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2022/01/06

【仏像】三十数躯の円空仏・播隆上人が笠ヶ岳山頂に祀った阿弥陀仏@上宝ふるさと歴史館

 だいぶ前の話ですが、奥飛騨温泉郷からさらに西にある上宝村に円空仏がいっぱいあると聞いて、拝観してまいりました。
 地域に散在する円空仏を集めて保管・公開しているようで、三十体以上が一堂に揃っているのは壮観です。しかもなんと無料です。


【会場】上宝ふるさと歴史館
【住所】岐阜県高山市上宝町本郷582-12
【拝観日】2020年11月下旬
【拝観】入館料:無料  休館日:月曜、年末年始
【参考サイト】
・公式サイトはこちら→ 上宝ふるさと歴史館/スポーツ施設
・地図や館内写真はこちらが便利→上宝ふるさと歴史館|飛騨高山観光公式サイト

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不動明王 像高40.4cm 双六 地蔵堂
 入り口にガラスケースの中に置かれている2体のうちの1体。いわゆる不動明王の定型的なかたちからははずれてますが、ちょっとならず者っぽくニヤリと笑った顔、右手で握った衣服に皺がよっている様子など、素晴らしい作品です。

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護法神 34.3cm 中山 地蔵堂
 護法神って何? 帝釈天や四天王など天部の神々のことのようです。バラモン教やヒンズー教の神々が、仏法を守護する神として、仏教に取り入れられたものですね。天部の神だけど、そのうちどれかなんて関係ねェ!って感じでしょうか。木の節を使った表現が見事です。

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聖観音 48.9cm 笠原石仏
観音像 59.0cm 宮原 カナタ組
地蔵像 53.7cm 中尾 中尾町内会
 左から聖観音、観音像、地蔵像です。

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十二神像 蔵柱田谷神明神社 
 順不同で伊勢太神宮・天照皇太神・天満宮・春日神・八幡神・天満宮・石道木神・鹿島神・白山神・天満宮・住吉神・白山神
 定型的なフォルムで作られた神々。お顔も線で表現されています。同じ神様がダブっているところをみると、元々は別々のものが集められているのでしょう。

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観音像 9.0cm 蔵柱
観音像 12.8cm 長倉
地蔵菩薩 6.3cm 蔵柱
如来像 13.3cm 新田
 小さめの像ですが、衣紋や台座など細かく彫られています。

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神像 47.5cm 在家 柱本神社
神像 47.5cm 在家 柱本神社
白山権現 39.0cm 山吹 地蔵堂

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神像 41.0cm 中山 地蔵堂
観音像 31.1cm 中山 地蔵堂
馬頭観音 39.7cm 在家 観音堂

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聖観音 53.3cm 中山 地蔵堂
制吒迦童子 41.0cm 双六 地蔵堂
矜羯羅童子 33.0cm 双六 地蔵堂

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善女竜王 47.4cm 双六 虚空蔵山
地蔵像 42.3cm 中山 地蔵堂
 名前の紹介ばっかりではつまらないので、ひとつぐらいウンチクを調べてみました。左側の像の善女竜王(ぜんにょりゅうおう)って何?Wikipediaを見たら、雨乞いの対象である様々な竜王のうちの一尊と書いてありました。竜だけに雨乞いなんですね。農耕に従事する村人のために彫ったのでしょうか。
 また善女竜王は、京都の神泉苑に祀られているとのこと。神泉苑って、二条城の南側にあるやつだよね。ぽん太は以前に行ったことがあるぞ(【京都】御霊神社、相国寺、花の御所跡、清明神社、伊藤仁斎宅跡、二条城、神泉苑(2013.5.8))。もう一度神泉苑のポイントをおさらいしておきましょう。神泉苑の池には龍神が住むと言われており、空海が干ばつの折に祈雨の法を行ったところ、霊元があったと言われております。また平安時代には御霊を鎮める御霊会(ごりょうえ)が流行したのですが、「天皇」が主催して初めて御霊会を行ったのがこの神泉苑です。さらに、ここには日本で唯一の恵方社(歳徳神)があります。また源頼朝と静御前が出会った場所とも言われております。

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観音像 25.5cm 双六 地蔵堂
虚空蔵菩薩 46.4cm 双六 虚空蔵山

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「南無阿弥陀仏」 名号軸 円空作
 円空の仏さまはいっぱい見ましたが、書は初めてのような気がします。手慣れた字です。いわゆる「書」というよりは、お札とかに書かれている字体のような気がします。こういった書も、請われて書いていたのでしょうか。

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笠ヶ岳山頂の銅製厨子入り阿弥陀如来 26cm 現在は村上神社に保管 文政7年(1824)
 この歴史館の展示品のなかで、円空仏以外に、登山好きのぽん太が非常に興味深く感じたのがこれです。
 江戸時代の僧侶・播隆(ばんりゅう)上人は、登山愛好家の間では槍ヶ岳を開山したことで有名ですが、その前に笠ヶ岳を開山しました。1823年(文政6年)に信者と共に笠ヶ岳に初登頂。その後何回か登頂して参詣道(登山道)を整備。1824年(文政7年)に信者66人とともに笠ヶ岳に登りました。このとき、参詣道の一里塚として8体の阿弥陀如来の石仏を置き、山頂の石祠に銅製の阿弥陀如来像を祀りました。
 まさにその阿弥陀如来像が、これなのです!

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 全体にプロポーションが整った仏さま。お顔がなぜかリアルというか、劇画調です。

 ちなみにぽん太は、笠ヶ岳には2回登っています。2回目に登った時のブログの記事がこちらです(【登山】猛暑のなか笠ヶ岳(2日目)鏡平山荘〜笠ヶ岳(2018.8.17))。それを見直してみると、現在は山頂には石祠ではなく、木の祠があり、そのなかにこの像とそっくりの像が納められているのが写ってました。その時の写真を再掲します。

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 これが「現在」笠ヶ岳山頂にある銅製阿弥陀如来の写真です。歴史館にある像とそっくりですね。模造と思われます。

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播隆の一里塚 39cm 笠ヶ岳稜線 文政7年(1824)
 こちらは山道の一里塚に置かれた石仏。山頂から約一里稜線を下ったところにあったそうで、下から数えた八体目の一里塚ということになりますね。

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