横のバーです。こちらも素敵ですね。

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 広い旅館で、いくつかの建物が迷路のようにつながっています。古い部屋が好きなぽん太とにゃん子は、登録有形文化財の「招月楼」を選びました。明治38年に再建された飛騨の商家造りで、宮大工の手になる木造二階建てです。建具の漆塗りの桟のリズム感が心地よいです。

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 床の間には青い袋に入れられた日本刀が。刃がついているのかどうか確認しませんでしたが、妻のにゃん子に寝首を掻かれないか心配です。

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 縁側下部の横板の透かし彫りは、川の流れに帆掛船。

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 荒城川の対岸から見た八ツ三館の全景。右側の看板がある建物が招月館です。こちらから見るとあまり古めかしさを感じませんが……

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 県道から招月楼に直接入る玄関で、こちら側は古い商家らしい趣があります。

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 玄関の内側から外を見るとこんな感じ。あら素敵ですね。道路よりも土間が少し低くなっていて、緩やかな石段で結ばれています。

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 玄関を入ると、囲炉裏のある吹き抜けになっております。

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 料理の美味しさを言葉で表現する能力はぽん太にはないので、写真からご判断ください。メニューもアップしておきます。

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 いろどり鮮やか、地元の素材を使い、手も込んでいて、とても美味しゅうございました。

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 お風呂もいろいろあって楽しめます、アルカリ単純温泉をうたってますが、残念ながら八ツ三館から北東に約10kmのところにある流葉からの運び湯です。

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 朝食はもちろん朴葉焼き付き。お土産を買って行って家で作っても、なぜかこの美味しさが出ないんですよね。

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 泊まった翌日は、飛騨古川の街並みを散策。瀬戸川と白壁土蔵街です。風情がありますね。

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 三嶋和ろうそく店。ご主人が色つけの実演をしてくれました。

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 武満徹の歌碑。読んでみると、「酒は自然が人間に示す友愛の徴だ 随って何よりも先ず謙虚に接しなければならない」というもの。
 なぜに武満徹? しかもお酒に関する石碑? 飛騨古川と武満徹の関係は?
 よくみると場所が渡辺酒造店の横。私費で建立したものかもしれません。こちらのサイト(酒造散策|渡辺酒造)によれば、平成5年4月建立とのこと。「世界的な作曲家・武満徹先生の日本酒好きは、つとに有名ですが、大吟醸酒をごくぬるめのお燗でお召し上がりになるのが印象的でした」とのこと。へ〜、武満が日本酒好きだとは知らなかった。大吟醸のぬる燗は、ぽん太も太田和彦さんに倣ってやってます。確かに美味しいですよね。
 でもなぜにこれが「歌」? よくわかりません。
 武満と古川の関係は、ぐぐってみると、飛騨古川が1989年に創設した飛騨古川音楽大賞の第1回受賞者が武満徹でした(その後の受賞者は誰なのか、ぐぐっても見つかりません)。で、それ以来武満は古川の街をいたく気に入り、たびたび訪れたそうです。1994年には旧古川町の委嘱で「精霊の庭Spirit Garden」を書き上げました。下のYoutubeで聴くことができます。

 

 あと、飛騨古川音楽大賞や、飛騨古川国際音楽祭が現在どうなっているのか、これもぐぐってもよくわかりませんでした。

2022/01/06

【仏像】三十数躯の円空仏・播隆上人が笠ヶ岳山頂に祀った阿弥陀仏@上宝ふるさと歴史館

 だいぶ前の話ですが、奥飛騨温泉郷からさらに西にある上宝村に円空仏がいっぱいあると聞いて、拝観してまいりました。
 地域に散在する円空仏を集めて保管・公開しているようで、三十体以上が一堂に揃っているのは壮観です。しかもなんと無料です。


【会場】上宝ふるさと歴史館
【住所】岐阜県高山市上宝町本郷582-12
【拝観日】2020年11月下旬
【拝観】入館料:無料  休館日:月曜、年末年始
【参考サイト】
・公式サイトはこちら→ 上宝ふるさと歴史館/スポーツ施設
・地図や館内写真はこちらが便利→上宝ふるさと歴史館|飛騨高山観光公式サイト

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不動明王 像高40.4cm 双六 地蔵堂
 入り口にガラスケースの中に置かれている2体のうちの1体。いわゆる不動明王の定型的なかたちからははずれてますが、ちょっとならず者っぽくニヤリと笑った顔、右手で握った衣服に皺がよっている様子など、素晴らしい作品です。

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護法神 34.3cm 中山 地蔵堂
 護法神って何? 帝釈天や四天王など天部の神々のことのようです。バラモン教やヒンズー教の神々が、仏法を守護する神として、仏教に取り入れられたものですね。天部の神だけど、そのうちどれかなんて関係ねェ!って感じでしょうか。木の節を使った表現が見事です。

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聖観音 48.9cm 笠原石仏
観音像 59.0cm 宮原 カナタ組
地蔵像 53.7cm 中尾 中尾町内会
 左から聖観音、観音像、地蔵像です。

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十二神像 蔵柱田谷神明神社 
 順不同で伊勢太神宮・天照皇太神・天満宮・春日神・八幡神・天満宮・石道木神・鹿島神・白山神・天満宮・住吉神・白山神
 定型的なフォルムで作られた神々。お顔も線で表現されています。同じ神様がダブっているところをみると、元々は別々のものが集められているのでしょう。

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観音像 9.0cm 蔵柱
観音像 12.8cm 長倉
地蔵菩薩 6.3cm 蔵柱
如来像 13.3cm 新田
 小さめの像ですが、衣紋や台座など細かく彫られています。

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神像 47.5cm 在家 柱本神社
神像 47.5cm 在家 柱本神社
白山権現 39.0cm 山吹 地蔵堂

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神像 41.0cm 中山 地蔵堂
観音像 31.1cm 中山 地蔵堂
馬頭観音 39.7cm 在家 観音堂

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聖観音 53.3cm 中山 地蔵堂
制吒迦童子 41.0cm 双六 地蔵堂
矜羯羅童子 33.0cm 双六 地蔵堂

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善女竜王 47.4cm 双六 虚空蔵山
地蔵像 42.3cm 中山 地蔵堂
 名前の紹介ばっかりではつまらないので、ひとつぐらいウンチクを調べてみました。左側の像の善女竜王(ぜんにょりゅうおう)って何?Wikipediaを見たら、雨乞いの対象である様々な竜王のうちの一尊と書いてありました。竜だけに雨乞いなんですね。農耕に従事する村人のために彫ったのでしょうか。
 また善女竜王は、京都の神泉苑に祀られているとのこと。神泉苑って、二条城の南側にあるやつだよね。ぽん太は以前に行ったことがあるぞ(【京都】御霊神社、相国寺、花の御所跡、清明神社、伊藤仁斎宅跡、二条城、神泉苑(2013.5.8))。もう一度神泉苑のポイントをおさらいしておきましょう。神泉苑の池には龍神が住むと言われており、空海が干ばつの折に祈雨の法を行ったところ、霊元があったと言われております。また平安時代には御霊を鎮める御霊会(ごりょうえ)が流行したのですが、「天皇」が主催して初めて御霊会を行ったのがこの神泉苑です。さらに、ここには日本で唯一の恵方社(歳徳神)があります。また源頼朝と静御前が出会った場所とも言われております。

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観音像 25.5cm 双六 地蔵堂
虚空蔵菩薩 46.4cm 双六 虚空蔵山

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「南無阿弥陀仏」 名号軸 円空作
 円空の仏さまはいっぱい見ましたが、書は初めてのような気がします。手慣れた字です。いわゆる「書」というよりは、お札とかに書かれている字体のような気がします。こういった書も、請われて書いていたのでしょうか。

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笠ヶ岳山頂の銅製厨子入り阿弥陀如来 26cm 現在は村上神社に保管 文政7年(1824)
 この歴史館の展示品のなかで、円空仏以外に、登山好きのぽん太が非常に興味深く感じたのがこれです。
 江戸時代の僧侶・播隆(ばんりゅう)上人は、登山愛好家の間では槍ヶ岳を開山したことで有名ですが、その前に笠ヶ岳を開山しました。1823年(文政6年)に信者と共に笠ヶ岳に初登頂。その後何回か登頂して参詣道(登山道)を整備。1824年(文政7年)に信者66人とともに笠ヶ岳に登りました。このとき、参詣道の一里塚として8体の阿弥陀如来の石仏を置き、山頂の石祠に銅製の阿弥陀如来像を祀りました。
 まさにその阿弥陀如来像が、これなのです!

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 全体にプロポーションが整った仏さま。お顔がなぜかリアルというか、劇画調です。

 ちなみにぽん太は、笠ヶ岳には2回登っています。2回目に登った時のブログの記事がこちらです(【登山】猛暑のなか笠ヶ岳(2日目)鏡平山荘〜笠ヶ岳(2018.8.17))。それを見直してみると、現在は山頂には石祠ではなく、木の祠があり、そのなかにこの像とそっくりの像が納められているのが写ってました。その時の写真を再掲します。

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 これが「現在」笠ヶ岳山頂にある銅製阿弥陀如来の写真です。歴史館にある像とそっくりですね。模造と思われます。

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播隆の一里塚 39cm 笠ヶ岳稜線 文政7年(1824)
 こちらは山道の一里塚に置かれた石仏。山頂から約一里稜線を下ったところにあったそうで、下から数えた八体目の一里塚ということになりますね。

2022/01/05

【GoTO温泉】歴史ある名旅館 修善寺温泉 新井旅館(★★★★★)

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 言わずと知れた超有名老舗旅館。GoToトラベルのおかげで泊まることができました。まさに温泉旅館の完成形。建物が良い、庭が良い、景色がきれい、風呂が良い、食事が美味しい。すべてにおいて素晴らしいです。温泉旅館らしい華やぎも忘れてません。5点満点しかありません。

【旅館名】新井旅館
【温泉名】修善寺温泉
【住所】静岡県伊豆市修善寺970
【公式サイト】・http://arairyokan.net
【宿泊日】2020年12月上旬
【部屋】花の棟
【泉質】アルカリ性単純温泉

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 明治5年に「養気館新井」として開業して以来およそ150年。泊まった文化人は数知れません。写真の青州楼は明治14年の建築。

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 玄関を入ると日常とは別の世界が広がります。

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 ちょうど紅葉の盛りで、歴史ある建物との取り合わせが見事です。

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 樹齢800〜1000年のケヤキは、トトロの木と呼ばれています。

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 今回泊めていただいたのは花の棟のお部屋。木造2階建てで登録有形文化財に指定。昭和9年の築ですが、歴史あるこの宿では新しい方です。

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 桂川に面しており、窓からは竹林を背景に美しい紅葉を眺めることができます。

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 細かく作り込まれ歴史を経た建物そのものが美しいです。

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 いたるところが絵になります。

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 さてお風呂ですが、男女交代制の内風呂の一つ、天平風呂です。昭和9年築。総檜造。とても広く、太い柱ががっしりと天井を支えており、まるで寺院のようです。浴槽には巨岩が配置されたり橋がかかっていたりして、まるで庭園の池のようです。

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 泉質はアルカリ性単純温泉で、pH8.5。お肌すべすべ系の美人の湯。無色透明の柔らかい肌触り。泉温61.2度。この広い浴場がなんと源泉掛け流しです(循環なし。泉温を下げるための加水はあり)。

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 男女交代制の内風呂のもう一つはあやめ風呂。小さめですが、アヤメをかたどった意匠が見事です。

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 もうひとつ浴槽があります。奥の窓の下のところにはガラスがはまっていて、池を泳ぐ鯉が見れます。

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 玄関前の道路を挟んで向かい側も新井旅館の敷地になっているのですが、そちらには木漏れ日の湯という露天風呂があります。広々した林の中、紅葉を楽しみながら入浴を楽しめます。

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 そしてこちらが無料の貸切風呂・翡翠です。レトロなタイルの模様と、温泉成分が析出した時代感ある浴槽が魅力です。
 温泉はもうひとつ、有料の貸切風呂もあります。

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 夕食です。地元の新鮮な素材を使い、彩りも鮮やか、季節感もあります。
 箸付と前菜です。

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 お造りです。

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 焼き物は鰤塩焼。彩が美しいですね。

 

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 こちらが朝食です。美味しゅうございました。

2022/01/04

【GoTo温泉】広大な庭園に点在する離れ 伊豆長岡温泉 三養荘(★★★★★)

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 人間生きてると、千載一遇のチャンスというもに出会うもんじゃい。それはGoToトラベルキャンペーンです。ばらまきだとか、ウイルスを全国に撒き散らすだとか批判は多いけれど、同じアホなら踊らなやそんそん。これまで温泉旅館といえば、1万円台前半を目安に探していたぽん太ですが、GoToトラベルの期間は突如4万円を上限とし、毎週のように温泉に行きまくっておったのじゃ。そして、高いところはそれなりに良いことを認識。

 こんかいはGoToキャンペーン中の最後に泊まった伊豆長岡温泉の三養荘をご紹介。
 岩崎弥太郎の長男の別邸に端を発し、広大な庭園の中に登録有形文化財の建物が点在する高級旅館。広々した離れに泊まってアルカリ性単純温泉の柔らかいお湯に入れば、浮世の苦しみから解放されます。お料理も一流。5点満点です。
【旅館名】三養荘
【温泉名】伊豆長岡温泉
【住所】静岡県伊豆の国市ままの上270
【宿泊日】2020年12月中旬
【部屋】高砂(離れ)
【泉質】アルカリ性単純温泉

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 三養荘は、岩崎弥太郎の長男の久彌の別邸として昭和4年(1929)に建てられたもので、広大な庭園の中にある数寄屋造の建物です。
 「三養荘」という名前は、岩崎家の家訓であった中国宋代の詩人・蘇東坡の「三養訓」に由来するそうで、すなわち「安分以養神」(分をわきまえて、精神を安定させること)、「寛胃以養気」 (胃を楽にして、心身の元気を養うこと)、「省費以養財」(無駄遣いをやめて、財産を作ること)の三つだそうです。

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 昭和22年(1947)に、国土計画興業株式会社(現在のプリンスホテル株式会社)が15室で旅館として営業を開始。昭和32年には本館「みゆき」が増築されました。ここまでが登録有形文化財に指定されています。昭和42年には離れ「高砂」「花月」「きぬた」が増築されました。
 昭和63年には、村野藤吾設計の新館がオープン。村野藤吾といえば、橿原神宮駅舎、新歌舞伎座、日生劇場、新高輪プリンスホテルなどの設計で有名で、三養荘新館は最晩年の作品です。
 天皇・皇后両陛下や、上皇・上皇后両陛下も過去に宿泊なさっています。

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 古い建物が好きなぽん太とにゃん子が泊まったのは、離れの「高砂」。他の建物からちょっと離れて、庭園のなかにぽつりとあります。
 どうせなら登録有形文化財のところに泊まりたかったですが、予約時にホームページを見たんですがよく理解できなかったのです。ホームページ内に、全部屋の配置図があればもう少しわかりやすかったのですが……。
 でもこの離れも昭和の和風建築で、プライベート感があって、とても素晴らしかったです。

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 建物のアップです。ぽん太の家よりよっぽど広いです。温泉の浴室や、中庭をめぐる回廊があります。

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 10畳と12畳の二間続きの和室。向かって右の縁側の外には、広大な庭園が広がります。

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 床の間には本格的な書院が造られています。

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 レトロ感満載の広々して明るい温泉があり、もちろん貸切で利用できます。循環加温消毒なしの、正真正銘の源泉掛け流しだと思います。泉質はアルカリ性単純温泉で、お肌すべすべ系の美人の湯です。

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 本館の玄関です。大浴場や、レストランの利用の際は、庭の中をはるばる歩いていかなければなりません。寒かったり天気が悪い時はちょっと大変です。

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 本館の内部は、数寄屋の意匠が凝らされています。

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 素晴らしいです。

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 新館スペースにある、広々とした大浴場。こちらは源泉掛け流しではなし気がします。

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 露天風呂もついております。

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 こちらが夕食の会場です。

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 夕食は、一品いっぴん運ばれる本格的な会席料理です。

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 朝食も美味しゅうございました。
 

2022/01/03

【ハイキング】緊急事態宣言下に桜ヶ丘公園を歩く

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 令和3年1月8日から発令された東京都の緊急事態宣言は、延長に延長を重ね、3月になってもまだ継続中。すっかり運動不足となったぽん太とにゃん子は、春の気候に誘われてどこかを歩きたくなり、密を避けて桜ヶ丘公園に行ってきました。

【場所】桜ヶ丘公園
【訪問日】2021年3月
【関連サイト】
桜ヶ丘公園 - 東京公園協会園内マップもあります)
旧多摩聖蹟記念館 - 多摩市

 桜ヶ丘公園は、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅の南東にある公園です。多摩丘陵の中にあり、雑木林に覆われて起伏に富んでいて、自然豊かです。
 京王線の聖蹟桜ヶ丘駅から歩いていきましたが、旧多摩聖蹟記念館がある大松山まで標高差約70mの登り。これは立派な登山です。運動不足のぽん太とにゃん子は、翌日筋肉痛に苦しめられました。

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 「明治天皇御野立所跡の碑」です。「野立」(のだて)ということは、明治天皇がここでお茶を飲んだということでしょうか? それは「野点」です。「野立」は元々は貴人が野外で籠から降りて休むことでしたが、転じて天皇の休息所という意味で使われるようになり、この場合は「御野立所」(おのだてしょ、おのたてしょ、おのだちしょ、おのたちしょ)という言葉が使われたようです。
 明治天皇は日本のあちこちを行幸(ぎょうこう:天皇が訪れること)したことで有名で、訪れたところは聖蹟と呼ばれました。1881年(明治14年)を皮切りに4回この地を訪れ、狩猟などを楽しんだそうです。

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 「明治天皇御製碑」です。明治天皇と昭憲皇太后が読まれた和歌が刻まれております。ちなみに明治天皇の歌は、「春ふかき山の林にきこゆなり けふをまちけむ鶯の聲」というものです。

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 歩いていると、不思議な建物に遭遇。旧多摩聖蹟記念館だそうです。円形の壁の珍しい形の建物です。反対の正面側には円柱が立ち並んだ階段があり、ちょっと南欧〜ギリシャっぽい雰囲気です。竣工は昭和5年(1930)で、設計は京王閣遊園地(昭和2年)などで知られる関根要太郎だそうで、「「楕円の殿堂・旧多摩聖蹟記念館」タウンファクトリー一級建築士事務所 」というサイトが詳しいです。
 内部には高さ3mを超える立派な明治天皇騎馬像があります。そのほか、坂本龍馬や西郷隆盛の書などもあります。ぽん太が推測するに、軍国主義的雰囲気の中で町おこしを図ったものでしょうか? ちがったらごめんなさい。
 こちらのサイト(仮面ライダー 旧多摩聖蹟記念館 - Looking for locations.)によると、かつては悪のアジトとして度々ロケに使われたそうです。
 ところで聖蹟桜ヶ丘には桜ヶ丘記念病院という精神科病院がありますが、これも明治天皇行幸を「記念」してるんでしょうか。あれ? 調べてみたら違うみたいな気が……。

2022/01/02

【登山】梨ノ木平から扇山ピストン・紅葉は不発。

 今を去る11月上旬、朝起きたら天気がいいので、急遽山に登ることにしました。どっか近場で、せっかくなので紅葉も見たい。結局、梨ノ木平から扇山に登ることに決めました。

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 扇山は、中央道を東京から山梨方面に走っていくと、上野原あたりで右側に見える山で、まさに扇を広げたような形が印象に残ります。いくつかの登山コースがありますが、今回は出発が出遅れたので、最短で頂上に登れる、梨ノ木平からのピストンを選びました。
 しかしこの登山道、短時間で山頂に立てるという点ではいいですが、杉の人工林の中を延々と登る単調な道。しかも期待していた紅葉は、緑や茶色のまま落葉してました。また扇山は大月市の秀麗富嶽十二景のひとつで、富士山を見るのも楽しみにしてたのですが、あいにく雲のなかでした。
 ま、運動になったからいいか。
【山域】奥多摩・高尾
【山名】扇山(1138m)
【登山日】2021年11月上旬
【天気】晴れ
【登山者】ぽん太、にゃん子
【コース】梨ノ木平11:50…大久保山南の水場12:28…大久保のコル13:09…13:17扇山13:51…梨ノ木平14:48
【駐車場】大月カントリークラブ入口の手前にある梨ノ木平駐車場に、10台ほど駐車可能です。カントリークラブのご好意で作っていただいたものらしく、寸志の募金箱がありますので、協力いたしましょう。登山道は、駐車場の真向かいの坂を登っていきますが、そこにトイレもあります。


 

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 登山口に近くに観音像がありました。キリッとした表情、腰から下は肉付きが良く、腰をちょっと捻ったポーズなど、悪くないです。石仏なのに衣の裾などが細かく表現されております。左手に持つ蓮のつぼみのところにイチョウの葉っぱみたいなのが付いているのは、強度を保つため仕方ないのか。
 
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 隣にある碑文を読んでみると、森林の管理員会が、作業員や登山者の安全を祈願して建てたもののようです。明治時代に水害による土砂崩れで多くの命が失われたそうで、さらに「その後も登山者の中に志中ばで■(敝の下に衣)れ思い空しく消えた人たちの魂が、この山域に眠っております」と書かれておりますが、扇山登山を「志して」、途中で亡くなった人がそんなにいるとは思えません。しかも「魂が、この山域に眠っています」と断定しているところがちょっと怖いです。
 ところでこの碑文の日付は平成5年。観音様も新しいものなんでしょうね。

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 紅葉はほとんど終わっていて、この写真が今回のベスト紅葉でした。

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 広々した山頂ですが、ほとんど登山客はおりませんでした。

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 モグラの穴がいっぱいあいてました。

2022/01/01

【仏像】関東で作られたお優しい白鳳仏@武蔵国分寺跡資料館

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 武蔵国分寺の薬師如来さまを拝観したあと、武蔵国分寺跡資料館にハシゴし、白鳳期の銅像観世音菩薩立像を拝観したしました。

 

【名称】武蔵国分寺跡資料館
【場所】東京都国分寺市西元町1-13-10
【日付】2021年10月10日
【拝観】拝観料100円です
【公式サイト】・https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/shisetsu/kouen/1005196/1004239.html
【仏像】●都指定
●銅像観世音菩薩立像 28.4cm 白鳳後期

 

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 武蔵国分寺は、東西30kmに伸びる「国分寺崖線」(こくぶんじがいせん)と呼ばれる崖の連なりに位置しています。武蔵国分寺跡や、武蔵国分寺の楼門・本堂が崖の下に位置し、階段を登っていった薬師堂が崖の上になります。崖下には、あちこちから水が湧き出て、池や流れを作っています。写真は「真姿の池」です。

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 流れに沿って遊歩道が整備されています。辺りは江戸時代に徳川家の御鷹場だったことから、「お鷹の道」と呼ばれています。武蔵国分寺跡資料館は、この道沿いにあります。料金は100円。向かいの「おたカフェ」という喫茶店でチケットを購入します。
 この資料館は、武蔵国分寺跡からの出土品を展示する施設です。土器や瓦、トキの剥製(出土したわけではありませんが)に混ざって、白鳳仏が展示されています。仏像ファンとしては、ちょっとお気の毒な気がします(出土品も大切ですが……)。ガラスケースには入ってますが、近くで拝観することができます。

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 シンプルでとっても優しいお姿です。お顔は……草彅剛くんが入ってますね。同時代の渡来仏のような装飾性や絢爛豪華さはありませんが、素朴な日本人ごのみのお姿です。使われている銅の分析から、国内の銅が使われていることがわかっていて、国内(東国)で造られたと考えられているそうです。渡来仏の最新技術を学びながら、日本人好みの仏さまを作ったのでしょう。

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 案内板をアップしておきます。発掘されたのは昭和57年だそうです。こんな状態で土の中に埋まっていて、よく錆びなかったと思われますが、銅の錆が皮膜を作ると銅自体を守る働きがあるからかもしれません。

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 見る方向によって表情が変化します。下から見上げると、鼻筋が通って、ふっくらした頬と小さな口が魅力的です。

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 上から見るとふくよかなお顔に見えますね。造られた頃は金メッキされて光り輝くお姿だったんでしょうね。

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