【仏像】奈良国立博物館の仏像を東京で見れました「SHIBUYAで仏教美術」松濤美術館
渋谷の松濤美術館で開催している「SHIBUYAで仏教美術」に行ってきました。奈良国立博物館の仏教美術コレクションからの展示のようです。仏像は6点のみでしたが、ふたつの重文も含まれ、なかなか見に行くことができない奈良国立博物館の像を東京で見れるのはありがたいです。
【展覧会】SHIBUYAで仏教美術 ー奈良国立博物館コレクションより
【会場】松濤美術館
【会期】2022年4月9日〜5月29日
【拝観日】2020年4月下旬
【入館料】一般1,000円
【公式サイト】・https://shoto-museum.jp/exhibitions/195nara/
【作品リスト】・作品リスト.pdf
【仏像】◎重文 番号は作品リストの番号
7 不動明王立像 銅造 鎌倉時代 文永6年(1269) お姿
◎8 如意輪観音菩薩坐像 木造 平安時代(9〜10世紀) お姿
52 観音菩薩立像 銅造 飛鳥時代(7世紀) お姿
53 観音菩薩立像 銅造 奈良時代(8世紀) お姿
◎54 薬師如来座像 銅造 奈良時代(8世紀) お姿
55 毘沙門天立像 木造 彩色・截金 鎌倉時代(13世紀) お姿
東京に長く生息するぽん太ですが、松濤美術館に行ったのは生まれて初めてです。神泉駅近くの住宅街の中にいきなり写真のような建物があってびっくりします。
設計はどなたでしょう? 公式サイトに白井晟一(しらいせいいち)と書いてあります。知らんがな。困った時のWikipediaを見てみると、1905年生まれ、1983年死去。独特な作風や言説から「哲人建築家」「異端の作家」などとも称されたとのこと。作品リストを見ても、知ってる建物がありません。ノアビルとかは有名ですが、タヌキのぽん太には麻布台は出没範囲外なので、見たことがありません。
あ、見たことあるのがありました。1954年竣工の群馬県前橋の本屋・煥乎堂(かんこどう)ですが、現存していないようです。1992年(平成4年)に白井晟一設計の旧店舗の向かいに新店舗がオープン。旧店舗は2005年に取り壊されたそうです。ぽん太が前橋に生息していたのは1970年台で、煥乎堂は足繁く通っていましたが、そんなすごい建築だとは知りませんでした。玄関に読めない横文字が書かれていた記憶はありますが、当時はネットもない時代で調べる術もなく、「QVOD PETIS HIC EST」(もとめるものはここにある) というラテン語だったようです。
松濤美術館は1980年に竣工、1981年に開館したとのこと。区立の美術館でこのような建物を作ったのは偉いですね。でもなんか運営がお役所っぽいというか、もっと魅力的な空間にできるような気もします。
で、仏像の感想に移ります。1階の展示場には1躯のみ。不動明王像(7)。40cm余りの銅造で、腰がきゅっとくびれて、全体に細身。憤怒の表情もちょっと男前です。迫力や躍動感よりも美しさが勝っています。
2階には5躯の仏像があります。一番大きくて目を引くのは、如意輪観音菩薩坐像(2)。ふつ如意輪さまというと、しなやかでちょっと優美な像を思い浮かべますが、この像はどっしりとして圧迫感があり、暑苦しいです。お顔がでっかく、太い胴体も直立しています。下半身はなんか華奢。表情も、怪しい切長の目におちょぼ口。おまけに眉毛は繋がっていて、ウズベキスタンか「鎌倉殿の13人の」巴御前か。定朝様以前の力強さと迫力が感じられる像で、さすが重要文化財です。
もうひとつの重要文化財は、銅造の薬師如来坐像。こちらは奈良時代の作で、伸びのびしておおらかです。像高は40cm弱ですが、台座があるので総高は50cm。衣が垂れ下がって台座を覆い、その布の下に蓮弁の形が浮き上がっている様子が美しいです。どんなに薄い衣なんだ! 仏の世界の布でできているんでしょうね。パンパンに膨らんだお顔はちょっと微笑んでいるか? 螺髪がないのはなぜでしょう。
約30cm大の飛鳥時代と奈良時代の銅造観音菩薩立像が並んでいます。飛鳥時代の方は(52)、伸びやかで可愛らしい白鳳仏。ほっそりしたスタイルで、冠や飾りも美しいです。右手をお腹あたりに当て、瓔珞(ようらく)を指で挟んでいるのが珍しいです。なんか宝石を自慢してるみたいで可愛いですね。
奈良時代の方は(53)、装身具や大きい手足など白鳳仏に倣ったお姿ですが、がっしりした体型や、装飾品の細かな表現、きりっとした表情など、時代が下った感じがします。右手で小さな宝珠を持っています。二つの像を見比べると面白いです。
最後は鎌倉時代の毘沙門天像(55)。像高約80cmで、リアルで整った美しい像で、彩色も残っています。どっしりと立ち、天邪鬼を踏みしめてます。躍動感はないですが、内からパワーがみなぎってくる素晴らしい像でした。
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